~~久遠~
7月ガイがトリコリに出入りするようになってからちょうど1年が経つ今日もSSPは絶賛活動中だった。
「ほら!あそこなのです!」
「あぁ!」
ここ数日、各地でUFOが目撃されて動画サイトにも様々なUFOがまるで地球から逃げるように空に飛び去っていくのが映っていたかな。だから私達もそれを撮影できるかなと撮影準備をしていたら本当に飛び去っていくのが映っちゃったかな。
「乃理さん達も円盤が飛び去っていくのを撮影したようですし・・・いったいこの地球で何が起ころうとしているのですかね?」
「地球でヤバいものが目覚めようとしてるのに気づいて逃げたし始めたのかもな」
徹さんは地球にヤバいものがいるんじゃないかと心配していると、東の空からUFOが落下してくるのが見えたかな。
「行くぞ!」
私達はすぐに車に乗って墜落現場へと向かってみると珍しく早い対応をしているBRGが墜落現場の周囲を封鎖していた。
「朧伯父さん!」
「むっ・・久遠、やっぱり来たか」
現地に来ていた朧伯父さんに声をかけてみると、ここに来ると予想していた朧伯父さんはこっちに近づいてきたかな。
「ねぇ、何か見つかったかな?」
「会って早々に言う台詞か?まぁいい、至って普通の・・・というのはおかしいが過去何度も確認されているタイプの円盤だ。墜落理由は宇宙ゴミにぶつかって舵を取れなくなったからだろうな。動力部に何かがぶつかったような損傷もある」
宇宙ゴミで墜落しちゃうUFOって・・・。
「そして円盤の中にはこんなものも落ちていたんだ」
私達は朧伯父さんが見せてくれたトレイへと視線を向ける。
「これは・・・粉なのですか?」
そこには白い粉のようなものが入っていた。まさか薬物・・・ッ。
「あぁ、小麦粉だ」
「こ・・・小麦粉ぉ~」
予想のナナメ下過ぎたかな。
「部下が調べてくれたのだがこの小麦粉、どうやら地球上の麦ではないらしい」
地球上の麦じゃないって・・。
「そしてその小麦粉の近くにこのようなものも落ちていた」
朧伯父さんの合図で隊員の人が別のトレイを持ってきてくれたかな。
「これは・・・麺か?」
そこに入っていた麺を見た徹さんは微妙な反応をした。
「あぁ、ラーメンの麺だ。これにその小麦粉が付着していた」
「つまり何か?円盤に乗ってた宇宙人はその麺を土産に故郷に帰ろうとしてたってことなのか?」
「現場の状況的にはそうなるな。そしてこの麺の出どころと思われる店の名が・・」
徹さんの言葉に頷いた朧伯父さんは店の名前が書かれた割り箸袋には『ラーメン黒星』って書かれていたかな。
~~音々~
「ラーメン黒星というお店なんですが・・・ここに書かれていた住所の場所など存在しなかったのです」
翌日、私は久遠さんに店の名前である『ラーメン黒星』のすぐ下に書かれていた『東京都黒星町0番地』という住所が存在していなかったことを伝えました。
「存在しないって・・・どういうことかな?昨日は書き込みで『一度言ったら忘れられない店』とか『もう一度行こうとしてもたどり着けない店』って書き込みがあったって言ってたかな」
「そうなのです。そのたどりつけない店というのが気になって調べて気づいたのですよ。その住所はないけどあるのだと・・」
「・・・えと、どゆこと?」
「目に見えるものに囚われた考えでは辿りつけないということなのですよ」
「それで私を呼んだんだね。センパイ」
そういうわけで機材を持ってそうな杏さんと千佳さんを及びしてラーメン黒星の住所へと向かっていたのです。
