ウルトラマンオーブ 天かける星の祈り歌   作:彩花乃茶

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 新作は予定より遅れて12月になってしまいそうです。


復活の超大魔王獣

~~ガイ~

 

 ジャグラーとの激闘の末何とか勝利してから数日後の夕暮れ時、突如として3体同時に地中から怪獣が現れた。

「光を超えて、闇を・・・!?」

 

 俺はハリケーンスラッシュへと変身した俺は3体の中心に降り立ってオーブスラッガーランスを構えようとすると、3体の怪獣は一斉にその場に倒れた。

「・・・死んでる」

 

 ランスを地面に突き刺した俺はテレスドンの手を取って脈を確認すると、テレスドンは既に脈を停止させていた。

「・・・・・」

 

 俺はまだ瞳孔を開いたままのテレスドンの目を閉じさせながら他に倒れていたデマーガとゴメスも確認をしてみる。

「こっちもか・・」

 

 デマーガとゴメスもやはり息を引き取っていた。見たところ外傷はなく争ったような痕跡はないようだが・・・いったい何があったんだ?

「これも未だ地中にいる禍々しい闇のせいなのか?」

 

 オーブの変身を解いた俺は怪獣に触れてみる。闇の気配のようなものは感じ取れないが・・・怪獣たちからはマガジャッパのような悪臭が漂っていた。

 

 

~~久遠~

 

 

夢を見ていた。また最近よく見る夢だ。ゼットンのような姿をした青く輝く怪獣と光り輝く戦士・・・オーブが戦う光景だ。

「オォォシュァ!」

 

「ゼェェトン」

 

 私はお姫様のような恰好でオーブの戦いの行く末を見守っていると、ゼットンは火球をオーブへと放った。

「オァッ!?」

 

「きゃぁぁぁぁっ!?」

 

 火球がオーブに直撃すると、その爆炎がこちらにも飛んできて私も炎に包まれようとした瞬間・・・

「ッ!!」

 

 誰かが私を抱えて炎から連れ出してくれた。

「・・・あ、貴方は・・・」

 

 意識が途切れかけている私が見たのは乱れた前髪で顔が見えにくくなっている男の人だった。

 

 

 

「またおかしな夢を見たかな」

 

 トリコリで居眠りをしていた私は目を覚ますなりそう呟いた。

「寝癖が酷いぞ。眠りの乙女さん」

 

「えっ・・・う、うん」

 

 私はガイに言われて寝癖を直しながらもあの夢のことを思い出す。

「ねぇガイ。オーブとゼットンとの戦いのヴィジョンのことは前に話したよね?」

 

「あぁ、それがどうしたんだ?」

 

「今さ、その続きを夢で見たの」

 

 夢で続きを見たことを告げるとガイは目を見開いた。

「どんな夢だったんだ?」

 

「あのね、私が炎に包まれて危なくなった時に誰かが私を助けてくれたの」

 

 

「そうか・・・。まぁ夢だろうからお前はそんなに気にするなよ」

 

「うん。私も夢だって割り切れるんだけど・・・この寒さは割り切れないかな」

 

 現在は7月中旬、夏真っ盛りな時期なはずだというのに外は雪が降り注いで窓の向こうには雪景色が広がっていたかな。

「俺は少し出てくる」

 

 ガイは未だ雪が降る外へと出て行ったかな。たぶん事態が動くまで待つのが嫌で外をパトロールするために出歩いてるんだと思うかな。

「それにしても7月に雪だなんて・・・季節外れにもほどがあるのですよ」

 

 こんな異変が起こり始めたのはオーブがジャグラーを倒した翌日からかな。最初は少し寒いかなと思ってた程度だと思えば・・・翌日には雪景色になってしまうほどの雪が降ってしまっていたかな。

「学者の間でも原因が不明なようで・・・Twitterでも天変地異の前触れだとか、遅れてきたノストラダムスだとか囁かれたりしてるのです」

 

「前触れ・・・というのは間違っていません」

 

 音々の言葉に以外にもウールが反応したかな。

「眠り続けてた闇が目覚めようとしてる」

 

「眠っていた闇?もしかしてそれがこの雪とか昨日怪獣が地上に出るなりぶっ倒れたのと関係があるのか?」

 

