ウルトラマンオーブ 天かける星の祈り歌   作:彩花乃茶

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 今回もオリジナル怪獣を登場させます。


絆ースぺシウムシュトローム

~~杏~

 

 バレンタインから数日後、私はわけ合ってお父さんのところへと向かっていた。

「それにしても・・・まさか総帥とガイ殿がお知り合いだったとは・・」

 

「俺もあの人の顔見て驚いた。まさか姫山財閥のトップが光圀公だったとは・・」

 

 どうやらお父さんとガイは知り合いだったようで、ガイの方からお父さんに会いたいと言ってきたんだ。

「昔あの人のボディーガードしてた事が会ってな・・」

 

「ふむ、総帥は時に正体を隠して旅をしてたりするお人だからな。何処かの国で護衛をしたことがあったのか」

 

 あちこちを旅していたというガイならあり得る話と思った千佳は納得しながらも飛行機の窓から外を確認するとお父さんの会社が見えてきた。

「まもなく到着ですね」

 

「光圀公と大事な話をしたい。少し2人にしてくれ」

 

 そう頼んだガイは今回も父さんと2人きりで話をすることになった。いったいガイは父さんとどんな話をするつもりなんだろう?

 

 

~~光圀~

 

「良く来たのう、ガイよ」

 

 ガイの方から話がしたいと言ってきおったので。儂はすぐさまスケジュールを調整させてもらった。こちらとしても次にあった時に言いたいことがあったのでの。

「時にガイよ。お主、ここで働く気はないか?」

 

 出来れば今度こそ娘と結ばれて欲しいと思いつつ、儂はガイに尋ねてみると・・・ガイは気まずそうな表情をしおった。

「・・・え、遠慮します」

 

「過去の事を気にしているからかのぉ?そのことはもう許したと言ったじゃろう」

 

「いえ、そういうことではなく・・・」

 

 きっと昔のことを気にしているのじゃろうと思ったがガイは首を横に振る。

「となると・・・今お主がおるSSPのことが気がかりという事か」

 

 ガイは娘と同じほどにSSPの者達を気にかけているという。確かにそれならばここで働くというのを断るのも無理はないのぅ。

「それもありますけど・・・今は働きたいと思えないんですよね」

 

「お主は何時からNEETのような考えになってしまったんじゃ?」

 

 この100年でガイも変わってしまったということか。以前王国で騎士をしていた頃は率先して騎士以外のこともしてくれていたというのに・・・。

「・・・まぁ良い。ここに来た理由はなんじゃ?」

 

「アンジェリカのことで大切なお話があります」

 

 儂は100年前のあの時、記憶を無くしてしまいながらもアンジュが生きていたことを聞かされた。そしてその子孫が杏の友である久遠という少女であるということも。

「そう・・・じゃったのか」

 

 あの時アンジュは生きていてたという事実に儂は喜びと同時に虚しさを感じてしまっていた。もっと捜索範囲を広げていればアンジュを見つけられていたのではないかと・・。

「長く生きていれば・・・良いこともあるものじゃな」

 

 見つけられなかったのは悔しいが、生きて命を繋げてくれていただけでも良しとしよう。

「それにしても運命とは数奇なものじゃな。ルサールカという地から海を越え・・・100年という長い時間をかけてアンジュの子孫とクローンがこの地で出会い友となっているとは・・・」

 

 儂のこの100年間は決して無意味などでなかったのぅ。

「杏に今度友達を連れて来てくれって言ってみたらどうですか?」

 

「そうじゃのぅ・・・近々そうさせてもらおう」

 

 子孫・・。儂にとってはひ孫にあたるのか。いつか会える日が楽しみじゃのう。

「先日はバレンタインじゃったが娘のチョコはどうじゃった?」

 

「何度も失敗してて・・・成功したのを一粒って本人が言ってました」

 

 家事全般は使用人に任せていたのが仇となったようじゃのう。

「久遠とやらからも貰ったのか?」

 

「えぇまぁ・・・。1人暮らしをしているだけあって杏よりはできるらしいですね。ぎこちないながらもちゃんと作れてましたよ」

 

 ううむ・・。そう言えばガイはわりと食へのこだわりが強いとことがあるからのう。微妙に辛口なコメントをしおる。

「ところで久遠が1人暮らしというのはどういうことじゃ?」

 

 ひ孫が1人暮らしをしているとなるとやはり心配になってしまうのが親心というものじゃからな。

「父親も母親も海外で仕事をしていて、妹の睦美は飛び級で海外の大学を卒業間近・・・大学生の久遠は1人暮らしってわけです」

 

 

 

~~久遠~

 

