IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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今回から反撃開始!


第43話 Oの覚醒/咆哮する狩人

8月10日(木)PM03時00分

 

研究所内部

 

「お前は……」

 

「私は仮面ライダーエグゼイド。手を貸しましょうディケイド」

 

研究所の天井を突き破って降り立ったのはピンクの仮面ライダー。見た目はゲンムをピンク色に染めた感じ。更に腰のホルダーには赤色と金色のガシャットを装備している。

 

「懲りないな君も」

 

「生憎天才ゲーマーの名をお嬢様から頂いている身としては、たかがウイルスに負けるわけにはいきませんので」

 

「だそうだ。ここからはちょっとばかし本気でいくぞ」

 

士はケータッチのカードを引き抜くと別のカードを挿入した。つい最近新たな仮面ライダーの世界に立ち寄った際に手に入れたカード。まだ完成はしていないカードだが、エグゼイドと協力できるなら。

 

『W!オーズ!フォーゼ!ウィザード!鎧武!ドライブ!ゴースト!エグゼイド!ビルド!』

『ファイナルカメンライド!ディケイド!!』

 

「いくぞエグゼイド!」

 

「はい!」『ガシャコンブレイカー!』

 

新たなコンプリートフォームに変身したディケイドとガシャコンブレイカーを装備したエグゼイドがゲンムに向かって突撃する。

対するゲンムもプロトスポーツゲーマーの車輪を手に持ち応戦する。

 

激突するハンマーと剣と車輪。先程まで3人の仮面ライダー相手に優位に立ち回っていたゲンムだが、エグゼイドの動きにはついてこれていなかった。

そのエグゼイドの戦い方はまるでアクションゲームだった。使えるギミックをフルに活用してダイナミックに動き回る。

 

「そこです!」

 

ハンマーをゲンムの腹部に叩きつける。動きが鈍ったところ追撃するディケイド。

 

『ウィザード!カメンライド!オールドラゴン!!』

『ファイナルアタックライド!ウィ・ウィ・ウィ・ウィザード!!』

 

ディケイドが召喚したのは紅い魔法使い=仮面ライダーウィザード。ディケイドと動きがシンクロしているウィザード。ディケイドとのダブルライダーパンチをプロトスポーツゲーマーに叩き込む。

 

「くっ!……流石と言ったところか。だが今はこれで充分だな」

 

「逃すと思うか?」

 

「ここで倒します!」

 

『ビルド!カメンライド!ラビットタンクハザード!!』

『ファイナルアタックライド!ビ・ビ・ビ・ビルド!!』

 

『ガシャット!キメワザ!』

『マイティ!クリティカルストライク!!』

 

逃げようとするゲンムに対して、ディケイドは赤と青の複眼を持った黒いライダー=仮面ライダービルドを召喚。エグゼイドもスロットにガシャットを差し込みキメワザを発動させる。

 

「たあああっ!!」

 

「チッ……!」『鋼鉄化!マッスル化!』

『マイティ!クリティカルストライク!!』

 

ゲンムは辺りのエナジーアイテムを吸収し、キメワザで対抗する。しかし世界の破壊者であるディケイドとビルドのライダーキックはゲンムのキメワザを相殺する。

 

「フィニッシュは必殺技で決まりです!」

 

怯んだゲンムにエグゼイドのライダーキックが命中する。会心の一発がゲンムを吹き飛ばす。吹き飛んだ衝撃でプロトシャカリキスポーツガシャットがドライバーからこぼれ落ちた。

 

「ゲームクリア。さあ、そのプロトアクションもいただきますよ」

 

「待てエグゼイド。コイツには聞きたいことがある」

 

コンプリートフォームから通常のディケイドに戻った士はゲンムに問いかける。

 

「単純な疑問だ……何故手を抜いた」

 

それが疑問だった。アマゾンニューオメガやクウガの力は決して弱くない。それでも3人がかりで苦戦したのだ。しかしエグゼイドが参戦した途端、たった2人でゲンムを撃破できたのだ。

 

「簡単な答えさ…………新しいゲームを作るため。私はクリエイターだからな……」

 

「話はここまでです。さあガシャットを」

 

しかしゲンムは透明化のエナジーアイテムで姿を消してしまった。研究所に残ったのはコンプリートフォームから通常のディケイドに戻った士とエグゼイドだけだった。

 

