ウルトラマンオーブ 天かける星の祈り歌   作:彩花乃茶

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 今回は初のオリジナル怪獣が登場します。


青春銀河バレンタイン 後編

~~ガイ~

 

「ルギエルって・・・あのダークルギエルのことですか?」

 

 ヒカルさんはルギエルが復活するかもしれないと告げてきたので、それがダークルギエルのことかどうかを確認してみる。

「そう、そのダークルギエル」

 

 ダークルギエル。闇の支配者と飛ばれる闇の巨人で数多くのウルトラマンさん達や怪獣たちをスパークドールズへと変えてしまったという『ダークスパークウォーズ』を巻き起こした張本人だ。激闘の末にギンガさんが勝利したと聞いている。

「俺の地球で3日ぐらい前にUPG・・・俺のいる防衛組織に1人の宇宙人が侵入してきたんだ。その宇宙人は俺達が何とか倒したビクトルギエルの残骸を回収しに来てたらしくてな。俺もショウも出張ってるタイミングを狙われちまって、悔しながら盗まれちまったんだ」

 

 ビクトルギエルって確か・・・ダークルギエルが基地とか鉱石を取り込んで復活した時の姿って前に聞いたな。

「俺がUPGに戻った頃には既にマグマ星人が逃げ去ろうとしてたタイミングでな、俺は奴がここに戻ろうとしている次元の穴に飛び込んで追ってきたんだよ。そしたらマグマ星人はその残骸の一部だけでビクトルギエルのスパークドールズを作っちまったんだよ」

 

 ビクトルギエル自体じゃなくて、その残骸だけでスパークドールズを作っちまうだなんて・・・。

「そんなことが出来たんですか?」

 

「俺も知らなかったけど・・・現に出来ちまってるんだから、そうなんだろ」

 

 なんて大雑把な。

「さっきも言った通り奴の穴を潜って来たせいでショウは一緒じゃなくてよ・・・。もしビクトルギエルがライブされたら俺1人じゃ相手にするのはキツいんだ。だからオーブの手を借りたいってわけ」

 

「・・・元はと言えばあのマグマ星人は俺を倒すためにビクトルギエルのスパークドールズをそちらに回収しに行ったんだと思いますし、もちろん俺も手を貸します」

 

 むしろこっちの世界の面倒事でヒカルさん達の世界に迷惑をかけてるんだから、手を貸してもらってるのはこっちだ。

「そう言ってくれて助かるぜ」

 

「でもあいつの円盤が今、何処にあるのかは俺には分からないですよ」

 

 ウールとサァラはスパークドールズの気配を少しは分かるけど、それはそのスパークドールズが怪獣だったらの話でビクトルギエルは怪獣というよりはロボットに近いタイプだから探れないと思う。

「あいつもスパークドールズを持ってるなら・・・それを探るぐらいできるって」

 

 そう言ったヒカルさんは短剣型のアイテムであるギンガスパークを取り出す。

「それは何?」

 

 それが何なのかを知らない杏はギンガスパークのことをヒカルさんに尋ねた。

「これはギンガスパーク。俺がギンガにライブするために必要なもので、スパークドールズを探ることもできるんだ」

 

「えと・・・ギンガにライブってどういうこと?」

 

 そういやヒカルさんが何者かってのを紹介してなかったな。

「杏、この人もウルトラマンなんだ」

 

「えっ!?」

 

「悪い悪い。まだ言ってなかったが俺はこのギンガスパークでウルトラマンギンガになれるんだ」

 

 そう、ヒカルさんはムサシさんのようにウルトラマンと一体化している光の戦士の1人で、光の国でも『闇の呪いを解く唯一の希望』とも語られているギンガスパークを用いることでギンガさんへと変身するんだ。

「凄い!もう1人のウルトラマンだなんて!見せて見せて!」

 

「後でな。今はとりあえずスパークドールズ探しだ」

 

 ヒカルさんはスパークドールズに反応するように点滅しているギンガスパークの先端へと視線を向ける。

「正確な位置までは分からないが・・・たぶんまだそんなに遠くないな」

 

「あいつの目的は地球侵略でさっきシャザックを操って襲ってきたのも何か次の作戦があるからだと思います」

 