「それにしても女子4人でラーメン屋ってのは珍しいかな」
「いやいや、千佳は『女子』って年じゃ・・・ごぅ!?」
音々さんが千佳さんからゲンコツを受けたのです。まぁ、今の葉音々さんが悪かったですけど。
「それにしても私、こんな感じに誰かとラーメン屋に行くの初めてなんだけど」
「実は私も初めてかな」
「あぁ、久遠ってボッチ・・・あ、いや、何でもないよ。本当に何でもないからその拳を下げて」
またも音々さんは言ってはいけないことを言ってしまったのです。
「まぁ・・・今回は許してあげるかな。ところで音々、黒星はどうやって探すつもりなのかな?」
「そうそう、何でこんなのを持ってきてなんて頼んできたの?」
杏さんはそう言いながら千佳さんが持っているケースから私の頼んだものを取り出してくれた。
「なにそれ?ゴーグル?」
「人間には見えない光を可視化するための装置なのですよ」
「えっ!これそういう道具なの?!」
光を可視化するための装置だと説明した途端に杏さんはそれを装着したのです。以前千佳さんにそのようなものがあると聞いていて良かったのです。
「うっわっ・・なんか波みたいなの見えるよ!」
「それが人に見えない光を可視化してる状態なのです。人の目は光を受容する感覚器であり、光の情報が中核神経の働きで視覚が生じるのです」
「へぇ・・・」
私の話を軽く聞き流した杏さんは周囲を見渡して前へと歩き出しました。
「確かそのラーメン屋の住所は黒星町の0番地だよね」
「そうなのです」
「ここの建物。黒星町0番地って付いてての上にはラーメン黒星って看板があるよ」
杏さんが指さした建物は・・・既に潰れて人気がまるで感じられない空き物件だったのです。
「ねぇ杏。本当にここなのかな?」
「いやマジだって!ほらっ!」
装置を外した杏さんはそれを久遠さんにパスすると、今度は久遠さんがそれを装着しました。
「黒星町0番地・・・ラーメン黒星・・本当だったかな」
ラーメン黒星が実在していたことに驚いた反応をしていた久遠さんは装置を千佳さんにお返しすると真っ先に御店に突入したのです。
「へいらっしゃい!」
「「「・・・・・」」」
久遠さんに続く形で店内へと足を踏み入れると・・・外の空き物件の外装とは裏腹に中は通常営業されている個人経営のシンプルなラーメン屋だったのです。
「アンタらも最後の船に乗るのか?」
「えっ?最後の船?」
最後の船とは何のことなのですかね?
「・・・悪い人違いだった。お前さん達は4人だな。そっちの席に座んな」
私達4人はテーブル席に座ると、久遠さんはさっそくメニューを確認したのです。
「へぇ・・。これは随分と・・」
「え?見せて見せて!・・・えっ?!」
久遠さんが持つメニューを覗き込んだ杏さんは驚いた反応をしたのです。
「ねぇ見て!ここメニューが1つだけだよ!」
どうやら杏さんはメニューが1つだけだったことに驚いたようなのです。
「1つのものに拘りがあり、なおかつそれに自信があるという店は1つのメニューで勝負する。そういうのもたまにあるのですよ」
「へ~。知らなかったぁ」
「すみませ~ん!黒豚味噌4つ!」
メニューはただ1つ『黒味噌将軍ラーメン』のみなので私達はそれを注文したのです。
「あいよ・・」
注文を聞き入れた店長はさっそくラーメンを作り始めました。
「ん?あれは・・・ここの常連さんの写真かな?」
久遠さんは時間つぶしに周囲を見渡していると十数枚の写真を見つけたのです。
「あれ?この人は確か・・・」
以前乃理さんが見せてくれた写真で見たことがあるのです。確か名前は・・・
