ウルトラマンオーブ 天かける星の祈り歌   作:彩花乃茶

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 タイトルを少し変更しました。


Aの指輪/2人で1つ

~~ガイ~

 

 危なかった。ギリギリでタイムアウトになったから良かったものの、あのままだったら間違いなく俺も石にされちまっていた。

「まぁ・・・被害がないってわけでもないがな」

 

 俺はホルダーからウルトラマンさんのカードとティガさんのカードを取り出す。その2枚は石にされてしまっていて使用不能になっていた。おそらく石にされそうになっていたのがこの2枚で変身するスぺシウムゼぺリオンだったから、俺のかわりにカードが石化してしまったんだろうな。

「となると・・あいつはバーンマイトかハリケーンスラッシュで勝負するしかないってことか」

 

 セブンさんの力とゼロさんの力をお借りする組み合わせもできるようだが、どういうわけか今はまだ使えない。おそらくガーゴルゴンの目を破壊さえできれば石化してしまったカードも・・・そしてウールとサァラの故郷も元通りに戻るはずなんだが・・。

「接近戦メインなバーンマイトじゃ相性が悪かったな。次は最初からハリケーンスラッシュで・・」

 

 ある程度有利に戦えていたハリケーンスラッシュで一気に勝負を仕掛けようと考えた俺はガーゴルゴンを包み込んだシャットダウンプロテクトを見上げる。ありったけのエネルギーを込めたつもりだが・・・もって3時間ってところだろうな。

「ガイ!」

 

「っと・・」

 

 久遠たちがやってきたので俺は慌ててカードをホルダーにしまって隠す。

「どうしてこんなところに?」

 

「ぐ、偶然だ偶然」

 

「本当に偶然・・?」

 

 久遠は怪しむように俺に視線を向ける。流石に今のいいわけは苦しかったか。

「そんなことよりガイ!あのガーゴルゴンってのを包んでるバリアはどれぐらい持ちそうなの?」

 

 それを察してか杏が話題をそらすようにシャットダウンプロテクトがどれぐらいもつのかを尋ねてくる。

「長くても3時間ってとこだろうな。たぶんもっと早い」

 

「・・・ガイは大丈夫なの?無茶しすぎないでね」

 

「・・・・」

 

 こいつ、やっぱり俺の正体に気づいてるな。いったい何処まで知ってるんだ?いいや・・それ以前になんで知っているんだ?

「・・あぁ。大丈夫だ」

 

 まぁ、今はそれを気にしている暇はないな。少し休んだらもう一度変身して今度こそガーゴルゴンを・・

「「・・・・・・」」

 

 今度こそガーゴルゴンを倒そうと考えているとウールとサァラが服の袖を掴んできた。

「ん?どうした?」

 

「本当に勝てる?」

 

「あのガーゴルゴンに・・・本当に勝算がありますか?」

 

 勝算か。随分と厳しいことを言ってくれるなこの2人は。

「どんなに力の差があっても、勝てる策が無くても、守るものがあるかぎり戦う。それが光の戦士だ」

 

 できれば少し休みたいところなんだが・・・。

「悪い。ちょっと用事があるんで行ってくる」

 

「えっ?こんな時に用事って・・」

 

 久遠が止めようとしていたのを無視して俺はあいつが見えた森の奥へと走り出す。そして俺を待つように立ち止まっていたジャグラーの数メートル後ろに立った。

「おいおい、魔王獣じゃなくたかが魔獣だろぉ。なぁにピンチになってんだよ」

 

 ジャグラーはあざ笑うように振り向きながら俺にそう告げてくる。たぶん普通に来ていたらさっきの戦闘で倒せていたかもしれない。

「お前が余計なことをしたからだろうが・・」

 

 そう。ジャグラーがガーゴルゴンをおびき寄せるために使った怪獣カードのエネルギーのせいでその戦闘力が向上してしまったんだ。

「お前が倒したいと言ってたから手を貸してやったんだろう。ほら、お礼はどうした?感謝の言葉を俺に言えよ」

 