 徹さんがサァラに質問するとウールとサァラは肯定するように頷く。

「関係があるのは間違いありません。膨大すぎる闇の力は周囲にも大きく影響を与えていますから」

 

 まだ目覚めてないのにそんなにも膨大な力って・・。

「まるでRPGとかの魔王が復活しようとしてるみたいですね」

 

「「・・・・」」

 

 木村の些細な一言でウールとサァラが静まり返ってしまったかな。案外的を射てたのかもしれない。

「もしかして目覚めようとしているのは魔王獣ですかね?」

 

瑠々はふと思い出したように魔王獣という怪獣の種類の名を口にする。魔王獣・・・それは1年前にオーブが戦っていた太平風土記に記されているほど強力な怪獣たちのことかな。昔光の巨人たちが封印していたようで、その封印が解けてしまった4体とオーブが戦ったかな。

「オーブが戦って倒したのは風の魔王獣マガバッサー。土の魔王獣マガグランドキング。水の魔王獣マガジャッパ。そして火の魔王獣マガパンドンの4体なのです」

 

 音々はタブレットにオーブが撃破した4体の魔王獣を表示する。だけどオーブが倒したのはこれだけじゃない。

「オーブは100年ぐらい前に光の魔王獣マガゼットンも倒してるよ」

 

 いきなり私達の会話に割り込んできたのは杏だ。そういえば杏はゼットンをやたらと怖がっていたりマガゼットンのことを知ってたりしてたけど、オーブが倒したことも知ってたんだ。

「倒したとは・・・どうして100年も前のことを知ってるのです?」

 

「姫山財閥の情報力を舐めちゃだめだよ。そこんとこは確かな情報だから」

 

「まぁ、姫山財閥の情報なら・・・」

 

 みんなも情報源が信用に足るものなのでオーブが既にマガゼットンを倒したことを信用したかな。

「となると残っているのは・・・」

 

「闇の魔王獣か」

 

 魔王獣は6の属性で6体存在しているらしいし、情報が何もないのはそれだけかな。

「闇のと考えると色々と繋がりそうなのです」

 

 ウールとサァラは地中の『闇』と言っていた。だとすれば・・・

「闇の魔王獣マガタノゾーアもかつてオーブが倒したと聞かされてる」

 

 サァラは既にオーブがマガタノゾーアも倒していることも教えてくれた。だとすれば結局その闇ってなんなんだろう?

「あとはもう・・・乃理達だよりかな」

 

 

 

 

~~乃理~

 

「8月にも関わらず冬のような寒さとなっている日本。続々と飛び去るUFOの群れ。日本近海から次々と姿を消す海の怪獣たち。そして相次ぐ地底怪獣たちの死。これは地球滅亡の前触れなのだろうか?終わりの始まりの地、それが日本なのだとしたら・・・」

 

 扇のナレーションを終え、私はマイクを握る。

「幾多の怪獣たちを記している太平風土記、その原本がこの町の郷土資料家の元に保存されていると判明した。私達はその原本を拝見させて貰おうと資料家の元へと向かう事にしたのだ!きっとまだ見ぬページに滅亡を逃れるヒントがあるに違いない!」

 

「すみません姉上、バッテリーが切れています」

 

「おい!」

 

 せっかくここまで歩きながら撮影をしてたのに無駄になってしまった。既に資料家の自宅は目の前だと言うのに・・・。

「お前らしくないな扇。何時もならバッテリーはきちんとしているだろう」

 

「そうですね。・・・流石に僕も原本を拝見できるとなると少し緊張しているようです」

 

 大概のことは卒なくこなす私の弟も緊張するのだな。

「まぁ緊張するのは仕方がない。では入るとしよう」

 

「はい姉上」

 

 私達は郷土資料家の元へと入ると・・・客室にて待つように言われて和室の客室で少し待っていると資料家の奥さんである高坂秋音(こうさかあきね)さんがやってきた。

「待たせてごめんなさいね。なにぶんこの寒さだからいつもより厚着をしちゃって・・」

 

「あの・・・ご主人である高坂宗次教授はどちらに?」

 