 俺を倒して地球侵略をするために5つのスパークドールズでファイブキングを出現させたり、わざわざクグツを持ちだしてくるような奴だ。シャザックを操って攻めてきただけで終わるはずがない。

「だろうな。でなきゃわざわざ俺の方までビクトルギエルのスパークドールズを取りにきやしねぇよな」

 

 ヒカルさんも俺の意見に同意すると、ギンガスパークを前へと突き出しながらクルりとゆっくり回転する。

「こっちだな」

 

 どうやらビクトルギエルの気配に気づいたようだ。

「・・・そういや杏・・・だっけ?」

 

「あっ、私の自己紹介がまだだったね。私は姫山杏!」

 

「姫山杏だな。よろしくな!」

 

 杏は自己紹介の後にヒカルさんと握手をすると徹と音々、そして千佳の3人が俺達のところへと走って来た。

「お嬢様!また1人で勝手に!」

 

「ご、ごめんってば・・・」

 

「え?お嬢様?」

 

 勝手に俺達に付いてきた杏に千佳が怒るとヒカルさんが「お嬢様」という言葉に反応した。

「杏は姫山財閥のお嬢様なんですよ」

 

「へぇ、マジか」

 

 俺もそうだったようにヒカルさんも杏がお嬢様と知ったからと言って接し方を変える気はないようだ。

「ガイさん、その人はどちら様なのです?」

 

「俺の知り合いの礼堂ヒカルさん。俺よりもスパークドールズについて詳しい人」

 

 音々達にヒカルさんもウルトラマンということを隠しつつざっくりと説明する。・・・うん、嘘は言ってない。

「マグマ星人が俺の方で管理していたスパークドールズを持ち逃げしたからここまで追ってきたんだ」

 

「・・・えと、何やら防衛隊の服装を着ていますが・・・ヒカルさんは防衛隊の人なのですか?」

 

 俺の耳元で音々はひそひそと尋ねてくる。見知らぬ組織のロゴがあるせいで迂闊に口にしてはいけないと気を使っているようだ。おおっぴらにそれを着てるんだし別に気を使わなくても大丈夫そうなのにな。

「知らなくても仕方ないよな。この通りUPGってとこの隊員だ」

 

 ヒカルさんはUPGのロゴを指さした途端、左手に握られていたギンガスパークの輝きが増した。

「・・・近づいてるだと・・?」

 

 ビクトルギエルのスパークドールズの反応が近づいてることに気づいたヒカルさんはすぐさま周囲を見渡す。

「どうしたのです?」

 

「盗まれたスパークドールズの反応が近いんだ。盗んだやつが近づいてきてるんだと思う」

 

 犯人は1度現場に戻るって言葉があるらしいが、まさにそれだな。

「っ!!」

 

 そこでようやく俺も気配に気づいた。

「上か!!」

 

 俺は上から近づいてきた気配に反応して、真上を見上げた瞬間・・・俺とヒカルさんそしてその間にいた杏が円盤からの光に包まれた。

 

~~杏~

 

「上か!!」

 

 ガイが気配に気づいて上を見上げたけど・・・気づいた頃にはもう手遅れだったっぽくて、私とガイそれとヒカルさんの3人は円盤にアブダクションされてしまった。

「大丈夫か杏?」

 

「う、うん。大丈夫」

 

「2人とも・・・。残念ながら安心できる状況ではなさそうだぜ」

 

 ヒカルさんの視線の先にはギンガスパークそっくりのアイテムを持ったマグマ星人が立っていた。

「いったい何のつもりだマグマ星人?」

 

「最後の作戦の前に最後の挨拶でもしようと思ってな」

 

 最後の作戦?

