IS 〜バイクと名人とSchoolLife〜   作:無限の槍製

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久しぶりの更新です。いやーやっとお休みが取れました。うん、疲れたね!
今回はキリヤんvsラウラ!


第18話 銀色 〜Joker〜

6月10日(土)PM01時20分

 

「一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握できていないからだよ」

 

「違うぞシャルル。名人は把握する気なんてないんだよ」

 

「俺は剣の道一本で行くからな!」

 

「それじゃあ一生勝てないよ……」

 

シャルルが転校してきて早5日の土曜日。今日は珍しく土曜日のくせに午前中授業があった。まあ俺たちのクラスだけなんだが……例のゲーム特訓の影響が貴重な休みの日に響いてくるとは。

そして現在、アリーナにて実習を行なっている。俺もシャルルと手合わせをしてもらった後、戦闘に関してレクチャーを受けていた。

キリヤんは外野から野次を飛ばしている。

 

「一夏は知識としては知ってるよね?でもその知識として知ってるだけって感じだった。だからさっきも間合いを詰められなかった」

 

「おっしゃる通りです…」

 

「一夏は近接格闘オンリーだから、より射撃武器について理解を深めないと。特に一夏の瞬時加速(イグニッション・ブースト)って直線的だから反応できなくても軌道予測で攻撃できちゃうからね」

 

「直線的だから、か」

 

「でも加速中に無理に軌道を変えると色々機体と体に負荷がかかるし、最悪骨折するよ」

 

「それは嫌だな…」

 

それにしてもシャルルの教え方は非常に分かりやすい。箒とかセシリアとか鈴も親切なのはいいが、専門用語のオンパレードで頭がどうにかなりそうだ。しかも箒と鈴にいたっては謎の擬音が入るのだ。『がきんっ!』とか『どかんっ!』とか……わかるかい!!

 

「そういえば一夏の白式には後付武装(イコライザ)がないんだっけ?」

 

「何回か調べてもらったけど拡張領域(パススロット)が空いてないんだって。だから量子変換(インストール)は無理なんだって」

 

「うーん…多分だけど、それって唯一仕様特殊才能(ワンオフ・アビリティー)の方に容量を使ってるからだよ」

 

「え、零落白夜ってそんなに容量食うのか?」

 

「零落白夜に限らず、かな。元々唯一仕様が容量食うからね。それに普通は第二形態から発現するもの。でも白式は第一形態から発動させた。しかも織斑先生と同じの」

 

千冬姉もこの能力で世界最強、初代ブリュンヒルデの座を勝ち取ったらしい。2回目は俺のせいで連覇出来なかったんだけど。

 

「そんなに凄いのか……まあでも今は気にしなくてもいいだろ」

 

「それもそう、かな?結構重要だと思うけど……まあ本人がいいならいいか。じゃあ射撃訓練をしてみようか。はいこれ」

 

そう言って渡してきたのは、さっきまでシャルルが使ってたアサルトライフル。名前は忘れた。

 

「ヴェントか」

 

「べんとー?」

 

「ヴェント。桐也、よく知ってるね」

 

「遠距離武器に関してはちょっと知識がある。その銃だってリアルの物をモデルにしてるんだ」

 

「流石自称遠距離型だな。ところで他の人の装備って使えないんじゃないのか?」

 

「普通はね。でも所有者が使用許諾すれば、登録してある人全員が使えるんだよ。一夏に使用許諾を発行したから、試しに撃ってみて」

 

初めての銃器は妙な重さだ。実際ISの力で重たくはないと思うが、やっぱりこういうのは精神的にそう感じるのだろう。

しかし、ここで問題発生だ。

 

「なあ、センサー・リンクが見当たらないんだけど」

 

銃器は使うときに必要なセンサー・リンク。基本高速状態で射撃するから当然ハイパーセンサーとの連携が必要になる。しかし白式にはそれがないのだ。やっぱり欠陥品だな!