 バレンタインから数日後、ガイが杏のお父さんとお話に言ってて店にいないというタイミングで私はある人と話をするためにトリコリに足を運んでいた。

「・・・もうそろそろかな?」

 

 私は時計を確認する。約束の時間を既に5分ほど過ぎちゃってるかな。

「ごめんね。場所を借りちゃって」

 

「いえ、別に良いのです。いつもSSPのたまり場だったり、ただプリンを買いにくるだけよりは・・・喫茶店らしい訪れ方ですし・・」

 

 音々が虚ろな目でそう語った。確かに人がいっぱい来るのは持ち帰りもできるプリンとシュークリームが無くなるまでの時間だけで・・・それ以外の時間帯はほとんど人が来てないかな。

「すまない。待たせてしまったな」

 

 トリコリに待っていた人が入ってくる。

「直接会うのは久しぶりだな。久遠」

 

 5年ぶりに直接会うのは私の実のお父様でありBRGの最高司令官である・・・白神誠司司令官かな。

「お久しぶりですお父様」

 

一応1年から半年ぐらいに1回は電話することぐらいならしていたから顔や名前ならちゃんと覚えているけど・・・『家族』としての思い出はほとんどない。仲が悪いというわけではないけれど、仲が良いとは少し言いづらい。それが私達家族かな。

「「・・・・・・」」

 

 何から話せばいいのかな?あまりにも会わな過ぎて直接会った時に何を話せばいいのか、全然まとまらないかな。・・・まぁそう思っているのはお父様も同じようだけど・・。

「エルを通して話は聞いているよ。ここによく通ってるそうじゃないか」

 

「お母様を通して・・・直接電話をしたりするのは少ないのにですか?」

 

「・・・・・」

 

 私はついつい思っていた不満を口にしてしまうと、お父様は申し訳なさそうに口を閉ざしてしまった。

「それについては済まないと思っている。立場が立場なせいで一般回線には繋ぐことが許されず・・・」

 

「私が入院している間、一度もお見舞いに来てくれなかったですよね」

 

 お父様はBRGの最高司令官として常に人々の命を守るため尽力しているのは分かっている。だけどやっぱり・・・久しぶりに会うとなると喜びだけではなく不満な気持ちも溢れてしまう。

「もちろん心配はしていたが・・・いや、何を言っても言い訳にしかならないな」

 

「確かに良い訳にしかなりません。だけど・・・こうして会ってくれた。心配してくれていたとお父様から直接聞けて嬉しいです」

 

 お母様や朧伯父さんからの伝言ではなく、お父様本人から心配してくれていたことを聞けた。それだけでも今回久々に会えたことに意味があったかな。

「・・・正直、お前には5年も会ってないせいで嫌われてしまっていると思っていた」

 

「あまり会えないってのは嫌だなっては思うけど・・・それでお父様を嫌うなんてありませんよ」

 

 お父様は私に嫌われてるのではないかと心配していたようだけど、嫌おうだなんて思ったことは一度もない。お父様は多くの人を守るために頑張ってるって分かっていたから。

「だけどもう少し家族のことも考えて欲しいかな」

 

「あぁ、これからはもう少し会えるように調整するよ。ところで・・・久遠や睦美を何度も助けてくれたらしい白銀ガイという人は今日はいないのか?ぜひともお礼をしたいのだが・・・」

 

 たぶん睦美から話を聞いているんだと思うお父様は店内を見渡してそれらしい人がいないかを探す。

「今は少し出かけているかな」

 

「そうか。幸い今日は休みだからもう少しここで待たせてもらうとしよう。久遠、これまでSSPで経験したことを聞かせてはくれないだろうか」

 

 そういえばここに通い始めてからは一度もお父様と電話でも話したことがなかったかな。今日はそういうのを話せるいい機会かな。

 

 

 

~~ガイ~

「たっだいま~」

 

 光圀公との話を終えてトリコリへと帰ってくると、久遠が誰かと話していた。

「あっ!お帰りガイ!」

 

「・・・君が白金ガイか」

 

 久遠と話していた男性は席から立ち上がると俺へと近づいてきた。

「紹介するね。この人は私のお父様の・・・」

 

「白神誠司だ。何度も娘を助けてくれたそうだね。ありがとう」

 

「いえ、こちらも助けられたことがありますし・・」

 

 俺は誠司さんと握手をした途端、この人から光の力を感じ取った。

「っ!・・・貴方はまさか・・」

 

 一瞬だけしか力を感じ取れなかったが間違いない。この人も光の戦士だ。

「映像や写真ごしでも光を感じていたから何となく分かってはいたが・・・こうして直接会って確信したよ。君がそうなのだろう?」

 

