ウルトラマンオーブ 天かける星の祈り歌   作:彩花乃茶

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 TV本編ストーリーは今回でLASTですが、本作はもう少しだけ続きます。


さすらいの太陽

~~徹~

 

「やっぱり開かないな。・・・ん?なんか焦げ臭くないか?」

 

 崩れてきた瓦礫に車が埋もれてしまうも奇跡的に無事だった俺と音々はここから抜け出そうとドアを開こうとするも瓦礫が邪魔をして開けずにいた。それどころか何処からか焦げ臭いニオイまでしてきた。

「何処かで火事が起きているのかもしれないですね」

 

 このままあぶり焼きにされちまう可能性があるってことかよ。

「さっきからこの車、ガソリンが漏れてしまっていますから一気にドカンと言ってしまう可能性もあるのですよ」

 

 それは・・・本当に最悪なパターンだ。

「あぁ・・・誰か気づいて助けに来てくれ。」

 

 

 

~~ガイ~

 

「ぐ・・・ぐぁ・・ぅぅ」

 

 身体の痛みを我慢しつつも立ち上がる。久遠がジャグラーに斬られてから何分ほど俺は意識を失ってしまっていたのだろうか。

「久遠ッ!」

 

 辺りを見渡すも久遠の姿がない。だが久遠が斬られた場所には1つのマトリョーシカが不自然に置かれていた。俺はそれを手に取って開いてみると、中から人形が飛びだしてきた。

『ジャ~ン!ガイ君に素敵なお知らせです!久遠はまだ生きている。俺達は第三浮島にいる。来ないと斬る。今度こそ本当にだ』

 

「久遠・・・ッ!」

 

 人形をその場に捨てた俺はすぐさま第三浮島へと走り出した。

 

 

 

 

 

~~音々~

 

「二十年後の俺へ・・。大事なのは未来じゃない。1日1日を一生懸命生きることだ」

 

 車が瓦礫に埋もれてしまってから数時間後、兄さんは自分で未来に自分に対してビデオレターを残そうと撮影しだしたのです。

「だからみんな・・今日を・・今を大切に生きてくれ」

 

 いえ・・この撮影は自分のためではなく残されるみんなのため・・・つまりは遺言なのです。

「兄さん・・・ごめんなさいなのです。私がもっと近づかないかと提案しなければこんなことには・・・」

 

「お前はマガタノオロチを何とかしたい一心で提案したんだろ。謝るようなことじゃないっての」

 

 兄さんが謝ることじゃないと言ってくれましたが・・・このままでは本当に20年後なんてこないのです。

「このメッセージが誰かの未来に残せたら・・・それは生きてる証を残せたってことだろ」

 

 未来に残す・・・。その単語を聞いて私はある考察をしたのです。

「風土記は禁断の書・・・」

 

 禁断の書・・・未来。私はそのキーワードを頭に刻みつつマガタノオロチのページを開いたのです。

「兄さん、なんでこの書にはまだ生まれたばかりのマガタノオロチのことが記されているのです?」

 

「・・・なるほどな。そういうことか」

 

 兄さんも記されていた理由に察しがついたようなのです。

「思えば太平風土記はおかしなところがあったのです。たくさんの怪獣のことが記されているのにそれぞれの怪獣の年代や出現した土地がバラバラなのですよ」

 

「だけどこいつの著者はたった1人ときたもんだ。話を聞いて回ったにしては細かすぎるどころか、今現れた怪獣まで書かれてるのとなると・・・真実は1つだな」

 

「この太平風土記は未来の事も記されている書だということなのです」

 

 過去や未来それを視ることができた人物が記した書。それが太平風土記なのです。

「これはミサイルでマガタノオロチが目覚めることが記されていたのです」

 

「これが予言ってことは・・この先どうなるんだ?」

 

 私は次のページを開いてみたのです。

「『陽に向かひ、清浄な気を持ちしもの。オロチの邪気を阻み、鬼門となりたり』・・・そう書かれてるのです」

 

「陽に向かい清浄な気を持つもの?」

 

 兄さんは清浄な気を持つものとは何のことなのかを考え込んだのです。

「陽に向かい・・・もしかしてあれじゃないのか?あのマガオロチの時に踏みつぶされちまっていた神木」

 

