ウルトラマンオーブ 天かける星の祈り歌   作:彩花乃茶

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 ウルトラファイトオーブにジードが先行登場するのは予想していませんでした。


光よ

~~久遠~

 

「「「「久遠さん!退院おめでとう~~!!」」」」

 

 オーブが夢で見た光の巨人・・・いいや、本当の姿になってから4日後、無事退院できた私はトリコリでそれを祝われていた。

「本当に退院が早かったなぁ」

 

「あんな大怪我をしたはずなのにとてつもなく早い回復だったのです。お医者さんも驚いていたのです」

 

 本当に自分でも驚くぐらい回復が早かった。まさか2週間ぐらいで退院できるだなんてね。

「ヤクトワルトが言うには私のご先祖様が宇宙人と交じってて、その血のおかげで治りが早かったんだって」

 

「そうなんですかヤクトワルトさん?」

 

「あくまで俺の見立てじゃん。そうじゃないとすれば誰かが怪我の治りが早くなるようになんかをしたんだろうなぁ」

 

「誰かが何かを・・・」

 

 私達は一斉にウールとサァラの2人に視線を向けると・・・2人は首を横に振った。

「無理だった」

 

「久遠さんのお身体は私達の力を受け付けませんでした」

 

 どうやら2人は一度は試してくれたけど、私の身体がそれを受け付けなかったから諦めていたらしい。

「お二人ではないとするといったい誰なんです?」

 

 瑠々は2人ではないとすると誰だと疑問を投げかけるも・・・この場にいる誰も心当たりはなく無言になった。

「悪い遅れた」

 

 そんな中、何処かから戻って来たガイがトリコリに入って来た。

「ガイさん、何処に言ってたんですか!もう始まってますよ!」

 

「いやさぁ、これを直してもらうのに時間が掛かっちまってな」

 

 そう言ったガイはポケットからあるものを取り出す。

「これ・・・お母様から渡されたペンダント」

 

 ガイが取り出したのはジャグラーに斬られてしまったペンダントだった。

「あの時真っ二つにされたせいってのもあるが、それなりに年代物なこともあって直せるのが中々見つからなくてな。今日、ようやく直せるって奴を見つけて直してもらえたんだよ」

 

 ここ4日またガイが姿を現さなくなったのはそのせいだったのかな。

「ガイがペンダントを貸して欲しいって預けてたけど・・・直してもらうためだったんだね」

 

 オーブとゼッパンドンの戦いが終わった後、私はガイにペンダントを預けた。でも直してくるだなんては聞いていなかったかな。

「でも真っ二つになったそれをよく直せてもらえたかな」

 

「俺に宇宙人の知り合いがそれなりにいるってことは知ってるだろ。そういうのに復元して貰ったんだ」

 

 確かにガイは地球に友好的な宇宙人の支援をしていたりしてるらしいから、ペンダントを直せる人がいても不思議じゃない。

「ほら!」

 

「ありがとう」

 

 ガイからペンダントを受け取ると・・・今日は営業をしていないトリコリにとあるお客さんが入って来た。

「退院おめでとう。久遠」

 

「お母様!それに睦美も!」

 

 お母様と睦美だ。

「退院したらここに来るってことを伝えてたんだ」

 

 ガイはペンダントついでに2人にもここに来る事を伝えてたみたいかな。

 

 

 TVをつけるといきなり臨時ニュースが入って来た。

『臨時ニュースです。クリオモス島に謎の飛行船が現れました。まるで戦艦のような大きさの飛行船の目的は・・・只今速報が入りました。クリオモス島の報道局に自らをモネラ星人と名乗る者たちから『今から2時間以内に地球人が降伏しなければ、この星の生命全てを抹消する』という要求があったようです』

 

 何だか退院早々にまた事件が発生しているかな。

『それに対してBRGは迎撃を発表。現地のBRGがさっそく攻撃を開始しました』

 

 中継には現地のBRGの戦闘機が飛行船を攻撃し始めるのが映し出される。爆煙で飛行船は見えなくなるほどのミサイルが放たれて、多くの人々が撃墜できたと思っていた。

『・・・えっ?』

 

 爆煙が晴れるとそこにはまるで無傷な飛行船があり、中継をしていたアナウンサーは驚きのあまり言葉を失っていた。すると飛行船は砲身を展開すると、そこにエネルギーを集束し始めた。

『な、なんかこれヤバくない?』

 

 アナウンサーは中継されていることを忘れて何かヤバいと口にした途端・・・飛行船の砲身から光線が放たれた。

『え・・・っ?』

 

