ウルトラマンオーブ 天かける星の祈り歌   作:彩花乃茶

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 ある程度話数が進んだら人物紹介part2も書く予定です。


Aの指輪/石化魔獣

~~久遠~

 

 迷いの森での事件が未解決のまま数週間が過ぎた。ここ最近は怪獣が出現する事件は発生しないで平和な時間を過ごしていた。

「久遠さん、これを食べてみてくださいなのです」

 

「え?うん。それじゃ、いただこうかな」

 

 私が座る席に音々がプリンを持ってきた。せっかくなので頂くことにしてまずは一口食べてみると濃厚な味が口いっぱいに広がった。

「美味しい・・っ!」

 

「久遠さんもそう思うですよね!」

 

「どうしたのこれ?」

 

 まるで行列のできるスイーツ店の人気メニューのような味だ。

「これは瑠々が?」

 

「いいえ、私じゃなくガイさんが作ったんですよ」

 

「えっ!?」

 

 ガイが作ったの!?こういうのを作りそうなイメージがないのに・・。

「昨日の夕方テレビでスイーツ特集がやっていて、それを見ていたガイさんが久々に作りたくなったから厨房を貸してくれと言ってきたのです」

 

「それでこのプリンを・・」

 

 まさかガイにこんな特技があったなんて。

「これはきっと売れると思って、ガイさんにこれからも作ってほしいと相談したのですが・・・断られてしまったのです」

 

 まぁガイは面倒くさがりっぽいから毎日頑張って数を作るってのは断るよね。実際、売れそうな味だし作り続けることになりそう。

「そういえばガイは?」

 

 店内を見渡してみるも、普段ガイが座っている場所にその姿はなかった。

「そうそう。いったいガイはどこに行ったの?」

 

 店に入ってくるなり会話に入って来た杏はガイの居場所を聞いてきた。

「杏、何かガイに用があるの?」

 

「特に用があるわけじゃないよ。ただ会いたいだけ」

 

「・・・前々から気になっていたけどさ、どうして杏は・・・」

 

 杏がやたらとガイに近づく理由を尋ねようとするといきなり臨時ニュースが流れた。

『速報です。梅沢市上空に未確認飛行物体が出現しました。その未確認飛行物体は右に左にと揺れながらも上空に留まり・・・あっ!今、動きがありました!未確認飛行物体が大きく傾いて地上へと落下していきます!』

 

 中継に映っていたUFOはどうやらそのまま墜落して、墜落現場と思われる場所には激しい土煙が舞った。

「あの辺り、おそらくは雲くじら公園の辺りなのです」

 

「徹さん達は?」

 

「岩根島に現れたという半魚人を調べに行ってしまっているのですよ」

 

 となると車がないか。私、免許持ってないし。

「案ずることはない久遠。千佳!」

 

「私としてはお嬢様を危険なところへと連れていくのは承諾しかねるのですが・・・」

 

「落ちてきたUFOが危険なものだと決まったわけじゃないでしょ」

 

「・・・分かりました。お連れします」

 

 杏が説得してくれたおかげで車の当てができた。

「私は店番があるので残るのです。何かあれば連絡をしてください」

 

「分かったかな。それじゃサムシングサーチピープル出動!」

 

「お~~!」

 

 こうして私と杏、そして千佳さんの3人という1人も正規メンバーがいないメンツで現地へと向かった。

 

 

 

 

~~ガイ~

 

「ここら辺だな」

 

 何となくこの星の人間とは違う気配に気がついた俺は森でのことがあったので念のために確認をしておこうと1人探索をしているといきなり空に円盤が出現した。

「・・・1人・・いや2人か」

 

 円盤に意識を集中すると、あの円盤の中には2つの生命体が乗っていることに気がついた。

「一応行ってみるか・・」

 

 スぺシウムゼぺリオンに変身して円盤に乗り込んでみようかと考えていると、円盤は大きく傾いてそのまま墜落してしまった。

「おいおいマジかよ・・」

 