 ご神木・・。確かにそれは陽に向かい清浄な気を持っているはずなので可能性はあるのです。私は急いでタブレットでご神木がマガオロチに踏みつぶされてしまうシーンを確認すると・・・ご神木のしめ縄がマガオロチに踏まれてしまうシーンが撮影されていたのです。

「オロチの邪気を阻み、鬼門となる。・・・邪気を・・・そうなのです!きっとそこが弱点なのですよ!兄さん!すぐにサイトを更新してください!!」

 

 

 

 

~~久遠~

 

「あれ?ここは?」

 

 ジャグラーに斬られたかと思って意識を失っていた私が目覚めると・・・私は椅子に座らされていたかな。

「・・・・」

 

 少し先にはこちらに背を向けているジャグラーがコーヒーを飲んでいたかな。

「今なら・・・」

 

 今なら逃げることができるかもしれない。そう思った私は静かに席を立つと、目の前には先ほどまで座ってコーヒーを飲んでいたはずのジャグラーが立っていたかな。

「このシュワシュワコーヒーっての、正直微妙だな」

 

 ジャグラーは飲んでいたコーヒーに微妙という感想を述べながら刀を肩に担ぐ。

「人間を守るために俺は強くなれる・・・みたいなこと言ってたなあいつは。細かいことは忘れたが要するにだ。あいつの強さの秘密はお前とアンジェリカそっくりの杏とかいう奴だ」

 

「だから何かな?」

 

「それがあいつの弱点でもある」

 

 そう言いながらジャグラーは私に刃を向けてくると・・・そのタイミングでガイが来てくれたかな。

「久遠!!」

 

「私は大丈夫!それよりもマガタノオロチの方を・・・」

 

 遠くの空を観るとマガタノオロチと戦うBRGのジェットスピーダが次々と撃ち落されているのが見えた。こうしている間にも多くの被害が出てしまっているかな。

「陽炎の太刀!」

 

『リミッター解除』

 

ヤクトワルトとルディアンもジェットスピーダと一緒に挑んだけどあっさりと負けて姿を消してしまった。はやくオーブが行かないとさらに被害が拡大してしまうかな。

「そうはさせないよぉ、お前にマガタノオロチは倒せない。そしてこの女も救えない。お前が愛したこの地球はもうすぐ消えてなくなるんだ」

 

 ジャグラーはそう言いながら私を掴んで前へと突き出した。ガイをゆさぶる気だ。

「くっ・・ジャグラー!!」

 

「俺とお前は色々なものを一緒に観たな。ダイヤモンド新生の爆発も黄金の銀河に浮かぶオーロラも・・・。だがそんな思い出はいずれ消える。星屑のように・・・何もかも消えるんだ」

 

 そういったジャグラーは刀の剣先をガイの方へと向けた。

「唯一永遠なものが分かるかガイ?・・・それは何もない暗黒だよ。お前の中にも俺の中にも誰の中にもある闇だ。埋まらない心の穴なんだよ」

 

「闇は永遠じゃない。唯一永遠なもの、それは愛だ」

 

 涙目になりながらも語るジャグラーにガイは愛こそが永遠だと反論したかな。

「この宇宙を回すもの。それは愛なんだ。暗闇の中に瞬いている希望の光だ」

 

「おい!おい!!おい!おいぃ!!今更愛や希望なんてのでこの状況が何とかなるとでも思ってるのか?・・・俺が何もかもぶった切ってやるよ」

 

 ジャグラーは刀をまた私の方に向けてきたかな。

「好きなだけ刀を振り回してればいいかな。・・・ガイ、聞いて。もし私が死んでも自分のせいだなんて思わないで欲しいかな。1年ぐらいだけだったけど私はガイと過ごせて幸せだった。私、ガイのことを忘れない!」

 

「何勝手なこと言ってるの久遠!」

 

 聞き覚えのある声に反応して振り向いてみると、そこには杏が立っていたかな。

「杏・・どうしてここに?」

 

「久遠のGPSを辿ってきたの。ジャグラー!あなたは埋まらない心の穴って言ったよね。穴の部分が闇なら、穴になってない部分は何?」

 

 杏が的を射た発言をするとジャグラーは動揺したように刀を揺らす。

「お前ら黙れ・・黙れ。黙れぇぇぇぇッ!!」

 

「あっ、危ない久遠!!」

 

 ジャグラーが刀を振り上げた瞬間、マガタノオロチによって撃墜されたジェットスピーダがこっちの方に落ちてきた。

「久遠!杏!」

 