「貴様のデータは全て記録させてもらった。手持ちのカードに本来の姿であるオリジンの性能をな。シャザックはちょっとした悪戯のようなものだ」

 

 ちょっとした悪戯でオーブも浄化する力を確かめたってことなの?随分と手を込んだことをする宇宙人だね。

「手の込んだストーカーはジャグラーで間に合ってるんだよ」

 

「ビクトルギエルのスパークドールズ、返してもらうぜ」

 

 ガイとヒカルさんが先手必勝言わんばかりに駆け出そうとすると、マグマ星人はこの前オーブが倒していたロボットのスパークドールズの足裏を手にしているアイテムで突いた。

 

 

 

~~ガイ~

 

「見せてやろう。貴様を倒すために用意したとっておきをな」

『モンスライド・デスフェイサー!』

 

 マグマ星人は先日俺が倒したデスフェイサーのスパークドールズをリードする。あれも残骸からスパークドールズにしてたのか。

『モンスライド・ギガバーサーク!』

 

 ギガバーサーク。実物を見たことはないがマックスさんが戦ったとてつもなくデカい相手ってことぐらいは耳にしている。

「2つもスパークドールズをリードしてるってことは・・・」

 

 マグマ星人が何を目論んでいるのか予想がついた。あいつは以前ファイブキングを誕生させたように、また複数のスパークドールズで強力な怪獣を誕生させようとしているんだ。

「させっかよ!」

 

「もう遅い」

『モンスライド・ビクトルギエル!』

 

 ヒカルさんはそれを止めようとするも、マグマ星人はビクトルギエルのスパークドールズまでリードしてしまう。

「暗黒支配機獣ギガデストルギエル!!」

 

 マグマ星人はそう叫びながらマグマスパークを空へと掲げると、その身体が黒い光に包まれて飛び上がる。すると円盤の窓から見える空からは300メートルはありそうな黒いメカニカルな怪獣が土を巻き上げながら着地した。

「ギガデストルギエルだと・・・」

 

 ただでさえ強力な3体が融合されちまったな。

「こうなったらやるっきゃないな。行くぜオーブ!」

 

「はい!・・・メビウスさん!」

『ウルトラマンメビウス!』

 

「タロウさん!」

『ウルトラマンタロウ!』

 

 ヒカルさんはギンガスパークを取り出してギンガさんのスパークドールズを出現させると、俺もオーブリングにメビウスさんとタロウさんのカードをリードする。

『ウルトライブ!ウルトラマンギンガ!』

「ギンガァァァァァァァッ!」

 

「熱いヤツ!頼みます!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!バーンマイト!』

 

 ギンガスパークにギンガさんのスパークドールズをリードすることでヒカルさんはウルトラマンギンガへと変身すると、俺もバーンマイトへと変身して杏を連れて飛び上がった。

 

 

~~杏~

 

 ガイとヒカルさん、2人はそれぞれウルトラマンへと変身するとオーブはすぐさま私を手で包んで円盤から脱出した。

「シュァ・・」

 

「杏さん!無事だったんですね!」

 

 そして私はキャップたちのところに降ろされた。

「あれ?ガイさんとヒカルさんは・・・?」

 

「もう1人のウルトラマン・・・ウルトラマンギンガに助けられてたから大丈夫」

 

 2人の正体は明かせないので、みんなにはもう1人のウルトラマンが助けてたと伝えるとギガデストルギエルに先制攻撃を仕掛ける。

「ギンガファイヤーボール!!」

 

「ストビュゥゥゥムバァァスト!!」

 

「・・・やっぱりこの程度じゃビクともしないか」

 

 ヒカルさんが変身しているウルトラマン・・・ウルトラマンギンガは自分達の攻撃が通じていないことを分かってたような言いぐさだった。

「俺とショウの攻撃が全然聞かなかったあのビクトルギエルに追加されて更にデカくなってるからな・・・。もっと大技ぶち込まないとダメか」

 

「だったら・・・ストビュゥゥゥムダイナマイトォォォォ!!」

 

 オーブはギガデストルギエルに飛びついて炎を巻き上げたけど・・・サイズの差が激しすぎてあまりダメージがあるようには見えなかった。

「シュァ・・・」

 

 これも駄目かとでも言いたげなオーブの横でギンガはクリスタルを桃色に発光させていた。

「ギンガサンシャイン!!」

 

「・・・ギガデストリウムキャノン」

 

 両拳を突き出すように放った桃色の光線がギガデストルギエルへと放たれると、ギガデストルギエルは胸の部分から砲身を展開してそこから特大の光線を放った。

「きゃぁっ!?」

 