 いきなりすぎて反応出来なかった。ひとまず落ちた場所へと行ってみると・・・既にそこには野次馬が集まってしまっていた。

「はいはい、これ以上は危ないので近づかないで」

 

 既に現場には防衛隊や警察が何人か到着していたようで、一般人を円盤に近づけないようにしていた。

「まぁ・・わざわざ近づく必要もないか」

 

 再び意識を集中して生命体の反応を確認してみると・・・そこには生体反応はいっさいなかった。乗っていた奴らはどうやら既に脱出しているようだ。俺は脱出した奴らの気配を探そうとするも・・・人だかりのせいで気配が混雑し、探すことはできそうになかった。

「しょうがない。諦めて帰るか」

 

 ひとまずトリコリに帰って作ったプリンでも食べようと家路を急いでいると、俺の後を追いかけるような足音が聞こえてくることに気がついた。

「見つけた・・」

 

「光の戦士の方とお見受けしました」

 

 人通りの少ない路地で後ろを振り返ると肌白と褐色のそっくりな2人の少女たちが立っていた。

「・・・お前達は?」

 

「私はゴールド星人のウール。こちらは妹のサァラです」

 

 肌白の方はどうやら双子の姉のようで妹のほうも一緒に紹介してくる。ゴールド星人は限りなく地球人に近い外見と文明を持つ奴らで侵略という野蛮な行動はしない温厚な種族だ。

「それでお前達はどうしてこの星に・・・いいや、どうして俺を訪ねてきたんだ?」

 

「追われている」

 

 口数が少ないサァラが口を開く。

「追われてる?何に?」

 

「私達は今現在ガーゴルゴンに追われています」

 

「ガーゴルゴンだと・・・っ!!」

 

 直接見たことはないが話には聞いたことがある。石化魔獣ガーゴルゴン。口の中に目があり、その目から放たれる光線はあらゆるものを石化させる宇宙怪獣だ。何故この2人がそんなものに追われているんだ?

「ガーゴルゴンはエネルギーを食べる」

 

「そのせいで資源豊かな私達の星が狙われてしまい、ガーゴルゴンに資源を食べ尽されて街が・・・人々が石にされてしまいました」

 

「だから私達は探した」

 

「貴方様を、ガーゴルゴンを倒して人々の石化を解く事のできる最後の希望。光の戦士を探したのです。しかしながらガーゴルゴンは知能が高く、私達が光の戦士を探しているのに気づき・・・」

 

「私達だけじゃなく、光の戦士すらもあいつのターゲットになった」

 

 おいおい、知らず知らずのうちに俺すらもターゲットにされてるのかよ。

「だがまぁ・・ピンチな奴を見捨てるのはできないな」

 

ここでガーゴルゴンを倒さないと地球も石の星にされちまう。そんなことはさせてたまるか。

「光の戦士・・。見つけられて良かった・・」

 

「きっとこの御方が・・あの魔獣を・・」

 

 俺に会えて安心したからか2人はふらりと身体をふらつかせる。

「っと、大丈夫か?」

 

「「・・・・・」」

 

 どうやら二人とも気を失ってしまっているようだ。

「仕方ない。この2人も連れて帰るか」

 

 2人を抱えた俺は再び家路を急いでると・・・

「ガイ・・。何、してるのかな?」

 

 手前に停車した車から降りてきた久遠が人さらいを見るような目線を向けてきた。

「いや、うん。これはお前の思っているようなのじゃない」

 

「だったらどういうことなの?その2人は誰?」

 

 車からは久遠だけではなく杏も乗っていたようで・・・杏までこの2人のことを尋ねてくる。

「「その2人はだ・あ・れ?」」

 

 俺は自身の正体は隠したままウルトラマンオーブに助けを求めてきた他の星の姉妹だと簡潔に説明し、何とか誤解を解いた。

 

 

 

