ウルトラマンオーブ ─Another world─   作:シロウ【特撮愛好者】

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お久し振りです…!
また2週間ぶりの更新です。

中途半端なところで待たせてしまってホントに申し訳ありません…!

それでは、どうぞ


第10話 ジャグラー死す! ━後編━

 ジャグラーがブラックキングのカードをかざすと同時に、ガイは腰に携帯しているフュージョンカードホルダー内部のカードケースを引き出す。

 その間にもジャグラーはダークリングに怪獣カードをリード、怪獣を実体化させる!

 

【ブラックキング!】

 

 用心棒怪獣 ブラックキング。

 かつてウルトラマンジャックを抹殺するために、ナグスの同族に当たるナックル星人が連れてきた怪獣だ。

 その強靭な肉体は、ジャックのスペシウム光線はおろかウルトラブレスレットに耐え得る防御力を誇る。

 そんな強敵に臆することなく、ガイはオーブリングを構えた!

 

「ジャックさん!」

【ウルトラマンジャック!】

「ゼロさん!」

【ウルトラマンゼロ!】

「キレの良いヤツ、頼みます!」

【フュージョンアップ!ウルトラマンオーブ!

 ハリケーンスラッシュ!】

 

『光を越えて、闇を斬る!』

 

 ブラックキングの正面に舞い降りたウルトラマンオーブは、例に漏れず名乗りを上げる。

 しかしジャグラーはそれに反論するように口を開き、ブラックキングに命じる。

 

「いいや……闇こそが光を覆い尽くすんだ。行け!ブラックキング!!」

 

 その命令を受け、轟音と咆哮を上げながらオーブに突撃するブラックキング。オーブもまたブラックキングに向かって行き、突風を纏った蹴りを数発繰り出すが、どれも決定打にはなり得ない。

 ブラックキングの懐にチョップを喰らわせるが、これに動じるブラックキングではない。腕を掴まれたオーブは乱暴に押し出されるもすかさず体勢を取り直し、頭部の2つのスラッガーからオーブスラッガーショットを放った。だがこれもブラックキングの両腕に弾かれる。

 弾かれたそれを用いて、次にオーブは専用武器のオーブスラッガーランスを具現化。両手で持ち構えてブラックキングに斬りかかるが、体表を浅く傷付けるだけに終わった。

 ランスを振りかぶっての殴打を与えようとするが片手で防がれ、胸部に重い一撃を貰う。

 その一撃でふらつくオーブに、ブラックキングは口から赤色破壊光線「ヘルマグマ」を放つ。しかしオーブはオーブスラッガーランスを高速で回転させ、ヘルマグマをブラックキングに跳ね返す。

 自身に返って来たヘルマグマに驚く素振りもなく、ブラックキングはそれすら弾き飛ばす。しかもダメージは一切なく、オーブに迫る余裕すらあった。

 

『タフな野郎だ!……だったらこれだッ!』

 

 このままでは埒が明かないと判断したオーブは、これに対抗すべく別の姿へと変わる!

 

「タロウさん!」

【ウルトラマンタロウ!】

「メビウスさん!」

【ウルトラマンメビウス!】

「熱いやつ、頼みます!」

【フュージョンアップ!ウルトラマンオーブ!

 バーンマイト!】

 

『紅に、燃えるぜ!』

 

 全身に燃え滾る炎を振り払い名乗ったオーブは、高速でブラックキングにタックルをお見舞いし、再び掴みかかった後にブラックキングを投げ飛ばす。更に顔を掴み上げて豪快なウェスタンラリアットを決める。

 負けじとブラックキングはヘルマグマを吐くが、オーブは空高く飛びこれを回避。そのジャンプを利用してスワローキックを放つが、ブラックキングは何とこれを片手で掴み防ぐ。

 得意のスワローキックを弾かれた勢いで反転したオーブは、間髪入れず着地と共に七色の光を纏わせた火球弾「ストビュームバースト」を撃ち込むが、ブラックキングはお得意のヘルマグマでこれを相殺。

 この衝撃で生まれた爆発に紛れ込んだブラックキングはオーブに特攻、強烈な頭突きを喰らわせる。

 それを喰らい、仰向けに倒れるオーブのカラータイマーが赤く点滅を開始。勝機を見出だしたブラックキングは、更にヘルマグマで追撃する。

 次第に押され始めるオーブを傍観していたジャグラーは落胆を露にする。

 

「この程度なのか……?お前にはホントがっかりだよ……。トドメを刺せ!ブラックキ……!」

 

