ウルトラマンオーブ ─Another world─   作:シロウ【特撮愛好者】

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どうも。

劇場版の特報ムービーが発表されましたね。
TV本編はクライマックスに近付いてますが、こちらはまだ序盤ですw

後編です。どうぞ。


第2話 土塊の魔王 ー後編ー

「ナオミさん!しっかりして下さい!」

 

 ナオミさんに必死に呼びかけるけど、反応が全くない。

 このまま目覚めなかったらどうしようと、僕が不安げにしていた時だった。

 

「キャップ!シンヤ君も!」

「大丈夫!?」

「シンさん!それにジェッタさん!」

 

 どこからか、慌てた2人がやって来た。

 

「どこにいたの!?見た、さっきの!?」

「ビルが倒れたんですよ!」

「え!?ちょっ、ここどこ!?」

 

 その騒がしさにナオミは目を覚ますが、ついさっきまで地下にいたのに、突然外で目を覚ましたために、状況が掴めていないようだった。

 

 

 

 すると再び揺れが起こるが、今までで一番大きな揺れであった。

 ビルが崩落した4箇所で、空に向かって赤い光の柱が伸び、その4箇所を繋ぐように謎の光が大地を伝う。

 その光が繋がった中心部に、機械のような魔物が君臨する。それこそが『土ノ魔王獣 マガグランドキング』──!

 復活したマガグランドキングは、手始めに全身から周囲を吹き飛ばすエネルギーを放射。すると周囲のビルが瞬く間に吹き飛ばされた。得意技の「マガ一閃」だ!

 

「万物は土から生まれ、土に還る……」

「命は一瞬の灯火、この世は一瞬の夢……。ですか?ジャグラー様」

 

 それを眺めていたジャグラーだったが、いつの間にか現れたヨミがジャグラーの言葉を補う。

 ヨミに対してジャグラーは、邪悪な笑みを返した。

 

 

 

 マガグランドキングが直進する道路に立ち、ついに対峙したガイ。

 オーブリングを構え、目の前の敵と戦うための姿へと変わる──!

 

「ウルトラマンさん!」

【ウルトラマン!】

「ティガさん!」

【ウルトラマンティガ!】

 

 ガイの側に、初代ウルトラマンとウルトラマンティガのビジョンが、それぞれ悠然と並び立つ。

 オーブリングに向けていた視線を上げたガイは、何の迷いもなくオーブリングを掲げ、トリガーを引いた!

 

「光の力、お借りします!」

【フュージョンアップ!ウルトラマンオーブ!

 スペシウムゼペリオン!】

 

『俺の名はオーブ!闇を照らして、悪を撃つ!』

 

 初めは距離を置き、構えていたオーブだったがマガグランドキングに果敢に立ち向かう!

 

『ウリァッ!』

 

 飛び膝蹴りを命中させ、後ろ回し蹴り、拳のラッシュを繰り出す。だが、マガグランドキングの要塞のようなボディには効果はないようだ。

 反撃の右ブローをティガのスカイタイプの高速移動で回避、今度は体を赤く光らせてパワータイプの力強い攻撃をぶつける。マガグランドキングも反撃で左腕のクローを振るうが、オーブはまたもかわす。

 互いに譲らない戦闘が展開されていたが、マガグランドキングはマガ一閃を発動。近距離で喰らったオーブはダメージを負う。

 オーブはスペリオン光線で牽制するように発射。だが、頑丈なボディには全く通用しなかった。

 マガグランドキングは胴体にエネルギーを集中。それをレーザーとして発射する。

 オーブはかわしたが、そのレーザーが直撃した後ろのビルに大穴がぽっかり開いていた。

 

「あのレーザーが当たったビルに、穴が!?」

 

 マガグランドキングはレーザーを連射。そのどれもがビルに当たり、また穴を開ける。

 これこそマガグランドキングのもう1つの大技、「マガ穿孔(せんこう)」!