~~久遠~

「ここは・・・?」

 

「ここは何処でしょうか?」

 

「目を覚ましたかな」

 

 オーブに助けを求めにきたという姉妹が同時に目を覚ますと店の中を見渡した。

「ここは喫茶店トリコリ。ウールとサァラだよね。2人の事情はガイから聞いているよ」

 

「ガイ・・」

 

「それがあの方の名前なのですね」

 

 どうやら2人はガイから名前を聞いていなかったようだ。

「介抱して頂きありがとうございます」

 

 ウールは私達にお礼を言って店を出ようとすると、旅の疲れからかふらりと身体がよろけた。

「っと、まだ無理すんな」

 

 ガイは倒れそうになったウールを受け止めると・・・ウールは人形のようなものを落とした。

「っ!」

 

 サァラはすぐにその人形を拾い上げる。よほど大事なものらしい。

「スパークドールズか。珍しいものを持ってるじゃないか」

 

「スパークドールズ?」

 

 ガイの口から聞きなれない単語が出てきた。

「それはいったいなんなのですか?」

 

「スパークドールズってのは簡単に説明すると何らかの力が封印されて人形の姿になっている怪獣たちのことだな。封印手段はものによって異なるから意識まで封印されちまってるのもいれば、意識が残ってるものいたりするらしい」

 

「こ、これが怪獣なのですか?」

 

「ルディアン」

 

「え?」

 

「この怪獣の名前はルディアン。私達の星を守護するメカ怪獣の名前です」

 

 顔が犬っぽくなっている丸い怪獣の名前はルディアンというらしい。

「ゴールド星人の選ばれしものが力を込めることで真価を発揮できる」

 

「ですが私達は選ばれしものではないので、ルディアンの力を発動させることはできないのです」

 

「そうなんだ・・」

 

 もし2人がルディアンの力を引き出せたらオーブの力になってくれるかもしれないと期待したんだけど・・・さすがにそれは高望みだったかな。

「ひとまず今は無理せず休んで」

 

「休んでられない」

 

「予測では地球時間であと3時間でガーゴルゴンがやってきてしまいます」

 

 あと3時間できちゃうんだ。疲弊している2人に無理をさせるわけにはいかない。

「これを飲んでいったん落ち着くのですよ」

 

「「・・・・・」」

 

 音々は2人にホットココアを渡す。それを素直に受け取った2人はそれをゆっくり飲み始めた。

「・・・美味しい」

 

「ほのかな甘みで落ち着きます。これはいったい?」

 

「ココアという飲み物ですよ」

 

 2人はココアを気に入ったらしく一気に飲み干してしまった。

「おかわり」

 

「私もお願いします」

 

「せっかくだし、ついでにこれも食えよ」

 

 そういったガイは自身が作った手作りプリンを前に置いた。

「プリン・・」

 

「あれ?プリンは知ってるんだ」

 

 ココアは知らなかったようだから食文化は違うものだと思ったのに。

「この星の文明と私達の文明に大きな違いはないので食文化にもそれほど違いはありません。ですが私達姉妹はカムナギ・・この星でいうとことの巫女のような役割を担っていたので屋敷の外の知識に乏しいのです」

 

 あぁ・・。この娘たちもお嬢様パターンかぁ。まぁ杏は箱入り娘っていうわりにはよく抜け出しているけど、2人は抜けるという発想自体がなかったっぽい。

「ですが私達姉妹の育ての親ともいえる月星人の方が昔地球に滞在していたとのことで、この星の料理を作ってくださったり思い出話をいくつか語っていただきました」

 

 月星人。月にもやっぱり宇宙人がいるんだ。

「私達のこの指輪もその人から貰った」

 

 2人は『A』の形に模られたお揃いの指輪をみせてくる。

「ん?この指輪・・・」

 

「何か知ってるのガイ?」

 

「いや、なんか見覚えがあるようなと思っただけだ」

 

