~~ガイ~
SSPのリーダーらしい徹という男と久遠に引っ張られるかたちで喫茶店へとやってくると・・・瑠々と名乗っていた少女が4~5歳ほどの少女に拾ったぬいぐるみを手渡していた。
「はい。ぬいぐるみですよ」
「ありがとう!お姉ちゃん!」
どうやらチラシで熊のぬいぐるみがここにあることを知って母親とともにやってきたらしい。この短時間でホームページだけじゃなくチラシも作ってくれてるとは。
「ありがとうございました」
母親もお礼を言いつつトリコリを後にすると俺はカウンター席に座らされた。
「で?どうだ?SSPに協力してくれるか?」
「そもそもSSPってのはいったい何をやってるんだ?」
「あぁ。その説明をしてなかったな。サムシングサーチピープル通称SSPは人類には到底できない超常現象や怪奇現象を調査したりしているんだ。最近はそれらの原因だったりした怪獣事件を追っている感じってわけだ」
なるほど。だから行く先々でこいつ等がいたってわけか。
「あんちゃんは『専門家』だから怪獣に詳しいんだろ?俺達は怪獣の知識がさっぱりだからその知識を分けてもらえればと思ってな」
徹は『専門家』の部分を少し含みのある言い方で俺の怪獣に関するそれを知りたいと告げてくる。こいつもしかして・・・俺の正体に気づいているのか?
「・・・・」
他の連中の表情から察するに俺がオーブだと気づいてるのはこいつだけ。久遠は疑ってるけど確証はないって感じか。ならここは『専門家』ってのをこのまま通すのが無難だな。
「俺はSS・・・」
「失礼するさせてもらう」
SSPに協力しないと言おうとすると・・・スーツの女性とゼットン星人から助け出した少女が喫茶店へと入って来た。
「SSPの皆様にお嬢様を助けてもらったことを聞き、この場に来ることができない旦那様の代わりにお礼を伝えにきた」
「え?お嬢様・・・?」
「お嬢様の名は姫山杏(ひめやまあんず)。姫山財閥の令嬢だ」
久遠は助け出した少女が姫山財閥のお嬢様だと聞いて「信じられない」とでも言いたげな表情をしている。・・・というかこいつそのお嬢様の前だってのに態度デカくね?
「・・・なぁ、俺あちこちを旅してたんで世間に疎いんだけど姫山財閥ってのは?」
「姫山財閥。簡単に説明すると国際企業の団体でテレビ局、芸能事務所とかエンタテイメント企業・・・色々な事業をしてる財閥なのですよ。まさか助けてたのがその令嬢だったんて・・・」
徹の妹は財閥の令嬢を助けていたことに驚いて反応に困っていると・・・杏は前へと出る。
「それでも助けられたのは事実。感謝する」
SSPのメンバー達に杏は深々と頭を下げてお礼を告げる。
「お礼なら俺達じゃなく、そっちのあんちゃんと嬢ちゃんに言ってくれ。あんちゃんが宇宙人相手に時間を稼いでくれたおかげで嬢ちゃんがあんたを連れ出して・・・俺らはその後を任せられただけだったんだからな」
「なんと。そうだったのか。2人ともありがとう」
「私からも礼を言う。私が習い事から抜け出すお嬢様を逃してしまったばかりに迷惑をかけてしまった」
習い事を抜け出したら捕まったのかよ。というかスーツの女の口ぶりからして頻繁に抜け出してるな絶対。
「申し遅れた。私は宗山千佳(むねやまちか)。大まかにいえばお嬢様のボディーガード兼教育係のようなことをしている」
つまり・・・監視役ってことか。わんぱくなんだな、そのお嬢様。まるでアンジェリカみたいだな。
「・・・・」
「どうしたんだあんちゃん?」
「あ、あぁ・・。何でもない」
あの杏ってお嬢様がアンジェリカにそっくりでついつい昔のことを思い出しちまった。
「・・・名前を教えてくれないか?」
「ガイ。白金ガイだ」
「・・・やっぱり・・」
え?やっぱり?