 ガイは私と杏の方へと墜落してくるジェットスピーダから私達を助けようと駆け出したけど、落ちてくる方が早かったかな。

「・・・・っ!?」

 

 私は目を瞑ると爆発音が間近で響いて熱さを感じた。これで死んでしまったんだと思うとあのヴィジョンの更に続きが見えた。

「ハァ・・・ハァ・・」

 

 あの爆炎から助けてくれたのは・・・他でもないジャグラーだったかな。胸に三日月の傷をつけてしまってまで助けてくれたジャグラーは私が目を覚ましたことに対して笑うところでそのヴィジョンが終わった。

「・・・やっぱりあのヴィジョンの人って」

 

 目を開けるとジャグラーが墜落してきたジェットスピーダから私と杏を庇ってくれていたかな。

「杏の言う通りお前の心にはまだ光が残っている。お前なんだろ・・・アンジェリカを助けてくれていたのは」

 

 アンジェリカ?私が見えてたのはアンジェリカの記憶だったの?

 

 

~~ジャグラー~

 

 100年ほど前のあの日、マガゼットンの放った光弾で巻き起こった爆炎がガイの大切な人だったアンジェリカを包み込もうとしていた時、俺は無意識のうちに身体が動いてしまっていた。

「ハァ・・・ハァ・・」

 

 気がつくと俺は魔人としての姿で爆炎からアンジェリカを救い出し、あまつさえ心臓が止まっていたそいつに命の樹の力を分け与えて蘇生させた。

「誰だか分からないけど・・ありがとう・・」

 

 意識を取り戻したアンジェリカは微笑んでいた。だが何で助けたのか自分でも訳が分からなくなった俺はすぐにそこから逃げ出していた。

「その後で知ったよ。アンジェリカが命の樹の力で無理やり蘇生された代償として記憶を無くしちまってたことをな。弱いものをほっとけないのがガイの弱点だ。何故・・・俺も同じことをしちまったんだろうな」

 

 光を捨てて闇の道を生きるって決めてからも・・・どうしていつもこうなんだろうな。ガイを仕留めきれないは俺をストーキングしてくるあの女を傷つけられないわ、アンジェリカを助けちまうわ。光はおろか闇にもなりきれてねぇじゃんか。

「ジャグラー・・ッ!」

 

 ガイは俺を掴みあげると頬をぶん殴って来た。

 

 

~~杏~

 

「ジャグラー・・ッ!」

 

「「えっ・・」」

 

「・・・ありがとう。アンジェリカを救ってくれて」

 

 ジャグラーを掴みあげてぶん殴ったガイは何故かジャグラーを抱きしめた。私と杏は唖然としているとガイはお礼を言った。

「2人を頼む」

 

 ガイはジャグラーに私と久遠を任せることを伝えるとマガタノオロチへと走っていってしまった。

 

 

 

~~徹~

 

「・・・・・」

 

「おい音々!しっかりしろ!」

 

 何処からか発生している火災のせいで煙が車内に入ってきて・・・その煙を吸ってしまった音々の意識が失われてしまっていた。

「・・・くそっ・・ここまでか」

 

 俺の意識も朦朧としてくる。このままくたばっちまうのかと思っていると・・・フロント部分に覆いかぶさる瓦礫が取り払われて陽の光が見えた。

 

 

 

~~ガイ~

 

「ウルトラマンさん!」

『ウルトラマン!』

 

 オーブリングにウルトラマンさんのカードをリードすると、ウルトラマンさんが俺の左側で低空飛行をする。

「ティガさん!」

『ウルトラマンティガ!』

 

 続けてティガさんのカードもリードすると、右側でティガさんが低空飛行を始めた。

「光の力・・・お借りしまぁぁぁぁす!!」

『フュージョンアップ!』

 

 オーブリングを空へ突上げるとウルトラマンさんとティガさんが俺へと重なる。

『ウルトラマンオーブ!スぺシウムゼぺリオン!』

 

「シュァ!!」

 

 オーブ・スぺシウムゼぺリオンへと変身した俺は空へと飛び上がりマガタノオロチの元へと向かうと、マガタノオロチは俺に気づくなり光線を放ってきた。

「オォォ・・ッ!」

 

 俺は光のバリアを鏡にしてその光線を屈折させてはじき返し、無事着地するとすぐさま光輪を作り出す。

「俺の名はオーブ!闇を照らして・・・悪を討つ!」

 