「誰が言うかッ!」

 

 お前のせいで逆に迷惑してるんだっての。

「人の善意を無碍にするとは・・・それでも光の戦士か?」

 

「お前のは悪意ある善意だろ。そんなのに礼をいうほど俺は心が広くない」

 

 そう言いながら俺は拳を握って構えると、ジャグラーも構えを取る。

「いいだろう。相手をしてやるよ」

 

「っ!!」

 

 俺はジャグラーに殴り掛かろうとすると、茂みがガサリと動いたので足を止めた。

「ガイ~。どこ~?」

 

 どうやら久遠たちが俺を探してこの場所までやってきたようだ。

「あっ!ガイ!いきなり走り出すから気になって・・・って貴方はあの時の」

 

「おや。いつぞやのお嬢さんじゃありませんか」

 

 どうやらジャグラーと久遠は一度何処かであったことがあるらしいな。

「さて、お嬢さん方の前で男2人が殴り合うのはアレなので俺は去るとしよう。じゃっあな~~」

 

 軽く手を振りながらジャグラーが去っていくと、ウールとサァラがまたしても俺の服の袖を引っ張った。

「・・あいつ?」

 

「今のお方がガーゴルゴンの地球到着を早めて、戦闘力を上げた人物ですか?」

 

 こいつ等もジャグラーが普通の人間じゃなくて、ガーゴルゴンが強くなった原因だってことに気がついたか。

「あぁ。それは事実だ」

 

「つまりあいつは敵」

 

「この星にとっても、私達にとっても敵というわけですね」

 

「ガイ。さっきから2人と何を話してるの?とりあえず一旦トリコリに戻ってこのことを音々たちにも話そう」

 

 久遠の提案で俺達は一度喫茶店へと戻り、一度状況を整理することにした。

 

 

 

~~久遠~

 

 ガーゴルゴンとの最初の戦闘から2時間半が経過した。今度は店を木村君とルルに任せ、音々も追加してのメンバーで先ほどの場所へとやってきた。

「もうあのバリアも限界かな・・」

 

 到着した時には既にガーゴルゴンを封じたバリアがヒビだらけになっていて、今にも砕けそうな状態になっていた。念のためお父様たちに連絡して近くの町の避難誘導を頼んではいるけど・・・間に合わないかも。

「やっぱりオーブに頑張ってもらうしかないかな」

 

「ガァァァッ!!」

 

 バリアが完全に砕けてガーゴルゴンが姿を見せたとほぼ同時に少し先に光が見えた。

「光を超えて、闇を斬る!」

 

 青い姿のオーブだ。

「オーブスラッガーランス!!」

 

 2つの光の刃を武器に変え、それを構えるとオーブはすぐさまガーゴルゴンへと駆け出した。

「トライデントスラッシュ!」

 

 先手必勝と言わんばかりにオーブは即座に連続斬りをガーゴルゴンに喰らわせるも・・・ガーゴルゴンは斬られた場所の傷を即座に回復させた。

「回復速度が速すぎるのです」

 

「たぶん取り込んだエネルギーのせい」

 

「ガーゴルゴンは取り込んだエネルギーを消化して自身の力にしますから、そのせいで回復力が早くなったものと思われます」

 

「エネルギーを吸収って・・・バリアで動きが封じられてたのに何を吸収したっていうの?」

 

 杏は吸収するものなんてなかったのに何を吸収してたのか尋ねると・・・2人はガーゴルゴンから一旦距離を取ったオーブを指さした。

「え?オーブ?」

 

「ウルトラマンオーブのバリア」

 

「ガーゴルゴンはバリアを壊して出てきたのではなく、エネルギーをゆっくりと吸収して自分の力に変えてから出てきたのです」

 

 バリアのエネルギーを自分の回復力にあててるってことは今のガーゴルゴンはある程度のダメージは瞬時に治ってしまう状態ってことだ。だとすればオーブは前の戦闘よりも不利な状態になってるってことかな。

「回復もヤバいけど、問題はそこじゃない」

 

 サァラは表情を一切変えないまま冷や汗を流している。何かマズイことに気づいたのかな?

