~~ガイ~
睦美に「母親に会ってほしい」と言われて2日が過ぎた日曜日、俺と久遠はホテルのレストランで待ち合わせをしていた。
「確か睦美と一緒にくるんだったよな?」
「うん。たぶんそろそろ来るかな」
「お待たせして申し訳ありません」
少し待っていると睦美とともにやってきた女性が声をかけてきた。随分若いな。まだ30代のように見える。久遠には・・・あまり似てないな。どちらかといえば睦美の方が似ている。この人が2人の母親か。
「どうも初めまして。白神エルです。娘たちから常々お話は伺っていますよ白金ガイさん。何でも『怪獣の専門家』だとか」
「えぇ、まぁ・・・」
最近トリコリで居候紛いのことをしながらシュークリームとかを作るバイトをしてたから忘れかかってたが・・・そういえば怪獣の専門家って設定であそこにいたんだったな俺。
「さてとお母様たちも来たことだしそろそろ食べようかな」
「お姉ちゃん。ここ、バイキング」
「分かってる。・・・それじゃさっそく行こうかな?」
バイキングを楽しみにしていた様子の久遠はさっそく料理へと向かって行く。
「それじゃ私も・・・」
睦美も久遠についていってしまい、俺はエルさんと取り残されてしまった。あいつ等初対面同士を残すことに何か思うところはないのか?
「・・・あの2人が離れたら、貴方にお尋ねしようと思っていたことがあったんです」
2人がある程度離れたことを確認したエルさんは先ほどまでのおっとりとした表情ではなく真剣な眼差しでこっちに視線を向けてきた。
「質問・・ですか・・」
たぶんあの2人のことだろうな。確かに自分達の意思で怪獣のところにいくような姉妹だし、気になって当然か。答えられる範囲なら答えるか。
「・・・貴方がウルトラマンオーブなんですよね?」
「っ!・・・はい」
予想外な質問に驚きつつも、少し悩んだ俺はそれを肯定して頷く。たぶん睦美は正体を話してないはずだが・・・そもそも睦美の母親なんだから何か特別な力を持ってて、俺の正体に気づいてもおかしくはないか。
「エルさんも何か特別な力を?」
「いいえ。私は特別な力は持っていません。持っているとすれば・・・私の妹と夫の方ですね」
エルさんの妹・・つまり睦美と同じく怪獣の心を聞くことができる人のことなのは理解できる。だけど2人の父親まで特別な力を持ってるとはな。
「その・・・エルさんの旦那さんはどのような力を・・」
「あの人は・・・」
「その話・・私も気になりますね」
「「っ!!?」」
2人の父親が持つ力をエルさんが語ってくれようとしていると、ナックル星人にやられたと思っていたジャグラーがいきなり会話に割り込んできた。
「いっぱい取ってきちゃった。って貴女は!?」
「・・・誰?」
バイキングの皿を山盛りにして戻って来た久遠と、複数の料理を綺麗に盛り付けてる睦美が戻ってくる。
「申し遅れました。私・・こういうものです」
「ちょっと来い!」
「えっ・・・?」
ジャグラーはこの場で魔人態に変身しようとしていたので、俺はジャグラーを連れて席から離れた。
「お前生きてたのか?」
「目で見える情報に囚われ、その影で何が起きているのか想像もしてないのだろう。愚かだな」
「影で?お前・・・何をしようと・・」
「お前を利用すること。お前は魔王獣を倒して良い気になっているようだが、それは全て俺の・・・むっ・・」
ジャグラーが何かを告げようとしていると、両手に山盛りの皿を持った睦美が近づいてきた。
「ガイぃ~。手伝ってぇ~」
「お前もそんなに食うのか?」
久遠が凄い量を食うのは知ってるが、まさか睦美もこれほどとはな。
「違う。これはお姉ちゃんの。・・・そろそろ持って。げ、限界」
どうやら睦美にこの山盛り2皿は重たいらしく、席までたどり着けないから偶然近くにいた俺に声をかけてきたのか。
「分かったよ。・・おいジャグラー。お前も持て」
「なんで俺もなんだ」
そう愚痴っているとジャグラーは睦美から1皿を渡される。
「・・・おい、この山盛りを2皿とか本当にそいつは人間なのか?」
ジャグラーにまで言われるなんてよっぽどなことだと思うが・・・これだけは言える。
「妹にこの2皿を持たせてるってことは・・・これだけじゃないはずだぜ」
「ファントン星人かそいつは・・」
俺らはその皿を持って席へと戻ると・・・何故か食べ終えた様子の2皿が残されていた。まさかこれ・・既に久遠が喰い終えたやつか?