 光とともに映像が途切れてしまうとヘリから島の様子が中継され始めたかな。

『さ、先ほど飛行船から放たれた光線で島の半分が吹き飛んでしまいました。信じられないかもしれませんが・・・これはたった今起きてしまった出来事です』

 

 TVには島の半分が無くなってしまっている映像が映し出されていた。

「とんでもない威力かな・・・」

 

 先ほど迎撃しようとしていたBRG戦闘機の残骸が海に沈んでいくのがチラっと映ったかな。たぶんあの戦闘機に乗っていたBRG隊員はおろか、島に住んでいた人達も助かってはいないと思うかな。

『ツギノバショ。二ホン』

 

 飛行船からそんな片言の声が響いたかと思えば、飛行船は島から別の場所へと移動を始めた。

「なぁ、今日本って言ってなかったか?」

 

「言ってたのです」

 

「・・・マジやばくね?」

 

 サァラの一言ととともに徹さん達はすぐさま機材の準備を始める。あぁ、このカンジ・・・久々かな。

「そんじゃまぁ準備ができたところで・・・」

 

「サムシングサーチピープル!出動ッ!!」

 

 こうして久しぶりにSSPと一緒の活動が始まった。

 

 

 

~~瑠々~

 

 退院したばかりの久遠さんがさっそくと言わんばかりに侵略者の飛行船の調査に向かってしまい、SSPではない私達は久遠さんのお母さん・・エルさんの残るトリコリで少し気まずい空気になっていました。

「えと・・・コーヒーをどうぞ」

 

「ありがとう」

 

「アンタに聞きたいことがあるじゃない」

 

 その沈黙を破るために木村さんはとりあえずエルさんにコーヒーを渡すと、ヤクトワルトさんがエルさんに話しかけました。

「貴方は確か・・・剣崎さんでしたね。何か?」

 

「1人の親としてちょっとな・・・この前マガオロチの時は嬢ちゃんが危ないところに行くのを止めたって聞いていたんだが・・・今回はあっさりと行かせたんだと思ってよぉ」

 

 私もそれが気になっていまいた。以前は久遠さんを危険なところに行かせまいと止めていたはずですが・・・今回は止めるそぶりを一切見せずにあっさりと見送ってました。

「あんな大怪我をして退院したばかりだってのに何であんなにあっさり行かせたんだ?」

 

「あの娘が信じてるものを・・・私も信じてみたくなった。それだけですよ」

 

 久遠さんが信じてるもの?それはもしかしてオーブのことでしょうか?

「それはもしかしてウルトラマンオーブのことかい?」

 

「・・・・・」

 

 エルさんは返答こそしませんでしたが、おそらく間違っていないはずです。自分の娘である久遠さんは力を制御しきれなかったオーブの戦いに巻き込まれて大怪我を負ってしまったのですから。

「・・・いや、アンタの場合はウルトラマンオーブに娘が傷つけられる前から信用しきれていなかった。違うかい?」

 

「え?」

 

 久遠さんが巻き込まれる前からエルさんはオーブを信用してなかった?

「見抜かれていましたか」

 

「まぁね。だけどアンタからはウルトラマンオーブに対しての信頼もなければ、敵意や憎悪すらもなかった。かと言って無関心と聞かれればそういうわけでもない」

 

「そこまでお見通しとは・・・。貴方は何者です?」

 

 完全に自分の考えが読まれていると言いたげなエルさんはため息交じりにヤクトワルトさんが何者かを尋ねました。

「旦那に娘を助けられた。1人の父親さ」

 

 流石にシノちゃん共々『宇宙人』だなんて名乗れないので、どう答えるのかこちらがハラハラしてしまいましたが・・・どうやら杞憂だったようです。

「・・・確かに私はオーブを憎んでいなければ、信頼もしきれていませんでした。ですがそれは娘のことでではなく、以前他のウルトラマンにあったことがあるからです」

 

 他のウルトラマンにあったことがある?

「1人は熱い闘志を宿した光の戦士。もう1人は強さと優しさを宿す勇者。私はその2人のウルトラマンに助けられたことがあるんです」

 

「熱い闘志の戦士と慈愛の勇者・・・ダイナとコスモスってウルトラマンか」

 

「知ってるのですか?」

 

「風の噂で名前だけな」

 

 どうやらヤクトワルトさんもそのウルトラマンを名前だけは知っているようです。

「そのウルトラマン・・・ダイナさんとコスモスさんそれとあの人とオーブを重ねてしまい、どうにも信頼しきれなかったんです」

 