「逃げられましたか……でもプロトガシャットを回収できたのはいいことです。ご協力ありがとうございます」

 

「まだココでの戦いが終わっただけだ。まだ問題は片付いていないだろ?」

 

「ですがそれも時間の問題。頼れる仮面ライダーは私達だけではない、ですよね?」

 

エグゼイドは二本のガシャットを取り出しディケイドに渡してくる。その内の一本はドラゴナイトハンターZ。仮面ライダー達を新たなステージへ連れて行ってくれるガシャットだ。

 

「これを九条桐也に渡してください」

 

「お前が渡せばいいじゃないか。仲間なんだろ?」

 

ゲーマドライバーを指差しながらディケイドが言う。それに対してエグゼイドは静かに、

 

「ええ、レーザーは味方です。ですが九条桐也は……私の敵です」

 

そう告げた。

 

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IS学園 中庭

 

アマゾンシグマの猛攻で紅椿のシールドエネルギーがつき、箒は敗北した。そんな箒に迫るシグマ。セシリアや鈴、シャルロットも倒れた以上、箒を救う者はいない。諦めかけたその時だったのだ。

 

「これより、切除手術を開始するわ」

 

水色の騎士の仮面ライダーが現れたのは。

 

「切除だと?」

 

「ええ。貴方はこの世界の癌。存在してはいけないのよ」

 

「ならば自分が切除される前に切除してみろ」

 

シグマが一気に踏み込み、仮面ライダーの懐へと入り込む。そして鋭い爪を腹部へと突き刺す。その威力は腹部を貫通するほどだった。一手で終わってしまったと拍子抜けするシグマ。腕を引き抜き血を払う。

 

「呆気ないな」

 

「もう、せっかちなんだから。私はこっちよ」

 

背後から仮面ライダーの声が聞こえる。振り返るとそこには巨大な槍と愛用の剣=ガシャコンソードを装備した仮面ライダーが立っていた。

 

「そっちは私が作った水の分身。中々綺麗にできていたでしょ?」

 

「小賢しいマネを」

 

「まあまあそんなに怒っちゃ嫌よ?平和的に解決しましょ?このままおとなしく帰ってくれるなら私も手は出さないわ」

 

「断ったら?」

 

「ちょっと痛い目にあってもらうわよ?」

 

「やってみろ………お前は三手で詰む」

 

その場から駆け出すシグマ。腕のカッターで切りかかる。それをガシャコンソードで防ぐ。

 

「そう言えば名乗り忘れたわ。私は仮面ライダーブレイブ………変身者(中の人)の名乗りもいるかしら?」

 

「必要ない!!」

 

今度は足のカッターで攻める。後ろ回し蹴りをブレイブ目掛けて放つが、今度は槍で塞がれてしまう。流石にマズイと思ったのか距離を取るシグマ。

 

「必要じゃないかしら?貴方の宣言を初めて打ち破った相手として語り継がれるのだから」

 

「黙れっ!!」

 

冷静さを欠いたシグマはブレイブ目掛けて突進する。それに対してブレイブは地面に剣を刺したまま動かない。勿論今のブレイブは水の分身ではなく、本物だ。このままいけば爪の餌食になる。

 

「私も宣言するわ…………貴方は一手で」

 

「うおおおっ!!」

 

「詰む」

 

シグマの爪がブレイブに当たることはなかった。何故ならブレイブが刺した剣から放たれた冷気で、シグマの動きが止まったから。相手に凍ったことを認識させる前一気に凍らせる。それはもう1つの力があって成せる技。

 

「さようなら」

 

『タドル!クリティカルフィニッシュ!!』

 

これこそがIS学園生徒最強の力である。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

少し時を遡り、

IS学園周辺道路・南ゲート

 

「まさか……父さんからパクったコイツを使うことになるとは」

『トライアル!!』

 

「まさか……ここまで強えとはな」

 

苦戦。いや今の状況は大苦戦と言うべきか。照井とクジョーの攻撃は強力だ。アクセルの爆発力のある力、ギリギリチャンバラの一撃必殺。どれも申し分のない力だ。しかも2人とも高速移動が可能な仮面ライダー。当たりさえすれば必ず勝てる。

 

そう、当たりさえすれば。

 

「ハッハハハハ!!さっきまでの威勢はどうしたのかな仮面ライダーの諸君よ!」

 