 

「しょうがないから目測でやってみようか」

 

初めてだというのにこのハンディキャップ。まあ愚痴っても仕方ないか。とりあえず撃ってみて、

 

(ぐっ!?……ここでくるのかよ)

 

ターゲットに意識を集中させていると急に目と耳が研ぎ澄まされる。頭に大量の情報が流れ込む。ヤバい変な汗かいてきた。この状況で撃って大丈夫か俺の頭?

 

「?どうかした一夏」

 

ごめんシャルル。その問いかけも今の俺にとっては悪魔の物理的な囁きだ。頭を殴られているような頭痛に襲われる。これ絶対ヤバいやつだ。

 

バンッ!!

 

「ぐっ!」

 

ヤバい意識が飛ぶ……っと危ない危ない。危うく死ぬところだった。情けないぜ、これぐらいでヘタレこむなんて。

 

「大丈夫一夏!?凄い汗だけど」

 

「あ、ああ大丈夫だ。ちょっと反動にビビっただけだよ」

 

「でも凄いよ一夏。本当に初心者?」

 

「え?どういう意味だ?」

 

「だって、一瞬で3発も撃ったんだよ?全然手の動きが見えなかったもん」

 

「確かにな。どうやったんだ名人?」

 

キリヤんが見る先にはターゲットが3つ。まず俺は1つだけを集中して撃ち抜こうとした。しかしターゲットは1つだけではなく3つも撃ち抜かれている。どういうことだ?

 

「いや、よくわからない。それと悪いんだけど頭痛くてさ。ちょっと休んでいいか?」

 

「そう?じゃあ少し休憩しようか」

 

というわけでこれから休憩タイムだ。あー頭いてー。

 

「おい」

 

でも嵐はやってくる。こう次から次へと大変だぁ!

声をかけてきたのはラウラ・ボーデヴィッヒ。真っ黒の専用機に乗って仁王立ち。どこのボスキャラだよ。

 

「なんだよ」

 

「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。私と戦え」

 

「……確かに俺は専用機持ちだ。お前に喧嘩をふっかけられる理由もなんとなくわかる」

 

「ほう、案外話が通じるらしいな」

 

「だが、断る!!」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「…いやなんか言ってよ」

 

「問答無用!!」

 

っていきなり撃ってきた!しかし俺を庇うようにオレンジの影が前に飛び出す。そしてシールドで防ぎアサルトカノンをラウラに向ける。

 

「いきなり戦闘を始めようなんて、随分沸点が低いんだね」

 

「貴様……フランスの雑魚が私の前に立ち塞がるとはな」

 

「未だに量産化の目処が立たないドイツの新人さんよりは動けるだろうからね」

 

涼しい顔で睨み合いを続ける2人。そんな2人の間に割って入る男が1人。まあキリヤんしかいないんだけど。

 

「んじゃさ。自分の相手してくれよ」

 

「なんだと?」

 

「ISと仮面ライダー。どっちが強いか勝負しようぜ」

『バンバンシューティング!』

 

 

ガシャットを起動させるとゲームフィールドが形成される。次々と配置されるドラム缶。前はこんなの無かったのに。

 

「多分だけどバンバンシューティングはレベル5まで到達してる。このゲームフィールド形成はレベル4の力だ」

 

いつの間にかガシャットのレベルを上げている。マメだなキリヤんは。

 

「変身!」

 

『ガシャット!』

『レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?』

『アイム ア カメンライダー!!』

 

「っしゃあ、ミッション開始だ」

 

「それが仮面ライダーか」

 

ピットから降り立つラウラ。未だに組んだ腕を離す気はないらしい。勝てる自信でもあるのか?

 

「先手必勝!」

 

まず動いたのはキリヤん。自分の体を回転させて突撃する。まさにライダー砲弾。俺自身が砲弾になることだ!ってか?