「後日改めてお礼を言いたい。いったいどこに住んでおるのだ?」
「俺は家を持たずにあちこち旅をしてるんだ。それで・・・」
「それでしばらくはここに居候するらしいから安心してくれお嬢様」
話に割り込んできた徹は杏にそう告げる。
「お前、勝手に・・・」
「そうか!ならまた近々来るとしよう!」
勝手に決められたことを信じた杏は千佳とともに喫茶店を後にする。
「あのなぁ・・・勝手に決めるなっての」
「いいじゃねぇか。とりあえず今は行く当てがないんだろ?」
「そりゃまぁ・・そうだが・・」
長居するとどのタイミングでバレるか分からん。断りたいところだが・・・
「音々、確か俺の部屋の隣って開いてたよな」
「片付ければ大丈夫だと思うのですよ」
何か外堀が埋められてる。
「えと・・妹の方・・」
「まだ名乗ってなかったですね。妹の音々なのです」
「音々だな。覚えた。・・・それで音々、お前はいいのか?こんな見ず知らずな奴を居候させるんだぞ?」
「私も怪獣たちの名前や生態が知りたいのです。色々教えてほしいのです」
はぁ。・・・駄目だなこりゃ。逃げ場がない。とりあえず2~3日居座ってみるか。
~~ジャグラー~
ゼットン星人ヌワルギがハイパーゼットンデスサイズを使役してウルトラマンオーブと交戦して丸1日経過した。まぁ俺にとってそんなことはどうでもいいのだが・・・そいつを利用していた者が俺の探していたカードを所有している人物だと判明し、俺はその宇宙船に忍び込んでいた。
「地球の『アイドル』と呼ばれる者共に人が集まることに注目したメトロン星人は連絡不能となっているな。今現在他に動いている計画はあるのか?」
惑星侵略連合のリーダーメフィラス星人リダルホは部下たちに今現在動いている計画を尋ねると、スラン星人が挙手をする。
「今現在・・という訳ではありますが、もう数週ほどで以前から製作していた兵器が完成する予定です」
「ほぅ。あのカードの力を利用して作っていたアレがか」
リダルホとあのスラン星人の口ぶりからしてそれなりのレアカードのようだが・・・生憎俺が欲しいのはリダルホのもつ黒の王のカードだけだ。
「えぇ。ですのでそのテストも兼ねて、次の作戦には是非ともこの自分に・・」
「その前に・・・そこにいるもの。出てきたらどうだ?」
ほう・・。完全に隠れるつもりはなかったとはいえ、俺の存在に気づくとは・・・。確かに惑星侵略連合のリーダーをやっているだけはあるな。
「てめぇ!何者だ!!」
ナックル星人は腰の銃を引き抜くとその銃口をこちらへと向けてくる。
「おぉ怖い怖い」
隠れるのを辞めて両手を挙げながら前へと出る。まぁ、そんな銃なんぞ俺には当てることなどできないが・・・今は動きやすいように下手に出よう。
「惑星侵略連合の皆さん初めまして。ジャグラス ジャグラーです」
「ジャグラー・・だと・・。貴様があの・・」
スラン星人は驚いた反応をする。どうやら俺の名もそれなりに知れ渡っているようだな。まぁ当然と言えば当然だが。
「で?何でこの中に入ってきやがった?」
銃口を向けたままのナックル星人はそう問いただしてくる。まずは本当に黒き王のカードを持っているか確認するためにもお近づきになろうとしているというのを演じておくとするか。
「皆さんのお仲間に加えてもらえればと思いまして・・」
さあ、惑星侵略連合の侵略を開始しよう。
~~久遠~
ガイがトリコリで居候をし始めて2日後、徹さんは音々とガイを連れて最近話題になっている森へと向かおうとしていたので私もそれに同行した。
「迷いの森ねぇ・・」
「あぁ。この森に入った多くの人が帰ってくることはないって曰く付きの森だ。周辺住民の話じゃこの上空でUFOを目撃したって人も多い。だから帰ってこない人は宇宙人に攫われたって話も出てるんだ」
なんでもその森に入り行方不明となったのは今年に入ってから既に5人いるらしく、その中には土地開発のために調査に赴いた役所の人までいるとのことだ。
「まぁそれはいいんだが・・・」
ガイはちらりと後ろの方を見る。そこには・・・
「お嬢様、足元に注意してください」
「このぐらい何ともない。千佳は心配しすぎ・・・のぉ!?」
何故か杏と千佳さんも一緒に着いてきていた。木の根に躓いてこけてしまいそうになった杏はガイに受け止められる。
「大丈夫か杏?」