 そして、自らが使役するブラックキングに命令を飛ばそうとした時。

 ジャグラーの背後から放たれた銃弾が、ジャグラーの右肩を撃ち抜いた。

 突如たる出来事に顔を歪めるジャグラーが振り向くと、不気味に笑いながら光線銃を構えたナックル星人ナグスが歩み寄って来た。

 

「貴様……!」

「ヘッヘッヘッ……。まさか俺の名を知らなかった訳じゃねぇよなぁ?俺はナックル星人、『暗殺宇宙人』だ……!この俺が地獄に落ちるって?地獄行きは……テメェの方だッ!!」

 

 ナグスの光線銃が再び火を噴き、放たれた銃弾は的確にジャグラーの左胸──心臓を射抜いた。

 その異常事態を察したオーブがジャグラーを見ると、痛みを堪えるジャグラーと目が合った。

 その視線に気付いたジャグラーはニヤリと笑い、オーブに手を伸ばしながらやがて力無くゆっくりと倒れ、爆発した。

 

『ジャグラー!』

 

 それを目撃したオーブが驚愕の声を上げたと同時に、ナグスは高らかに笑い、その瞬間を見ていたであろうノストラに嬉々として声を上げた。

 

「ハッハッハッハッ!やりましたぜぇ!ドン・ノストラァ!!」

「残るはウルトラマンオーブだけだ。奴にトドメを刺し、ウルトラマンのカードを、全て奪い取れ!」

「やれぇ!ブラックキングッ!!」

 

 ナグスが本来の主君であることを本能的に察知したのか、ブラックキングはナグスの指示通りにオーブに迫る。

 しかし、このナグスとノストラの卑劣な作戦に、オーブの怒りは爆発。それを体現するかのように、バーンマイトの全身に炎が迸る。

 それに怯えもせず、ブラックキングはヘルマグマを放射するが、何とオーブはヘルマグマの炎を吸収。更にヘルマグマのエネルギーを上乗せし威力の増幅した「ストビュームカウンター」でブラックキングを弾き飛ばした!

 その威力は凄まじく、これまで優勢だったブラックキングが、何度も地を転がる程だった。

 オーブの反撃はそれだけでは止まらず、全身に炎を纏わせたオーブはブラックキングに特攻し、渾身の必殺技を喰らわせた!!

 

『ストビューム、ダァイナマイトォォォォ!!』

 

 ストビュームダイナマイトを受けたブラックキングは爆死し、この戦いを観戦していたナグスは、その爆風で軽く吹き飛ばされてしまった。

 全身の炎がようやく収まったオーブは、勝利の余韻に浸ることもなく、ただ静かに立ち尽くしていた。

 

 

 

「くっ……、ウルトラマンオーブめ……ッ!こいつは……!」

 

 吹き飛ばされたナグスだったが、その傍らにある怪獣のカードが数枚あちこちに散らばっていたことに気が付いた。

 そのカードとは、ジャグラーが回収していた魔王獣のカードだった。オーブは倒せなかったが、これを持ち帰ればノストラへの良い土産になると思ったナグスは、そのカードを一心不乱に集め始める。

 6枚全て回収し終えたナグスは、意気揚々と円盤へと帰ったが、魔王獣のカードを持ち去ったのを物陰から密かに見つめる存在に、ナグスは全く気付かなかった。

 

 

 

 一方、嫌な予感が拭えずにガイが無事に帰って来るのを、オフィスでずっと待っていたナオミ。

 先程数分前に、ガイを探しに飛び出したシンヤが帰って来たのだが、肝心のガイが未だに帰って来ない。

 次第に言い様のない不安がナオミを襲い始める中、オフィスの扉が開く。

 ガイが帰って来たのかと思ったが、やって来たのは夕べ帰ったジェッタとシンの2人だった。2人共ガイが朝からいないことを不思議がるが、やがて2人は今日の予定を確認し始める。

 彼らがいつも通りに過ごす一方で、激戦をくぐり抜けたガイは傷だらけの身体を引きずって帰って来た。

 しかし彼らにそれを悟られまいと、玄関の扉を開ける前に何とか呼吸を整え、平然を装ってその扉を開けた。

 

「よぉ……。今帰った……」

「……おかえり」

 

 ガイの笑顔を見て安心したのか、ナオミもまた笑顔になった。

 

 

 

 場面は切り替わり、惑星侵略連合の円盤内。

 メフィラス星人ノストラと、ナックル星人ナグスが自分達の目論みが成功したことを喜び合っていた。

 

