ウルトラマンオーブ ─Another world─   作:シロウ【特撮愛好者】

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後編です。どうぞ。


第1話 夕陽の風来坊 ー後編ー

『俺の名はオーブ。闇を照らして、悪を撃つ!』

 

──その声と同時に降臨した、紫の光の巨人。その体には、どことなくウルトラマンやウルトラマンティガを彷彿とさせる意匠が施されていた。

 スペシウムゼペリオン──。ウルトラマンとティガ、2人のウルトラ戦士の光線技が由来なのだろうか。

 

  僕はあの巨人を一目見て、そう思った。そして──

 

(あの人がオーブ……ウルトラマンオーブ……。)

 

 証明写真機に入って行った、あの人が巨人の正体だと確信した。

 

 マガバッサーは対峙した巨人を敵だと認識、足音を轟かせて、得意の飛行能力を合わせた頭突きを巨人に繰り出す。巨人は押されるものの、頭を押さえ付けて弾き返す。マガバッサーの両翼を両腕でガード、腹部に蹴りのカウンター。

 巨人は苦戦してもすぐに仕切り直し、マガバッサーへ確実にダメージを与える。その戦い方に迷いはなく、歴戦をくぐり抜けて来たことを窺わせた。

 

 その頃別の場所でも、SSPのメンバー達はこの戦いを見守っていた。

 

「何なんだ、あれは……?」

 

 ジェッタがそう呟くと、どこから現れたのか、ナオミとシンヤが先程出会ったスーツの男性が近くにいた。

 

「ウルトラマンオーブ。輝く銀河の星……光の戦士ってヤツさ」

 

 マガバッサーは両翼を羽ばたかせて、突風を起こす。その威力は、オーブの身動きが取れない程だった。

 突風が止んで、ナオミが周囲を見ると、やはりあの男性はいなかった。

 

 オーブは、縦に回転する円盤のようなエネルギー波をマガバッサーに仕掛ける。しかし、マガバッサーは得意の飛行能力で回避し空に逃げようとする。しかし、オーブの体が紫に光ったと思えば、投げた円盤をキャッチし上空のマガバッサーに向けて投げ、マガバッサーを追跡する。

 

「今のは……八つ裂き光輪!?それにスカイタイプの高速移動!?」

 

 僕は身を乗り出してそれを見た。そして、オーブの能力を自己分析した。

 オーブは、2体のウルトラ戦士の能力を使いこなすのだ。だから、ウルトラマンの八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)を使えて、ティガのタイプチェンジ能力の一部を使えたのだと。

 その光輪──「スペリオン光輪」は、マガバッサーの左翼に直撃。スピードが緩んだところにオーブが攻撃を開始。自分の土俵だった上空で圧倒されたマガバッサーは、背中から地面に落とされた。

 

[出来上がりまで、後1分。]

 

 証明写真機の機械的なアナウンスが後ろから聞こえた時、丁度オーブのカラータイマーが赤く点滅を開始。それと同じタイミングで、オーブに異変が起きた。

 

「何だありゃ……?」

 

 オーブの体から、半透明なウルトラマンとティガが飛び出し、苦しそうにしていたが、またオーブの体内に収まった。オーブ自身も胸を押さえていた。

 再び構えたオーブは右腕を空へ伸ばし、左腕を広げてエネルギーを充填。

 十字を組んだ腕から放たれるは、スペシウムゼペリオン最大の必殺光線──!