 まぁ、似たようなデザインの指輪なんていっぱいあるしね。

「この指輪はその月星人の方が地球に滞在していた時に指にはめていたものの模造品だそうです」

 

「模造品?本物じゃないの?」

 

「本物は地球を去る時に大切な人に渡したってきいた」

 

「大切な人に・・何だかロマンチックな話ですね」

 

 ルルは指輪のエピソードを聞いてほっこりとしていると音々は再びココアを持ってきた。

「お待たせしましたなのです。って、ガイさんは何処へ?」

 

「えっ?」

 

 店の中を見渡してみるも・・・確かにガイの姿が見当たらなかった。

 

 

 

 

~~ガイ~

「まさかあの2人がスパークドールズを持ってるとは思わなかったな」

 

 別の宇宙でかつて起きたっていう大きな戦いではほぼすべてのウルトラマンと怪獣がスパークドールズになってしまったこともあったらしいが、ウルトラマンギンガさんの活躍でその封印が解除されたってことまでしか俺も知らない。何らかの手段で再度スパークドールズになったり、そのまま戻らなかったりするものもあるらしいが・・・なんせ俺もスパークドールズの実物を見たのは数えるほどしかないのでそんなに知識はない。

「さてとあいつらは3時間ぐらいって言っていたが・・・たぶんもっと早いだろうな」

 

 空から感じる悪しき気配が段々と近づいてきてるのが分かる。しかもそのスピードは段々と早くなっている。

「この辺に降りてくるまであと2時間もないだろうな」

 

「何があと2時間ぐらいなんだ?」

 

 後ろから聞き覚えのある声に振り返ってみると・・・予想通りジャグラーがいた。

「なぁ、いいだろぉ?俺にも教えてくれよぉ」

 

「わざわざ俺に聞かなくても分かってるんじゃないのか?」

 

「ふふ・・はっはっはっ!まぁなぁ!もうすぐ石化魔獣がやってくるんだろぉ?」

 

 やっぱり分かってるのに聞いてきてやがったか。相変わらず嫌な性格をしてやがる。

「石化魔獣をはやく倒したいんだろう。だったら手を貸してやろう」

 

「何?」

 

「こうすればいいのさ・・」

『ヒッポリト星人』

『ガグマ』

 

 ジャグラーの持つダークリングによって2枚の怪獣カードから力が解放されると、その2つの力は黒いエネルギー体のまま空へと飛んで行った。

「あのエネルギーを喰らってガーゴルゴンはより加速して地上へとやってくるだろうよ」

 

 こいつ、マジで余計なことをしてくれたな。

「ほら、はやく倒したいんだろう。もうすぐ来るぞ」

 

 怪獣の咆哮が空から響いてきた。どうやら先ほどジャグラーが放ったエネルギーを喰らってガーゴルゴンの降下速度が跳ね上がったようだ。

「ティガさん!」

『ウルトラマンティガ!』

 

「ウルトラマンさん!」

『ウルトラマン!』

 

「光の力!お借りします!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!スぺシウムゼぺリオン!』

 

 オーブ・スぺシウムゼぺリオンへと変身した俺は着地すると同時に空へ向けてスぺリオン光輪を投げつけた。

 

 

 

~~久遠~

 

 私達はガイを探して外を歩いていると雲くじら公園の辺りにオーブが出現したかと思えば、いつものように口上を述べることはしないまま空へと光輪を投げつけた。

「ガぁァ!!」

 

 その光輪は何かに叩かれてあっさりと砕けてしまうと・・・砕いた張本人が地上へと着地した。

「あれが・・・ガーゴルゴン」

 

 口の中に目がある不気味な外見に両腕から肩にかけて触手状の顔のようなものが生えている。怪獣というよりは『魔獣』という言葉が相応しいほどに禍々しい。

「予測より速過ぎる」

 

「おそらくは外的要因で地球への到着が早まったと思われます」

 

「外的要因?」

 