 口上を述べながらスぺリオン光輪を投げつける。その光輪はマガタノオロチの口で受け止められ、せんべいのようにかみ砕かれてしまった。

「スぺリオン・・・アタック光線!」

 

 両腕から発生させたエネルギーを右手かららせん状の光線として放つも、その光線は光弾によって打ち消されてしまった。

「シュァ!!」

 

 これまでの魔王獣を全て同時に相手にしているような怪獣だが、もう負けるわけにはいかない。絶対にこの地球を守り抜いてみせる。

 

 

~~徹~

 

「あぁ・・・助かったぁ~」

 

 サイトを更新したおかげで現在地が特定され、俺と音々は無事BRGの救助部隊によって助け出された。

「BRG日本支部代表の黒沢朧だ」

 

 黒沢朧って・・・久遠の伯父だっていう人か。

「さっそくですまないが至急尋ねたいことがある。先ほどこのサイトで更新されていたマガタノオロチの弱点となる部分、清浄なる気というのをもう少し詳しく教えてくれ」

 

「わ、分かったのです」

 

 黒沢代表に詳しく教えてほしいと頼まれて、音々の代わりに俺が語ろうとすると・・・音々が意識を取り戻した。

「大丈夫なのか音々?」

 

「手当を受けたから大丈夫なのです」

 

「・・・すまん。今は時間が惜しいんだ。すぐに病院へと搬送させるので、弱点となる部分を教えてくれ」

 

「マガオロチが地球に照射したエネルギーが完全体へと進化したものがマガタノオロチと過程するのです。ですがこの動画に写るご神木の部分だけ清浄なる気によって、そのエネルギーが届いていなかったとすると・・・」

 

音々はタブレットでさっきの動画をもう1度再生する。

「おい!怪獣のニュートム図を見せろ」

 

「はい!・・・どうやら首の下の一点が別の物質で構成されているようですね」

 

 首の下の物質が違う。・・・そこが弱点になってる可能性が高いってことか。

「お前達のおかげで希望ができた。協力に感謝する。・・・救護班!この2人の手当をした後、なるべく安全な病院に搬送してやってくれ」

 

「了解。・・・こちらへ」

 

 俺と久遠は救護部隊によって案内されるまま歩き出した。

 

 

~~杏~

 

「オォォォォ・・シャァッ!!」

 

 2本角の赤い姿になったオーブは空中で回転をしながら全身に炎を纏ってマガタノオロチへと跳び蹴りを叩き込んだ。その一撃でマガタノオロチは炎に包まれたけど、身体を大きく揺さぶってその炎を消火して触手を伸ばしてきた。

「ストビュームカッター!」

 

 その触手を三日月型の炎の刃で切り裂いたオーブはトサカが2つある青い姿に変わったら両手を合わせて前へと突き出す。

「ハリケーンフロスト!」

 

 合わせた手の先から冷気を放ってマガタノオロチを凍らせたオーブはすぐに聖剣を持つ本当の姿に変わった。

「銀河の光が我を呼ぶ!」

 

 オーブは聖剣で竜巻を巻き起こして凍りついているマガタノオロチを攻撃しようとすると、そのタイミングで氷が砕けて竜巻はマガタノオロチに食べられてしまった。

「・・・何なんだよ。何がしたいんだよ・・・俺」

 

 後ろから自暴自棄になって座り込んでるジャグラーの声が聞こえた。

「貴方がいなかったら・・・私は・・私達は生きていなかったかな」

 

座り込んでいるジャグラーに久遠がそう告げた。

「私からもお礼を言うよ。私のオリジナルを・・・アンジェリカを助けてくれてありがとう」

 

「オリジナル・・。お前やっぱりそうなのか・・」

 

 ジャグラーも薄々は私がクローンだってことは気づいていたっぽい。

「はぁ・・アンジェリカだけじゃなく、あいつの血筋まで救っちまうなんてな。どうすりゃいいんだよ・・俺はよぉ」

 

「ならいっそ・・この地球を救っちゃえばいいんじゃないかな」

 

 久遠がジャグラーに提案する。・・・てか何言ってるの?