「お前もこんなに早食いではないよな」
「あぁ。・・」
「そいつは人間の姿に化けた怪獣か何かか?」
とうとう星人扱いですらなくなった。
「とにかくだ。話の続きをするぞ」
「あぁ。そうだな」
どうやらエルさんも料理を取りに行ったらしく、他の3人が席にいない間に俺達は先ほどの会話の続きを進めることにした。
「で、なんだっけ?」
「お前が俺の手の内で動いてくれていた。つまり『ありがとう』というわけさ。お前のおかげでこれが集まった」
そういったジャグラーはテーブルに6枚のカードを並べた。光・闇・風・土・水・火のそれぞれの魔王獣のカードだ。
「お前・・・それは・・」
「お前が倒してくれたおかげでこれがあつ・・・」
これが集まった。ジャグラーがそう言おうとしていると、テーブルにまたもや山盛りの皿が置かれる。
「あ、まだいたんだ」
雑ッ!お前ジャグラーの扱い雑だな!!お前ジャグラーが姿を現した時まではシリアスめな雰囲気だっただろ。何で、ちょっといない間にそこまで警戒心解けるんだよ。
「お前・・・ッ」
流石にジャグラーも物申そうとしているのを他所に久遠は山盛りの料理を食べ始める。この女、半端ない図太さだ。
「・・・話の続きをするぞ」
「あ、あぁ・・」
ジャグラーですら「気にしたら負け」という考えに至ったようで久遠を無視して再び話の続きを始めた。
「それに・・・手に入れたのは魔王獣だけではないぞ」
そう言ったジャグラーは魔王獣のものとは別のカードを取り出す。それは怪獣のカードではなく、ウルトラマンのカードではあるのだが・・・
「べリアル・・・」
ウルトラマンべリアル。M78星雲、光の国唯一の悪の道に墜ちたウルトラマンでウルトラ戦士唯一のレイオニクス。光の国に対して大反乱・・・通称『べリアルの乱』を巻き起こした後、光の国を追放され・・・その数万年後に再び光の星を危機へと追い込み、ゼロさん達によって撃破されたというウルトラマンなはずだ。
「なんでお前がそのカードを持っている?」
「惑星侵略連合のボスから頂いたんだよ」
その一言で察しがついた。惑星侵略連合が怪獣を召喚したりしていたのがこいつの仕業だったことを。そしてその惑星侵略連合を裏切り・・・そのボスを倒してカードを奪い取ったことを。
「お前、まさかそのカードで・・・」
「さて、次々・・!!」
魔王獣とべリアルのカードで大魔王獣の封印を解くのかと問いかけようとすると、俺達が持ってきた2皿と自身で持ってきた2皿を食べ終えた久遠が立ち上がった。
「そう言えば2人で何か話してたよね。いったいなんの話?」
薄々は気づいていたが・・・こいつマジで食べることに集中しててこんな間近でも俺らの話を一切聞いていなかったな。まぁ、そう思ってて俺らは話を進めていたんだが。
「・・・ちょっと大人しくしててくれ。今、シリアスなの」
普段そこそこ真面目なのに、飯絡むとボケキャラになりやがって。
「ってガイ!ガイ!」
「だからちょっと静かに・・」
「いや外!外!!」
「ん?外・・・」
俺は久遠に言われて窓の外へと視線を向けてみる。
「なっ!?玉響姫・・・?」
そこには40メートルはあるだろう大きさの玉響姫がいた。
「な、なんだあれ!?」
「宇宙人だぁぁぁ!?」
多くの人達が逃げる中、俺とジャグラー。そして白神親子の3人がその場に残る。
「気を付けて。大きな災いが起きようとしています」
「大きな・・・災い?」
「ったく・・。俺が今、言おうとしてたことを言いやがって」
興が冷めた様子のジャグラーは席を立ってこの場を去っていくと、玉響姫もうっすらと透明になっていき、消えてしまった。
~~久遠~
「ってなことがあったの」
玉響姫の件でBRGの情報課の人達と話をすることになったお母様をその場に残し、トリコリへとやってきた私達はそのことを徹さん達にも話した。
「・・・まぁ、うん。嬢ちゃんの食べる量は凄いからな」
徹さんは目を逸らしながら、私の食べる量のことに触れてくる。確かに人よりは食べるとは思うけどそこまでではないかな。
「久遠さん。いくらバイキングとは言えでもそんなにお皿に盛るのはマナーが悪いのです。他の人のことも考えるのですよ」
「は~い」
年下の音々にマナーで注意されてしまった。確かに他の人のことを考えずに取り過ぎてたところはあったかも。
「お姉ちゃん。そんなことより・・・」
「そうだったかな。音々、災いのことなんだけど・・・」
「正直情報は少ないのですが、とりあえず調べてみるのです」
音々はさっそく災いのことを調べ出した。