 ウールとサァラは予測よりも速過ぎることに驚いた反応をしている。もしかしてこの前の宇宙人みたいなのがガーゴルゴンに干渉したのかな。

「でもまぁ・・今はそんなことを気にしている余裕はなさそうかな」

 

「ダァッ!」

 

 オーブは石化光線を警戒してか中距離から光輪を手裏剣のように投げまくっていた。

「どうしてオーブはいつものように接近して戦わないのでしょうか?」

 

 ルルはいつもならもっと距離を詰めて戦うオーブに違和感を感じているようだ。

「たぶん・・いきなりガーゴルゴンが出現したことで非難が間に合ってないからだと思います」

 

 音々はオーブとガーゴルゴンが戦う辺りの地図をタブレットに表示する。そこは公園だけでなく、幼稚園や学校なども近い場所だった。

「今回はガーゴルゴンよりもオーブの方が先に出現したので、怪獣に驚いて逃げる人よりもオーブに反応して留まってしまった人達が多いはずなのです。きっとオーブはそのことを気にして、なるべくガーゴルゴンの注意を自分に惹きつけていると思われるのです」

 

 オーブのタイムリミットは3分ぐらいなのに周囲を気にして戦っていたら時間がなくなっちゃう。

「どうするのオーブ・・」

 

「デャァ!」

 

 マガグランドキングやマガパンドンの時に使っていたバリアを大きめに広げたオーブは紫の部分を発光させてガーゴルゴンとの距離を詰めるとバリア越しに腹部に強めの拳を叩き込んだ。

「デュゥゥゥゥゥワッ!」

 

 そしてマガパンドンの時と同じくバリア越しに空へと飛び上がりガーゴルゴンとともに山の方へと飛んで行った。

「確かにあれなら人を気にせず戦えるのです」

 

「私達も追いかけよう!」

 

 私達は急いで千佳さんの車でオーブとガーゴルゴンのあとを追いかけると・・・トンネルを抜けたところで2本角の赤いオーブが胸のランプを点滅させているのが見えた。

「ストビュゥゥゥゥム!バァァストォォォ!!」

 

 オーブは火球をガーゴルゴンへと放つとガーゴルゴンは口の中にある目玉から光線を放ってその火球を石の塊へと変えた。

「・・・っ!?」

 

 まさか火球までもが石にされるとは思ってなかった様子のオーブは後ろの方にいる私達に視線を送ると今度は青くトサカが2つある姿へと変わった。

 

 

~~ガイ~

 

「ストビュゥゥゥゥム!バァァストォォォ!!」

 

 俺はストビュームバーストを放つとガーゴルゴンは口の中にある目から光線を放ってきた。あれがおそらくあいつの石化光線ってやつだろう。だけど流石に火球までは石にはできないだろう。・・・そう思った矢先のことだった。

「・・・っ!?」

 

 予想に反してストビュームバーストはあっさりと石へと変えられてしまった。危なかった。もしストビュームダイナマイトで接近していたら間違いなく石にされていた。

「・・・・」

 

 後ろを振り向くとやっぱり久遠たちが追いかけてきていた。こうならないために黙って出てきたってのに。

「ジャックさん!」

『ウルトラマンジャック!』

 

「ゼロさん!」

『ウルトラマンゼロ!』

 

「キレの良いやつお願いします!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!ハリケーンスラッシュ!』

 

 オーブ・ハリケーンスラッシュへと姿を変えた俺はオーブスラッガーショットをガーゴルゴンの目に目掛けて飛ばす。しかしガーゴルゴンは口を閉じてしまい、こちらの攻撃は目に当てることはできなかった。

「オーブスラッガーランス!」

 

 飛び道具で無理なら武器を使って勝負にでようとオーブスラッガーランスを手にする。そしてすぐさまレバーを1回スライドさせてスイッチを押した。

「オーブランサーシュート!」

 