 私はエルさんの言った『あの人』というのが気になりましたが、エルさんはそのまま話を続けるので聞くのを後にしました。

「だけど娘はあんな大怪我を負ってもオーブを信じていました。私も他のウルトラマンを知っているから信じ切れないだなんて理由でオーブを信じないだなんて・・・恥ずかしくて娘には言えませんね」

 

 そう言ったエルさんはそろそろと言わんばかりに椅子から立ち上がりました。

「お母さん、何処に行くの?」

 

「ちょっと渡すものがあるから行ってくるね」

 

 誰かに渡すものがある様子のエルさんは睦美さんを残してお店を後にしました。

 

 

~~久遠~

「杏たち、反対側に行っちゃったかな」

 

 徹さんの運転する方に私と音々それとガイの4人が乗り込み、千佳さんの運転する方に杏と乃理達を乗せ店を出ると・・・それぞれ予想した場所が違うようで車がそれぞれ正反対に進んでしまった。

「まぁ、飛行船が何処に行くかは分からないんだから二手に別れるのは悪いことじゃないかな」

 

 徹さんはこっちに飛行船が来るって予想をしてあっちではたぶん乃理が直感で決めたんだと思うし・・。どっちかがはずれてもどっちか近い方が先に向かえばいいだけかな。

「ねぇガイ。モネラ星人ってのは知ってるかな?」

 

 私はあの飛行船に乗って侵略してきたというモネラ星人のことをガイに尋ねてみると、ガイは首を横に振った。

「俺も見たことはないからイマイチ知らないんだよな。知ってるのは宇宙植物獣人って他の宇宙人から呼ばれてるってことぐらいだ」

 

 植物なのに獣人?

「ヤクトワルトは何度か見たことがあるらしいぞ。タコみたいな植物のイカ野郎って言ってたな」

 

 結局それはイカってことでいいのかな?

「じゃああの飛行船のことは何か知ってるかな?」

 

「モネラ星人のことをあまり知らない俺が奴らの作った戦闘機のことを知ってるわけないだろ」

 

 まぁ、そうだよね。

「というか兄さん。モネラの飛行船が日本に来ると分かった途端に店を飛び出しましたけど、あの飛行船が何処に来るかの検討がついてるのですか?」

 

「・・・・」

 

 音々の質問に徹さんは無言になった。この人絶対考えなしに出てきたかな。

「だがまぁ・・・。何となくこっちに来たのも間違いじゃなかったっぽいな」

 

 ガイは車の窓から空を眺めていたので私もその空を見上げると・・・そこにはTVに写っていた飛行船が浮かんでいるのが見えた。

「えっ!?もう日本に来たのですか!?」

 

「おおかたテレポートか高速移動でもしたんだろ」

 

「というか何か様子が変じゃないか?」

 

 徹さんは異変を感じて車を停車すると、その飛行船はいきなり地球の技術ではありえない複雑な変形で人型のロボットになった。

「な・・・何だか良く分からない変形でロボットになったのです」

 

 私達がその変形に驚いていると・・・そのロボットは地面に着地して地面が揺れた。

「とにかく撮影開始だ!」

 

「ガイさん!手伝ってくだ・・・ってもういないのです!」

 

 音々が機材を降ろすのを手伝ってもらおうと助手席から後ろを振り向くと・・・既に隣に座っていたはずのガイがいなかった。

 

 

 

~~ガイ~

 

「あの飛行機がまさかデスフェイサーに変形するとはな」

 

 デスフェイサー。以前ゼロさんと共闘した時に、ゼロさんが相手をしていたロボット兵器だ。

「TVで観た光線が何処かで見たことがあるような気がしていたが・・・あれはネオマキシマ砲だったか」

 

 ゼロさんとの戦いでもネオマキシマ砲が放たれていた。その時ゼロさんはウルティメイトイージスで防いでいたが、俺にはそんなに強力な盾はない。

「さてと、ここなら大丈夫そうだな。タロウさん!」

『ウルトラマンタロウ!』

 

「メビウスさん!」

『ウルトラマンメビウス!』

 

「熱いやつ!頼み・・・ん?」

 

 それなりに人気のないところへと移動した俺はさっそくバーンマイトへと変身しようとすると、後ろから誰かが近づく気配がしたので振り返った。

「思いの外早く見つかりました」

 

 振り向いた先には自分の運転する車で俺達を追いかけてきた様子のエルさんが立っていた。いや、今回は俺達をというより『俺』だけのようだ。

「どうかしたんですかエルさん?」

 

「以前渡しそびれたものを・・・貴方に渡そうと思いまして。本当の自分を取り戻した今の貴方なら・・・このお二人の力を任せられますね」

 