「あら?ご存じないの?主人は先々月亡くなりました」

 

 そんな・・・既に亡くなっていたとは。

「私達は太平風土記を拝見させてもらいに伺ったのですが・・・」

 

「主人はこう言い残していました。太平風土記は禁断の書。悪戯に公開すればこの世を恐怖と混乱に陥れると」

 

 恐怖と混乱か・・。これはそう簡単には風土記を拝見させてはもらえなさそうだな。

「然るべき時が訪れるまで決して公開してはならないと」

 

「然るべき時・・・ですか?」

 

 教授の言い残していた『然るべき時』とはいったいいつのことなのだろうか?

 

 

 

~~誠司~

 

 東京で魔人となって暴れた宇宙人を捕えたという報告を受けてから一週間後、私は急遽日本支部へと足を赴けていた。

「朧、ここにいるのだな。私に会って話がしたいという宇宙人が隔離されているのは」

 

「・・・ッ」

 

 日本支部の責任者である朧は無言のまま頷く。ここに来た理由は1つ、我々の組織で一番偉い人物に話があると言ってきた宇宙人・・・ジャグラスジャグラーという男と直接会って話をするためだ。

「BRG最高司令官の白神誠司だ。君の名前は聞いているよ、ジャグラスジャグラー。君が私を呼んだ理由を聞こう」

 

「もうすぐ最後の魔王獣である超大魔王獣が復活する。復活の地は8つの地脈が集中する東京の聖地。滅びの時は3時間後に迫っている」

 

 超大魔王獣。その復活が3時間後だと?!

「その話を信用しろと?」

 

「随分余裕だな。既にその前兆は起きているだろう」

 

 確かに前兆のようなものはある。地球から逃げるように去っていく数多くの円盤に突如として地上へと現れた怪獣たちが即座に命を落としたこと。昨日は地盤沈下によってビルが幾つか沈んでしまったとの報告も受けている。証拠はあるがそれでこいつを信用するにはまだ至らない。

「今すぐ手を打たなければ大変なことになるぞ」

 

「何故お前が私達にそんなことを教える?」

 

「こんなところでくたばるわけにはいかないからだぁ!!」

 

 ここで死ぬわけにはいかないと騒ぎだしたジャグラーに電流が浴びせられる。手荒な真似はしたくないが状況が状況だ。

「8つの地脈が集まる地と言うのは・・・」

 

「ご報告します。東京タワー周辺にてビルが沈んでいるとの報告が・・」

 

 このタイミングで東京タワーの周囲が・・。ジャグラーの言ってる地脈が集まる場所というのは東京タワーと考えるのが妥当だな。

「以前ウルトラマンオーブに倒されたマガオロチは幼体に過ぎない。あの時奴は地底にその命を託した。間もなく地球そのものを蛹としてその名は・・・」

 

 

 

~~音々~

 

『番組の途中ですが、臨時ニュースです。たった今政府は観測史上最大級の怪獣災害が起こる可能性があると首都全域に非常事態宣言を発令しました』

 

 臨時ニュースでアナウンサーがそう告げたかと思えば、久遠さんの伯父でありBRG日本支部の代表である黒沢さんの会見が始まったのです。

『マガタノオロチ。地球を脅かす恐ろしい怪獣であり、現在起きている異常現象の数々は全てこの怪獣が出現する前兆であることが分かりました』

 

 マガタノオロチ・・・まさかそんな魔王獣が残っていたなんて知らなかったのです。臨時ニュースが入る前に戻って来たガイさんもウールさんとサァラさんもその名までは分かっていなかったようで驚きの表情をしているのです。

「久遠、BRG日本支部の場所を教えてくれ」

 

「え?」

 

「たぶんBRGの連中にマガタノオロチの事を話したのはジャグラーだ。あいつが人類に手を貸すとは思えない。きっと何か裏があるはずだ」

 

 

~~誠司~

 

 マガタノオロチに対して対策本部を立ち上げた私達は東京の観測データを至急集め始めた。

「東京直下5000メートル。地熱の急激な上昇を確認、一万度を突破します」

 

「地球の中心核よりも高温だと?」

 

