IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜 作:無限の槍製
今回は演劇のお話です!
9月17日(日)PM02時00分
「じゃじゃーん!楯無おねーさんの登場です!」
「いなくなったと思ったら、またいきなり現れる。正直心臓に悪いんでやめてください!」
休憩を終え、教室に戻ってきた時には楯無さんはいなかった。そして1時間経過した今現在戻ってきた。任せておいてと言っておきながら職場放棄。いや生徒会の皆さん!?大丈夫なんですかこんな人が会長で!
「まあまあそう怒らないで。私も出し物があるんだからそっちに行ってたのよ……で、だよ一夏くん。君たちのお手伝いしてあげたんだから、生徒会の出し物にも協力してよ」
「出し物?生徒会も何かするんですか?」
「そりゃ、生徒会にも学園祭を楽しむ権利はあるもの。出し物ぐらいするわよ。それで出し物なんだけど、演劇をするの。観客参加型演劇」
既に嫌な予感がする。生徒会の権限とかで無茶苦茶な演劇になるはずだ。そしてそれによって胃に穴が開くようなおもいをする虚さん。だいたいここまで想像できたぞ。
「まあ、裏方なら手伝えますよ。でも少しだけですよ。こっちも売り上げとかあるんですから」
「大丈夫よ、すぐに終わるわ。それと仲良しの女の子達も連れてきてね。あの子達も必要になるから」
バッ、と開いた扇子には箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラ、のほほんさんの名前があった。てかよく書いたなそれ。なんかもう最後の方とかイライラしてグチャグチャになってるし。
「ちなみに、演目ってなんですか?」
「ふふん………シンデレラよ」
◇
9月17日(日)PM02時13分
「まさかキリヤんまで巻き込まれてるなんてな」
「自分のとこの売り上げがあるんだけどな〜。ほぼ強制だよ」
第四アリーナの更衣室では俺とキリヤんが着替えている。服装は王子の格好だ。あの人のことだから面白半分でシンデレラのドレスでも渡してくるかと思った。
「まったく……学園祭ぐらい静かに過ごせると思ったのに……」
「あ、そういえばさ。この学園祭ってなんかキリヤん景品扱いになってないか?」
「嫌なこと思い出させてくれるねぇ。まあ色々あるんだよ」
キリヤんは不機嫌そうな顔をしながら説明してくれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ほら自分と本音って同好会開いてるんだよ。顧問に木綿季さんを配置してな。でも活動を全然してなかったんだよ。そしたら生徒会から今後成果を上げなければ同好会をやめてもらい、生徒会に入ってもらうってな。
まあそれも無視してずっと活動してたんだよ。そんでそのまま夏休み。注意勧告をすっかり忘れて夏休みを満喫してたんだ。
そして夏休みの最後の方……8月の23日だったかな。たまたま木綿季さんに会ったんだ。実家に帰る途中だけど、遅れそうだから乗せてってくれってな。それから家の近くまで送った。
その後だよ。あの人と出会ったの。
『九条桐也くんね』
『あんたは?』
『私は布仏虚。本音の姉です。そしてIS学園の生徒会でもあります』
『ああ、本音のお姉さん。初めましてですね。それで自分に何か用で?』
『単刀直入に。あなたは我々生徒会の勧告を無視し、活動をするわけでもないのに同好会の為だからと空き部屋を占領、挙げ句の果てには本音の成績を落とした。これらの他にも罪を重ねています』
『………耳がいたいね。まさかそれを伝えるために後ろつけてきたの?』
『へえ、やはり周囲をよく観察しているのね。それに関しては見事だわ。それと私がここに来たのは勧告通り二学期に貴方をイベントの景品にするということを伝えるため』
『はあ?何それ聞いてないんだけど!』
『ちゃんと書いてあります。『尚、勧告を無視し活動を続けるならば、貴方を二学期のイベントの景品にするから覚悟してね♡』と』
『クッソマジかよ!本音に全部任せるんじゃなかった!しかも注意勧告なのにハートつけてやがる!』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ていうわけ」
