ウルトラマンオーブ 天かける星の祈り歌   作:彩花乃茶

38 / 56
10月か11月ぐらいから新作を始められればいいと考案中です。そのためにもある程度書き溜める時間を作らないと・・。ジーッとしててもドーにもならねぇ!


想い石

~~愛~

 

「はぁ・・もう21かぇ・・」

 

 気づけばウチも21を過ぎておったわ。大学デビュー仕立ての頃は大学入ったらすぐにカレシができるぅ思うとったけど・・・バイトにSSPでの活動、足りなくなりそうな単位のために大学に出席と出会いがない日々を過ごしとったらいつの間にか21歳で5月を迎えとったわ。

「はぁ・・カレシいない歴21かいな」

 

 まさかカレシいない歴=年齢の仲間入りになってしもうなんて考えてへんよ。

「あぁ・・。年上でイケメンなカレシ欲しいなぁ」

 

 徹はんは好みちゃうし、扇はんは乃理やん一筋のシスコンやしなぁ。

「お兄さんは・・・悪くはないけど人の相手を奪おうなんて無粋はしとうないよ」

 

 ウチの見立てやと久遠はんに杏、久遠はんの妹の睦美がお兄さんにお熱なんは確定に見えるな。瑠々やんは半々って感じやけど音々やんに向けとる行為は先生とか恩師に向けとるソレやな。乃理やんは・・・そんなんに興味なさそうな気がするわ。

「誰か紹介してくれへんかなぁ・・」

 

 音々やん達はまだ高校生やから紹介してもらおうにも年上って条件を満たせへん。妥協して同い年ぐらいでもええけど、久遠はんは大学でボッチらしいしなぁ。

「ん?でもそれはあくまで大学でのことやな。確か久遠はんってBRG日本支部に家族のようにって言っておったやん!」

 

 せっかくやしBRGの人でいい人を紹介してもらいたいなぁ。

「トリコリに付いたら久遠はんに紹介してって相談してみよかな」

 

 そう考えたウチはトリコリへと向かう足を進めた。

 

 

 

~~瑠々~

 

「いらっしゃいませ」

 

「きたでぇ~!」

「愛さん。お久しぶりです」

 

 お客さんが来たと思って扉の方を向くと愛さんが店内に入って来ました。SSPの仕事で乃理さん達と遠出をしたり、そのせいで単位がピンチで連日大学だったりな上に私のシフトが入ってない日だったりで2か月ぶりぐらいでしょうか。

「久遠はんおる?」

 

「いえ、今日は来ていませんね」

 

 久遠さんと久遠さんのお父さんが打ち解けてからはBRGの方に頻繁に顔を出すようになったようですし、今日はそちらに行ってるのかもしれませんね。

「・・・あれ?お兄さんもいないようやけど・・」

 

「ガイさんのことですね。ガイさんは私も今日は見かけてませんね」

 

 いったい今日は何処に出かけてるのでしょうか。

「音々やんは何か聞いとる?」

 

「えぇまぁ・・・」

 

 どうやら瑠々さんはガイさんが何処に行ったか聞いてるようです。

「『海が俺を呼んでる』なんて言って瑠々さんが来る少し前に出かけてしまったのです」

 

「えぇ・・・」

 

 いったい何て理由ですか。・・・海の男というものなのでしょうか?でもガイさんは別に漁師でも何でもないですよね。

「ま、まぁガイさんが海に行ったことは理解しました」

 

「なぁなぁ、その海ってどこら辺なん?」

 

「いえ・・・何処の海に行くかまでは聞いていないのです」

 

 どうやら音々さんも海に行くこと以外は何も聞いていないようですね。

「海かぁ。そういやこの前テレビで見たなぁ、恋愛成就の石っていう・・・」

 

「あっ!それなら私も見ました!海岸沿いにある想い石に靴の片方を置くと思い人と結ばれるというのですよね」

 

「ちょっと待ってくださいなのです」

 