 

『スペリオン光線!』

 

 光り輝く光線はマガバッサーを正確に捕らえ、マガバッサーは爆発した!その爆発でマガバッサーの蒼い羽が宙を舞った。

 その勝利を喜び合うSSPメンバー達。オーブはそれを見た後、天空を見上げどこかへ飛んで行った。

 

 証明写真機から出た男──クレナイ・ガイは、大地に突き刺さる巨大な赤い結晶の前に立った。その結晶は、マガバッサーの額に付いていたものに酷似していた。

 リングのようなアイテム、オーブリングを正面に突き出すと結晶が割れ、そこから生まれた粒子状の光がリングに吸い込まれ、1枚のカードになった。そのカードに対して一礼。

 

「マガバッサーを封印していたのは、ウルトラマンメビウスさんでしたか。お疲れ様です」

[ご利用、ありがとうございました。]

 

 それと同じタイミングで、写真が排出された。

 写真を何とか取り出したガイは、SSPのメンバーの無事を確認、ナオミからハーモニカのようなアイテム──オーブニカを受け取っていた。ナオミを竜巻から救出した時、ナオミがガイの懐から飛び出したそれをキャッチしていたのだ。

 余程大切なものだったのだろう、とても安心した表情を見せた。それからそのオーブニカで、メロディを奏でながら沈み行く夕陽に向かって歩いて行った。

 そのメロディに、どこか懐かしさを覚えたナオミだったが、この場に彼がいないことに気付いた。

 

「あれ?そう言えば、シンヤ君は?」

「あ、ホントだ……。どこ行ったんだろ?」

 

 

 

「待って!待って、下さい!」

 

 あの人がナオミさん達から離れてしばらくして、僕はようやくメロディを奏でるあの人を見つけた。探し出すのにそこら中を走り回ってかなり疲れていたけど、後ろ姿を見て精一杯大きな声で呼びかけた。

 

「アンタ、さっきの……」

 

 その人は演奏を中断して、息を切らしている僕の方を見た。

 

「オーブ!……あなたが、ウルトラマン、オーブですよね?」

「何言ってんだ、そんな訳ないだろ……」

「見てましたよ、全部。証明写真機のところから」

 

 誤魔化そうとしたけど、詳細な状況を説明されては反論出来なかった青年は僕に問う。

 

「アンタ……何者だ?」

「誤解しないで下さい。別に、世間に公表するつもりじゃありません。僕は、あなたの味方です」

「馬鹿馬鹿しい……」

「待って!これ、見て下さい!」

 

 立ち去ろうとしたその人を追いかけて、僕はカバンの中にあるアレを渡した。それを見たあの人は、驚いた表情を見せた。

 

「これ……!どこで手に入れた?」

「……お話、聞く気になってくれました?」

 

 夕陽に照らされた僕は、その人に笑顔を向けた。

 

 

 

──時は流れて、夜。禍々しく光る赤いリングのようなアイテムを持つ男がいた。その男はリングから、オーブが倒した怪獣のカードを取り出した。

 

「……オーブ、お前は希望の光か……。それとも、底知れぬ闇……かな?」

 

 リングの赤い光に照らされた男は、ナオミ達が出会ったスーツの男だった。その男は笑顔だったが、日中見せたものとは違う、邪悪に満ちた笑みだった。

 そんな時、男──ジャグラスジャグラーの背後から、拍手が聞こえた。

 

「『風ノ魔王獣 マガバッサー』のカードを手に入れましたか、さすがです……。これでまた一歩、目的に近付きましたね」

 

 その相手は、黒い服装に身を包んでいた。何より目を惹いたのはその中性的な外見で、声を聞かない限り女性に見間違えられそうな雰囲気だった。

 

「お前は……誰だ?」

 

 ジャグラーは警戒心を露にしていた。後ろを取られたこともあるが、声をかけられるまでその存在に気が付かなかったことが、彼の警戒心に拍車をかける。

 

「お初にお目にかかります。私は(ヨミ)……と申します。以後お見知りおきを……ジャグラスジャグラー様」

「……そのヨミが、俺に何の用だ?」

「あなた様のお力になるために来たのですよ。悪い話ではないでしょう?」

 

 そんな警戒心剥き出しのジャグラーに対して、とても好意的に接して来るヨミ。ジャグラーにとって、この男には怪しさしかなかった。

 

「フッ……そうか」

 

  ジャグラーはどこからか取り出した剣──蛇心剣で、ヨミに斬りかかる。

 狙うは、首──!