「うん、なんかお前も悪いんじゃね?」
「お前に言われたらもう人生終わりだな」
結局のところ、同好会の活動を全然してこなかったから『各部対抗九条桐也争奪戦』なんてものが始まってしまったのだ。
「2人とも、ちゃんと着替えたー?」
「開けながら言わないでください楯無さん!俺もキリヤんも着替えてますよ」
「うんうん、似合ってるじゃない。あ、それとコレ」
「やっぱ王冠あるよな……自分こういうの苦手なんだけど」
「そう言わないの。さて、そろそろ始まるわよ」
一度覗いたが、第四アリーナいっぱいに作られたセットはかなり豪華だった。観客はもちろん満席で、時折聞こえる歓声は更衣室まで聞こえてくる。
「そういえば、脚本とか台本とか一度も見てないんですけど」
「大丈夫、基本的にこっちからアナウンスするから、その通りに話を進めてくれればいいわ。あ、勿論セリフはアドリブでお願いね」
大丈夫なのか?いや大丈夫じゃないだろコレ。でもまあなんとかなるだろキリヤんいるし。不安を抱きながら、俺たちは舞台袖に移動する。
「さあ、幕開けよ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
むかしむかしあるところに、シンデレラという6人の少女がいました。シンデレラ・シノノノ、シンデレラ・オルコット、シンデレラ・ファン、シンデレラ・デュノア、シンデレラ・ボーデヴィッヒ、シンデレラ・ノホトケ
彼女たちはとても仲良く、共に助け合いながら生きてきました。
そう、この血と硝煙が漂う戦場で!
幾多の舞踏会…否、武闘会をくぐり抜け!群がる敵兵をなぎ倒し!灰燼を纏うことさえいとわぬ地上最強の兵士たち!まさに
そして次のターゲットはここ、アイエス城の王子、イチカ王。そしてたまたま借りてたエロ本を返しにきてたレーザー城の王子、キリヤ王。
なんと王子の冠には隣国の軍事機密が隠されているのだ!
今宵もまた、血に飢えたシンデレラたちの夜が始まる…………。
「もらったぁぁぁ!」
「のわっ!?」
いきなりの叫び声と共に現れたのは、白地に銀のあしらいが美しいシンデレラ・ドレスに身を纏ったファンだった。
「よこしなさいよ!」
反射的によけたイチカ王をキッと睨みつけ、すぐさま中国の手裏剣こと飛刀を投げる。
あ、おもちゃだから安心してね。
「アホか!死んだらどうすんだよ!」
「だったらその冠を置いていきなさい!軍事機密をいただくのはアタシよ!」
「くそっ!こんなとこでやられてたまるか!」
イチカ王はテーブルの上のティーセットをひっくり返し、そのトレーで飛刀を凌ぐ。
しかしそれはファンの飛び蹴りで吹っ飛んでしまう。いやん鈴ちゃんパンツ見えちゃうわよ!
「って、ご丁寧にガラスの靴まで履いてんのか」
「アンタをぶっ飛ばす用の特別性よ。それと、アンタの相手はアタシだけじゃないわよ」
ファンが指を鳴らすと……壁をぶち壊して2人のシンデレラが現れたじゃないですか!ちょっとやりすぎよ!これ来年も使おうと思ってたのに!
「僕たちもいるよ」
「覚悟してくださいまし、一夏さ……イチカ王!」
「くそ………こうなったら、逃げる!」
ああ、イチカ王よ!逃げてしまうとは情けない。ていうか変なところに逃げてセット壊さないでよ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、こちらは場面変わりましてキリヤ王が3人のシンデレラと交戦中。シノノノ、ボーデヴィッヒ、本音……ノホホンの3人のシンデレラと刃を交えています。
「みんな、がんばれ〜」
「アンタと決着つけたいと思ってたんだよ隊長さん!」
「私もだクジョー!そろそろどっちが強いか白黒はっきりつけようじゃないか」
「私を忘れるなよキリヤん!」
…………なるほど、これはコチラも臨機応変に対応しろと。え?私じゃ無理?いや会長しっかりしてくだ………コホン!ええー………3人とも演技に戻ってください。本気で戦わないでください。セットを壊さないでください!本音は少し離れなさい!