 誠司さんのほうも俺がオーブだということに気づいたようだ。

「ん?何の話?」

 

 俺と誠司さんの話を聞いていた久遠は何の話をしているのかと尋ねてくる。久遠はオーブカリバーを取り戻した時の経緯でバレていそうな気もするが他の奴らもいるし、今はごまかすのが正解だな。

「まぁ・・・間接的だけど助けた助けられたって感じで」

 

 この言い訳は厳しいな。そう思った瞬間・・・何か巨大なものが着地したかのような衝撃が伝わって来た。

「おいおい今日もかよ!」

 

 バレンタインの襲撃から数日しか経ってないってのに早くもどこぞの侵略者か怪獣が出てきたのかと思いつつも外へと出て確認をすると・・・やっぱり怪獣がいた。

「ベムラー・・・珍しいのが来たな」

 

「知っているのか?」

 

「宇宙怪獣ベムラー。宇宙の平和を乱す悪魔のような怪獣と言われ、口から熱線を出したり、青い球体になって飛行することもできる怪獣です」

 

 凶暴な怪獣だけど倒せない相手じゃない。被害が出ちまう前に地球から追い出しちまうとするか。・・・そう思った矢先のことだった。

「ガイ、アレは何かな?」

 

 久遠が指さした場所へと視線を向けると・・・ベムラーとは違う青い光が空から降って来た。

「俺にも分からない」

 

 何かは分からないが、禍々しい気配を感じる。

「青い光がベムラーを飲み込んだのです!」

 

 音々は青い光がまるでベムラーを捕食するかのように飲み込んでしまうと、青い光はベムラーの形へと変化をし始める。だけどその姿は青く2本の角があり、背中にはカラスのような翼が生えていた。

「そうか・・・分かったぞ。あいつはビーストだな」

 

「ビーストって、ホオリンガの時に現れていたアレなのですか?それにしては形が違いすぎまなのです」

 

 ホオリンガの時に現れていた植物型ビーストのラフレイアを思い出していた様子の音々は全然タイプが違うことを告げてくる。

「ビーストはその名の通り捕食者だ。むしろ植物型の方が珍しいんだよ」

 

 とはいえ・・・あの青い光のタイプも珍しい。まさかとは思うがアレは・・・

「ビースト・ザ・ワンか」

 

 誠司さんは変化したベムラーへと視線を向けながらそう口にする。この人、ザ・ワンを知っていたのか。

「お父様、そのビースト・ザ・ワンというのは?」

 

「私もそこまで詳しいわけではないが・・・世界で初めて確認されたビーストだと聞く」

 

 正確にはこの次元の宇宙ではなくウルトラマンネクサスさんが戦う『N』ワールドで初めて現れたビーストなはずで、少なくとも俺がこの地球に来てからザ・ワンが現れたことなんてない。なのにどうして誠司さんは知っているんだ?

「とりあえず今は・・・SSP!出動だ!!」

 

「「了解!」」

 

「・・・・・」

 

 徹の出動コールで音々と久遠がさっそく準備をし始めるとそれを誠司さんは驚くように見つめる。

「随分と馴染んでいるのだな。久遠は・・」

 

「えぇ、すっかりこいつ等に欠かせない仲間ですよ」

 

「エルから聞く話では久遠は中々友達を作れない娘だと聞いていて心配していたが・・・もう大丈夫なようだな」

 

「そう・・・ですね」

 

 俺も久遠にアンジュの面影を感じつつも頷くと誠司さんと共に3人より先にザ・ワンへと駆け出した。

 

 

~~誠司~

 

 かつて私はこことは違う地球で暮らしていた。幼き頃に視たウルトラマンに憧れ・・・そして私もウルトラマンとなった。しかし湧き上がる強大な力を制御しきれずに元いた世界から弾き飛ばされ、気づけばこの世界にいた。その際に私に協力してくれたのが久遠の実母である黒沢柚葉だ。当時設立当初であったBRGで忙しいながらも柚葉と結婚し、久遠が生まれたのだが・・・元々病気で身体が弱かった柚葉は出産に耐えられずに命を落としてしまった。

「その数年後に私はエルと再婚して睦美も生まれたのだが・・・その頃には既に本部行きが決まっていてな。久遠が中学生になる頃には最高責任者にまで上り詰めてしまい、電話もろくにできなくなってしまっていたというわけだ」

 

 私はザ・ワンへと走りながらガイに自身の経緯と久遠の出生を語った。するとガイはクスリと笑った。

「それで貴方は久遠に嫌われているかもしれないと心配していたんですか?確かに出会った頃の久遠は自分の家族のことを話そうとしませんでしたけど・・・それは貴方方の立場を隠すためです。そしてマガバッサーの時、久遠は死ぬかもしれないって時に貴方方のことを心配していました。・・・だから大丈夫です。貴方達親子の絆は確かに繋がっています」

 

「絆・・・か」

 

 エルも彼を信じて2人のウルトラマンの力を託した。私も・・・信じよう。彼の『光』と『絆』を・・・。

「ウルトラマンオーブ。君に光を託す」

 

 

 

~~ガイ~

 

「ウルトラマンオーブ。君に光を託す」

 

 立ち止まった誠司さんは俺にそう告げてきた。光を託すって・・・どういうことだ?

