IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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いつのまにか52話だった。
今回で夏休み編ラストバトル!バトルが最後だからね!


第50話 戦う理由

8月22日(火)PM01時27分

 

「ふんふん、やってるね〜」

 

激しさを増す戦い。4人の仮面ライダーとグロンギの頂点の存在。赤きクウガも多数のグロンギを相手に奮闘している。

ディスプレイに映る彼らの姿を見て束は呟く。

 

「それにしてもみんな強いね〜。スナイプとブレイブは当然の強さだけど、エグゼイドも中々……でも、レーザーは」

 

ガシャコンスパローで戦うレーザー。レーザーの素早い動きで敵の攻撃を避けながら、すれ違いざまに攻撃を叩き込む。他のライダーと比べると誰よりも攻撃を当てている。

 

「まだまだレベルが足りないねぇ。まあ、所詮はレベル5までしか想定されてないライダーだし、ゲームで死んでも大した影響はないか」

 

ニコニコしながらディスプレイを消す束。立ち上がり腕を伸ばす。彼女の視線の先にはIS学園があった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うらあぅ!!」

 

迫り来る大量の未確認生命体を掻い潜り、17号に攻撃を当てる。今現在、17号メインで戦っているのは自分とブレイブ。周りの未確認相手に奮闘しているのはタイガ先生とエグゼイドだ。

自分はヒット&アウェイでブレイブはガシャコンソードの冷熱攻撃とリズミカルな打撃攻撃を織り交ぜて戦っている。

 

「はあっ!」

 

「ぐうっ!………小癪な」

 

「言ったはずだ。お前を切除すると!」

 

更に攻撃のペースを上げていくブレイブ。あの剣さばき、箒以上じゃないか?戦わせてみたら恐らく負けるだろうな。

ガシャコンソードに黄色いガシャット=ドレミファビートのガシャットを装填する。自分もおこぼれに預かるか。

 

『キメワザ!爆走!クリティカルストライク!!』

 

『キメワザ!ドレミファ!クリティカルフィニッシュ!!』

 

「決めるぜ!ハアアアッ!!」

 

「終わりだ!」

 

ブレイブが切り上げた17号にライダーキックを叩き込む。吹っ飛ぶ17号に更に追い討ちをかけるように、タイガ先生とエグゼイドの攻撃が加えられる。4発の必殺技を連続で食らったんだ。流石にダメージが入ってるだろう。

 

「案外呆気ない、のでしょうか?」

 

「どうだろうな。これくらいでくたばってるなら、とっくに俺と九条で片付けている」

 

「つまりまだ、か」

 

「おーおーしぶといねぇ」

 

立ち上がるり一瞬こっちを睨んだと思ったら、天に向かって咆哮する17号。

すると奴の咆哮を聞いた周りの未確認生命体がバタバタと倒れ始めた。そして体から黒い煙が吹き出る。まるで中身が抜けているみたいだ。

その抜けた黒い煙を吸い込み始める17号。やがて筋肉が膨れ上がり、牙が鋭くなり、体が大きくなっていく。

 

「おい!煙が抜けきった未確認生命体が!」

 

「人に……戻っている」

 

「未確認生命体化した人間の問題は解決した。だが」

 

「新しい問題発生ってか?…………つーかデカくね?」

 

一つの問題が解決すると、高確率で新たな問題が発生する。そう、目の前の17号だ。人型のフォルムから巨大なオオカミの姿へと変貌した。こんなデカイやつ相手するの初めてなんだけど!?