「ガーゴルゴンは石化光線も脅威ですが最も危険なのは・・・」

 

「おーブのじゃクてnはワkっテる」

 

「しゃ、しゃっべった!?」

 

 ここまで雄叫びだけで話す事が出来なかったガーゴルゴンがいきなりカタコトのように聞こえる日本語を話し出した。

「そう。あの高い知能です」

 

「そコのヤつラDa」

 

 ガーゴルゴンは先ほどの戦闘の時と同じくオーブから私達にターゲットを変えてくる。今思い出せばあの時確かに私達を狙えばオーブは身を挺して私達を庇うことを理解してガーゴルゴンは光線を撃ってきた。あの怪獣の学習能力の高さをもっと警戒しておくべきだった。

「ガァァァァァッ!!」

 

「オーブランサーシュート!」

 

 すぐさま私達の前に立ったオーブはランスから光線を放ち、ガーゴルゴンの放った石化光線を相殺しようとしてるけど・・・

「デュ・・・アァァ!!」

 

 前の戦闘での疲労が回復してないオーブは途中で光線が途切れて片膝を地面につけてしまった。

「デャッ!」

 

 オーブは石化光線をランスで受け止めたけど、受け止めたランスだけでなくそれを握る手から少しづつ身体が石になり出した。

「オーブ!?」

 

 このままじゃオーブが石になっちゃう。そう思っているとサァラはルディアンのスパークドールを手にしながら身体を黄金に輝かせた。

「何をしてるの?」

 

「オーブを助ける」

 

 サァラはルディアンさえ何とか出来ればオーブを助けることができると必死に力を込めるも・・・ルディアンはまるで反応しなかった。

「サァラ。代わって。私がやる」

 

 今度はウールがルディアンに力を込めてみるけど、ウールもルディアンの力を解放するには至らなかった。

「やっぱり私達じゃ・・・」

 

「選ばれてない私達ではルディアンの力は・・・」

 

「私達?・・・そうだよ!2人でやってみるんだよ!」

 

 思いついた策を私が提案すると、ウールとサァラはハッとした表情をみせた。

 

 

~~ウール~

「私には無理だった」

 

「私にも無理でした」

 

 私にはルディアンの力を解放することは出来ませんでした。サァラにも無理でした。ですが試していない可能性がありました。そう、久遠さんの言う通り『2人で』です。

「サァラ」

 

「ウール」

 

 私達は常に2人一緒に行動してきました。何処に行くにも、何をするにも。なのにルディアンを解放しようとする時には2人のうちのどちらかというやり方で解放しようとしていました。

「「私達は2人で1つ」」

 

 今までも、そしてこれからも。

「「私達でなら」」

 

 私達は手を繋いで祈りの光をルディアンへと捧げました。するとルディアンは黄金の輝きを放ち始めました。

「私達は2人で一人前」

 

「2人でならルディアンの力を解放できるはずです」

 

 重ねる手の上にあるルディアンを空へと掲げると・・・私達はルディアンから発せられる光に包まれました。すると気がつくと・・・私達2人はコックピットのような場所にいました。

 

 

~~杏~

 

「わぁぁおぉ・・」

 

 あの2人が光に包まれたかと思えば、その光はオーブと同じぐらいの大きな光になった。そして光が収まるとそこにはあの人形が怪獣サイズの大きさになったものがいた。

「あれがルディアン」

 

 2人の姿が見当たらないってことは、きっとルディアンの中に乗っているんだと思う。

『オーブを助ける』

 

『援護を致します』

 

 エコーがかかりながら2人の声がルディアンから聞こえたかと思ったら、ルディアンは両手腕のガトリングから大量の銃撃をガーゴルゴンへと浴びせた。そしたらそのうちの数発はガーゴルゴンの目に直撃してオーブの石化が解け始めた。