 音々さんはさっそく想い石のことを調べてみると、海岸沿いの岬にあるその石の画像をタブレットの画面に表示しました。

「その石の本当の名前は紅蓮騎・・・なんでも戦国時代に紅蓮騎の異名で恐れられていた勇猛な紅蓮の鎧の騎馬武将の怨霊のようです」

 

 お、怨霊ですか。

「何で怨霊が恋愛成就なんかしとるんや?」

 

「姫と愛し合いながらもその仲を引き裂かれ、騎馬も失って最後は裸足で命を落としたことから幸福な恋人たちに嫉妬して婚礼に現れては花嫁を傷つける怨霊になってしまったようなのです。ですが錦田小十郎景竜という法師によって石に封印されたようで、それからは自らの霊力で他人の幸せを叶えるようになったと伝承があるのです」

 

「へぇ、そんな伝説があるんやな」

 

「せっかくやし行ってみよか!」

 

「えっ・・・でも・・」

 

「現地取材や現地取材!」

 

 愛さん・・・絶対興味本位なだけですよね。

「ほな行ってくるわ~!」

 

「あ、ちょ・・・行ってしまったのです」

 

 音々さんは思い立ったが吉日といわんばかりに早速想い石へと向かって行こうとする愛さんを止めようとしていましたが・・・止め切れずに愛さんはトリコリを後にしてしまいました。

「はぁ・・肝心なことをまだ言っていないのです」

 

「肝心なことですか?」

 

 どうやら音々さんはまだ話していないことがあったので愛さんを止めていたようです。

「あの想い石の・・・よくない噂なのです」

 

 

 

 

~~ガイ~

 

「この海か。俺を呼んでいるのは・・」

 

 海の方から昔あったことがある人の光の力を感じ取った俺はその力を感じた海へとやってきていた。感じた力は消えたり現れたりしている。まるで俺に気づかせるためにそうしているようだ。

「さてと・・・潜るか」

 

 その力があるのは海の底。本当にあの人の力かどうかを確かめるには実際に潜って確かめるしかなさそうだ。

「まぁ、宇宙のあちこちを探しまくった時よりはマシか。・・・ん?」

 

 コートを脱いで海に飛び込もうとすると岬に女性が1人いるのが見えた。するとその女性は自身の履いていた靴を脱いでそこにある石の前に置くのが見えた。

「まさか・・・飛び降り自殺する気か?」

 

 俺はその女性の自殺を止めようとすぐさま岬へと跳び上がる。

「おい!早まるな!自殺は駄目だ。考え直せ!」

 

「えっ?」

 

 女性は俺の呼びかけに反応して振り返ると・・・その足には先ほど石の前に置かれた靴はと別の靴が履かれていた。

 

 

 

 

 

「すまん!!遠くから見たらてっきり自殺かと思って!!」

 

 数分後、俺はこの石が恋愛成就で最近話題になっている場所だと説明されて女性に謝った。

「いえいえ・・別に謝るような事では。最近話題になり始めてるだけで、知らない人は知らないはずですし。あっ、申し遅れました。私、佐倉八重(さくらやえ)って言います。一応今はそこのホテルの経営者です」

 

 佐倉さんはこの想い石から町の方にまっすぐ行った場所にある最近出来たばかりのようにきれいなホテルを指さす。

「経営者か。まだ若いってのに凄いな」

 

「いえいえ・・近々結婚する予定の婚約者が大手の人で・・・あのホテルの経営権を私に譲ってくれたってだけですよ」

 

 へぇ、近々結婚とはめでたいな。

「2年前にこの石に願ってから彼と出会ったので・・・これはそのお礼にともう一度ここにお祈りしようと足を運んだんです」

 

「なるほど・・」

 

 見たところ石にお供えした靴はほとんど履いていない新しい靴だ。きっとこのお供えのために購入したものだろう。

「ところで地元の方ならこの想い石のことを知っているはずですが観光ですか?」

 

「あぁ。そんなところだ」

 

「本日の宿はお決まりで?」

 

「ま・・・まだだな」

 