「っ!」

 

 私達はその勢いで吹き飛ばされそうになると、オーブはすぐさまドーム状のバリアで私達を守ってくれた。

「デュァァ!?」

 

「ヴァぁっ!?」

 

 だけどギンガの光線はギガデストルギエルの光線に撃ち負けて、光線を放った直後で無防備だったギンガと私を守るのに意識が向いていたオーブはその光線を避けきれずに直撃した。

「どうだ。これがギガデストルギエル最強の攻撃、ギガデストリウムキャノンだ」

 

「っ!?」

 

 その衝撃でマグマ星人の円盤が爆散するとオーブとギンガ、2人のウルトラマンが地面へと墜落してしまう。そしてまだ3分は経っていないはずなのに胸のタイマーが点滅し出してしまった。

「いくらなんでも早すぎる」

 

 2人ともそんだけのダメージだったってことだ。

「このっ!!なら切り刻んでやる!」

 

 少し悪役めいたセリフを吐いたオーブは大きな刃を持った目つきが鋭い姿になると回転しながらギガデストルギエルに突っ込んだ。

「スラッガーエーススライサァァァ!!」

 

 高速回転するオーブの刃はギガデストルギエルの角を1本斬り落とす。だけどその1本だけで刃が折れてしまった。

「この剣で無理ならオーブカリバーでどうだ!!」

 

 本来の姿へと変わったオーブは聖剣を手にするとその刃を地面に突き立てた。

「オーブグランドカリバー!!」

 

 オーブは地面を伝う2本の光線でギガデストルギエルを攻撃しようとすると、ギガデストルギエルは地面に尻尾を叩きつけて、その衝撃波で2本の光線を撃ち消した。

「やっぱりあいつ・・・強すぎる」

 

 本来の姿のオーブの技ですらあんなにあっさりと打ち消しちゃうだなんて・・・。マグマ星人がとっておきって言ってただけはある。

 

 

~~ガイ~

 

「へへっ・・やっぱりキツイな」

 

 膝をつきながらカラータイマーを点滅させているギンガさんは余裕がないはずなのに、余裕そうな口調で話してくる。

「そんな軽いカンジで・・・。俺らの限界が近いのに・・・」

 

「ショウが入ればギンガビクトリーになって一気に決められるんだけどな。・・・そういやさ、俺の力は渡したけど、ショウの・・・ビクトリーの力は持ってるのか?」

 

「は、はい」

 

 ギンガさんの問いかけに俺は頷いた瞬間、ギガデストルギエルは口を開いて熱線を放ってきた。

「ギンガクロスシュート!!」

 

 その熱線に対してギンガさんは腕をクロスさせて光線を放ち相殺しようとするも、威力の差で押され始めた。

「オォォォォっ!!」

 

 何とか押し返したギンガさんだったが・・・今ので更に消耗してしまいタイマーの点滅が速まった。

「・・・ビクトリーの力があるなら何とかできるな。後は任せるぜオーブ!」

 

 そう言ったギンガさんは残っていたエネルギーを俺に分け与えてくる。そのおかげで俺の点滅は収まったが、エネルギーが底を尽きたギンガさんは変身が解かれてしまった。

「ビクトリーさんのって・・・いったいどういう・・」

 

「オーブ!俺とビクトリーの力を解放しろ!」

 

 ギンガさんとビクトリーさんの力を?

「よく分からないけど・・やってみるか。・・・ギンガさん!」

『ウルトラマンギンガ』

 

 俺はその真意が分からないままだが、俺はオーブリングにギンガさんのカードをリードする。

「ビクトリーさん!」

『ウルトラマンビクトリー!』

 

 そして言われた通りビクトリーさんのカードもリードしたが・・・いったい何が起こるんだ?