「飛影さん・・・でしたよね」
乃理さんの知り合いの宇宙人、地球では飛影さんと名乗っていた方なのです。ニセモノのオーブとして地球に現れ、ニセモノは偽物でも優しい心の持ち主で子供達を守るために侵略者と戦ってくれたババルウ星人の方なのですよ。
「あっ、マロもいるよ!」
杏さんは左端にマロさんの写真があったことに気づいたのです。あの人もここの常連だったのですね。
「・・・あれ・・?」
2人の写真を見て私は何となくその写真に引っかかるものを感じたのです。
「この御2人の共通点と言えば・・・」
「へいお待ち!」
飛影さんとマロさんの共通点に気づいた途端、店長はまずは2つのラーメンを持ってきてくれたのです。
「おぉ!美味しそう!」
久遠さんはまずは上からラーメンの全体を眺めます。黒味噌将軍という名のラーメンだけはあり、スープの色は少し黒めな色をしているのです。
「ほいよ!」
店長は残り2つを持ってきてくれると、真っ先に久遠さんは割り箸を割ったのです。
「それじゃ・・・頂きます!」
まずスープを一口飲んだ久遠さんは次に麺を一口食べたのです。
「・・・・」
普段私達の前ではよくしゃべる久遠さんはスープと麺を交互に食すことに集中していて何も話そうとしていません。てっきり食レポのようなことを言い出すと思っていたのですが・・・。
「い、頂きますなのです」
私もまずは黒いスープを一口飲んでみたのです。
「っ!」
豚骨ベースと合わさった味噌なのですが決してこってりし過ぎているわけではなく、どちらかと言えばまろやかな舌触りで飲みやすいものなのです。
「・・・っ!」
続けて麺を食べてみるのです。麺はシンプルな中細麺でコシがありながらスープとよく絡んでいるのです。
「「「「・・・・・」」」」
女子4人で来ているというのに私達は一言も話さず黙々とラーメンを食べ進め・・・10分とかからずに完食したのです。
「ごちそうさまでした」
「・・・?」
満足した私達はお金を支払って店を出ようとすると、ガタリという何かが動く音と共に何処からか視線を感じたので振り返ったのです。
「どうしたのセンパイ?」
「い、いえ・・。何でもないのです」
店の奥にある赤いてるてる坊主のような人形、先ほどとは少し位置がズレているような気がするのは気のせい・・・ではなさそうなのです。
~~ブラック~
「ふぅ、また地球人の客が来てしまったな」
ごく稀にやってきてしまう地球人の客を後にした。その事に一安心していると入れ違いで別の客が入って来た。
「どうも店長」
この店の古参客であるピット星人のシエラさんだ。
「やっぱりまだいたのね」
「えぇ。・・・ですが今日で店じまいのつもりです」
「そう。・・・なら今日も美味しいのをお願いね」
シエラさんの注文を受けて自分はさっそくラーメンを作り始めるとまた1人客が入って来た。同じく古参の客であるウルトラマンオーブ・・・ガイさんだ。
「あら・・。貴方も来たのね光の戦士」
ガイさんを見るなりシエラさんは突っかかっていく。元々地球侵略のためにここへと来たのに彼に敗れてそれが達成できなかったのだから、少なからず憎く思っているのは当然だ。
「店の中で争うのは止めてくださいね」
「大丈夫よ。確かにこの男は憎たらしいけど・・・最後の黒星を美味しく食べられなくするようなことはしないわ」
「最後の・・・か」
2人とも争う気はないようでカウンター席へと座る。
「アンタらも地球を出ていくのか?」
「私はこれを食べたら地球を立つわ。店長は?」