 あっ・・このパターンは。

「でしたら当館などはどうでしょうか?現在当ホテルは特別期間中でして・・・」

 

 やっぱり予想通り営業トークが始まってしまった。

「・・・・」

 

 別に宿に泊まる事態は構わないが・・・このままじゃ話に乗せられてお高いコースになっちまうんじゃないか?こういうのを断るのは別に苦手ってわけじゃないが何分俺から話しかけちまったからなぁ・・。

「あれ?八重姉?」

 

 見知った声に反応して振り返ると・・・替えの靴を準備してきた愛が立っていた。

 

 

~~愛~

 

「八重姉は地元におった時にいた近所のお姉さんなんやえ」

 

 想い石に来たウチは偶然にもこの海に来ていたお兄さんに八重姉が近所のお姉さんだったことを話した。

「それにしても八重姉もとうとう結婚するんね」

 

「うん。来月あのホテルで式を挙げる予定なの」

 

 八重姉は自分が経営しとるっちゅうホテルに視線を向けた。

「なぁなぁ、その婚約者ってどんな人なん?」

 

「こんな人かな」

 

 スマホの待ち受けには八重姉とその婚約者のツーショットが映っとった。婚約者結構イケメンやん。イケメンでお金持ちな婚約者とか最強やんか。

「羨ましいなぁ~。ウチもお金持ちでイケメンで1つ2つ年上ぐらいなカレシが欲しいわぁ~」

 

「ははっ・・・愛ってば高望みし過ぎだよ」

 

 高望みっちゅうのは分かっとるけど、八重姉はその高望みな男を掴んどるやで。

「とりあえずウチも靴置いてみよ!」

 

 ウチは自分の靴を脱いでお兄さん達の後ろにある想い石のところにそれをお供えした。

「これでウチもお金持ちでイケメンで年上のカレシゲットや!・・・ん?」

 

 

 何か今一瞬・・・武将みたいなもんが見えた気がしたんやけど・・気のせいかな?

「・・・・」

 

 お兄さんも何かさっき武将みたいなのが見えたところを見てるけど、お兄さんも何か見たんかな?

「なぁ、この石に封印されてる武将ってのは夜な夜な出たりするって噂はあるのか?」

 

「一応夜ここに来たら武将が出たってTwitterで呟かれたりしてるね。だけどそれは祈った人を幸せにするために働いているからって言われてるよ」

 

 つまり今見えた気がする武将の霊は祈った人・・・つまりウチの願いを聞き届けるためにこの石から少し出てきたっちゅうことなんかな。そうやったらええなぁ。

 

 

 

 

~~ガイ~

 

「さてと・・・今日こそ探すか」

 

 結局昨日はホテルに泊まり・・・翌朝俺は海に訪れていた。

「気になることもあるし、なるべく早く見つけて戻らないとな」

 

 あの岬にある想い石は人々の願いを聞き届けている幸せの石らしいが、本当に幸せの石なら昨日感じた負の力はなんだ?

「確かあの石に封印されたって怨霊は紅蓮騎って言ってたな」

 

 あの石の中にいるのは戦国時代の怨霊で、数百年も呪いの代わりに人々の願いを聞き届けて幸せを分け与えてきた。もし分け与えていたのが封印に使われていた力が幸せを分けることで削れていたとしたらいずれ封印が崩壊するのは当然か。

「だけどまだ完全に封印が解けたわけじゃないからな・・」

 

 封印されたままの状態じゃ俺には手を出すこともできない。今できることと言えば早く海の力を探し出して何か起きちまう前に戻ってくるってことだけだな。

 

 

 

~~愛~

 

「まったくお兄さんったら1人でチェックアウト済ませちゃってぇ~」

 

 八重姉のとこのホテルに泊まったウチはせっかくやしお兄さんとこの辺の観光デートでもしようかと思ったんやけど・・・お兄さんは1人チェックアウトを済ませてもう何処かに行ってもうたらしい。

「残念だったねぇ~。カレシとデートできなくて」

 

「八重姉、お兄さんはカレシちゃうよ」

 