「やった!オーブが・・・」

 

 オーブの石化が解除された。そのことを喜んでいると・・

「お嬢様!お下がりください!」

 

「え?・・・うわぁっ!?」

 

 ルディアンの撃ち終えた弾が上から落ちてきたから私は慌てて後ろに下がった。

「びっくりしたぁ~」

 

「近づきすぎですよお嬢様」

 

「ここは危ないからもっと離れるかな」

 

 私はチカに引っ張られながら久遠たちとともに離れていたら、その間にオーブの石化は完全に解除された。

「デュワっ!」

 

 立ち上がったオーブはすぐさま跳び上がって、銃撃によって目が破壊されて怯んでいるガーゴルゴンに流星のような鋭いキックを決めた。

『オーブ復活』

 

『お役に立てましたか?』

 

「あぁ、ありがとな。おかげで動けるようになった」

 

 2人にお礼を言ったオーブはトサカから2つの光の刃をガーゴルゴンへと投げつけてダメージを与えると、戻って来た光の刃を自身の前で回転させてオーブスラッガーランスへと変化させた。

「さぁ、反撃開始だ」

 

 オーブスラッガーランスを握りしめたオーブはレバーを3回スライドさせてスイッチを押す。

「トライデントスラッシュ!」

 

 オーブの連続斬りがガーゴルゴンに炸裂した。そこにつかさずルディアンがミサイルを放って追い討ちをかける。その猛攻を受けたガーゴルゴンは背中から倒れた。

『トドメよろ』

 

『トドメはお願いします』

 

「任せろ!ビッグバン・・すらっぁ!?」

 

 起き上がろうとしているガーゴルゴンにトドメを決めようとオーブはランスを突き刺そうとした瞬間、ガーゴルゴンは2本ある尻尾でオーブの両足を叩いて転倒させた。

「ガァァッ!!」

 

「デュァ!?」

 

 触手のように伸びる2本の顔がオーブの両腕に噛みついた。身動きが封じられたオーブを助けようとルディアンはマシンガンで攻撃しようとするとガーゴルゴンはオーブを盾にするように持ち上げた。

 

 

~~ウール~

 

 捕まったオーブを助けようとすると、ガーゴルゴンは盾にするかのように持ち上げたので私達は攻撃を中断すると・・・ガーゴルゴンは尻尾を鞭のように振るってルディアンを何度も叩いてきました。反撃をしようにも操縦が初めてな私達ではその移動は遅く、一方的に攻撃を受ける状態となってしまいました。

「いくらルディアンの装甲が分厚いとはいえ、こう何度も攻撃を受けていては耐えきれません」

 

「これ以上は持たない。どうするのウール?」

 

「オーブスラッガーショット!!!」

 

 光の刃で自身を掴む触手を斬りつけたオーブは拘束から解放されましたが、驚異的な回復力をもつガーゴルゴンは早くも目を回復させたようで再びその目を開こうとしてきました。

「このままでは・・・っ!」

 

 誰でもいい。このピンチを切り抜ける力を貸してほしい。私とサァラが同時にそう願った瞬間・・・私達の指輪が光を放ちました。

「ウール」

 

「サァラ」

 

 あの人が教えてくれました。この指輪が私達の祈りに応えた時、光輝くと。そしてそうなった時、互いの指輪を重ねてこの言葉を言うようにと・・。

「「ウルトラタッチ」」

 

 私達の祈りに応えた指輪は1つの『光』となってオーブへと飛んでいきました。

「2人とも・・。ありがとう!」

 

 そう告げたオーブの姿は・・・赤いボディで鋭めな目つきな姿へと変化しました。

 

 

 

 

~~ガイ~

 

「2人とも・・。ありがとう!」

 

 2人からの『光』を掴み取る。そしてその光は1枚のカードとなった。2人の指輪を見た時、指輪からウルトラ戦士の力と強い想いを感じた。だからもしやとは思ってはいた。

「エースさん・・」

 