「あの野郎、ぜってぇ泣かせてやる」

 

「全て……振り切る!」

 

照井はアクセルトライアルへとフォームチェンジする。トライアルメモリ。別世界では完成していたのか。しかしトライアルのスピードをもってしてもゾーンの能力の前には意味を成さなかった。

 

何か別の方法でゾーンの能力に対抗しなくてはならない。

 

「戦場で考え事か?そんな奴から死ぬんだぜ!」

 

「軍人でもない、ましてやリストラされた人間が、戦場を語るな!」

 

フクダの攻撃を全て避ける。だがゾーンの能力でエリアを移動させられる。そして死角からのミサイル。更にオオタキがゾーンの能力でエリア移動して私の目の前に現れる。急いで飛翔するがすぐに元の場所に戻され、ロケットパンチを叩き込まれる。

 

空中にいても場所を移動させられるのは厄介だ。だが奴にも弱点があるはず!

 

「ぐあっ!?……クッソォ……名人はまだなのか!?」

 

「ハルも遅いなぁ……暴走してなければいいけど」

 

「………………なんだ、簡単な話じゃないか」

 

「「??」」

 

「2人が来るまで持ちこたえろ。今はそれが作戦だ」

 

「秘策があるならノるぜ隊長さん!」

 

「今は貴女に賭けるわ!」

 

そう、簡単な話だ。エリア外にいる一夏と水澤。ならばエリア外から一気に加速してゾーンを切り伏せればいい。一夏の白式ならそれが可能だ。

それにゾーンの能力にはやはり限界がある。一度にたくさんの対象を動かすことはできない。出来ても3人だ。ならば話は早い。

 

『一夏、聞こえるか?』

 

『ラウラか?今研究所を出た!すぐに学園に向かう!』

 

『それだがな。今現在南ゲート付近で敵と交戦中だ』

 

『マジかよ……学園は!?』

 

『連絡はない。だが今はアイツらを信じろ。それと今交戦中の相手にはお前の力が必要だ』

 

『俺の?』

 

『手短に話す』

 

 

「任せたぞ一夏……さて、クジョー!照井!水澤が来るまで残り3分だ。耐えられるな!」

 

「あったりまえ!」

 

「私に質問しないで!」

 

「よし……畳み掛けるか」

 

一夏とのプライベートチャンネルを閉じ、再び戦場に戻る。この付近にはエナジーアイテムの入ったトロフィーがいくつかある。それら全てが作戦に適したエナジーアイテムかどうか分からないが、それでもこれだけ数があれば問題ない。

 

『ギリギリ!クリティカルフィニッシュ!!』

 

『トライアル!マキシマムドライブ!!』

 

「ゼロ距離から叩き込んでやるぜ!」

 

「このスピードなら!」

 

クジョーはガシャコンスパローにガシャットを差し込みキメワザを発動させる。照井もマキシマムドライブを発動させゾーン目掛けてバレーキックを叩き込もうとする。

 

「悪いが例えスピードがあっても、ゾーンの前では無意味!その攻撃は友達にプレゼントしたまえ!」

 

クジョーと照井がゾーンによって場所移動させられる。移動先は私の正面と背後。AICとワイヤーブレードでなんとか動きを止めるが、これが続くとなると面倒だ。

 

「悪い隊長さん……にしても3分って長いな」

 

「カップラーメンが出来るぐらいだからね」

 

「だが、何事にも想定外は存在する。例えば、予定より早く到着とかな」

 

レーダーに反応あり。反応は上空から。上を見上げる。つられて全員が上を見る。

 

「隊長さん!上からアマゾンが!?」

 

「ハル!!」

 

空から突撃してきたのはアマゾンニューオメガ。つまり水澤だ。腕からブレードを伸ばしゾーンを狙う。角度や速度からして上手くいけばゾーンを串刺しに出来る。

 

「それも無駄なこと、串刺しになるのはお前たちだ!」

 

「(きた!)総員!防御体制!!」

 

『伸縮化!』『縮小化!』『鋼鉄化!』

 

すかさずトロフィーを破壊してエナジーアイテムを吸収する。次の瞬間私は水澤の目の前にいた。なるほど私が選ばれたか。だが私のエナジーアイテムは鋼鉄化。この程度なら防げる!あとはお前の出番だぞ!