「でもまぁそれなりにカッコいいとは思ってるんでしょ?」

 

 そらまぁ・・・一応カッコいいとは思っとるけど。

「何かこうな・・。胸の高鳴りっちゅうもんがなぁ」

 

「なるほど。つまりカッコいいとは思うけどトキめいてはいないってことね」

 

「せや。ほなまぁウチは適当に観光してから東京の方に帰るわ」

 

「気を付けてね。最近東京には怪獣とか宇宙人とかが現れて何かと物騒らしいじゃない」

 

 それを追っかけるのがSSPの仕事や。・・・なんて心配されるから言えへんなぁ。

「そこはいつも気をつけとるよ。結婚式には呼んでな」

 

「うん。招待状、ちゃんと送っとくね」

 

 八重姉との別れを済ませてホテルを出たウチは先に見えたものを見て絶句してしまう。

「せ、戦国武将?」

 

 ウチらの目先・・・想い石のところには巨大な赤い鎧の武将が立っていたんや。

「まさか紅蓮騎が復活したって言うの?」

 

 昨日ウチが見たのは紅蓮騎が願いを叶えるために出ておったんやなく、封印が解ける兆しだったってことなんか。

「・・・・ッ」

 

 辺りを見渡した紅蓮騎はウチらの方に歩いてきおった。いや、あの視線の先はウチらやない。このホテル自体や。

「武将の怨霊は幸福な恋人たちに嫉妬して婚礼の邪魔をする。・・・そっか。そういうことなんな」

 

 音々やんの言っておったことを思い出したウチは紅蓮騎の目的に気づいた。紅蓮騎は八重姉の婚礼の邪魔をするためにこのホテルを壊す気なんや。

「八重姉!」

 

「分かってる!早くお客さんを非難させないと・・ッ!」

 

 八重姉は他の従業員さん達に指示をしてお客さん優先の避難誘導を始めた。

 

 

 

 

~~ガイ~

「こっち・・」

 

 海の中で声が聞こえた。こんな深い海の中で話しかけてくるなんて普通の人間には無理だな。

「こっちに・・」

 

「・・・・」

 

 声の元へと泳ぎ進んでいくと光り輝くプランクトンのような生物たちがいた。

「お前達か?俺を呼んだのは?」

 

「初めましてウルトラマンオーブ。私達はリナール」

 

 リナール・・・この海底にも独自に文明を築き上げた文明がいたのか。長い事この地球にいたが気づかなかったぞ。

「リナールの方々がどうして俺を?」

 

「貴方に海の力を託すことを決めたから呼んだの」

 

 海の力・・・やっぱりあの人の力か。

「この地球の海は貴方を選んだ。貴方ならきっとこれから起こりうる危機から地球を守ってくれるはずだから」

 

 これから起こりうる危機?

「危機っていったい・・・?」

 

「私達にもはっきりとは分からない。けれど禍々しい力が深い闇の中からうごめいているのを感じる」

 

 禍々しい力?魔王獣は既に7体全部倒したはずだよな。魔王獣以外にもそういうやつがいるのか、それともまだ魔王獣に属する怪獣がこの地球にいるのか・・。

「地球の叫びが聞こえる。もううごめく何かはすぐ近くまで迫っている」

 

 残された時間は長くないってことか。

「この星は必ず俺が守ります」

 

「海は・・・地球はウルトラマンの味方だから」

 

 リナール達は海の輝きを飛ばしてくる。俺はその光をオーブリングで受け止めると、その光は1枚のカードに変化する。地球の海から力を授かったウルトラマン、ウルトラマンアグルさんのカードだ。

「ありがとう。使わせてもらう」

 

 海から跳び出て砂浜に着地した俺は式場となるホテルに迫っている武将の怨霊・・・紅蓮騎に気づいた。

「石から憎悪や敵意の力・・・マイナスエネルギーに近いものを感じていたがやっぱり化けて出たか」

 