 

「リントの戦士にしては中々やる。だが、俺がこの姿になったからには、楽には死なせん!!」

 

「ああ?デカくなったのは図体だけじゃなくて、口までデカくなったのか?」

 

「俺は確信した。弱い犬ほどよく吠える」

 

「犬だけに、ですか?」

 

「うわ、それ自分が言おうと思ったのに!?」

 

それぞれの挑発に激昂し、強烈な咆哮をあげる17号。そして一気に距離を詰めてきやがった。油断はしてないはずだったのにな〜。

 

自分はそのまま17号の引っ掻きでビルに吹っ飛ばされてしまった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

同時刻 長野県諏訪市 歌野の研究所

 

「あーあ、一夏くん飛んで行っちゃうなんて。せめて蕎麦ぐらい食べていけばいいのに」

 

東京が大変な時に蕎麦をすする歌野。テレビはつけているが、レンタルしてきた映画を観ている。しかも大音量。今現在歌野の研究所は小さな映画館とかしていた。

 

そして隣の部屋から、クワガタの石像が姿を消していた。天井には大きな穴。勿論それなりに大きな音がしたが、映画を満喫している歌野の耳には届かなかった。

 

「はあ〜蕎麦って……最高…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

場所は戻って東京

 

「この野郎!」

『ジェット!クリティカルストライク!!』

 

「動きを封じる!虚はレーザーを回収しに行け!」

『タドル!クリティカルフィニッシュ!!』

 

スナイプのガトリングが17号の顔面に炸裂する。更にブレイブの作り出した氷塊で17号の足元を凍らせている。言葉だけなら状況は優勢だ。

しかし、未確認生命体から人間に戻った人たちが、まだ倒れたままだ。本気を出せば周りの人たちに危害が及ぶ。

 

「おいブレイブ!周りの人をさっさと安全な場所に動かせ!」

 

「それなら機動力のあるお前がやるべきだ無免許医!」

 

「何押し付け合いしてるんですか!?」

『マイティ!ゲキトツ!クリティカルインパクト!!』

 

エグゼイドの渾身のパンチとハンマーによる攻撃が17号の脳天に炸裂した。

 

「おい、九条はどうした!」

 

「彼なら……今から来ますよ」

 

エグゼイドの目線の先には穴の空いたビル。レーザーが吹っ飛ばされて出来た穴だ。ビルの反対側まで穴が空いている。そして穴の向こう側から聞こえてくるバイクのエンジン音。

 

「飛ばすぜ名人!」

 

「よっしゃ!いくぜ!」

 

レーザーLv2に乗ったクウガが、猛スピードで穴から飛び出してきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

キリヤんにまたがり………いや変な意味に聞こえるな。レーザーに乗って最速でデカイ狼の足元を駆け抜ける。地面が凍ってるからちょっと滑りやすいな。

 

「こっちだぜ犬っころ!」

 

「俺を犬扱いだと!?………貴様だけは絶対に殺す!」

 

「おい!俺が言ったみたいになってるぞ!」

 

「黙ってろよ?舌噛むぜ!!」

 

更にスピードを上げるキリヤん。狼野郎も氷を砕いて追いかけてくる。つーか早くね!?

 

「キリヤん!追いつかれる!!」

 

「あのな、吹っ飛ばされてからここまでずっとお前を乗せて走ってるんだ。少しは手伝えっての!」

 

ガシャコンスパローを召喚するキリヤん。ペガサスフォームなら急所を狙えると思うけど、この揺れの激しい状況じゃ標準が合わない。もっと確実に狙える位置につかないと無理だ。

 

「名人、青くなれ!あの姿ならまだ軽い!」

 

「お、おう!超変身!」

 

ドラゴンフォームに変身すると、確かにスピードが上がった。しかし後ろを振り返ると狼野郎の牙がすぐそこまで迫っていた。超怖い。

すぐにガシャコンスパローで攻撃する。矢は全てホーミング弾の如く、次々と命中する。でも全然効いてないぞ!!

 

「くっそぉ…………もっとスピードが……」

 

それはキリヤんが更にスピードを求めた瞬間だった。

 

 

狼野郎がクワガタの形をしたナニカに吹っ飛ばされたのだ。

 

 

「なんだアレ!?」

 

「アレは…………味方だ!!」

 

あの姿、もしかしなくても歌野さんの研究所に置いてあった石像だ。狼野郎をぶっ飛ばしたってことは、多分超古代でクウガをサポートしていた存在なんだろうな。だから俺を助けてくれた。

 

「こっちに飛んできたぞ……うわ、分裂した!?しかも挟まれた!?」

 

「大丈夫だキリヤん。コイツはきっといい奴だ。そんで、お前を更に早くしてくれる!」

 

「あー……なんとなく力がみなぎってきたわ」

 

クワガタ君は二つのパーツに分かれてレーザーと合体した。言うなればクワガタレーザー!ってかキリヤんそれ前見えてる?