「光は絆だ。誰かに受け継がれ・・・再び輝く。前のデュナミストはそう言って私に光を託してくれた。既に私とウルトラマンは離れてしまっているが・・・残された光は永遠のキズナとしてここにある」

 

 そう言った誠司さんは胸ポケットから1枚のカードを取り出す。・・・銀色の戦士ウルトラマンネクサスさんのカードだ。

「いいんですか?これは貴方とネクサスさんの絆の証じゃ・・・」

 

 きっとこのこのカードは誠司さんと一体化していたネクサスさんが残していった絆の証のはずだ。本当にそれを受け取ってもいいんだろうか?

「輝いてこその光だ。君がもう一度・・・この光を輝かせてくれ」

 

「・・・ありがたく使わせてもらいます」

 

 誠司さんからネクサスさんのカードを受け取った俺は暴れるベムラーへと走りながらオーブリングとカードを取り出す。

「ウルトラマンさん!」

『ウルトラマン!』

 

 1枚目はウルトラマンさん。

「ネクサスさん!」

『ウルトラマンネクサス・ジュネッス』

 

 そして2枚目はネクサスさんのカードがタイプチェンジしたジュネッスのカードだ。

「光の力・・・繋げます!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!スぺシウムシュトローム!』

 

 赤と銀のオーソドックスな姿にネクサスさん似の頭部をした姿・・・スぺシウムシュトロームへと変身した俺は空へと飛び上がった。

 

 

 

~~久遠~

 

「受け継がれていく光の絆!」

 

 赤と銀の姿で現れたオーブは空中でそう口上を述べる。

「シュァっ!」

 

 空中から勢いよく降下したオーブはザ・ワンの顔に蹴り込む。するとザ・ワンは口から熱線を放ってオーブを吹き飛ばした。

「デュァっ!?」

 

 吹き飛ばされて地面に叩きつけられたオーブはすぐさま立ち上がると中腰に構えながらジリジリと距離を詰める。

「シュァ!」

 

 そしてザ・ワンの喉ぼとにチョップをするとそのままドロップキックを叩き込む。それに対してザ・ワンはオーブの蹴り込んだ足を掴んでグルグルと回り始めた。

「ォォォォォぁ!?」

 

 ジャイアントスイングで投げ飛ばされたオーブはビルにぶつかる寸前に飛行能力を活かして踏みとどまる。

「シュワッ!」

 

 オーブが再び空へと飛び上がると、ザ・ワンも翼を羽ばたかせて空へと飛び上がる。

「っ!!」

 

 飛ぶスピードを速めたオーブを追いかけだしたザ・ワンはオーブ目掛けて火球を放つと、減速したオーブは旋回してそれを避けた。

「オォォォァ!!」

 

 そしてすぐさま左手に光を集めて光の刃を飛ばすとそれはザ・ワンの片翼を切り裂いた。

「やった!」

 

「ヴォォォォォォっ!!」

 

 片翼を失って地面へと落下しつつあるザ・ワンは鼓膜が破れてしまいそうなほどの咆哮をあげると町のカラスが一斉にザ・ワンへと集まり出した。

「いったい何をしているのかな?」

 

「おそらくベムラーのように捕食しているのだと思うのです」

 

「失った翼を再生させるためだろうな・・」

 

 音々と徹さんの予想通りカラス達を取り込むことで翼を回復させたザ・ワンは体勢を立て直しつつアスファルトの大地に足を付ける。その衝撃で土煙とともに砕けたアスファルトが宙を舞うとそれらが地面に落ちるより前にザ・ワンは再び飛び上がった。

「ォぁ!?」

 

 ザ・ワンの火球が直撃したオーブは怯みつつも光の刃を飛ばして反撃するも、その光の刃は熱線によって打ち砕かれてしまう。

「ヴぁっ!?オォォォォ・・・」

 

 接近してきたザ・ワンの尻尾で首を絞めつけられたオーブは何とかそれから逃れようと抵抗するも、その締め付けがキツいらしくて身動きが取れないでいるかな。

「あっ!ザ・ワンが・・・ッ!」

 