『ジョーカー!』
『爆走バイク!』
「こい!紅椿!!」
「本気でいくぞ。変身!」
「見せてやるよ、自分の新しい変身……零速を」
ああ…………もうメチャクチャよ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
劇はメチャクチャになっている。最初こそそれなりに頑張ったが、結局みんな劇には向いてないらしく、セシリアはすっ転んで途中退場、鈴はドレスが破けて途中退場、シャルは途中で顔が真っ赤になって途中退場。
因みにこのセット、第四アリーナの中心に大きな城が建てられており、西側のステージを俺が、東側のステージをキリヤんが担当している。東側は途中から爆発音とか凄かったけど大丈夫かな?
そして俺はというと、
「さあ!ただいまからフリーエントリー組の参加です!王子の王冠目指して頑張ってね!」
地響きと共に数十人以上のシンデレラがなだれ込んできた。俺はそれから必死に逃げていた。
「ああ、もう誰でもいいから助けてくれぇ!」
「こちらへ」
「え?」
俺は足を引っ張られ、セットの上から転げ落ちた。
◇
「はぁ……た、助かりました」
俺は誘導されるまま、セットの下をくぐり抜けて更衣室へとやってきた。俺たちが使った部屋だから制服も揃ってる。
「にしてもどうして巻紙さんがここに?」
暗くて誰が俺をここまで連れてきたのか分からなかったが、改めてその人を見ると、今日名刺をくれた巻紙さんだった。
「はい。この機会に白式をいただきたいと思いまして」
「……は?」
「いいからとっととよこしやがれよ、ガキが。マジでムカつくぜ」
次の瞬間、思いっきり腹を蹴られた。その衝撃でロッカーに叩きつけられる。
「……!ッてめぇ…一体……」
「あぁ?私か?企業の人間になりすました謎の美女だよ。おら、嬉しいか?」
「悪いけど全然嬉しくないし、箒の方が可愛い。それと、1発は1発だぜ」
ドラゴンフォームの力を解放し、一瞬で間合いを詰め、タイタンフォームの力で殴り飛ばす。正直女性の顔を殴るのは嫌なんだが、コイツは別だ。本能でわかる。コイツは敵だ。
「があっ……このクソガキッ!その首をねじ切ってやる!白式を貰うのはその後だ!」
スーツを引き裂いて、女の背後から鋭利な爪が飛び出す。まるで蜘蛛の脚だな。しかもご丁寧に銃口付き。
「なんなんだ、アンタは?」
「ああん?知らねーのかよ、悪の組織の1人だっつーの!」
「初対面だってのに知るわけねーだろバカかお前!」
「なんだとクソガキ!秘密結社『
「分かるわけねえだろ。それに秘密結社とかいいながらベラベラよく動く口だぜ。あんたセールスマンの方が似合ってるんじゃないか?勿論そのバカっぽい喋り方を直したらの話だけどな」
「このクソガキ………昼間の別のガキを思い出しちまった……ッ!」
オータムは完全なIS展開状態になると、同時に装甲脚の銃口から実弾射撃を行ってくる。
それでも俺は避けない。オータムは仕留めたとか思ってんだろうなぁ。
銃弾は突如現れた3人の戦士によって全て落とされた。
「中々の煽りだったぞ名人」
「やはり侵入していましたねお嬢様」
「うーん……せっかくの学園祭なのに、結局変身しなくちゃいけないのね」
「俺が避けなかったは、これが作戦だから。アンタを誘き出すためのな!」
虚さんが変身する仮面ライダーエグゼイド、アクションゲーマーLv2。
楯無さんが変身する仮面ライダーブレイブ、クエストゲーマーLv2。
そしてキリヤんが変身する仮面ライダーレーザー………だよな?
その姿は俺の見たことのあるレーザーとは異なっていた。
「名人は初めてか?コイツが仮面ライダーレーザーターボ。バイクゲーマーLv0だ」
アクションゲーマーと同じボディを持つレーザー。そいつの声は間違いなくキリヤんだ。
「これより、学園祭からオータムを切除するわ」
「自分、負ける気ないんで」
「さあ、ノーコンテニューでクリアです!」
遂に登場!仮面ライダーレーザーターボ!そして亡国機業も本格的に動き始めます。最近未確認生命体全然出してないなぁ。
次回、オータム死す!
ではSee you Next game!