「・・・立つ鳥跡を濁さずと言いますし、店を片付け次第に・・。まさか最後の営業日にも関わらず地球人の方々が来るとは」
「俺の知り合いが騒がしくて悪い」
ガイさんの知り合いだったか。
「ところで・・・最近あいつはここに来たりしたか?」
あいつ?あぁ、ジャグラーさんのことか。
「いえ、ここ数年は来ていないですよ。風の噂では聞いていましたがまだやり合っていたんですね」
「一応一区切り付けたつもりだったんだが、マロの奴からこの前見かけたって話を聞いてな」
一区切り・・。100年ぶりにオーブが大剣を持った姿になった時にガイさんとジャグラーさんが戦い、ガイさんが勝利したとは聞いていたが仕留めきれてなかったのか。
「はい。お待ちどう!」
出来上がったラーメンを2人の前のカウンターへと置くと、2人はそれを自分の前へと引き寄せる。そして黙々とラーメンを食べ始めた。こうして美味しそうにラーメンを食べてくれる客を視るのも・・・これで最後か。
「ねぇ店長・・。私達が最後の客ならさ・・・、私の船に乗っていかない?」
「・・・ありがたいお誘いですが、私には相棒がいるので」
相棒は円盤生物。こいつに乗って何処か別の星で再びラーメンを作ろう。
「余計なお世話だったわね。忘れて頂戴」
シエラさんは再び食べ進めると、先にガイさんがラーメンを食べ終えた。
「ごちそうさん。店長・・・達者でな」
「えぇ・・。ガイさんも」
ガイさんが代金を置いて店を後にすると、少し遅れてシエラさんもラーメンを食べ終えた。
「そういえばさ、昨日ダダの乗った船が宇宙ゴミにぶつかっちゃったらしくて落ちちゃったらしいのよ。本人は脱出して無事だったけど、せっかく店長から分けて貰った麺を駄目にしちゃったって泣いてたわよ」
「なるほど。だから開店して真っ先にダダさんが来店したんですか」
「私達は侵略のために地球に来たのに、いざ諦めて去ろうとするとゴミが邪魔をして簡単に帰ることもできないって・・・皮肉な話よね」
確かに皮肉なものだ。侵略を達成できず、なおかつ帰ることも難しくなるとは。
「・・・っと。ごめんなさいね。長い話をしちゃって」
「いえ、こうして貴女と最後に話すことができて少し気が晴れました」
「そう言ってくれてありがとう。・・・でも最後にするつもりはないわよ。新しい店を開いたらまた食べに来るわね」
「・・・はい。またのご来店を」
「はぁ・・・これをしまえば最後か」
2人が最後のラーメンを食べ終えて店を去った後、私は店内の片づけを進めていた。
「地球へと来てはや40年、月日が経つのは早いものだな。あの頃は地球を支配して宇宙一のスーパースターになると意気込んでいた」
かつて相棒とともに地球侵略のため足を赴き・・・オーブに敗れたのちにここでラーメン屋を始め・・・気づけば第二の故郷のようになっていた。
「ふっ・・・。かつての夢が懐かしいな。・・・長い時間が果たせなかった夢を忘れさせてくれた。なぁノーバ」
私は右肩に乗っている相棒・・円盤生物のノーバへと視線を送る。
「ん?どうしたんだノーバ?」
ノーバは空を見上げたかと思えばいきなり飛び上がる。するとノーバはいきなり本来の大きさへと戻ったのだ。
「ノーバ!止めるんだ!戻って来い!!」
私はノーバに戻ってくるように呼びかけるも・・・ノーバは戻ろうとするどころか、暴れて街を破壊し出した。
「まさかノーバ・・・お前まだ夢を諦めてなかったのか・・」
かつて共に抱いた夢を・・・地球侵略を諦めず・・今もなお成し遂げようと言うのか?