「よくやった。ウルトラマンオーブは仕留め損ねたが、十分過ぎる収穫だ」

「ヘッ。あいつ、口ほどにもない野郎でしたぜ」

「愚かな奴め……。この私が、究極のカードをみすみす手放すとでも思ったか……」

 

 そう言ってノストラは、ナグスが回収した6枚の魔王獣カードを取り出し眺め出す。

 この勢いに乗ったナグスは、ノストラに新たな作戦を提唱する。

 

「ドン・ノストラ!この7枚のカードを使って、地球へ攻撃を開始しましょう!ド派手に行きやしょうぜ!名付けて、怪獣総進撃……グハァ……!」

 

 最後まで言い終わる前に、ナグスは突然倒れる。

 何事かと思い、焦るノストラだったが途端に余裕の態度を見せる。

 

「……やぁ。やはり来ると思っていたよ。ヨミ」

 

 ノストラの眼前には、右手に小太刀を握るヨミがいた。恐らく、その小太刀でナグスを貫いたのだろう。小太刀をよく見ると、その切っ先から一定のリズムで「何か」が滴り落ちていた。

 ノストラ同様に平然としているヨミだが、その内心はきっと怒りで満ちているとノストラは睨んでいた。

 そんなノストラに、ヨミは歪んだ笑みを浮かべながら問いかける。

 

「ならば、私がなぜここに来たか……、分かってらっしゃいますよね?」

「あぁ、そうだな……。差し詰め、ジャグラーの弔い合戦と言ったところかなッ!」

 

 ゆっくりと立ち上がったノストラは、ヨミの不意を突いて必殺技の「グリップビーム」を照射する。

 しかしその光線は、ヨミが懐から取り出した1枚のカードに吸い込まれた。

 

「ッ!?」

「ガンQのカードです……。私、念には念を押すタイプなので」

 

 ヨミが使用したのは、『奇獣 ガンQ』の力を宿したカードだった。ガンQには相手の攻撃を吸収する能力があり、これはカードの状態でも適応するのだ。

 ヨミはすかさず、吸収したグリップビームを、ノストラに撃ち返した。

 しかしノストラはそれをかわし、隠し持っていたもう1枚の怪獣カードからリング状の光線を発射する。

 それに拘束されたヨミは、身動きが取れなくなってしまう。

 

「なっ、これは……!?」

「『念には念を』……か。残念だが、私とて用心はしているのだよ」

「ベロクロンのカード……!?そう言うことか……!」

 

 ノストラが使ったのは、『ミサイル超獣 ベロクロン』のカード。その名通り、ベロクロンにはミサイルやロケット弾を飛ばす能力があるが、それ以外にも金縛り光線を手から放つことが出来るなど、まさしく「全身武器」と言っても過言ではない充実した武装が備わっている。

 今回ノストラが使用したのは、その内の1つ「テリブルハンドリング」。相手の動きを封じる技である。

 

「くっ……!卑怯なっ……!」

「卑怯もラッキョウもあるものか……!よくも貴重な超獣カードを使わせたな……!この罪は大きいぞ!!」

 

 ヨミを拘束したノストラは、その怒りも込めてグリップビームを再度放つ。今度こそ光線が直撃したヨミは、苦悶の声を上げてその場に伏した。

 

「ハハハハッ!!この私に敵うと思ったか!?この愚か者め!!」

 

 死に瀕したヨミを何度も踏みにじり、ノストラは声を荒げる。やがてヨミの呼吸がしなくなったことを確認したノストラは、玉座に着こうとした。

 しかし、背後から何者かの足音。すかさず振り向くと、そこには死んだはずのジャグラーが蛇心剣を構えて立っていた。

 

「貴様……!なぜ生きている!?確かにナックル星人が心臓を……!!」

 

 それに答えるように、ジャグラーは1枚のカードをノストラにかざす。怪しげな赤い光を輝かせたそれを見たノストラは驚愕した。

 

「ベムスターのカード……!?だがヨミは……!」

「私が……何ですって?」

 

 その声を聞いたノストラの瞳に飛び込んで来たのは、更に信じられない光景だった。

 ジャグラーの背後から、先程まで床に転がっていたはずのヨミが、何の外傷もなく現れたからだ。

 

「ヨ、ヨミ!?なぜお前まで……!!」

 

 するとヨミは、再び怪獣のカードを取り出す。

 そのカードには、地獄の番犬を模した怪獣『フィンディッシュタイプビースト・ガルベロス』が描かれていた。

 ガルベロスは、相手に幻影を見せることが出来る。実はヨミは、ノストラがベロクロンのカードを使ったタイミングにこれを使い、ノストラから逃れていた。

 初めからノストラ達の策を見抜いていたジャグラーとヨミは、敢えてそれに乗ることで、今こうしてノストラを追い詰めることに成功したのだ。

 