「オーブに勝ちたかったんでしょ?今戦わないとそれすらも敵わなくなっちゃうかな」

 

「・・・そうだね。オーブだけじゃ敵わないけどあなたと力を合わせれば・・」

 

 オーブとジャグラーが一緒に戦えばきっとマガタノオロチを倒せる。そう信じながら私と久遠はジャグラーに手を差し伸べた。

 

 

 

~~ガイ~

 

「オォォ・・・シュァ!!」

 

 オーブカリバーのリングを高速回転させて押し付けて攻撃する。だけどそれも大したダメージにはならずに噛みつき攻撃をカリバーで受け止め、押されてしまう。

「オォォ・・ッ!!」

 

 カリバーが触手で弾かれてしまい、俺は肩を噛みつかれてエネルギーを食われてしまう。すぐに逃れることはできたがエネルギーが減らされたせいでカラータイマーが赤く点滅し出してしまった。

「・・・グッ・・」

 

 消耗しきっている俺にマガタノオロチは光線を放とうとしてくると・・・光り輝く斬撃がマガタノオロチを斬りつけて、転倒させた。

「・・・ジャグラー・・」

 

 その剣が振り下ろされた先へと視線を向けると・・・ビルも切り裂かれていたようで、ビルも倒れる。そのビルの後ろには巨大化した魔人態のジャグラーが立っていた。

「・・・・」

 

 ジャグラーは俺の前へと立つと後ろを振り向かないまま俺に手を差し伸べてくる。・・・一緒に戦ってくれるんだな、ジャグラー。

「ッ!」

 

 俺はその手を掴んで立ち上がるとジャグラーと並び立つ。するとマガタノオロチは2人へと向けて光弾と雷撃を放った。

「シュァ!!」

 

「ハァっ!」

 

 オーブカリバーで円を描いてバリアを展開してその攻撃を防ぐと、ジャグラーは俺を飛び越えてマガタノオロチに刃を振り下ろした。

「フンッ!ドォォォォ・・ゾォォ!!」

 

 マガタノオロチはジャグラーへと向けて雷撃を放とうとしたので俺はカリバーでその雷撃を受け止める。そしてカリバーでその雷撃をからめとるとそれをマガタノオロチに叩き返した。

「・・・ッ」

 

 雷撃を返した衝撃で周囲に砂煙が舞う。今の一撃はそれなりに手ごたえがあったが・・・どうだ?

「「っ!?」」

 

 砂煙の中から飛び出てきたマガタノオロチは自身の身体に雷撃を纏わせて俺達に体当たりをしてきた。その強襲を避けきれなかった俺達はその場に転倒してしまい、トドメを刺されると思った瞬間・・・BRGの戦闘機が一斉にマガタノオロチの顎の下を狙って攻撃し出した。

 

 

~~誠司~

 

 オーブのピンチに脱獄したジャグラーが加勢する少し前。私は朧からマガタノオロチの弱点とそれを知った経緯を聞かされた。

「なるほど。それで顎の下が弱点だと判断したわけか」

 

『ですがやる価値はあるはずです』

 

「・・・そうだな。久遠の仲間を・・久遠の友人たちを信じよう。戦闘部隊は全機発進準備を急げ!」

 

 久遠の仲間を信じることを決めた私は残っている戦闘部隊を全機発進させる準備を急がせる。

「作戦名は・・・ウルトラ作戦一号!」

 

 

 

~~ガイ~

 

 BRGの戦闘機が一斉にマガタノオロチの顎の下へと攻撃を集中させると、その部分がえぐれて何やら光る部分が見えた。

「オーブ!徹さん達から連絡があったの!その顎の下がマガタノオロチの弱点かな!」

 

「そこが不完全になっているらしいの!!」

 

 久遠と杏によるとどうやらあの光る部分がマガタノオロチの弱点なようだ。

「シュァ!」

 

「ハァっ!」

 

 俺とジャグラーは同時に駆け出すとマガタノオロチは近づけまいと光弾を放ってくる。俺達はそれを跳び越えるとマガタノオロチの弱点へと光と闇、それぞれの輝く拳を叩き込んだ。その一撃で弱点となった部分がつぶれるとマガタノオロチはかなりのダメージだったようでもがくように暴れ出した。

「よし、奴にありったけの光線をぶち込んでやれ。・・ぬぉっ!?」

 

 ジャグラーの言葉に頷いた瞬間、マガタノオロチは触手を伸ばしてジャグラーを自身へと引き寄せる。

「ぬぁぁっ!?」

 