 

「決めろ!一夏!!」

 

水澤の遥か後方、猛スピードで迫ってくる白い機体。零落白夜を発動させた一夏だ。

水澤と私の横を通り過ぎゾーン目掛けて剣を振る。その間僅か数秒。言ってしまえば私が水澤の目の前にテレポートした瞬間には一夏はゾーン目掛けて剣を振りかぶっていた。

 

「たあっ!!」

 

「ぐおおっ!?ば、バカな!?」

 

「もう一発!!」『爆走!クリティカルストライク!!』

 

「食らいなさい!!」『トライアル!マキシマムドライブ!!』

 

更にダブルライダーキックがゾーンに叩き込まれる。そしてメモリブレイクしたのかゾーンから老人の姿になる。写真通り天条タカアキその人だ。

 

「悪い、遅くなった」

 

「いいや、来てくれただけありがてぇよ」

 

「にしても考えたわね。ハルを囮に使ったのね。そしてハルに意識を向けさせた後に、一気に加速した一夏くんがゾーンを斬り伏せる」

 

「ゾーンの弱点は一度に移動させられる数は3人まで、それと移動させた後数秒間はその能力が使えない。それを利用させてもらった。もっとも一夏のスピードがあれより遅くてもゾーンは斬り伏せれた」

 

「俺たちの作戦勝ちだな!」

 

敵3人に剣を向ける一夏。5対3。そのうち仮面ライダーが3人もいるのだ。こちらに分がある。

 

「ラウラ、学園が心配だ。先に行ってくれ」

 

「む、それもそうか。よし、ここは任せたぞ」

 

確かに学園も心配だ。ここは彼らに任せよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「くっ…………ふん!後悔しろ、戦力を1つ減らしたことにな!」

 

そう言ってタカアキはプロトガシャットを4つ取り出す。まさかとは思うけど、全部刺さないよな!?

 

『マイティアクションX!』『タドルクエスト!』『バンバンシューティング!』『爆走バイク!』

 

「ふん!!」

 

俺の予想通りになってしまった。タカアキはプロトガシャット4つを全て自分の体の中に取り込んでしまった。やがてタカアキは赤い怪物に変貌する。

 

「1人減った?違うな19人分は俺1人でなんとかなるぞ?」

 

しかしこちらにも強力な助っ人が来てくれた。バイクに乗ってやって来たのは士さん。更にキリヤんにガシャットを手渡す。

 

「お前にプレゼントだとよ」

 

「自分に?…………ふーん、まあやってみるかね」

 

キリヤんが二本のガシャットを起動させる。俺もベルトを出現させ、意識を集中させる。

 

『バイオレントオメガ!NEW!』『ドラゴナイトハンター!Z!』

 

「変身!」「アマゾン!!」

 

『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!!』

『ア・ア・マママ!ゾ・ゾ・ゾ・ゾーーン!アマ!ゾン!バイオレントオメガ!NEW!』

『ド・ド・ドラゴ!ナ・ナ・ナ・ナーイト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!Z!』

 

「よっしゃあ……ノリノリで狩り開始だ!」

 

「ここでお前達を倒す!」

 

変身完了。俺はいつものマイティフォーム。キリヤんはニューオメガをゲーマライダー風にアレンジした姿。更にドラゴンのアーマーを纏っている。すんげー強そう。

 

「仮面ライダーが……5人だと!?」

 

「貴様ら……私の邪魔をする貴様らは、一体なんなんだ!!」

 

「通りすがりのかめ「私に質問するなあっ!」おい!俺の台詞!」

 

全員で一斉に駆け出す。さあ、最後の勝負だ!




サブタイの『O』は『オメガ』です。気づいている人はきっと気づいている。サブタイを繋げると……。

エグゼイドとブレイブ参戦。そしてバレバレの中の人。一応隠しとくけどね!

キリヤん、ついに新フォーム。所謂映画限定フォーム。その名も『仮面ライダーレーザー ハンターオメガゲーマー』です。レベルは存在しないので楽々変身可能という設定。

それとガシャット4つ吸収したタカアキの見た目は『ゲノムス』をイメージしてください。つまり申し訳程度の平ジェネ要素。

次回は恐らく平ジェネ編ラスト。ライダーズvsゲノムス+α。

ではSee you Next game!

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