「・・・そうか。分かったぞノーバ」
「ノーバとはあの赤いてるてる坊主の名前なのですか?」
「・・・?」
声へと振り返ると、先ほどラーメンを食べに来ていた地球人の4人が立っていた。
~~音々~
「ノーバとはあの赤いてるてる坊主の名前なのですか?」
「・・・?」
私は店長に呼びかけると、こちらに気づいた店長が振り返ったのです。
「どうしてここに?」
「店にあった赤いてるてる坊主が巨大になっているのは店長と関係があると思いまして・・・」
「何故そう思うんだ?」
「名前を呼んでいたからというのもあるのですが。あのお店に来ていた人の共通点・・・飛影さんもマロさんもこの地球の人じゃなく宇宙人なのです。そして店長は私達が店内に入るなり船に乗るのかを尋ねていた。船とはおそらくここ最近宇宙へと飛び去っていく円盤のことと考えると・・・色々と繋がるのです」
「やれやれ・・。とんだ小さな探偵がいたものだ」
探偵?それは違うのです。
「私達はサムシングサーチピープル。探偵ではないのです」
「そうか。おそらく自分を止めに来たのだろうが・・・生憎止まるわけにはいかんのだ。相棒が・・・ノーバが果たせなかった夢に再度挑もうとしている。自分だけそれを見ているわけにはいかんのだ!」
そう告げた店長はいかにもラーメン屋という服から一瞬で黒いダンディなスーツに変わったのです。
「最後に君達に名乗っておこう。私の名はブラック指令だ」
自分のことをブラック指令と名乗った店長は黒い光の球体に包まれるとノーバの口へと入っていきました。
~~ガイ~
ラーメン黒星最後のラーメンを食べてから数時間後、そろそろ店長も大方店じまいも済んだ頃だろうと空を見上げてみると・・・いきなり巨大化して街中に現れたノーバに店長が乗り込むのが見えた。
「どうしてだ・・・どうしてこんなことを!店長ッ!!」
店長の真意が分からないながらも俺はオーブリングを取り出す。
「ティガさん!」
『ウルトラマンティガ・パワータイプ!』
1枚目はティガさんがタイプチェンジした赤い姿のパワータイプ。
「ダイナさん!」
『ウルトラマンダイナ・ストロングタイプ!』
2枚目はダイナさんがタイプチェンジした赤い姿のストロングタイプだ。
「力強い力、お願いします!」
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ!パワーストロング!』
ティガさんとダイナさんの剛力の力をお借りした俺は筋肉質な赤き戦士、パワーストロングへと変身した。
「光の剛力に敵はない!」
~~音々~
「光の剛力に敵はない!」
ノーバと呼ばれていた赤いてるてる坊主に店長が入っていくとこの間ジーラスと戦った時にみた赤い筋肉のオーブが現れたのです。
「オォォォッ!」
オーブはその剛腕を振るってノーバを殴りつけようとすると、ノーバは愛嬌のある仕草でオーブの方を見たのです。
「ゥォ・・っ」
それを見たオーブは攻撃を躊躇してしまうとノーバは触手でオーブの顔を何度も叩いて攻撃してきました。
「ドァ!?オォォォッ!!」
油断していたと判断した様子のオーブは触手を掴んで引っ張り、ノーバを引き寄せるとその頭部に頭突きを決めたのです。
「いい加減こんなことは止めてくれ!店長!」
「私は・・・今の私は店長ではない!ブラック指令だ!」
オーブの呼びかけに答えようとしてくれない店長は自身を再びブラック指令と名乗るとそれに応えるようにノーバは口から光線を放ちました。
「デュァァァ!?」
その光線を至近距離で喰らってしまったオーブはその巨体で倒れてしまい、地面が大きく揺れました。
「オーブもあの店長が知り合いだからなのかイマイチ本気で戦い切れてないように見えますね」
「・・・その気持ち。何となく分かるのです」
まだ短い付き合いだけど、あの店長はとても人柄が良い人だってことはすぐに分かりました。でなければあのように常連客の写真を店内に貼ってたりはしないのです。
「オォォォォッ!!」
覚悟を決めたように叫んだオーブは青い筋肉質な姿へと変貌したのです。
~~ガイ~
「オォォォォッ!!」