しかしそれはラウラが右手を翳しただけで止まってしまう。それも回転の勢いも殺して。

 

「今のお前では私に触れることすらできん」

 

「さあて、それはどうかな?」

 

動きを止められても動じないキリヤん。よく見るとベルトはレバーが開かれている。つまりレベルアップか!動きを止められる前に、あの回転の中レバーを開いたんだ。

 

『レベルアップ!バンバンシューティング!!』

 

「なんだと!?」

 

どうやらレベルアップの際の衝撃波は止められないようだ。回避しようとしてキリヤんの拘束を解いてしまった。

 

「そうやって自分の動きを封じ込めてなかったのが敗因だぜ!」

 

そこからドラム缶をマグナムで破壊する。破壊されたドラム缶から出てきたのは赤いメダル。そして他のドラム缶も破壊する。中から出てきたのは同じようなメダル。違うのは色だけだ。

 

「言っとくけど自分、負ける気ないんで」

 

『マッスル化!高速化!透明化!』

 

その三枚を吸収したスナイプは一瞬体が膨れ上がった後姿を消した。完全に姿が見えない。ラウラもどこにいるのか分かっていないのを見ると、恐らくハイパーセンサーにも引っかからないみたいだな。

 

「くそっ!どこに行った………ぐっ!!」

 

「こちとらあんたが転校してきて5日もあったんだ!大体のことはわかってんだよ!両手のプラズマ手刀、大口径リボルバーカノン、ワイヤーブレード、AICこと慣性停止結界(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)もな!」

 

姿が見えないキリヤんの声が響く。リボルバーカノンは多分あのデカイキャノン砲みたいなやつだ。プラズマ手刀は今スナイプの攻撃を防ぐために出してる。もしこれで残る戦力がワイヤーブレードだけなら、この勝負はキリヤんが優勢だ。

 

「くっ、何故そこまで情報が漏れている…我が軍にスパイでもいたのか」

 

「いいや、こっちには天才社長さんがいるからね。大体のことは教えてくれるんだよ!」

 

時間切れなのか姿を現わすキリヤん。ラウラもすかさずリボルバーカノンをキリヤんに向けるがそれよりも、

 

『バンバン!クリティカルフィニッシュ!!』

 

キリヤんの一撃の方が早かった。

 

「ぐあああっ!!」

 

「惜しいな隊長さん。そこでAIC使えば自分を倒せたかもしれないのに、まあ『反射』のエナジーアイテム使ってるから全部あんたに返ってくるけど」

 

 

キリヤんとラウラ。仮面ライダーとISの対決はスナイプが一方的に攻撃して終了した

 

ように見えた。

 

 

「まだ、終わってはいない……」

 

「なら、もう1発行っとくか?」

 

「ほざけ、後悔しても私は知らんぞ」

 

ISが解除されたラウラの表情に不敵な笑みが浮かび上がる。そして取り出したのは黒いナイフと黒い……なんかUSBメモリみたいだな。

 

『ジョーカー!』

 

「貴様が仮面ライダーを名乗るなら」

 

メモリをナイフに装填して、右腿の待機状態ISにセットする。

そして次の瞬間、彼女の体を黒い稲妻が覆い尽くす。まるでこれでは『変身』だ。

 

「おいおい、それは聞いてないぞ……」

 

稲妻が弾け飛びラウラの姿が露わになった。それはISと言うには武装が小さすぎ、仮面ライダーというには肌が露出しすぎている。

 

「私のこれは、仮面装者。仮面装者ジョーカーとでも言っておこう」

 

紫のバイザーの下にはさっきまでしていた眼帯がなく、金色の瞳が露わになっていた。




当初はラウラを普通の仮面ライダージョーカーとして出そうと思ったんですが、やっぱりこういう形にしました。

仮面装者ですが、ISっぽさがある仮面ライダー。分かりやすく言うと『シンフォギア』みたいな感じ。『イグナイト・ガングニール』が一番イメージ的には近いです。

しれっとキリヤんのバンバンシューティングのレベルが5を超えたと言っていますが、これは先日の金色のベルトの未確認生命体と戦ったからです。
レベル4でドラム缶とか出てきて、レベル5で第伍戦術が使用可能。つまり第参戦術はもう使えます。つまり、もうすぐ飛びます。

次回は引き続きのキリヤんvsラウラ。ライダーと装者、どっちが強いのか!

ではSee you Next game!

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