 マイナスエネルギーに近い感覚だけど・・・少し違う気もする。人間の怨念ってのはそういうのを超越したものになる時もあるからな。ああなってしまったら残念だがフルムーンサクリウムでも浄化するのは無理そうだ。

「戦って倒すしかないな。・・・アグルさん!」

『ウルトラマンアグルV2!』

 

「ヒカリさん!」

『ウルトラマンヒカリ!』

 

「光の刃、お借りします!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!ナイトリキデイター!』

 

 水色と深青の姿ナイトリキデイターへと姿を変えた俺は両腕に光の刃ナイトアグルブレードを展開する。

「影を払いし、光の刃」

 

 

 

~~愛~

 

「影を払いし、光の刃」

 

 双剣の青い姿に変わったオーブは口上を言いながら刃を構えおった。そしたら紅蓮騎も刀を引き抜いた。

「シュァ!!」

 

 踏み込みから振り下ろしてきた紅蓮騎の刀をオーブはそれを左手の刃で受け流しつつ右の刃で攻撃を仕掛けた。

「ッ!」

 

 紅蓮騎はそれを見切りおったのか一歩後ろに下がりつつ紙一重でそれを避けおった。

「戦国武将の怨念の集まりってのは伊達じゃないんやね」

 

「オォォォォォ!!」

 

 オーブは気合いを入れて二刀流の刃で隙のない攻め方をしたんやけど・・・それも紙一重で避けおった。

「シュゥァ!」

 

 連続斬りからの足払いで無理にでも隙を作ろうとしおったけど、片足をあげるだけの最小限の動きで避けられた。

「ッ!!」

 

「デュァ!?」

 

 そしてあげた足を踏み込んで前に出た紅蓮騎はオーブに刀を振り下ろす。オーブは光の刃で受け止めようとしたんやけど、その刃は刀にへし折られてしもうた。

「クラッシャーナイト・・・リキデイター!」

 

 オーブは咄嗟に額のクリスタルから光の刃を飛ばした。その攻撃で紅蓮鬼は少し後ろに下がりおってけど、大したダメージにはなってあらへん。

「せっかく新しいのになってるのに、防戦一方になっとるやん」

 

 あの姿が弱いって言っとるんやない。あの怨霊が強すぎるんや。にしても・・・

「・・あの怨霊悲しそうや」

 

 そらまぁ姫様との仲を引き裂かれて辛いのは分かるけど・・・そもそも何で今になってあの怨霊の封印が解けたんやろ?

「あれってまさか・・」

 

 紅蓮騎の足を見てウチはようやく気づいた。紅蓮騎が足に履いているのがウチがお供えした靴だったことに。

「まさか紅蓮騎が復活したのって・・・ウチのせいなん?」

 

 ウチが『結婚するのが羨ましい』って思ったから復活したん?でもこれまでにそんなんを考えて靴をお供えしたんはいっぱいおったはずやえ。

「いや・・・いっぱいおったからやろうな」

 

 きっと今まで本当にたくさんの人達の想いを聞き届けたせいでウチのタイミングで爆発してしもうたんや。

「幸せが憎しみに変わって・・・長いこと人の幸せを無理に叶えとったんやから、そりゃ不満が爆発するわな。リア充爆発しろ~って」

 

 もうずっと怨霊になってるんやから幸せになってほしいってのは無理な話ってのは分かっとるけど・・・出来ればあの武将さんも安らかに成仏して欲しい。そう思った矢先・・

「闇を包め、光の嵐!!」

 

 オーブは身の丈ぐらいある三又槍を持った少し怖い雰囲気の姿に変わった。

 

 

~~ガイ~

 

「デュォ!?」

 

 長い間怨念をため込んだ紅蓮騎は俺の想定よりもはるかに強力で二刀流で攻めても攻めきれなかった。

「こうなりゃ攻め手を変えていくしかないな」

 

 アグルさんと共鳴していたもう1枚・・・この力で一気に攻めるか。

「アグルさん!」

『ウルトラマンアグルV2!』

 

「べリアルさん!」

『ウルトラマンべリアル!』

 