 ザ・ワンは口にエネルギーを溜めこみ始める。あの至近距離からオーブに熱線を浴びせる気だ。

「ぉぉぉぉっ!!」

 

 必死に抵抗するオーブのタイマーが赤く点滅し始める。そろそろタイムリミットが近いのに、身動きが取れない。これはピンチかな。

「頑張って!オーブ!!」

 

 私がオーブへと声援を送った瞬間、ザ・ワン目掛けて数発のミサイルが直撃した。

「あれは・・・BRGの戦闘機なのです!」

 

 ザ・ワンを攻撃していたのはBRG日本支部に配備されている機体のジェットスピーダーだ。その攻撃に怯んだザ・ワンはオーブの締め付けを緩めたらしく、尻尾による締め付けから抜け出した。

「やった!決めちゃえオーブ!」

 

「シュァ!」

 

 オーブはザ・ワンよりも遥か上まで飛び上がると両手と胸のタイマーにエネルギーを溜め始めたかな。

「ウルトラフル・・・バァァストォォ!!」

 

 両手と胸のタイマーからオーブは2種類の光線を同時に放つとそれを受けたザ・ワンは地面へと墜落する。倒れているザ・ワンの翼はバラバラに散っていくとそれは元のカラスへと戻って飛び去っていく。

「あの取り込まれていたカラスは生きていたのか」

 

「きっとまだ消化されきってなかったからだと思うのです」

 

 ザ・ワンは粒子に分解されるように消滅していく。カラスは消化されてなかったから生きていたようだけど、一番最初に食べられてほとんどの身体を構成していたベムラーはその場に残っていなかった。

「それにしても今日はBRGの到着が早かったな」

 

 徹さんのいう通り確かに今回はBRGが到着するまでかなり速かった。いつもならオーブが事件を解決した後ぐらいで到着してるのに。・・・でも少し考えてみれば分かることかな。

「たぶんお父様が日本に来ているから万が一のことを考えてこの辺りで待機していたんだと思うかな」

 

「あぁ・・久遠さんのお父さんは総司令官ですから・・」

 

 護衛のBRGが近くにあるのは当然かな。

「お~い!」

 

そう考えていると先に行ってしまっていたガイとお父様がこっちに駆けよってきた。どうやら2人も大丈夫だったようかな。

 

 この時はまだこれがこれから起こる事件の序章だなんて知らなかったかな。

 

 

~~???~

 

「さっすがウルトラマンオーブ。本当に3分程度でベムラーを取り込んだビースト・ザ・ワンを倒しやがった」

 

 俺がマグマスパークで解放した2体がこうも短時間でやられるとはな。・・・これは攻略しがいのある面白いゲームになりそうだ。

「まったく・・・地球ってのはずいぶんとキラキラしてるよな」

 

 ゲームを攻略してこの地球を手に入れる。せっかくレアキャラなウルトラマンと戦えるゲームなんだ。

「ノーコンクリア・・・は無理だったしな。ここはこっちのプレイヤーも増やしてみるとするか」

『モンスライド・ゼットン星人』

『モンスライド・バット星人』

『モンスライド・スラン星人』

 

 マグマスパークに3つのスパークドールズをライブするとその3体が本来の姿へと戻って俺の前で膝をついた。

「この度は封印より解放して頂き感謝致します」

 

「我ら3人、貴方様に忠誠を誓います」

 

「その前に・・・主よ。貴方の名をお聞かせ願いたい」

 

 この3体は俺を主として付き従う前に名を教えて欲しいと言ってきた。

「フッ、よく聞けお前ら。俺は宇宙恐魔人ゼット。目的は1つ、この『宇宙』ってゲームの攻略だ」

 

 さぁ、超協力プレーでクリアしてやるぜ。

 




ウルトラヒーロー大研究

ウルトラマンネクサス・ジュネッス
属性・絆(キズナ)属性

 人から人へと受け継がれながら輝きを増していく神秘の光の巨人、ウルトラマンネクサスさん。第二形態のジュネッスは力をより開放した姿で必殺光線のオーバーレイシュトロームは相手を分子レベルまで分解するほどの威力があるんだ。

ベムラー・ザ・ワン
属性・闇属性

 ビースト・ザ・ワンがベムラーを取り込んで成長した姿、それがベムラー・ザ・ワンだ。青く変色したベムラーに2本の角と悪魔のような黒い翼を生やした怪獣で周囲の動物を取り込むことで失った身体を再生させるっていうヤバい奴だったな。

次回「チームゼットンの強襲」

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