 

「しゃーない。このまま突っ走るぞ!」

 

「よし!反撃開始だ!」

 

起き上がり、飛びかかってくる狼野郎を躱して加速するキリヤん。それは明らかに違法速度だし、てか地面燃えてるし、てかキリヤんから変な音してる!?

 

「調子がいい!これならいける!加速して17号に突っ込むぞ!」

 

「マジで言ってる!?」

 

「横滑りしながらアイツの足元潜るから、腹に決めてやれ!」

 

ったく、無茶言うぜ。でも確かにそれならいける気がする。問題は俺だ。タイタンだとスピード落ちるし、マイティはリーチがないし、ドラゴンじゃ威力不足。となるとペガサスか。

 

一か八か、賭けるしかない!!

 

「任せろ!」

 

「よし、行くぜ!」『爆走!クリティカルストライク!!』

 

Uターンしマックススピードで17号の元へと向かう。距離はあるがキリヤんも17号もスピードがある。多分すれ違うのは7秒後。

 

7

 

ペガサスフォームに変身し、ガシャコンスパローをペガサスボウガンに変形させる。

 

6

 

神経を研ぎ澄ます。

 

5

 

全身が痺れてくる。これは……、

 

4

 

力がみなぎる。

 

3

 

キリヤんが横滑りを開始する。

 

2

 

ペガサスフォームの体に金色のラインがはいり、武器が強化される。

 

1

 

すれ違う。17号の下を通過する。狙うのはここだ!

強化されたボウガンから10発の弾丸が放たれる。全て命中する。作戦は成功。後はダメージがあればいいんだけど、

 

「あ、やべ!」

 

「うわあっ!?」

 

キリヤんはそのまま横転した。俺も当然地面に叩きつけられる。しかもそのまま白いクウガに戻ってしまう。ヤバイぞ、まだ倒しきれていないこの状況で白はヤバイ!

 

「頼む…………ッ!」

 

効果があった。17号が苦しそうに呻き声を上げて倒れた。腹には封印マークが10個刻まれている。これは確実に倒した!!

 

「流石にやっただろ。なあ名人」

 

「ああ」

 

キリヤんはレベル1に戻り俺の隣に座り込む。そして17号は爆発四散した。俺は少ししか戦ってないけど、キリヤんが凄く疲れている。かなり強かったんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「リントは……」

 

「「!?」」

 

「リントは…………いつから、グロンギを………上回る戦闘民族に……なった?」

 

まだ生きていた。まさかとは思うがあの狼は鎧で、本体のあの姿にはダメージが通ってないとか!?それは流石にヤバすぎる!!

 

「あちゃ〜いつのまにかフラグ建てちゃった?」

 

「そんな……嘘だろ?」

 

キリヤんは勿論、俺もペガサスフォームを使ったせいでほとんど戦う力が残っていない。俺たちを殺すならこのタイミングが絶好のチャンスだ。しかし17号は、

 

「いつのまに…………いつのマニ……イツノマニ…………」

 

ぶつぶつ呟きながら黒い煙に包まれて姿を消した。

またグロンギに見逃してもらったのか俺たちは…………はあ、情けないぜ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

8月22日(火)PM02時10分

 

なんとか17号を退けた自分たちはタイガ先生の元へ戻ろうとした。しかし思い出した。未確認生命体絶対切除するマンがいることを。

名人も世間一般から言えば未確認生命体だ。コイツはマズイなと名人を別ルートから帰るよう説明した。

名人も箒たちが心配だから、その方が助かると言って走っていった。

 

そんで1人で避難所に帰ってきたら帰ってきたで面倒ごとになった。

 