「大嵐、頼みます!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!サンダーストリーム!』

 

 海の力を宿すアグルさんと深い闇に沈んだべリアルさんの力をお借りした俺は濃い赤の腕に青い下半身の姿、サンダーストリームへと変わる。

「闇を包め、光の嵐!」

 

身の丈ほどある三又槍のギガトライアントを構えながら口上を述べた俺は嵐のように荒々しく槍を振るう。

「デュゥゥゥォ!!」

 

 その一撃で強引に紅蓮騎の刀を絡めとった俺はギガトライアントの刃と刃の間で刀を挟んだ状態で地面に突き刺す。これで刀は使えないな。

「ヴォォォッォ!!」

 

 刀を封じた俺は貫手で紅蓮騎を貫こうとした瞬間・・・

「ちょい待って!オーブ!」

 

「デュァ・・」

 

 愛が俺に静止を求めてきた。

 

 

 

~~愛~

 

「ちょい待って!オーブ!」

 

「デュァ・・」

 

 ウチの呼びかけが聞こえたオーブは紅蓮騎を貫こうとしておった手を止めてくれた。パッと見怖い顔で荒々しい戦い方やけど、暴走しとるってわけやなさそうや。

「紅蓮騎は・・・その武将さんは何も悪うない!今までみんなの想いを受け止めてきて、想いが爆発しただけなんや!武将さんはもう充分傷ついとるから、もう・・・もう楽にさせてあげて」

 

「・・・・・」

 

 紅蓮騎はこっちに視線を向ける。そしたら八重姉が1歩前に出た。

「今まで私達の願いを叶えてくれてありがとう。貴方はもう充分頑張ってくれたわ。だから貴方も・・・お姫様に会いに行っていいの」

 

「・・・モウ、ヨイノカ?」

 

 負の感情に呑まれてて話すことなんてできへんようになっとると思っとった紅蓮騎はウチと八重姉にそう訪ねてきた。

「やっぱ良い男は自分で見つけへんとな」

 

「貴方のおかげで私はもう幸せになれた。私だけじゃなく、貴方のところに願いを寄せた多くの人達が貴方のおかげで。多くの人を幸せにできた貴方ならきっと・・・お姫様と会えるわ」

 

 八重姉の説得に応じた様子の紅蓮騎は刀を地面に突き刺して両手を広げた。きっとオーブに介錯をお願いしとるんや。

「・・・シュァ・・」

 

 紅蓮騎に頷いたオーブは大剣を持った姿に変わったら、その大剣のリングを回した。

「オーブウォーターカリバー・・」

 

 オーブは水を纏った大剣を静かに紅蓮騎に向けると、その水は紅蓮騎を包み込んだ。

「ヒメ・・・ナガクマタセタ。イマ、ソチラニ・・・」

 

 浄化された紅蓮騎はゆっくりと光になって空へと昇っていった。天国へ行ったんやろうな。

「天国で姫様と会えるとええな」

 

「空の向こう側できっと会えるわよ。たくさんの人を幸せに導いた武将なんだから・・・」

 

「せやな。八重姉の言う通りや」

 

 いっぱい人を幸せにしたんやから・・・せめて天国で姫さんと出会うぐらいの幸せあってもええやろ。

 




ウルトラヒーロー大研究

ウルトラマンアグルV2
属性・水属性

 地球の海が生んだ青き巨人。それがウルトラマンアグルさんだ。ヒカリさんと同じく剣戟を得意とする戦士で刀身が細長い光の剣「アグルセイバー」を武器に戦うんだ。必殺技のアグルストリームはガイアさんのフォトンストリームと同等の威力を誇るぞ。


紅蓮騎
属性・闇属性

 戦国時代に赤色の甲冑を纏っていたことで紅蓮騎の異名で恐れられていた勇敢な武将の怨霊・・・それが紅蓮騎だ。ナイトリキデイターの二刀流をことごとく避ける身のこなしでその剣技もかなりのものだった。

次回「次元の車窓から」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。