 そう言ったエルさんは2枚のカードを取り出した。

「ダイナさんと・・・コスモスさんのカード・・」

 

 エルさんが持っていたのは英雄と語られるネオフロンティアのヒーロー、アスカ・シンさんことウルトラマンダイナさんの力と、慈愛の戦士として怪獣たちの命も守ろうとする春野ムサシさんと共にあるウルトラマンコスモスさんの力を宿したカードだった。

「どうしてエルさんがお二人のカードを?」

 

 お二人とも俺のファーストミッションの時にお力をお借りしたウルトラマンの先輩たちだ。

「以前怪獣事件で地球と別の地球との空間の狭間、異次元とも言える空間に閉じ込められてしまったの。その時に私を助けてくれたのがアスカさんと春野さん・・・ダイナさんとコスモスさんだった。そんな運命の光の中で彼らが会う機会があれば貴方にこの2枚を渡してくれって頼まれてね・・・」

 

 アスカさんとムサシさんに頼まれていたのか。

「ありがとうございます。使わせて頂きます」

 

 エルさんからダイナさんとコスモスさんのカードを受け取った俺はまずダイナさんのカードをオーブリングにリードする。

『ウルトラマンダイナ!』

 

「・・・ダイナさんとの組み合わせは・・」

 

 ダイナさんと相性が良いカードと言えばやはりコスモスさんのカードだろうか。

「コスモ・・・ん?」

 

 コスモスさんのカードをリードしようとすると、ホルダーの中が光っていることに気づいた。ダイナさんと相性の良いカードが共鳴して輝いているんだ。

「いったいどのウルトラマンさんの力が・・・」

 

 俺は輝いているカードを取り出してみる。輝いているカードは2枚もあった。

「ティガさん・・」

 

 1枚目はダイナさんの住んでいた宇宙にもいたという光の巨人ウルトラマンティガさんのカードだ。出身が同じ宇宙だからだろうか。だけどもう1枚の方はあまりにも予想外だった。

「べリアルさん・・?」

 

 2枚目のカードはまったく繋がりが分からないべリアルさんのカードだった。

「べリアルさん・・・のは後にしよう」

 

 本当の俺を取り戻した俺なら闇を抱きしめてべリアルさんの力も制御できるだろうが、やっぱり少し不安な気持ちはある。

「そんじゃまぁ気を取り直して・・・ティガさん!」

『ウルトラマンティガ!』

 

 ティガさんのカードをリードした途端、ここまで鎮まっていたデスフェイサーが再び活動を開始してこっちに砲撃を放ってきた。

「光よぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

『フュージョンアップ!』

 

 俺はオーブリングを空へと掲げて光に包まれる。そしてティガさんとダイナさん、2人の光の力をお借りした新たな姿・・・・

『ウルトラマンオーブ!ゼぺリオンソルジェント!』

 

 ゼぺリオンソルジェントだ。俺は後ろにいたエルさんの無事を確認するとデスフェイサーへと構えを取る。

「光の輝きと共に」

 

 

 

~~久遠~

 

 戦闘機が変形したロボットがまた活動をし始めてすぐ、またも新しい姿でオーブが現れた。

「光の輝きと共に」

 

 赤と紫のボディはいつもの紫の姿に似ているけど、肩のアーマーじゃなく胸から肩を守るようなプロテクターを纏ってるようなカンジだ。

「オォォォ・・・セイッ!!」

 

 ダイナミックな飛びかかりから右拳を叩き込んだオーブはロボットの右腕を掴んで背負い投げをする。すると叩きつけられたロボットは反撃と言わんばかりに光線を放ってきた。

「ディァ!」

 

 オーブはバリアでそれを防ぎつつ後ろに跳び下がると光弾を投げつけた。するとロボットは右腕のハサミでそれを真っ二つにしながら立ち上がる。

「ダァッ!・・・っ!?」

 

 立ち上がったロボットに対してオーブは跳び蹴りを決め込もうとすると、ロボットのハサミが急に伸びてオーブを叩き落としてしまう。そして追い討ちをかけるかのようにロボットはガトリングガンでオーブに銃撃を浴びせた。

「オーブっ!?」

 

「・・・デュァ・・」

 

 ガトリングガンによる銃撃をバリアで耐えていたオーブに気づいたロボットは胸部から砲身を展開する。

「あの砲身・・・島を半壊させていた光線を出すつもりなのです!」

 

 音々はその砲身を観てすぐにTVで中継されていた際に放っていた光線を放とうとしていることに気づいた。

「おいおい、そんな光線をこんなとこで放たれたら大変なことになるぞ」

 