 しかし相手は、その攻撃を自身の武器で防いでいた。ジャグラーの剣よりも短い小太刀のような剣──詠之刃(ヨミノヤイバ)で。

 

「いきなり不意討ちとは。流石ですね、危うく首が飛ぶところでした……。ですが……」

「ッ!?ガハッ!」

 

 ヨミは不意討ちを仕掛けられたことを責めることもなく、むしろ賞賛していた。しかし間髪入れずに、がら空きになったジャグラーの胴体に、黒いエネルギー弾を接射した。

 それには対処出来なかったジャグラーは受け身を取ることも出来ず、後ろへ飛ばされた。

 

「少し……油断し過ぎではないでしょうか」

 

 苦しそうに顔を歪めるジャグラーに近付いたヨミは、懐からあるものを取り出した。それを見たジャグラーは、目を見開いてヨミを見上げる。

 

「ジャグラー様……。私と少し、お話しませんか?」

 

 ヨミが取り出したのは、ジャグラーが持つものと同じ赤いリング──ダークリングだったのだ。ダークリングに照らされたヨミは笑顔で、ジャグラーはその笑顔から「何か」を感じ取った。

 

 

 

 

 光と闇──。それぞれに選ばれた男達の元に、異なる男達が集う。

この物語は、どこへ向かうのだろうか──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ガイとシンヤの、ウルトラヒーロー大研究!」」

 

ガイ「……って何だこのコーナーは?」

シンヤ「はい。今回から始まったこのコーナーは、ウルトラマンオーブの能力について、ガイさんと僕で語っていきましょう!……というコーナーです」

ガイ「作者も思い切ったな」

シンヤ「そう言うことは言わないであげて下さい」

 

 

シンヤ「さぁ気を取り直して、早速始めていきたいんですが……記念すべき初回、何を話しましょうか?」

ガイ「そうだな……。なら、これを紹介するぜ!」

 

【ウルトラマンオーブ!スペシウムゼペリオン!】

 

ガイ「『ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン』。ウルトラマンさんとティガさんの光の力で戦う、バランスの取れた姿なんだ」

シンヤ「名前は互いの必殺光線の『スペシウム』光線と『ゼペリオン』光線がモチーフなんですね。

 共演歴の多いこのお2人。『ウルトラマンティガ』第49話『ウルトラの星』で初共演、映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』では昭和と平成のウルトラ作品の豪華コラボで再び。最近ではウルトラマンエックスさんと共演して、新しい力を授けてくれたんですよね!」

ガイ「そうだな。必殺技は『スペリオン光線』。この光線で、魔王獣達を倒して行くぜッ!」

シンヤ「ところでその『魔王獣』と言うのは一体何なんです?」

ガイ「その説明は、次回するって作者が言ってたぞ」

シンヤ「ガイさん……。そう言うことあまり言わないで下さいって……」

ガイ「? そうなのか?」

シンヤ「では、今回はここまで!」

 

ガイ&シンヤ「「次回も見てくれよな!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の前に突然現れた、草薙シンヤ。どうやら別の世界から俺を助けるためにやって来たそうだが、お断りだ!

 そんな中、レッドキングが突如暴れ出す!それにパワーアップまでしやがった!

 シンヤの俺と一緒に戦いたいって強い想いが、俺に新たな力を与える!

次回!

『ウルトラマンオーブ ─Another world─』

『豪腕の巨人』。

 俺の名はオーブ。闇を砕いて、光を照らせッ!!




ヨミさん登場です。ホモじゃないんです。忠誠心が強いだけなんです。本当です、信じて下さい!

次回からいきなりオリジナル回です。タイトルと名乗りでほぼネタバレしてますが、次にどの姿になるか分かりますよね?

隠れたサブタイトルは、『ウルトラQ』第12話『鳥を見た』でした。

ではノシ

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