「う、うむ。また助けられてしまったな」
「それはいいんだが・・・。何でついてきたんだ?」
「こんな面白そうなこと・・ついて行きたくなるに決まっておろう!」
やっぱり面白半分かぁ。ガイなんて露骨に面倒くさそうな顔をしているし。
「済まぬ。小生も止めたのだがそれでも行くと・・・」
「それで千佳も同行させるという形で互いに妥協したのだ!」
確かに落としどころとしてはその辺りが妥当かな。
「はぁ・・・。しょうがない。はぐれるんじゃないぞ杏」
「うむ!」
お嬢様だからといって態度を変える気のないガイは杏に注意を促す。杏もそれに頷くとガイの横に並んで進み出した。というかアレ近すぎない?隙あれば手を繋ごうと右手を動かしてるし。
「・・・・・」
「睨みつけるように見て・・・2人が気になるのかい嬢ちゃん?」
「べ、別にそんなんじゃ・・っ!」
「でもまぁ確かに引っかかるところはあるよな。あんちゃんの方はほぼ初対面みたいな反応をしているのに、お嬢さんの方はまるで以前から知っていたかのような接し方をしている」
そう。私もそれが気になっていた。確かにガイは杏が知り合いにそっくりだったような反応をしていたけど、すぐに別人だと判断していた。なのに杏はガイを知っているような態度・・というより半ば自分のものような感じで接している。
「杏はガイのこと・・・何か知ってるのな?」
杏にそのことを尋ねようとすると、白い衣装を着た見知らぬ女性が数メートル先にいたことに気づいた。
「貴方もこの森に・・・あれ?」
その女性に声をかけようとすると・・・その女性は目の前からいなくなっていた。
~~ジャグラー~
惑星侵略連合に加入して2日が経過した俺は・・・暇つぶしにナックル星人とガッツ星人の2人と怪獣ポーカーをしていた。
「へっへ~ん!風属性と土属性の2ペアだ!」
「負けたか・・」
「ちょっと待った・・」
ナックル星人はリトラとメルバの風属性2枚にゴルザとテレスドンの土属性2枚の2ペアを見せてきたので俺は自分の手札を1枚ずつ見せる。
「レッドキング。キングジョー。キングオブモンス。エレキングにキングゲスラ。キングのファイブカード」
「はぁっ!?そんなのアリかよ!?」
「マジかよ・・・」
ガッツ星人がガクリと肩を落とすとナックル星人は勢いよく立ち上がった。
「てめぇ!どんなイカサマしやがった!!」
「イカサマなどしていませんよ。運が良かっただけです」
「しらばっくれるな!!」
ナックル星人が銃を抜こうとしたので俺も刀を抜き、首に突きつける。
「私の刀とあなたの銃。どちらが早いですかね?」
俺の刀は既にナックル星人の首に当たるか当たらないかの距離。ナックル星人の銃は頭の辺りではあるが引き金を引かれても避けられるな。
「・・な、何も本気じゃねぇよ」
怖気づいた様子のナックル星人は銃口を下げる。するとガッツ星人はコツコツとナックル星人の肩を突いた。
「あん?なんだよ?」
「モニター見ろよ。森に侵入者がいるぜ」
「・・・ほぅ」
俺もそのモニターへと視線を向ける。そこには最近よく見かける人間達3人に加えてオーブ・・・ガイの姿もあった。
「ん・・。あれは・・」
スーツの女は知らないが・・・もう1人の小さなほうには見覚えがあった。あの顔・・・確か100年ぐらい前に・・。まぁあいつがまだ生きているはずもないし、ただのそっくりな奴だろう。
「それで・・・あの侵入者どもはどうするのです?確かこの森には確か人間が一度足を踏み入れると出られなくなる幻惑装置があるのでしたよね?」
「決まってんだろ!!そうやって忍び込んだ奴を檻の中で追い回す人間狩りをするんだよ!」
「今回は7人か。俺も行くとするか」
ガッツ星人も出撃すると立ち上がると・・・ナックル星人はモニターを再度確認する。
「1、2、3・・・どうみても6人だろ」
「気づいてないのか。あの奥にある石碑みたいなところに白い服のがいるだろ」
「何怖いこと言ってるんだ?どこにもいないじゃんか」
どうやらナックル星人にはあの女は見えていないようだ。
「・・・な、なんか今日はやめとくわ。お前代わりに行けよ」
「え?1人で7人は面倒くさいっての。お前も出ろって」
なんだこいつ等は。たかが人間の幽霊1人程度にビビりやがって。それで本当にこの星を侵略しようとしている連中か?