『ウルトラフュージョン!』

『ウルトラマンギンガビクトリー!』

 

 2枚のカードはリードとともに光の渦になると、その渦が合わさって1枚のカード・・ウルトラマンギンガビクトリーさんのカードになった。ギンガビクトリー・・・。その名の通りギンガさんとビクトリーさんが融合することで現れる究極の光の戦士だ。ウルトラ十勇士と呼ばれる方々の必殺技をも扱えて・・・

「なるほど。そういうことですか」

『ウルトラマンギンガビクトリー!』

 

 ようやくヒカルさんの真意を理解した俺はギンガビクトリーさんのカードを手にすると、それをオーブリングにリードした。

「ギンガビクトリーさん!ウルトラ十勇士の力、お借りします!」

『ウルトラフュージョンシュート!』

 

 俺の真横に半透明のギンガビクトリーさんが出現する。本人ではなく『力』のみが形となっているだけだが、俺はその動きに合わせて両腕を交差させるとギンガビクトリーさんの幻影が俺と重なる。

「ウルトラフュージョンシュート!!」

 

「ギガデストリウムキャノン!」

 

 ギンガビクトリーさん最大の必殺技であるウルトラフュージョンシュートを放つと、ギガデストルギエルも砲身から光線を放ってきた。

 

~~杏~

「ウルトラフュージョンシュート!!」

 

「ギガデストリウムキャノン!」

 

2つの光線がぶつかり合うとオーブの方が押され始めた。

「オォォォォォ!!」

 

 気合を込めたオーブは光線を放ちながらも一歩また一歩と前へ進み出す。すると互いの光線が相殺され、オーブはギガデストルギエルの目の前に立っていた。

「こいつで決めてやる!」

 

 聖剣を砲身に突き刺したオーブはその剣先を虹色に輝かせる。

「オーブスプリームカリバァァァァァッ!!」

 

 0距離から放たれた聖剣での光線はギガデストルギエルを貫く。すると目の光が消えて活動が停止したギガデストルギエルは砂になるように消滅して私の前にマグマ星人が落ちてきた。

「がはっ・・!?」

 

「お前の野望もここまでだ。マグマ星人ライドウ!」

 

 変身を解いてヒカルさんと一緒に向かってきたガイは私を下げるように手を横にすると・・・既にボロボロなマグマ星人が立ち上がる。

「ふっ・・・確かにここまでのようだ。とっておきの切り札だったギガデストルギエルが敗れたのだからな」

 

 潔く負けを認めている様子のマグマ星人はマグマスパークを取り出すと、自分にその先端を当てた。

「お前・・・何してんだ?」

 

 ヒカルさんはマグマ星人の行動が理解できずに尋ねると、マグマ星人は首をしかめる。

「何を?とは可笑しなことを尋ねるなウルトラマンギンガよ。見ての通り俺自身をスパークドールズにしてるのだ」

 

「自分をスパークドールズにって・・・」

 

 そんな自殺みたいなこと・・・どうして?

「言っただろう。最後の作戦だと・・・。俺の全てを用いて・・・敗北した。だがこれで終わりにはせん。持ち主である俺がスパークドールズとなることでこのマグマスパークは新たな持ち主となるべく者のところへと転送される設定にしておいてやったのだ」

 

 そんな迷惑な設定をしてくれていたなんて・・。

「覚えておけ。白金ガイ・・・死してなお貴様を苦しめる男の名を・・我が名はマグマ星人ライドウ!!」

 

 最後にそう言い残したマグマ星人は完全にスパークドールズへと変わってしまうと、そのスパークドールズは地面に落下してすぐに消滅してしまった。

「・・・マグマ星人ライドウめ。厄介なものを残しやがって」

 

「そう言えば・・・」

 

 ガイは面倒臭そうな顔をしていると、音々は何かに気づいたようにヒカルさんに視線を向けた。

「あのマグマ星人ライドウと名乗った宇宙人・・・礼堂さんのことをウルトラマンギンガと呼んでませんでしたか?」

 

「「あっ・・」」

 

 確かにそう呼んでしまっていた。せっかくこっちはそのことを隠してたのに。

「あっちゃ~。バレちまったか。・・・まぁ、ギガデストルギエルを倒してもう帰るだけだし・・・まぁいいかな」

 

 そう言ったヒカルさんは私達の目の前でウルトラマンギンガへと変身すると空中へと浮かび上がった。

「そんじゃあな!また会おうぜ!」

 