 朧は東京の下が地球の中心核よりも高温になっていることに驚いていると更なる情報が入ってくる。

「新たに周辺ビルの沈下を確認。上空には異常な嵐が・・・」

 

 避難誘導もまだ終了してない段階でこれか。いったいどうするべきか・・。

「ヤクトワルトとルディアンというメカ怪獣を操る双子と連絡が付きました。マガタノオロチが覚醒してしまった場合出撃するとのことです」

 

「そうか・・・」

 

 朧の知り合いであるあの侍の巨人とメカ怪獣を操る双子も動いてくれるようだが、動けるのはあくまで復活した場合だ。復活の阻止には至らない。

「スパイナーR1・・」

 

 誰かの声がボソリと聞こえてきた。スパイナーR1、それはこの日本支部で開発中の新兵器でBRGが所有する装備で最高火力のミサイルのことだ。

「スパイナーR1か。確かにあれを遣えば復活を阻止することができるかもしれないが、東京のど真ん中での使用は危険すぎる」

 

「総司令の言う通りだ。第一まだ東京の人の避難も完了してないのだぞ」

 

「ですが我々には日本だけでなく地球を守らねばならぬ義務があります!」

 

 朧の部下の1人が進言してくる。守る義務・・・か。

「朧、東京の避難を更に急がせてくれ。2時間・・・いや、1時間半だ」

 

 地球を守るため・・・私はスパイナーR1を発射する決意を固めた。

 

 

~~乃理~

 

「天のいかずちに似たる矢、悪しき気を持ちてオロチ蘇えらせたり」

 

 持ち出して来てきてくれた木箱を開いた高坂さんはマガタノオロチについて書かれていることの一部を告げてくる。そして高坂さんはマガタノオロチのページを開いてこちらへと見せてきた。

「持ってお行きなさい」

 

「え?でも然るべき時がと・・・」

 

「然るべき時が来たらこれを貴方達SSPに渡してほしい。それが主人の願いでした」

 

 高坂教授が・・・。

「何で私達のことを知って・・?」

 

「年寄りを舐めるんじゃないよ」

 

 ノートパソコンを開いた高坂さんはその画面を私達に見せてくる。

「最近はマシなサイトになってきたようだね」

 

 その画面には私達SSPのサイトが表示されていた。

「扇・・。私は今最高に嬉しいのだが・・」

 

「えぇ、僕もです姉上。・・・こんなに嬉しいのはいつぶりか分からないほどに」

 

 私達はサイトを閲覧してくれていた人に出会えたことに感動していると、高坂さんは風土記を私に手渡してくれた。

「ほら、時間がないよ。SSP、出動」

 

「「・・・了解!」」

 

 高坂さんの号令のもと、私達はマガタノオロチが復活しようとしている東京タワー周辺へと向かった。

 

 

~~ガイ~

 

 臨時ニュースを視てから1時間後、総司令の娘である久遠のおかげで俺はジャグラーとの面会が許可された。

「久遠、お前はここにいろ」

 

「うん。気を付けてね」

 

 ジャグラーが捉えられている部屋の前に久遠を残し、俺は1人で中へと入る。

「よぉ、面会に来てくれたのかい。嬉しいねぇ」

 

「どういうつもりだ?」

 

「あぁん?」

 

「何故BRGにオロチの出現を教えた?」

 

 いったいジャグラーは何を企んでいる?

「滅びゆく人間どもに真実を教えてやっただけだ。引き金を引くのは俺じゃない。人間自身さ。恐怖に駆られた人間ほど悍ましいものはこの世にない。一度は闇に囚われたお前なら分かるだろ?人間どもの力がマガタノオロチを呼び覚まして、この星を地獄に突き落とすのさ」

 

 

 

 

~~誠司~

 

「スパイナーR1。発射」

 

 BRGの車両を総動員して東京の避難誘導を急がせ、何とか一時間半以内に確認できるだけの住民の避難が完了されたのでスパイナーR1の発射される。

「着弾まで5・・4・・3・・2・・1・・。スパイナーR1、目標に命中」

 

「これは・・・」

 

「どうした?」

 

「爆発の熱エネルギーが地底の一点に集中していきます」

 