「ならばここは私が・・」
役に立ちそうにない2人を見限った俺は席を立って宇宙船の外へと出るとダークリングと2枚のカードを取り出した。
~~久遠~
「だからきっと幽霊だって!」
「久遠さん。流石に幽霊は非科学的なのですよ」
先ほど見た女性のことをみんなに話すと理系よりな音々は幽霊である可能性を否定した。
「ですがここに潜む宇宙人が見せた幻という可能性はありますね」
音々が宇宙人が見せた幻ではないかと考察していると怪しげな輝きとともにカタツムリの顔をした逆三角の翼を持つ怪獣と大蟻のような怪獣の2体が現れた。
「えっ!?2体同時!?」
「凍結怪獣ガンダーと超獣アリブンタか・・」
「いったいどんな怪獣なのです?」
ガイは2体の怪獣の名前を告げると音々はそれを尋ねる。
「時間がないんで簡単に説明するが・・・カタツムリっぽいのがガンダー。零下140度の冷凍ガスを出せる怪獣で蟻っぽいのがアリブンタ。普通の怪獣よりも強い超獣であの手からは色んなものを溶解させちまう酸を出すことができるんだ」
「どっちもかなりヤバいかな・・・」
「解説は以上!とっととここを離れろ!」
「う、うん!・・・ってあれ?」
2体の怪獣がこちらに気づいて迫って来たので私達は走り出すと・・・またすぐガイとはぐれてしまった。
「兄さん!ガイさんがいないのです!」
音々もガイがいなくなったことに気づいて徹さんにそれを伝える。そして徹さんは少し考え込んだ。
「あんちゃんなら大丈夫だろ。怪獣ならきっと・・・」
大きなものが着地するような揺れが伝わってくる。
「オーブが何とかしてくれるからな」
上を見上げるとそこには2体の前に向かい立つオーブがいた。
~~ガイ~
久遠たちに避難するように告げた俺はすぐさまあいつ等から離れてオーブリングを取り出す。
「ウルトラマンさん!」
『ウルトラマン!』
「ティガさん!」
『ウルトラマンティガ!』
「光の力!お借りします!」
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ!スぺシウムゼぺリオン!』
「俺の名はオーブ。闇を照らして悪を撃つ!」
オーブ・スぺシウムゼぺリオンへと変身した俺はガンダーとアリブンタの前に着地して口上を述べた。するとアリブンタは蟻酸を手から飛ばしてきた。
「っ!スぺリオン光輪!」
それをバリアで防ぎつつもスぺリオン光輪を飛ばすと、ガンダーは冷凍ガスでスぺリオン光輪を凍らせた。
~~久遠~
「まさかエネルギーの塊である光輪が凍らされるなんて・・」
音々はスぺリオン光輪が凍らされて地面に落下したことに唖然としている。
「オーブの技があっさりと凍っちまうんだからな。近くにいなくて良かったぜ」
徹さんの言う通り・・・この距離でも冷凍庫に手を入れたぐらいの冷気が伝わってくるんだから、あの近くにいたら半袖で北極を歩くようなものだったかもしれない。
「デュアァ!?」
私達が寒さの心配をしているとアリブンタは爪で引っかいたり角で突きつけたりをしながらもオーブに酸を浴びせていた。
「デュ・・デュぁぁ・・っ」
酸自体ではそれほどダメージはないようだけど・・・その酸から発せられるニオイがキツイらしく苦しむような反応をする。
「デュっ!?」
そこにガンダーによる冷凍ガスが浴びせられ、オーブは足元が凍らされて身動きができなくされてしまった。
「・・・ッ!!」
身動きができなくなっているオーブが光に包まれたかと思うと・・・周囲には熱気が伝わった。
~~ガイ~
「デュっ!?」