 

 僕らSSPはその一部始終を離れた場所から撮影していた。でもその流れ弾が近くのビルに直撃。その上層階が崩落を始めた。

 

「SSP、総員退避~!」

 

 ジェッタさんとシンさんは真っ先に逃げたけど、ナオミさんは足がすくんで動けないようだった。僕が何とか連れて行こうとするけど、もう間に合わない。

 

「ナオミさん!」

「キャップー!シンヤ君!」

 

 そんな絶体絶命のピンチを、オーブが救ってくれた。

 高速移動で僕らの元まで駆け付け、落ちそうになったビルを寸前でキャッチしたのだ。

 そのビルを地面に置き、またマガグランドキングに対峙するが、マガグランドキングはマガ穿孔を発射。回避出来なかったオーブに直撃し、胸のタイマーが点滅を開始した。

 

「もう時間が……!」

 

 更に追い討ちをかけるように、魔王獣はマガ穿孔を撃ち込む。オーブの頭部に直撃し、オーブは大きく後ろに飛ばされる。

 すぐに片膝立ちで再び構えるが、放たれたマガ穿孔を咄嗟にかわす。レーザーはオーブの後ろのビルに直撃するが、穴は開かずにレーザーを反射した。

 

「ん……?何であのレーザーが当たったのに穴が開かないんだ?」

 

 僕が疑問に思った時、オーブもそのビルを振り向く。

 そのビルは正面がガラス張りで、まるで鏡のようだった。

 それを見て何か思い付いたオーブは、マガグランドキングに撃ってくるよう挑発する。それに答えるように、レーザーが放たれた。

 直撃しかけたその一瞬で、オーブは円形のバリア「スペリオンシールド」を形成する。レーザーの威力に押し切られそうになるけど、それを何とか制御してマガグランドキングに打ち返す。

 するとどうだろう。オーブの攻撃では一切傷付かなかった装甲に、穴が開いた!

 それを見たシンさんが、興奮気味に状況の解説を始めた。

 

「そうか!最強のレーザーと最強の装甲は両立できない!中国の故事に登場する矛と盾……!」

「まさしく矛盾!」

 

 剥き出しになったマガグランドキングの内部目掛けて、オーブは必殺光線の構えを取った!

 

『スペリオン光線!』

 

 内部に撃ち込まれた光線のエネルギーに耐え切れなくなったマガグランドキングは、一瞬膨張して間髪入れずに爆発した!

 

「やった!」

「ありがとう!ウルトラマンオーブ!」

 

 魔王獣に勝利し、飛び立って行ったオーブにジェッタさんは若干わざとらしく言う。

 その手に持ったビデオカメラには、オーブの戦闘とジェッタさんの実況がしっかり録画されていて、この実況が後でネットで叩かれるのはまた別のお話。

 

 

 別の場所では、ジャグラー達がマガグランドキングのカードを回収していた。

 そのカードを手にしたジャグラーは、ぼそっと呟いた。

 

「……俺からも礼を言わなきゃな、ウルトラマンオーブ」

 

 ジャグラーのすぐ隣で、ヨミはそれを眺めて笑みを浮かべながら、意味深なことを発言した。

 

「残るはあと……2枚」

 

 

 

 また別の場所では、ガイが地面に突き刺さった赤いクリスタル──マガクリスタルから魔王獣を封印していたウルトラ戦士のカードを回収する。

 オーブリングをマガクリスタルにかざすと、クリスタルが砕かれ光となり、1枚のカードに変わる。その戦士は、ウルトラ兄弟6番目の戦士だった。

 

「やはり封印していたのは、ウルトラマンタロウさんでしたか。お疲れさんです」

 

 ガイは腰のカードホルダーから全てのカードを取り出し、その全てを改めて眺めて言った。

 

「これから、世話になります」

 

 

 

 マガグランドキングの騒動の後、夕暮れ時にガイはまた銭湯の通りにいた。だが日中と違っていたことがあった。この騒動で通りの正面のビルが崩落したため、綺麗な夕陽を眺めることが出来た。

 崩落したビルは復旧工事を始めており、また明日にはこの景色は見れなくなるだろう。

 