 徹さんの言う通り、こんな街中であんな光線を放たれてしまったらたとえオーブがバリアで防いだとしても余波で大惨事になってしまう。

「オォォォォラァァッ!!」

 

 オーブも同じことを考えた様子で、撃たれる前に先手を打とうと光弾を投げつけると・・・ロボットは空中に飛び上がって、空からオーブへとその砲身を向けた。

「ッ!!」

 

 するとオーブも空中へと飛び上がって地上へと向けられていた砲身を自身へと向けさせる。これで地上にあの光線が放たれることはなくなったけど・・・

「オーブ・・」

 

 あの光線が放たれてオーブが無事でいられるとは思えない。それに放たれた余波で結果的に街に被害が出るのは確実だ。オーブもそのことを分かっていると思う。たとえ飛び上がって戦うにしても撃たれる前に対処をしないといけないって状況は変わっていないんだ。

「オォォォォ・・・」

 

 ロボットが砲身にエネルギーを溜め始めると、ロボットよりも高く飛んでいるオーブも両腕に光を集め出す。先に動いたのはオーブだった。

「マルチフラッシュスライサァァァァァッ!!」

 

 砲身から光線が放たれる直前、2つの光の刃でロボットの砲身を破壊したオーブは大剣を持った真の姿へと変わった。

 

~~ガイ~

 

「マルチフラッシュスライサァァァァァッ!!」

 

 光の刃でデスフェイサーの主砲を破壊した俺はすぐさま俺自身のカードを取り出してオーブリングにリードする。

『覚醒せよ!オーブオリジン!』

 

「オーブカリバー!」

 

 そしてオーブカリバーを手にした俺はその力を解放して真の姿であるオーブオリジンへと変わった。

「銀河の光が我を呼ぶ!」

 

 口上を述べながらオーブカリバーで頭上に光の輪を描いた俺はそれを振り下ろしてデスフェイサーに一太刀を浴びせる。

「一気に畳みかける!」

 

 オーニカリバーのリングを90度動かした俺はトリガーを引いて炎の力を解放する。

「オーブフレイムカリバー!!」

 

 炎を灯したオーブカリバーで大きく弧を描く。

「ワァッ!!」

 

 そしてその炎の輪をデスフェイサーへと飛ばした。炎の輪はデスフェイサーを束縛して結界状に高速回転する。

「ダァッ!!」

 

 炎の結界で動けなくなっているデスフェイサーを横一文字に斬りつけると、デスフェイサーはそのまま炎の結界内で爆発した。

 

 

 

~~音々~

「ダァッ!!」

 

 炎の結界でロボットの動きを封じて、そのまま破壊したオーブが空へと飛び去っていくと・・・ガイさんが入れ違いで戻ってきたのです。

「何処に行ってたのですかガイさん?」

 

「さっき俺達を追いかけていたエルさんを見かけてな。避難させてきたんだよ」

 

「えっ、お母様が?」

 

 どうやらいなくなったのは久遠さんの母であるエルさんに気づいたからのようですが、せめて何か一言告げてから行ってほしいのです。

「それにしてもあのモネラ星人とかって奴ら。結局姿を現さなかったな」

 

 兄さんはモネラ星人の姿を見て見たかったと言わんばかりにため息をつきました。・・・正直私も少し見て見たかったのです。

「案外、あのロボットは無人で遠隔操作されてたんじゃないかな」

 

 

 

~~ライドウ~

 

「やはりオーブの姿が幾つか増えているな」

 

 準備を整えて地球へと戻ってきた俺はモネラ星人を偽りデスフェイサーを用いてオーブを試してみたが、2つの姿とも俺が見た事ないものだった。

「あの剣を持った姿・・・噂に聞くオーブの真の姿というやつか」

 

 本当の姿を取り戻したと噂で聞いていたが、まさか真実だとはな。

「・・・面白い。戦う相手は強い方が攻略しがいがあるというものだ」

 




ウルトラヒーロー大研究

ウルトラマンダイナ
属性・光属性

 熱い心を宿したダイナミックな光の戦士、ウルトラマンダイナさん。ネオフロンティアの次元宇宙では地球を救った伝説の英雄で様々な宇宙を放浪してはその危機を救っているんだ。

デスフェイサー
属性・火属性

 電脳魔神デスフェイサー。地球人の科学者が発明した電脳巨艦プロメテウスがモネラ星人に改造されて誕生してしまったロボットだ。主砲であるネオマキシマ砲は一発で島一つをふきとばしてしまうほど危険なものなんだ。

次回「青春銀河バレンタイン 前編」

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