ウルトラマンってのは全体的に冷気に弱い。もちろん俺も寒さに強いほうではない。ガンダーとアリブンタは思いの外連携が取れているせいで俺が足元が氷漬けにされて身動きができなくされてしまった。こういう時は熱いので氷を溶かすのがセオリーだな。
「タロウさん!」
『ウルトラマンタロウ!』
「メビウスさん!」
『ウルトラマンメビウス!』
「熱いヤツ頼みます!」
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ!バーンマイト!』
「ストビュゥゥゥム・・・バァァストォォォ!!」
オーブ・バーンマイトへと変わった俺はアリブンタが放った火球をストビュームバーストをぶつけることで爆風消化の用量で打ち消すと、その熱気で足元の氷を溶けた。
「どうだ?これが爆風消化ってやつだ」
身動きができるようになった俺はガンダーとアリブンタにダブルラリアットを決める。これ以上戦いを長引かせると久遠たちが危ないな。
「紅に燃えるぜ!!」
~~杏~
「ドラドラドラドラ!!」
両手に炎を灯して強く握ったオーブは燃える拳でカタツムリ顔の怪獣ガンダーに連続パンチを決める。
「っ!!」
蟻顔の方・・えとアリブンタって言ったか?ガンダーを助けるつもりなのか分からないけど連続パンチ中のオーブに酸を飛ばすと・・・オーブはその熱気で酸を蒸発させた。
「決めるぜ!ストビュゥゥゥム・・・ダイナマイトォォォォ!!!」
全身を炎で包んだオーブはガンダーを両手でがっちりと掴むと大爆発を起こした。巻き込まれなかったアリブンタはその爆風で尻餅をつくと・・・その爆煙からはあんな自爆っぽい技を使ったにも関わらず平気そうなオーブが青い姿になって出てきた。
「光を超えて闇を斬る!」
~~ガイ~
ストビュームダイナマイトでガンダーを撃破した俺はふと今朝読んだ雑誌で今日のラッキーカラーは青だったことを思い出した。せっかくだしここは青い姿で決めにかかるか。
「ジャックさん!」
『ウルトラマンジャック!』
「ゼロさん!」
『ウルトラマンゼロ!』
「キレの良いヤツお願いします!」
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ!ハリケーンスラッシュ!』
「光を超えて!闇を斬る!」
「・・・っ!」
青い姿、オーブ・ハリケーンスラッシュに変わった俺はオーブスラッガーショットを飛ばすと、アリブンタは真似をするかのように自身の角を触る動作をする。
「オーブスラッガーランス!」
そしてそれを手の前で回転させてオーブスラッガーランスへと変えると、やはりアリブンタはその動作まで真似をしていた。
「・・・?」
「お前じゃ真似はできないぜ」
真似をできないことをはっきりと言ってやった俺は瞬間移動で距離を詰めるとランスのレバーを3回スライドさせてスイッチを押す。
「トライデントスラッシュ!!」
残像を残すほどの連続斬りでアリブンタを斬りつける。そしてトドメに下から大きくランスを振り上げてアリブンタを空へと打ち上げた。そして空へと打ち上げたアリブンタが爆発すると俺の足元の近くで戦いを見ていたジャグラーが歩き去っていってしまった。
~~久遠~
オーブが2体の怪獣を撃破してから1時間が経過した。無事にガイと合流できたまでは良かったんだけど・・・
「おかしいなぁ。確かこっちの方から森に入って来たはずなんだけど・・」
気がついたら道に迷ってしまっていた。
「たぶんこれはこの森から出られないように細工をされてるな。同じところをグルグルしてるぞ」