このまま暴れさせて店長を昔のただ暴れまくっていただけの頃に戻すわけにはいけないと覚悟を決めた俺は2枚のカードを切ることを決めた。
「ダイナさん!」
『ウルトラマンダイナ・ミラクルタイプ!』
まずはダイナさんのタイプチェンジした姿であるミラクルタイプのカードをリードする。
「べリアルさん!」
『ウルトラマンべリアル!』
続けてリードするのは何故か相性がいいらしいべリアルさんのカードだ。
「超力招来、頼みます!」
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ!サンダーミラクル!』
ダイナさんとべリアルさんの力をお借りした俺は他のフュージョンアップとは一線を越えているほどの筋肉質な姿へと変わる。パワーと超能力を併せ持つ形態のサンダーミラクルだ。
「闇砕いて、光を照らせ!」
~~久遠~
「闇を砕いて、光を照らせ!」
赤い筋肉をしたオーブは物凄い筋肉をした青いオーブが現れたかな。
「赤い筋肉から青い筋肉・・・。オーブの中で筋肉がキてるですか?」
「それはちょっと・・」
「ムゥン!!」
ノーバを片手で掴みあげたオーブはそのまま地面へと叩きつける。ノーバは触手を鞭のように振るって反撃しているけど、筋肉っていう最大の防具を纏っているオーブはそんな攻撃では怯まなかった。
「サンダァァァミラクル・・・アタック!!」
「のぉっ!?」
跳び上がったオーブは右腕でノーバの頭を掴みあげて張り倒す。その衝撃でノーバの口から店長が飛び出てきた。
「デボリウムウェーブ!!」
黒い球体をノーバへと投げ飛ばすと・・・小さなブラックホールのようになっている黒い球体にノーバが吸い込まれていく。そしてブラックホールはゆっくりと小さくなるように消滅してしまった。
「・・・デュゥァ!!」
オーブは少し残念そうに空へと飛び去っていった。
~~ガイ~
「・・・店長・・」
変身を解いた俺は店の近くにある公園へとやってくると、そこのベンチに店長がヤツれた顔で座り込んでいた。
「最後にいい夢を魅させてもらいました。・・・大切な相棒を失った自分には・・・もう何もない」
「そんな・・。店長のラーメンをうまいってタ食べた奴らが大勢いるだろ」
あのヒーエンやマロにシエラ。もちろん俺だってそうだ。
「お疲れさまでした」
俺は店長に頭を下げる。これまで長い間うまいラーメンを作ってくれた人に敬意を称して。
「・・・・」
頭を上げた時には既に俺の前から店長の姿はいなくなっていた。
~~音々~
「はぁ・・・また黒星のラーメンが食べたいなぁ」
あれから数日後、あの味を忘れられない杏さんはため息をつきながらラーメン雑誌を呼んでいると乃理さんがトリコリへとやってきたのです。
「どうしたんだお嬢様?ラーメンの雑誌を読みながらため息なんて?」
「えぇ~?別に乃理には関係ないじゃ~ん」
「まぁそれより美味しい定食屋を見つけたのだ!」
微妙な反応をする杏さんに乃理さんは絡んでいきます。正直私も今はラーメンな気分で定食な気分ではないのです。
「定食屋って・・・今私の気分はラーメンな気分なんだけど」
「しかしなぁ、とても美味しい場所だったのに何故か私も扇も場所を思い出せないんだ」
場所を思い出せない?まさかそれは・・。
「名前が『定食や黒将軍』と言ってだな・・」
先ほどまでラーメンのことしか考えていなかった私達は『黒将軍』という名前のその定食屋に期待せずにいられませんでした。
「行こう!定食や黒将軍!」
ウルトラヒーロー大研究
ウルトラマンダイナ・ストロングタイプ
属性 力属性
ダイナさんが赤い姿にタイプチェンジしているストロングタイプはその名の通りパワーに秀で、格闘戦を得意とする形態だ。通常のパンチですら必殺技と同じぐらいの破壊力を持つこの姿はまさにストロングな戦いぶりだぞ。
ノーバ
属性 風属性
円盤生物ノーバ。赤いてるてる坊主という少し気の抜けた感じの見た目に反して右腕の鞭や左腕の鎌、さらには目から放つレーザーに口からの毒ガスといった危険な相手でかつてはレオさんも苦戦させられたぞ。
次回「闇の刃」