 目を閉じてる隙ならば石化されないと判断した俺はランスから光線を放って怯ませ、爆煙で姿を隠しつつ一気にガーゴルゴンとの距離を詰めてランスを突き刺した。

「ビックバンスラスト!!」

 

 内部にエネルギーを注いで内側から破裂させるこの技で一気に決めようとした瞬間、ガーゴルゴンは再び目を見開いた。

「っ!!」

 

 俺はランスを蹴って深く刺し込みつつも後ろへと跳び下がる。

「もう1度光の力!お借りします!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!スぺシウムゼぺリオン!』

 

「スぺリオン光線!!」

 

 スぺシウムゼぺリオンに変わると同時にランスも光となって消えていく。そしてランスが刺さっていた腹部目掛けてスぺリオン光線を放った。

「ガァァァァァァァァ!!」

 

 ガーゴルゴンの石化光線と俺のスぺリオン光線がぶつかり合う。こちらの光線が少しづつ石にされてしまっているが、未だ放ち続けているため石にされてる部分を壊しつつもこちらの光線はガーゴルゴンに届いていた。これならきっと押しきれる!

「デュァ!!」

 

 俺はさらにスぺリオン光線の威力を強めてスパートをかける。するとガーゴルゴンは目を閉じて石化光線を放つのを止めた。

 

 

 

~~杏~

 

「デュァ!!」

 

 オーブの必殺光線とガーゴルゴンのなんでも石にしてしまう光線がぶつかり合う。数秒ぐらいぶつけ合ってオーブの光線がガーゴルゴンに当たり始めたら・・ガーゴルゴンは光線を撃つのをやめた。

「ガーゴルゴンが光線をやめた!チャンスだよオーブ!」

 

 きっと疲れて撃てなくなったんだと思った私はオーブに向かってそう叫んだ次の瞬間・・・

「えっ・・」

 

 ガーゴルゴンはこちらの方に首を向けて目を見開いた。ガーゴルゴンは確かにオーブへの攻撃をやめた。だけどガーゴルゴンは直接オーブを攻撃するんじゃなくその後ろにいる私達に狙いを変えた。オーブは街の人を守るためにわざわざ山奥へと戦う場所を変えた。だからこそガーゴルゴンはオーブが私達を庇おうとするのを見越して直接狙うのをやめたんだ。

「早くこの場から・・・」

 

「ガァァァァァ!!」

 

 久遠たちにそのことを話そうとするよりも早くガーゴルゴンはオーブの光線を受けつつも私達に石にする光線を放ってきた。するとオーブは光線を放つのをやめると私達を庇うように両手を広げた。

「ディァァァァァァ!?」

 

「オーブ!!?」

 

 私達を庇って光線を受けてしまい・・・オーブの身体が少しづつ石になっていく。

「シャット・・ダウン・・プロテクトォォォォォ!!」

 

 残る力を振り絞ったオーブはガーゴルゴンを光のバリアで包み込んで動きを封じると赤く点滅していた胸のランプの光がなくなる。

「・・・・」

 

 エネルギー切れになったオーブは完全に石になってしまう前にその姿を消してしまった。

 




ウルトラヒーロー大研究

ウルトラマンオーブ・ハリケーンスラッシュ
属性・槍(ヤリ)属性

 ジャックさんとゼロさん、武器を扱う2人の戦士からキレのある力をお借りした姿がハリケーンスラッシュだ。エネルギーの刃「オーブスラッガーショット」の2つを変化させた「オーブスラッガーランス」という槍を駆使した槍術を得意とする形態だ。

石化魔獣ガーゴルゴン
属性・土属性

 あらゆるものを石化させて、そのエネルギーを奪い取る凶悪な宇宙怪獣。それがガーゴルゴンだ。どんなものでも石化させてしまう光線や触手状の顔で噛みついてきたりと戦闘力が高いだけでなく、知能もかなり高いんだ。



次回「Aの指輪/2人で1つ」

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