怪我をしている自分の顔を見て、泣きじゃくる花凛とそれをなだめる本音と鈴の姿があった。逆にタイガ先生とブレイブとエグゼイドの姿はなかった。

 

「おにいぃぃ!!無事でよがっだぁぁ!!」

 

「ハイハイ心配かけて悪かったな…………んで、なんでお前らがここにいるわけ?」

 

「キリヤん、怒ってる?」

 

「今回ばっかりはな。家で待ってろって言っただろ。無事でよかったからいいものの、何かあったらどうするんだ」

 

「ごめんなさいねクジョキリ。あたしが連れ出したようなもんなのよ」

 

「ってか、なんで外に出たんだ?」

 

リンリンから外へ出た理由を聞いた。呆れた。それこそ家で待っていればいずれ聞ける質問ばかり。急ぐもんでもないだろ。

まったくもう!激おこプンプン丸だぞ!プンプン!

 

「一度言っちゃったら、止まんなくなっちゃって、テヘペロ」

 

うん、可愛いから許す。やっぱり本音は天使だなぁ。

 

「ほら花凛ちゃん。今がチャンスだよ」

 

「う、うん………………あのね、おにい。おにいの事本音さんから聞いた。学校でも色々無茶してるって。だから聞きたいの!どうして他人の為に無茶するの?」

 

「それは………まあ自分が仮面ライダーだから、かな?そこまで無茶してないけどな」

 

「どうして戦う役目を他の人に押し付けないの?」

 

「うーん…………簡単に言っちゃえば、あの日みたいに逃げたくないから(・・・・・・・・・・・・・・・)、かな。それと仮面ライダーは一部の人以外変身できないし」

 

「どうして仮面ライダーとして戦うことを選んだの?」

 

「それは………………仮面ライダーってカッコイイだろ?だからモテると思ったのさ!」

 

「「「………………は?」」」

 

全員の目が点になる。ん?なんか変なこと言ったかな?てかどうしたお前ら?そんなに肩を震わせて。

 

「はあ、キリヤんらしいというか」

 

「あんた、そんな理由で仮面ライダーやってたの?」

 

「なんだよ。悪いのか?」

 

「おにいのバカ…………それで死んじゃったら、モテるとかモテないとか関係なくなるんだよ……」

 

花凛が抱きついてくる。女子に抱きつかれるのは悪くないが、生憎妹に興味はない。一番はやっぱり本音だ。何より幸せになれる。

 

「でも、納得できたかな花凛ちゃん?」

 

「うん…………おにいはどうしようもなくバカだって、改めて分かったよ」

 

笑う3人。おいおい自分置いてけぼりなんだけど?

でも、やっぱり笑顔が似合うよ花凛。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

8月23日(水)AM11時20分

 

花凛はなんとか納得して帰ってくれた。最後に『来年は私もIS学園に入学する』とか言い残して。

さて、これで夏休みを満喫できる。と思ったが、夏休み殆ど終わってんじゃんかよ。本音は実家に戻ったし、鈴はセシリアの借りているアパートに行ったし。1人で何しようか。

 

「ん?おーい、木綿季さん」

 

「ッ!?……なんだ九条くんか……」

 

「お久しぶりだね。んで何してんのこんなとこで」

 

「えーと…………実は実家に戻ってこいって連絡があったのよ」

 

「あ、もうイイよ。どうせ乗り遅れたんでしょ?」

 

「そうなのよ!!私の実家時間に凄くうるさくて!ゴメン!家まで乗せてって!!」

 

渋々承諾し、変身して木綿季さんの実家目指して走り出す。しかしそれが新たな波乱の幕開けだとは、この時の俺は知らなかった。




結局倒せてない17号。てか17号って書くから人造人間の方を想像してしまう。
そんで中々急ぎ足ですまぬ。それとキリヤの戦う理由ですが、結構その場のノリで書きました。後悔はしてないし、反省もしない!

次回、遂に夏休み編最終回!!いや長かったね。やっと二学期だよ。

そしてちょっとしたお話があるので、興味がある人は後で活動報告まで。

ではSee you Next game!

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