 地底に熱エネルギーが集中・・・エネルギーを吸収しているということか。

「まさかッ!」

 

 このエネルギーでマガタノオロチが・・・そう思った瞬間東京タワーからその上空に浮かんでいた暗雲へと黒い霧状のエネルギーが送られた。そして次の瞬間、赤黒く輝く雷とともに丸い身体に巨大な口が覗くワニのような顔の怪獣が現れた。

 

 

 

~~久遠~

 

「お父様!」

 

 ガイがジャグラーとの面会を終えるとすぐさま外へと駆け出して行ってしまうと、朧伯父さんがここよりは安全だといって対策本部へと案内してくれた。

「久遠、来たか」

 

「復活しちゃったんですね。マガタノオロチ」

 

 マガタノオロチは周囲のビルをその大きな口で噛みつき、それを食べながら前へと進み始めた。そして雷や火球で周囲の建物を破壊しつつ、竜巻でその破片を自身の元へと引き寄せてそれを食べだしたかな。

「アイツ、地球を食べ尽くす気か?」

 

 朧伯父さんの言う通り・・・まるで地球を食べ尽くそうとしてるような勢いかな。

 

 

 

~~ガイ~

 

 急いで基地の外へと出た俺は復活してしまったマガタノオロチの元へと向かい、近くからマガタノオロチの暴れっぷりを見上げた。

「これ以上お前の好き勝手にはさせねぇ!ゾフィーさん!」

『ゾフィー!』

 

「べリアルさん!」

『ウルトラマンべリアル!』

 

「光と闇の力!お借りします!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!サンダーブレスター!』

 

 サンダーブレスターへと変身した俺は空へ飛び上がると、急降下をしてマガタノオロチへと蹴り込もうとすると・・・マガタノオロチは俺に向けて角からレーザー光線を放ってきた。

「オォォォォ!!・・ㇴぁっ!?」

 

 マガタノオロチの光線に押し負けてしまった俺は地面へと落下するも、すぐに立ち上がってマガタノオロチへと立ち向かった。

「オォォォ!!」

 

 距離を詰めようとする俺に対してマガタノオロチは触手を伸ばしてくる。

「シュァ!」

 

 その触手を爪で引き裂きつつ、赤黒く輝く光の刃を飛ばして攻めると、その光の刃は火球によって相殺されてしまう。

「ダァッ!」

 

 続けて飛んできた火球を叩き落とすと即座に光線が飛んできた。

「ヴォォォッ!!」

 

 光線をゼットシウム光輪を盾にして凌いだ俺はその顔面にパンチをお見舞いした。

「ダァッ!オォォォ・・・ゼィ!!

 

 そしてワニのような口を掴もうとすると、マガタノオロチは至近距離から光線を放ってきた。

「グァ!?」

 

 それを避けきれなかった俺は地面に倒れてしまうと、マガタノオロチは俺も食べるつもりか噛みつこうとしてきた。

「っ!!」

 

 すぐさま顎を蹴ることで噛まれるのから避けた俺は即座に立ち上がって距離を取る。

「Zクロー・・・霞斬り!」

 

 爪に力を集中させて飛びかかり、すれ違い様に斬りつけようとしたが・・・触手によって両腕が縛られてその動きを止められてしまう。

「オォォォ!!ダァグぁ!?」」

 

 動きを止められても力ずくで斬りつけようとすると、光弾を受けて片膝をついてしまう。

「ッ!!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!サンダーストリーム!』

 

「サンダーストリームネプチューン!!」

 

 サンダーストリームへと姿を変えた俺は水を纏ってマガタノオロチへと突撃しようとすると、マガタノオロチは雷撃で纏っていた水を打ち払った。

「デュァ!」

 

 それでも俺はギガトライデントで突きかかろうとすると・・・マガタノオロチは口から強烈な悪臭を放ち、俺はその臭いにたじろいでしまう。

「ガァゥ!?」

 

 マガタノオロチはたじろいでいる隙を突いて噛みついてきた。

 

 

 

~~音々~

 

 太平風土記の原本を託された乃理さん達と合流した私と兄さんはオーブとマガタノオロチの戦いを見上げたのです。

「オーブ・・」

 

 オーブは数ある姿の中でも特に強力な鋭い目つきに赤黒い姿や鋭い目つきで青く槍を持つ姿で戦っているのですが・・・まるで歯が立っていないのです。

「兄さん・・・マガタノオロチに近づくことはできるですか?