「あっという間にビルが建つな……」

 

 ガイは昔の景色を思い出すが、この景色が今しか見れないと思うと少し寂しい気持ちになる。

 そうしていると、昼間のラムネの子がまたラムネを飲めずに困っていた。

 

「またお前か……。貸してごらん」

 

 ガイはその子からラムネを受け取り、ビー玉を押し込む。今度こそはこぼさずに開けることに成功した。

 

「セェーフ……!」

 

 ガイは子どもにラムネを手渡す。それを受け取り、笑顔で去って行く子どもを見送った。

 

「あっ!こないだの風来坊!」

 

 するとガイの後ろから、SSPの3人が銭湯を利用しにやって来た。ガイを指差しながらジェッタがそう言うと、ガイはそこから立ち去ろうとする。

 その背中に、ナオミは呼びかける。

 

「待って!教えて……あなた、何か知ってるんでしょ?」

「言ったはずだ。知らない方が幸せなこともある……」

「それでも知りたいの……。この世界の裏で、何が起こっているのか」

 

 ガイはしばらく何かを考えて、SSPの3人に振り返る。

 その姿は夕陽に照らされ、とても印象的だった。

 

「……1つだけ教えてやる。俺の名はガイ。クレナイ・ガイ」

 

 

 

 SSPのオフィスに帰って来た後、僕の頭の中はあのヨミという青年の言葉でいっぱいだった。

 

──あなたが手にした光が、私という闇を生み出した

 

「僕が手にした、光……」

 

 僕はカードホルダーのページを何度もめくりながら、そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ガイとシンヤの、ウルトラヒーロー大研究!」」

 

シンヤ「今回もこのコーナーが始まりましたよ!草薙眞哉です!」

ガイ「クレナイ・ガイだ」

シンヤ「ガイさん、今回は何を紹介しますか?」

ガイ「そうだな……。じゃあこの姿について詳しく紹介するぜ!」

 

【ウルトラマンオーブ!スペシウムゼペリオン!】

 

シンヤ「あれ?この姿はこのコーナーの第1回で紹介しましたよね?」

ガイ「今回は、前回紹介しきれなかった能力や技についての解説をやっていこうと思うんだ」

シンヤ「なるほど」

ガイ「まずはこの能力。体の色が何色に光るかで発現する能力が変わるんだ!」

シンヤ「この能力は、ウルトラマンティガさんのタイプチェンジ能力の恩恵ですね!紫に輝けばスカイタイプのような素早さを、赤く輝けばパワータイプのようなパワフルな一撃を敵に与えることが出来ます!」

ガイ「次はこの技。『スペリオン光輪』。ウルトラマンさんの『八つ裂き光輪』を模した技なんだ」

シンヤ「『八つ裂き光輪』が初登場したのは、ウルトラマン第16話『科特隊宇宙へ』。必殺のスペシウム光線が通用しないバルタン星人2代目に対して使用。

 それから先のウルトラ作品でもこの切断技は受け継がれ、現在はウルトラマンオーブに受け継がれました」

ガイ「時々『ウルトラスラッシュ』と紹介されることもあるが、ウルトラマンさんの技を『八つ裂き光輪』と紹介することが多いぞ」

シンヤ「さすがガイさん、詳しいですね!」

ガイ「いや、シンヤには負けるさ」

シンヤ「えへへ……。じゃあ今回はここまで!」

 

ガイ&シンヤ「「次回も見てくれよな!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『水ノ魔王獣 マガジャッパ』の影響で、町中の水が臭くなっちまった!このままじゃ銭湯にも入れないぜ!

 タロウさん、メビウスさん!俺に、新たな力を貸して下さい!

次回!

『ウルトラマンオーブ─Another world─』

『怪獣水域』。

 紅に、燃えるぜ!!




次回は「熱いやつ」です。作者の駄文で熱くならないと思いますが……。

当分は本編通りに、その後にオリジナル回をやる予定です。

隠れていたサブタイトルは『ウルトラマンマックス』第21話『地底からの挑戦』でした。

ではノシ

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