「認めたくはないですが・・・おそらく零体と思われる玉響姫が直接警告しにくるということは、彼女が関わった怪獣が高いはずなのです。ですから玉響姫にまつわる文献を探せば何か・・・あったのです!」
玉響姫というキーワードで絞り込んで探してみると、いつもの太平風土記でそれらしい記事が発見された。
「これによると姫は凄い力を持った霊能力者だったらしいのですが、絶世の美女としても有名で、その美貌に魅せられた大蛇が玉響姫を攫ってしまったらしいのです。そこに1人の勇者が現れて大蛇を封印して玉響姫を救い出し、助けられた玉響姫は勇者の力を借りて入らずの森に結界を作り封印を守り続けている。・・・とのことです」
「入らずの森って確か・・・」
「あの森だよな?」
以前調査で訪れた森で・・・出られなくなっていたところを玉響姫の助けを借りて脱出できた。まさかあの森が災いの鍵を握っているだなんて。
「ガイ、これって封印が解かれそうってことだよね?」
私は封印が解かれそうなのかとガイに相談してみようとしたところ・・・既にこの場にガイの姿はなかった。いつも通り1人で先に向かってしまったようだ。
~~ガイ~
「・・・おせぇよ」
封印の土地・・入らずの森へと到着すると、既にジャグラーが到着していた。
「はぁ・・お前とやり合うのもこれで本当に最後かもな」
そう呟いたジャグラーはエネルギー弾を投げつけてきながら、その姿を魔人態へと変えて駆け出してきた。
「っ!!」
俺はエネルギー弾を受け止めて、エネルギー弾を投げ返す。するとジャグラーはそのエネルギー弾を刀で斬り裂きながら、そのまま斬りかかって来た。
「ダァッ!」
俺は回し蹴りで刃を弾くとジャグラーは刀を持ってない左手で殴り掛かって来た。
「ぐっ・・!?いってぇなぁっ!!」
その拳を避けずに受けた俺はジャグラーへと頭突きを叩き込むと・・・怯んだジャグラーは数歩後ろへと下がった。
「昔よりは・・やるようになったじゃないか」
「お前に褒められても嬉しくねぇな」
「さてと・・・お前も来たことだし、そろそろ封印を解くとするか」
ご丁寧に俺の目の前でマガオロチの封印を解く気だったジャグラーはダークリングと魔王獣のカード6枚を取り出す。
「止めてください!」
「もう遅い」
今度は本来の大きさで実体化した玉響姫は俺にジャグラーを止めるように呼びかけてくるも、ジャグラーは6枚のカードをダークリングにリードしてしまった。
「ぬぁ!?」
ダークリングから放たれたエネルギーが大地へと注がれると・・・地球からは巨大な肉の塊のような何かが出てきて、空へと浮かび上がった。
「あれが・・・マガオロチなのか?」
どうやらまだ完全に封印は解かれていないようだ。そのためにべリアルのカードが必要だったのか。
「いけない!このままではマガオロチが・・・」
「これで・・・仕上げだ!!」
ジャグラーがべリアルのカードをリードすると、そのカードは闇に包まれたまま巨大な肉の塊・・・その光輝く部分へと飛んでいく。その光の中心には最後の封印の要となっている力ウルトラマンゾフィーさんのお力が宿ったカードがあった。
「さぁ!マガオロチの復活だ!!」
闇に包まれたべリアルのカードがゾフィーさんのカードへとぶつかると・・・外部からの干渉に耐えられなかったゾフィーさんのカードが砕けてしまい、その封印が完全に解かれてしまった。
「きゃぁっ!?」
「玉響姫!!」
封印が完全に解かれた際の衝撃破で周囲の木々が倒れると、玉響姫も姿を維持できなくなり消えてしまう。すると肉塊は砕けて封印されし大魔王獣・・マガオロチが目覚めてしまった。
「まずい!ウルトラマンさん!」
『ウルトラマン!』
「ティガさん!」
『ウルトラマンティガ!』
「光の力!お借りします!」
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ!スぺシウムゼぺリオン!』
オーブ・スぺシウムゼぺリオンへと姿を変えた俺はマガオロチを食い止めるべく戦いを挑んだ。
~~久遠~
「まったく!ガイったらいつも先に行っちゃって・・・」
「俺らも急いで行く準備だ!」
「はいなのです!きゃっ!?」
徹さんと音々が機材の準備をしていると、まるで地面から何か出てくるような大きな揺れを感じた。
「いったい何かな?」
窓から外を確認すると森の方に大きな肉の塊が浮かび上がっていくのが見えた。
「なんだありゃ?卵・・・じゃねぇよな」
確かに卵に似てなくないと思っていたら、その肉塊の中から背中に翼のような形をした突起物があり、腹部には6つの目のようなものがある怪獣が出てきた。
「あれが・・・マガオロチ?」
大蛇って呼ばれてるんだから神話のように首が8つと尻尾も8つあるものだと思っていたけど・・・