「ガルベロスのカードだと……!?おのれぇ!」

 

 それでも往生際の悪いノストラは、ジャグラーにグリップビームを撃つが、ジャグラーはこれを蛇心剣の刀身だけで弾く。それに伴って軽い爆発が発生するが、それが止んだ時ノストラは息を飲んだ。

 そこにいたのはジャグラーであってジャグラーにあらず。

 ジャグラーはその身を胴色の甲冑に変え、瞳を蒼く光らせ、胸には三日月にも見える紅い傷が刻まれていた。

 これこそがジャグラーのもう1つの姿「魔人態」、「無幻魔人 ジャグラスジャグラー」としての姿……!

 その姿に恐怖を覚えたノストラは、何度目かのグリップビームを撃とうとするが、それよりも早くジャグラーの魔人の如き一太刀がノストラを切り裂いた!

 

「策士策に溺れるとはこのことだ。ノストラ、アンタの時代は終わりだッ……!!」

 

 ノストラに背を向けたまま、ジャグラーは逆手に持ち替えた蛇心剣をノストラに突き刺し、強引に引き抜く。

 

「ガアッ……!おぉのぉれぇぇぇぇぇ!!」

 

 断末魔を上げながら、ノストラは爆発。

 そしてジャグラーの元に、紫に光る1枚のカードが飛来する。それを左手に取ったジャグラーは、自分の元に戻って来た魔王獣達のカードを右手に持ち、それぞれを眺める。

 

「ついに我が手に来たか……!最後のカード……!」

 

 惑星侵略連合の円盤内に、連合の面々は誰1人としておらず、ただジャグラーの悦に入った笑い声だけが木霊した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ガイとシンヤの、ウルトラヒーロー大研究!」」

 

シンヤ「ふんふんふ~ん♪」

ガイ「やけに上機嫌だな、シンヤ。何か良いことでもあったのか?」

シンヤ「え?いえいえ、そんなことないですよ~?」

ガイ「……絶対何か隠してるだろ」

シンヤ「そんなことないですってば!さ、今回は誰を紹介しますか?」

ガイ「(怪しすぎる……)そうだな。なら、今回紹介するのは、この人だ!」

 

【ウルトラマンジャック!】

 

ガイ「ウルトラマンジャックさん。『ウルトラ兄弟』の四男で、初めて地球を守る目的で地球にやって来たウルトラ戦士なんだ。ウルトラブレスレットを駆使して戦ったぞ」

シンヤ「ジャックさんは本編では『ウルトラマン』と呼ばれていて、『ジャック』という呼び名も後々決まったものなんです。なので『ジャック』という呼び方は直撃世代の方々にはあまりピンと来ないらしく、ファンの方々の間では様々な略称があり『帰ってきた新ウルトラマンジャックⅡ世』なんてジョークがあるとか」

ガイ「そんなことまで……。いつもお世話になってます」

シンヤ「地球を去る時、『ウルトラ5つの誓い』という偉大な言葉を残して去りました。これは後に、『ウルトラマンメビウス』でも登場しました」

ガイ「『ウルトラ5つの誓い』?何なんだ、それ?」

シンヤ「えぇ!?ガイさん知らないんですか!?」

ガイ「あぁ。なぁ教えてくれないか?」

シンヤ「分かりました!……おっと、お別れの時間です。

 それでは皆さん、今回はこの辺で失礼します」

 

ガイ&シンヤ「「次回も見てくれよな!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然やって来た、ナオミの母親。

 中々強烈なキャラクターだが、良いお母さんじゃないか。

 だが、そんな平穏な日常に終わりを告げるかのように、ついに最悪の脅威が甦ってしまった!

次回!

『ウルトラマンオーブ ─Another world─』

『大変!ママが来た!』

 闇を照らして、悪を撃つ!




……いかがだったでしょうか。
大安売り並みに怪獣カードを登場させました。もっと出番あっても良かったと思ったもので。

ノストラのあの台詞ですか?
言わせたかったんですよ、あれ。

ジャグラーの魔人態は、『THE ORIGIN SAGA』のこともあって真の姿って呼ぶべきかどうか悩んだので、もう1つの姿ってことにしました。

隠れたサブタイトルは、『帰ってきたウルトラマン』第1話『怪獣総進撃』でした

では……ノシ

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