サンドイッチを食べながらも森を見渡したガイはいつの間にか木に目印となる傷をつけていたようで、同じところを何度も通っていたことに気がつく。
「そんな!どうすればいいのですかガイさん」
「その装置をぶっ壊せば出れるとは思うが・・・その装置がどこにあるのかまでは俺にも分からないな」
「そんな・・・それじゃあどうやって出ればいいのです?」
このまま遭難したままじゃいずれここに潜伏してる宇宙人たちに見つかって行方不明となった人々と同じ末路になってしまう。そうじゃなくても餓死してしまう。そう慌てていると先ほど幽霊を見かけた辺りに大きな石があることに気がついた。
「これは・・?」
「どうやら石碑のようですね。玉響姫・・・たぶんこの場所、下に古墳があるのですよ!」
石碑に書かれていた文字が読めた音々は下に古墳があることを知ると「大発見です!」とテンションを上げた。
「このことを伝えたら土地開発はなくなると思うが・・・どうやって出るかだな」
「電波もなければGPSも機能しない」
千佳さんはスマホで位置情報を確認しようとしたけど、やっぱり電波も遮断されてしまっているらしい。
「はぁ・・万策尽きたかなぁ」
あれ?そう言えばさっきから杏がしゃべっていないような・・
「・・・のう久遠。も、もしかして先ほど言っていた幽霊ってのは・・・あれのことか?」
杏は青ざめた顔で石碑の後ろを指さす。そこには先ほどの白い衣装の女性がいた。
「ひ、ひ、ひ・・非科学的なのですよ」
「・・・・・」
宇宙人が見せた幻だと考察してた音々も流石に怯えていると・・・その女性はゆっくりと右を指さした。
「まさか・・そっちが出口ってこと」
「・・・・」
半透明な女性は私の問いに頷く。
「どうするんだい嬢ちゃん。罠かもしれないぞ」
「信じて・・・みるしかないかな」
なんとなくだけど・・・。あの女性からは悪意を感じないし。
「俺もあいつを信じるのには賛成だ」
「ガイがそう言うのなら・・」
ガイも女性を信じることに賛成をすると、杏たちからも同意を得た。
「それじゃ・・・行くかな・・」
私達は慎重に女性が指さした先へと進んでいくと・・・先ほどまで途切れる場所が見えない深い森だったはずなのに、空間が途切れるかのようにいきなり森の外へと出れた。
「おぉ!出られたぞ!!」
杏たちが無事に森の外へ出られたことを喜ぶ中、ガイはゆっくりと消えていく女性に視線を送っていた。
「ねぇガイ。もしかしてあの人って・・・」
「あぁ。古墳の石碑に刻まれていた玉響姫・・・だろうな」
やっぱり。きっと玉響姫は行方不明になった人たちがどうなったか知ってて・・・私達を逃がしてくれたんだと思う。
「謎を解明するつもりが・・・むしろ謎が増えちまったな」
徹さんの言う通りだ。結局のところ宇宙人の仕業ってのはほぼ確定なんだけど、何の目的でそんなことをしてるのかとか、杏がやたらガイになついてる理由とか・・・結局今回は何も解決することはなかった。
ウルトラヒーロー大研究
ウルトラマンオーブ・スぺシウムゼぺリオン
属性・輝(キラメキ)属性
ウルトラマンさんとティガさんの光の力をお借りして変身する姿オーブ・スぺシウムゼぺリオン。パワーとスピードのバランスに優れた形態でスぺリオン光輪やスぺリオン光線などの光線技が得意な姿でもあるんだ。
アリブンタ
属性・土属性
大蟻超獣のアリブンタ。溶解液である蟻酸を口から出したり、両手から炎を放ったりする厄介な怪獣だ。今回はジャグラーがダークリングと怪獣カードを使用して実体化させたんだ。
次回「人物紹介part1」