「神話は神話ってことかな?」
「お姉ちゃん。心の声はっきり言っちゃってる」
「・・・コホン。ともあれ・・あれだよサムシングサーチ・・」
サムシングサーチピープル出動と徹さんの台詞を奪って叫ぼうとした瞬間・・・
「何処に行こうとしているの?」
お母様がトリコリの店内に入って来た。
「・・・じゃ、俺らは先に行くから!!」
徹さんと音々は私達親子に巻き込まれまいと自分達だけ先にマガオロチの調査へと向かってしまった。
「大方予想は着くわ。どうせあの怪獣のところに行こうとしているんでしょ」
流石お母様。モロバレかな。
「ちょ、ちょっと睦美。睦美からもお母様を説得・・」
「・・・無理」
我が妹は既にお母様の真後ろにいた。どうやら助け船を出してくれる気はないようだ。
「どうして危ないところに行こうとしているの?」
「それは・・そのSSPの仲間として・・」
「貴方が正式にSSPに所属していないのは知っているわよ」
調べがついちゃってたかぁ。
「貴方が行って何かが変わるわけでもないでしょ?」
「確かに変わるわけじゃないかもしれない。けれど私は・・・」
私はオーブの戦いを見届けないといけない。そんな気がするの。そうお母様に告げようとした瞬間、まるで夢を見てるかのようなイメージが頭の中に浮かんできた。暗い夜、何処かの森で青く発光する怪獣と戦う光の巨人が戦うヴィジョンだった。
「お姉ちゃん。どうかしたの?」
「っ・・!」
睦美の呼びかけで私は現実に戻ってくる。何だったんだろう。今の?・・・私、あんなの見たことがないはずなのに。
「と、とにかく私は行くから!!」
今のヴィジョンが何だったのかは分からないけど、今はオーブの戦いを見届けるためお母様の静止を振り切って外へと駆けだそうとすると・・・
「待ちなさい。せめてこれだけは持って行きなさい」
「えっ?」
お母様は赤い装飾のペンダントを手渡してきた。
「これは・・?」
「パパからの預かりものよ。あなたの本当のお母さん・・・柚葉ちゃんのおばあちゃん。つまりあなたの曾おばあちゃんから受け継がれてるペンダント、お守りに持って行きなさい」
「柚葉お母様の・・・」
私はそのペンダントを受け取るとさっそくそれをつける。
「ありがとうお母様」
「ひとつきりの命なんだから大切にしなさい」
お母様の言葉に頷いた私は再び外へと走り出した。
~~ガイ~
「デュゥァ!!」
大魔王獣マガオロチ。その戦闘力は俺の想像を遥かに超えていて、俺は苦戦を強いられていた。
「ドォォォセイ!!」
右拳でアッパーからの左腕を横に広げつつ、即座に腕を十字に重ねる。
「スぺリオン光線!!」
至近距離からのスぺリオン光線。これなら流石にダメージはあるだろうと考えていたが・・・マガオロチは怯むことなく俺に爪を振るってきた。
「ァッ!?」
俺は咄嗟に後ろへと下がるも、放たれた雷撃によって地面に倒れてしまう。一撃でこの威力・・・魔王獣の頂点ってのは伊達じゃないな。俺もありったけの戦力で挑むしかない。
「ゼロさん!」
『ウルトラマンゼロ!』
「ジャックさん!」
『ウルトラマンジャック!』
「キレの良いヤツ。お願いします!」
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ!ハリケーンスラッシュ!』
「トライデントスラッシュ!!」
ハリケーンスラッシュへと姿を変えた俺は即座にオーブスラッガーランスで連続斬りを仕掛けようとするも、その刃はあっさりと片手で掴まれてしまう。
「ならこれで!!」
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ!スラッガーエース!』
「サァァァデァ!!!」
オーブスラッガーランスを手放してスラッガーエースへと姿を変えた俺は即座にスラッガーエーススライサーでマガオロチを斬りつけるも・・・マガオロチの強度はバーチカルスラッガー以上だったらしく、こちらの刃が欠けてしまった。
「くぅ・・!!」
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ!フォトンビクトリウム!』
刃が通らないほどの強度ならば、こちらも強度を上げて殴り勝とうとフォトンビクトリウムで殴り掛かる。
「ダァぁぁぁぁっ!?」
しかしその拳は尻尾で弾かれて、そのまま受け流されてしまい・・・俺はカウンターの雷撃が直撃してしまった。
「・・・っ・・!」
圧倒的な力の差で俺はまともにダメージを与えないままタイマーが点滅し始める。こうなりゃこっちも被害を受ける覚悟で最大火力をぶつけるしかない!