 そしてジャグラーの腕に噛みつくとまるで俺に撃たせまいとするかのようにジャグラーを盾にしてきた。

「っ!」

 

「俺と一緒に撃て!」

 

 俺はジャグラーを助けようとオーブカリバーを拾い上げると、ジャグラーは自分に構わず撃てと告げてきた。

「撃てぇぇぇぇっ!!ウルトラマンオォォォブぅぅぅ!!」

 

「・・・ッ!!」

 

 ジャグラーの覚悟を受け取った俺はオーブカリバーを構える。

「諸先輩方、光の力お借りします! 」

 

 インナースペースで俺は8枚のカードを取り出すと、オーブカリバーでその8枚に宿る光の力を解き放つ。すると俺の右側から順にべリアルさんにゼロさん、マックスさんとティガさんの4人が並び立つ。真ん中に俺、ウルトラマンオーブが立ち、反対側の左側にはゾフィーさんにセブンさん。タロウさんにウルトラマンさんが並び立った。

「オーブスプリーム・・・」

 

 俺がオーブカリバーに光の力を溜めながら空に光の円を描くと、諸先輩方も必殺光線を撃つ構えを取った。

「カリバァァァァァ!!」

 

 オーブスプリームカリバーを放つと同時に諸先輩方も一斉に光線技を放つ。そしてすぐさま俺は両腕を十字に重ねてオリジウム光線も放った。

「・・・フッ。あばよ」

 

 ジャグラーが最後にそう言い残すと・・・一斉に放たれた光線がマガタノオロチへと直撃してルサールカでの爆発ほどの大きな爆発が巻き起こる。

「・・・・・」

 

 爆煙が晴れると・・・そこにはジャグラーの刀が地面に突き刺さっていた。マガタノオロチの姿はない。無事勝利できたようだ。

「「やったぁぁぁぁっ!!」」

 

「・・・シュワッ!」

 

 爆発の圏外だったところから久遠と杏の喜びの声が響いてくる。それを聞いた俺は夕陽へ向かって飛び去った。

 

 

 

~~久遠~

 

 マガタノオロチとの戦いが終わり陽が沈もうとしている頃、私と杏はガイと向かいあって話をしていた。

「私さ、少し前から気づいてたかな。ガイが星から来た人だって」

 

 でもそれは怖くて言い出せなかったんだ。もしそれを言ってしまったらガイが何処かに言ってしまいそうで。

「・・・そうか」

 

「ねぇ、もしかしてもう行っちゃうの?」

 

 杏はガイの背にはまとめられた荷物を見ながら尋ねると、ガイは頷いた。

「あぁ。最後の魔王獣マガタノオロチは倒したからな」

 

「・・・そう・・なんだ」

 

 私も杏も『一緒に連れていって』と言い出したかったけど、言えば迷惑になってしまうと思って言うのを我慢した。

「安心しろよ。一旦故郷に帰って魔王獣を全部倒したって報告してくるだけだ」

 

 ガイはそう告げると私達の頭に手を乗せて撫でた。

「でも・・・本当に帰ってきてくれるの?」

 

「・・・なら、これを預かっててくれ」

 

 腰のホルダーを外したガイは私にそれを預けてきたかな。

「えっ・・?これって大事なものなんじゃないのかな?」

 

「大事なものだから預けるんだろ。・・・杏はこれを預かっててくれ」

 

 杏にはいつも大事に持っていたハーモニカを預けたかな。

「・・・必ず返させてよね」

 

「あぁ。・・必ずな」

 

 ガイは私達に約束をしてくれると夕陽へと向かって歩いていったかな。

「きっとまた・・・近いうちに・・」

 




ウルトラヒーロー大研究

ウルトラマン
属性 光属性

 栄光の初代ウルトラマンであるウルトラマンさん。怪獣退治の専門家と言われ、光の戦士の基本技であるスぺシウム光線を極め文字通り必殺技の域にしている御方だ。ウルトラ兄弟2番目の戦士として宇宙の平和を今も守り続けているぞ。

マガタノオロチ
属性 全属性

 超大魔王獣マガタノオロチ。全ての魔王獣の頂点として君臨していたマガオロチが産み落とした怪獣でマガオロチを遥かに上回る力を持っている。ジャグラーと地球のみんなの協力がなければ倒せなかった恐ろしい怪獣だ。

次回「人物紹介part5」

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