 

「何言ってやがる音々!それがどんなに危険なことか分かってるのか!!」

 

 兄さんは近づくことが危険と分かってないのかと怒ってきたのです。まぁ、怒るのは当然なのです。

「危険なのは承知の上なのです。こんな無茶なことを言うのは私らしくないのは分かってるのです。だけど今の私達にはこの太平風土記があるのです。これで何かマガタノオロチの弱点が分かればこの状況を打破できるかもしれないのです」

 

「・・・分かった。乃理、扇。お前達はなるべく離れたところからマガタノオロチの撮影を続けてくれ」

 

「了解した。・・・音々、気を付けるのだぞ」

 

 そういった兄さんは自身の持っていたビデオカメラを扇へと渡すと、乃理さんは私に太平風土記を託してくれました。

「行くぞ音々!」

 

「はいなのです!」

 

 私は兄さんの運転する車へと乗り込み、さらにマガタノオロチへと近づくのです。すると噛みつきから逃れたオーブは大剣を持つ姿へと変わったのです。

「オーブスプリームカリバー!!」

 

 オーブは大剣から虹色に輝く光線を放ったのですが、その光線までも食しながらマガタノオロチはオーブとの距離を詰めてきたのです。

「ォァ!?」

 

 大剣に噛みついたマガタノオロチはまずかったのかそれを地面へと吐き捨てると、オーブはすぐさま足で顎を開こうとするのを押さえて地面にその顔を叩きつけたのです。

「オォォォ・・!!」

 

 オーブは顎を抑えたまま攻撃を続けようとすると、マガタノオロチは周囲に電撃を放って、オーブはすぐさま距離を取ったのです。しかしマガタノオロチはオーブが距離を取ろうとするのを見通していたようで、オーブの胸のクリスタル目掛けて光線を放ったのです。

「ァァ・・・」

 

 先ほどまで青かったオーブのタイマーが赤に変わると・・・そのまま光を失うとその場へと倒れてしまい、光となってそこから消えてしまったのです。

「オーブ?!・・・きゃぁぁっ!?」

 

 私達はオーブが敗れたことに驚いていると再び周囲のものを食べるために建物を壊さんとするマガタノオロチの光弾が近くのビルを破壊したのです。そのビルの瓦礫は私達の乗る車へと降り注ぎ・・・私と兄さんは瓦礫の下に埋もれてしまいました。

 

 

 

~~ガイ~

 

「ぐぁ・・・」

 

 マガタノオロチの一撃で変身が解かれた俺はその場に倒れると、基地から出てこの場へとやってきてしまった。

「ガイ!しっかりして!・・・きゃぁっ!?」

 

 駆け寄って来た久遠は俺に呼びかけてくると・・・久遠は背後から何者かに引っ張られて取り押さえられた。

「じゃ、ジャグラー・・」

 

 久遠を取り押さえたのはジャグラーだ。どうやらあの牢獄から脱出して、ご丁寧に身だしなみを整えて黒いスーツまで着ている。

「そうだガイぃ。しっかりしろぉ。実に、実に勇気ある戦いだった。だがまだ終わりじゃない。いや・・・終わらせない。本当の地獄はここからだ」

 

 そう言ったジャグラーは久遠へと刀を振り下ろした。

 




ウルトラヒーロー大研究

ウルトラマンオーブ・パワーストロング
属性 力属性

 ティガさんのパワータイプとダイナさんのストロングタイプ、2つの力強い力をお借りした形態こそが赤いパワフルボディのパワーストロングだ。その名の通り強力なパワーで相手をねじ伏せるぞ。

ゴルザ
属性 土属性

 超古代怪獣ゴルザ。頭部や顔の外側やのど元を覆う鎧のような皮膚が特徴的な怪獣だ。パワフルな外見通りパンチや頑丈な頭での頭突きを得意としていて、額から超音波光線も発射するぞ。


次回「さすらいの太陽」

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