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ!ストリウムギャラクシー!』
「マクストリウムカノン!!!」
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ!バーンマイト!』
現時点では最大威力の光線技であるマクストリウムカノンを浴びせた俺は即座にバーンマイトへと姿を変えると全身に炎を纏ってマガオロチに飛びかかる。
「ストビュゥゥゥムダイナマイトォォォォ!!!」
そして最大火力の必殺技ストビュームダイナマイトでマガオロチを炎で包み込んだ。
~~久遠~
「ストビュゥゥゥムダイナマイトォォォォ!!!」
私が無事に徹さんと音々に合流できてすぐ、光線を撃ってすぐに2本角の姿に変わったオーブは全身に炎を纏って体当たりを決めた。この連撃ならマガオロチだってきっと倒せてるはず・・・。そう思いながら爆煙から出てきたマガオロチを見上げてみると、その姿は全身が黒焦げになっていた。
「やった!オーブが勝った!」
オーブがマガオロチを倒した。私だけじゃなく誰もがそう思っていたであろう瞬間のことだった。
「ギャォォォォォッ!!」
「え?」
マガオロチはまるで脱皮したかのように、黒焦げになった皮膚を脱ぎ捨ててオーブに雷撃を放った。
「オォォォォ!!ガァ・・」
オーブは咄嗟にバリアを張るも・・・そのバリアはあっさりと砕かれてしまって、雷撃がオーブへと直撃した。
「オーブが・・・負けた?」
確かにガーゴルゴンやファイブキングなど、オーブがピンチになった時はあった。だけど今回は違う。オーブの技の多くが・・・オーブの全力が破られての敗北だ。
「これは・・マジでヤバいかもな」
徹さんはそう呟きながら周囲の人達を見渡す。オーブとの力の差をこれでもかというほど見せつけたうえでの敗北。オーブの勝利を信じていた人達にとってこれは・・・
「オーブが・・。オーブが負けたぁぁぁ!?」
「逃げなきゃ・・・早く逃げなきゃ!!」
人々を絶望させるのに十分な結果だった。
「・・・いつもながら怪獣の出現から怪獣の登場までが速すぎたのが、今回は仇になっちまったな」
そう、あまりに怪獣登場からオーブが現れるまでがいつも通り過ぎた。だから建物の外にいた半分近くが『逃げる』という行動よりも『戦いを撮影する』や『オーブを応援する』という行動を取ってしまっていた。だからオーブが敗北する瞬間を目撃してしまった人が多すぎた。
~~ジャグラー~
「聞こえるかガイ。辺りから聞こえてくる鳴き声や叫び声が・・。お前がマガオロチに負けたことで人間どもが絶望し、大混乱となっているんだぞ」
俺はマガオロチに敗れて倒れているガイにそう語りかける。耳をすませば人間達が慌てふためく声やサイレンの音が鳴り響いているのが聞こえてくる。
「これで本当におしまいだ」
俺は興奮で手が震わせながらも意識を失っているガイからウルトラマン達のカードが入っているカードホルダーを奪い取った。
「ふふ・・ハハハハハッ!!」
ウルトラヒーロー大研究
ゾフィー
属性・勲(クン)属性
ウルトラ兄弟ナンバー1、ウルトラマンゾフィーさん。ウルトラ警備隊の隊長でM78星雲の多くのウルトラマンから慕われている頼もしい戦士だ。必殺技のM87光線はどんな相手にも光線技で勝てるようにと鍛え上げた強力な光線だ。
バードン
属性・火属性
火山怪鳥バードン。その二つ名の通り基本的には活火山を生息地にしている怪鳥で敵と判断した相手に口から火炎放射を放つんだ。そしてそのクチバシにはウルトラ戦士の皮膚をも貫いて、森を壊滅させるほどの猛毒を含んでいるんだ。睦美のところはどうやってこいつを保護してるんだろうな。
次回「黒き王の祝福」