 そのカードはウルトラマンエースさんの力が宿ったカードだった。2人が育ての親から貰ったという指輪がエースさんが変身するために用いたもののレプリカなのはおそらく事実だろう。だけどエースさんの力を持っていたら月星人があの指輪にカードを形作れるほどもエースさんの力を扱えたとなると・・・エースさんと融合していた過去があるほどじゃないと不可能なはずだ。

「とにかく・・・その月星人にも感謝だな」

 

 月星人の人にも心から感謝しながらも俺はもう1枚のカードを手に取る。

「セブンさん!」

『ウルトラセブン』

 

 地球を愛し、幾度となく地球に来てはその危機を救ってきたセブンさん。その力が宿ったカードだ。

「エースさん!」

『ウルトラマンエース!』

 

 そして2枚目。先ほど2人から託されたカード。光線技の使い手であり光のカッターを使った切断技のバリエーションが得意なエースさんの力を続けて解放する。

「切り裂く刃!お借りします!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!スラッガーエース!』

 

 セブンさんとエースさん。光線と刃を扱うことに長けているお二人の力をお借りした俺は赤と黒をメインとした色合いで目つきがやや鋭めで両肩にセブンさんのようなプロテクターをつけた姿へと変わった。

「闇を斬り裂く。光と共に」

 

 セブンさんのアイスラッガーとエースさんの頭部のそれを合わせたような剣、バーチカルスラッガーを手にした俺はガーゴルゴンにそう口上を述べた。

 

 

~~久遠~

「闇を斬り裂く。光と共に」

 

 ルディアンから出てきた光を取り込んでまた新しい姿になったオーブは剣・・というよりも大きい刃といった方がいい武器を構えてそう告げると・・・目が回復しきったガーゴルゴンはその目を見開いて石化光線を放ってきた。

「危ない!?」

 

「スラッガーエース・・・スライサァァァッ!!」

 

 身体を横に回転させたオーブは手にしている刃でその石化光線を切り刻んだ。

「光線を切り刻んで防ぐなんて・・・オーブにはいつも驚かされるのです」

 

 音々は光線を切り刻んだことに驚いているけど・・・オーブに私達の常識が通用しないのは今に始まったことじゃないと私は思うかな。

「シュァっ!」

 

 接近したオーブは大きな刃を振り下ろして右側の触手を切り裂くと、それを振り上げて左側の触手も切り裂いた。

「これで決めてやる!ワイドサーキュラーショット!!」

 

 後ろに跳び下がったオーブは右手に刃を持ちながら腕をL字に組むと、その腕から青く輝く光線をガーゴルゴンに浴びせた。だけどガーゴルゴンは異常なまでの回復速度で光線を受けている箇所を瞬時に再生させて耐え凌いでいた。

「駄目なのです。回復が早すぎるのです」

 

『なら、回復しきる前に倒すだけ』

 

『追撃します』

 

 ルディアンはミサイルを2発放つとありったけと言わんばかりにマシンガンから大量の銃弾をガーゴルゴンへと浴びせた。オーブとルディアン。2つの連携攻撃に耐えられなかった様子のガーゴルゴンは力尽きたようにその身体が石となって、その場で崩れ去った。

「・・・・」

 

 オーブはルディアンと顔を合わせると2人を褒めるように頷いて空へと飛び去っていった。オーブが見えなくなるとルディアンは光の粒子になるように消えてしまい、私達の前にウールとサァラがゆっくりと着地した。

「・・・夢みたい」

 

「あのガーゴルゴンを・・倒せました」

 

 どうやら2人は自分達がオーブと協力してガーゴルゴンを倒したという事実が信じられないように呆けた顔をしていると、後ろからやってきたガイが地面に落ちていたルディアンのスパークドールズを拾い上げた。

「夢じゃないさ。お前達は自分達を信じてルディアンの力を解放させた。だからガーゴルゴンに勝てたんだ。きっとお前達は惑星ゴールドの誇りだぞ」

 