 ギンガは夕焼けの空へと飛んでいく。その後キャップと音々が色々聞いてきたのは言うまでもない。

 

 

 

~~杏~

 

「はぁ・・はぁ・・ごめんガイ。君に会うためにこんな時間に呼び出しちゃって」

 

「いや、別に何か用事があるってわけでもなかったしな」

 

 翌日、結局昨日はドタバタしすぎてチョコを作ることが出来ず、今日になってから慌てて作り出して何回も失敗を繰り返した結果もう夕暮れになっちゃった。でも今なら渡せる雰囲気だよね。

「ガイ。これ、受け取って」

 

 私は思い切って手作りチョコをガイに手渡す。

「えと・・・開けていいか」

 

「え・・・う、うん」

 

 ガイは紐を解いて箱を開けると、その中からは飴玉くらいの1粒のチョコが出てくる。私が作った中で唯一形が・・・たぶん味の方も大丈夫なものだ。

「箱のわりにこれだけか?」

 

「失敗したり、不格好なのを入れるよりは・・・その方がいいかなって」

 

「別に失敗したのでも、不格好のを入れてても良かったんだぞ。お前が一生懸命作ってくれたものなんだから要らないだなんていうはずないじゃんか」

 

 その言葉に私はドキッとしてしまう。ガイったらまるでそれ恋人同士の会話みたいじゃん。

「わ、私達はまだそんな関係じゃないでしょ?」

 

 いやまぁ、そう慣れればいいとは思ってるよ。だってガイは昔から夢に見ていた運命の騎士だしさ。

「ガ~~イ~~!」

 

 私がガイの言葉にドキドキしていると雰囲気をぶち壊すのを狙ったかのように久遠が駆け寄って来た。

「トリコリにいなかったから探したよガイ!はいっ!バレンタインチョコ!」

 

 分かってはいたけど、やっぱり久遠もガイにチョコを渡すのが目的だったようだ。

「おう。ありがとな」

 

 ガイは普通にそれを受け取ると、久遠はガイの手に私のあげたチョコがある事に気づく。

「なるほどね・・。私は2番目だったか」

 

「2番目ってチョコをくれた順番のことか?」

 

 それしかないよね。

「それなら6人目だったぞ」

 

「「えぇっ!?」」

 

 私と久遠は思わず声を挙げてしまう。私達そんな遅かったの!?

「朝起きてすぐにウールとサァラからそれぞれ貰って・・・睦美がシャザックが帰ってきて少しドタバタしててこれないからってチョコが郵便で送られてきてたんだよ。んでもってトリコリ出る前に音々からもな」

 

 一緒に居候しているウールとサァラは仕方ない。そこは納得しよう。それと音々はどうせいつも怪獣のことを教えてくれてるから感謝の気持ちって感じに渡した儀理チョコだろうけどさ、まさか睦美が郵便で先に渡しているのは予想外だった。

「まさか妹からチョコを貰えるまで仲良くなってたなんて・・・」

 

 久遠はまるで浮気相手を見つめるような視線をガイに向ける。・・・うん、その気持ちは何となく分かる。

「おいおい、ただチョコを貰っただけだろ?」

 

 当の本人はその意味が分かっていないようだ。

「ほらほら、もう暗くなってきたし帰ろうぜ」

 

 ガイの言う通り辺りはすっかり暗くなっていて、空には星々が輝いていた。

 




ウルトラヒーロー大研究

ウルトラマンギンガ
属性・光属性

 遠い未来の銀河からやってきた光の戦士、ウルトラマンギンガさん。銀河の覇者と呼ばれる二つ名は伊達ではなく、多彩な光線技が得意な戦士なんだ。技の属性ごとにクリスタルの色が変化するのが最大の特徴だぞ。

ギガデストルギエル
属性・闇属性

 暗黒支配機獣ギガデストルギエル。マグマ星人ライドウが3つのスパークドールズで作り出した怪獣だ。全長は300メートルを超える巨体で地球のエネルギーを利用したビクトリウムキャノンと強力な破壊兵器のネオマキシマ砲の威力を掛け合わせたギガデストキャノンはとてつもなくヤバい攻撃だ。

次回「絆ースぺシウムシュトローム」

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