 そう言ったガイはサァラにルディアンを手渡すと2人の真上に宇宙船が飛んできた。

「自動修復完了」

 

 墜落した船の修理が終わったってことは2人はこのまま帰っちゃうってことかな。

「ありがと」

 

「皆さん、本当にありがとうございました」

 

 2人は着陸した船に向かおうとする。

「せっかくだしもう少しゆっくりしていけばいいのに。戻ってもほとんど外に出られないんでしょ?」

 

「それは無理」

 

「石化が解除されたゴールドに私達が必要ですから」

 

 まぁ2人はあのルディアンを渡されていたぐらいには偉い巫女さんらしいし、必要とされるのは仕方ないかな。

「だからまた来る」

 

「ゴールドでの仕事を片付けたら、改めてお礼にまいります」

 

 また来る。私達はその言葉を信じて笑いながら頷くと2人は船に乗り込んだ。そしてその船はゆっくりと浮かび上がると・・・少しづつスピードを上げつつ空へと飛んでいく。私達は船が見えなくなるまでその場でそれを見届けた。

 

 

 

 

 

 

 

「とまぁ・・・こんな感動的な別れ方をしたはずだけどさ。戻ってくるの速すぎない?」

 

 ガーゴルゴンとの戦いから1週間が経過して今日もトリコリに足を運ぶと・・・そこにはココアを飲んでいたウールとサァラがいた。

「やることはやってきた」

 

「カムナギとして最低限の仕事を終えた後、王様からの命令で再びこの地へと戻りました」

 

「王様って・・・その惑星ゴールドの?」

 

「「・・・・」」

 

 2人は質問に頷くと、座っている席から立ち上がった。

「ガーゴルゴンを倒し惑星ゴールドを救ってくださるのに手を貸して頂いた皆さんに奉仕せよ・・と」

 

「だからここで働くことにした」

 

「・・・・・」

 

 私は先日ホームページに寄せられた記事の調査から戻って来た徹さんに視線を向けると、その記事がガセでガッカリしていた徹さんは「まあいいんじゃないか」と言うように右の指でOKサインをした。

「ガイ様。あるお方からお言葉を預かっております」

 

「・・・あるお方?」

 

「信じる心を忘れないで・・と」

 

「そうか。やっぱりその人は・・・」

 

 2人が言う『あるお方』の察しがついたガイは席を立つと厨房の冷蔵庫からシュークリームを2つ持ってきた。

「伝えてくれてありがとな。今朝作ったんだ。食ってくれ」

 

「ちょっとガイ!私達には?」

 

「ったく、しょうがないな」

 

 ガイがシュークリームはプリンのときと同じく店のメニューとして出したら絶対にヒットするような味で、徹さんと音々はガイに店のメニューにするから作ってほしいと頼むもやっぱり断られていた。

 

 

 

~~???~

 

「どうやらあの娘たちは私達の力をあの星のウルトラマンに託したようね」

 

 私は月からもう一つの故郷ともいえる星、地球を見つめているとあの娘たちが力を託した気配を感じた。

「2人が目指す未来はこれからどうなるのかしらね。北斗」

 

 2人がこれからどんな未来を進んでいくのかは分からないけれど、あの娘たちが信じたウルトラマンを彼のように信じてみましょうか。

 




ウルトラヒーロー大研究

ウルトラマンエース
属性・斬属性

 多彩な光線技と切断技で戦う宇宙のエース。ウルトラマンエースさん。光のカッターを使った切断技のバリエーションにおいては右に出る者はいなく『光線技のエース』という2つ名もあるほどなんだ。


ルディアン
属性・土属性

 惑星ゴールドの守護神の異名を持つメカ守護獣のルディアン。ウールとサァラが選ばれし者の力を込めたことでスパークドールズから解放されたんだ。そういえばルディアンのコックピットは1人乗りらしいけど、どうやって2人で乗っているんだろうな。

次回「子連れ剣豪」

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