ウルトラマンオーブ 天かける星の祈り歌   作:彩花乃茶

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地方民なせいで劇場版オーブは5月に観ることになりそうです。




~~ガイ~

 マグマ星人の出現させたファイブキングを撃破してから数日が経った。あれからマグマ星人は動きがなく・・・正直時々忘れかかるタイミングもあるくらいになっていた。

「そういやあのマグマ星人の名前なんていったっけ?」

 

確かライって最初だったな。ライ・・ライ・・ライス?いや、そんな飯みたいな名前じゃなかったはずだ。

「おいあんちゃん。お前宛に何か届いているぞ」

 

「えっ?俺にか・・」

 

 マグマ星人の名前を思い出せずにいると、音々が高校に行ってるため珍しく店の仕事をしている徹が小包を持ってきた。

「俺がここに居候してるって知ってるやつからだよな。いったい誰からだ?」

 

「それがよぉ、差出人のところが活字過ぎて俺も読めないんだよ」

 

「どれどれ・・・」

 

 俺はその小包を受け取って差出人の名前を確認すると『光国純一郎』と書かれていた。

「・・・誰だ?」

 

 全然心当たりがない。マジで知らない人なんだけど。

「と、とりあえず開けてみるか」

 

 差出人に心当たりはないが、ひとまず小包を開けてみる。その中にはこの国の文字ではない手紙が入っていた。

「ん?これは何処の国の文字だ?」

 

 徹が読めないのも当然だ。これはウルトラサインで使われる文字で書かれている手紙なのだから。

『白金ガイ。君にこれを託そう。こやつ等の力、存分に使うが良い』

 

 そこに書かれていたのはそれだけだった。そういえば聞いたことがある。宇宙の何処かにはウルトラ戦士達を遥かに凌ぐ能力を持ち、全宇宙の平和を見守る神に近い存在のウルトラマン・・・ウルトラマンキングという御方がいると。もしかしたらこれはその御方からの贈り物なのかもしれない。

「・・・これは・・」

 

 俺は恐る恐る手紙の他に入っていたものを小包から取り出してみると、そこに2枚のカードが入っていた。

「レオさん。それにヒカリさんまで・・・」

 

獅子座L77星の戦士ウルトラマンレオさんに文武両道の青き戦士、ウルトラマンヒカリさんの力が宿っているカードだ。

「なんだそれ?お前さんがオーブになるのに必要なものなのか?」

 

 俺の正体を知っている徹はカードを見てそう訪ねてくる。

「まぁな。これにはウルトラマンの先輩達の力が宿っていて、今の俺はこのカードを使うことで先輩たちの力をお借りして変身してるんだ」

 

「今のってことは・・・昔は違ったのか?」

 

「・・・しゃべり過ぎちまったな。ちょっと出かけてくる」

 

 これ以上話してたら『あの時』のことを思い出しそうだったので、俺は店を後にした。

 

 

 

~~徹~

「はぁ、しくじったな・・」

 

 どうやら俺はあいつの地雷ワードを聞いちまったらしい。言動からして昔何かがあって本来の力を使えなくなったようだな。

「あぁ~。どうすっかなぁ」

 

 帰ってきたら何て言葉をかけるべきか。確かに地雷ワードで思い出したくないっぽいことを思い出させたのは俺だしなぁ。かと言ってこのまま俺が声をかけると余計に気まずくなりそうな気がするし。

「どうかしたのですか?」

 

「悩み事?」

 

 あんちゃんが帰ってきたらなんていうべきかを考えていると、それに気がついたウールとサァラが声をかけてきた。

「いや、まぁ・・・ちょっとガイの地雷ワードをな」

 

 そういやこいつ等もあんちゃんの正体を知ってるはずだよな。ていうかこいつ等はあんちゃんのことをどこまで知ってるんだ?

「なぁ、2人はガイの過去って知ってるのか?」

 

「・・・店長もガイ様の秘密をご存知なのですね」

 

 ウールの問いかけに頷くと、2人は互いに目を合わせる。

「実際のところ私達もあまりあの人の過去は知らないのです」

 

「知識としてあったのはこの地球にウルトラマンがいるってことだけ」

 

 そういやこいつ等は箱入り娘のような育て方をされたから最近まで外のことに詳しくなかったな。ここに馴染んでたせいですっかり忘れてたぜ。

「だけど1つ知ってることがある」

 

「ガイ様にはかつて銀河の果てで雌雄を決した因縁の相手がいます」

 

「それも今、地球にいる」

 

 因縁の相手が地球に・・・。たぶん瑠々が言っていたジャグラーとかいう男のことだろうな。俺もマガバッサーの時に一応会ってはいるが・・・状況が状況だったせいでイマイチ覚えてない。

「そのジャグラーってのは・・うおっ!?」

 

 ジャグラーがどんな奴なのかを聞こうとすると何か大きなものがぶつかったような衝撃で揺れが伝わって来た。

「今回はいったい何が出たんだ?」

 

 今回も絶対怪獣だろうと思いながら外へと出てみると、以前みたキングジョースカ―レッドやレギオノイドなど以上にシンプルなデザインをした寸胴ロボットがいた。

「2人共、あのロボットはなんだ?」

 

「あれはガメロットと呼ばれるロボット怪獣です」

 

「元々は何処かの星の警備ロボットだったらしいけど、バグって星を荒らしまくる迷惑なのになった」

 

 口ぶりからして、惑星ゴールドにも来たことがあるっぽいな。

「ちょっとスクラップにしてくる」

 

「処分して参ります」

 

 2人はガメロットを壊しにいこうと店を後にしようとすると・・・黒い道着を着てる格闘家のようなオーブが現れた。

 

~~ガイ~

 

「あれは・・・ガメロットか?」

 

 ロボット怪獣ガメロット。サーリン星の警備ロボットだったらしいが何らかの影響を受けて自我を持ち星に反乱を起こし、あちこちの星に被害を与えている宇宙の厄介者だ。

「せっかくだ!新しい力を使ってやるよ!」

 

 俺は届いたカードの1枚を取り出す。獅子座L77星の王子でウルトラ兄弟7番目の拳法家。ウルトラマンレオさんのカードだ。

「レオさん!」

『ウルトラマンレオ!』

 

 そしてもう1枚は・・・。

「ゼロさん!」

『ウルトラマンゼロ!』

 

 レオさんの弟子である戦士。ウルトラマンゼロさんのカードだ。

「燃える魂!お願いします!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!レオゼロナックル!』

 

 レオさんとゼロさん宇宙拳法の師弟同士であるお2人の力をお借りした俺はレオさんに近い角に黒い道着、そして両腕に包帯を巻きつけたような姿になる。

「宇宙拳法!ビッグバン!!」

 

 オーブ・レオゼロナックルへと変身した俺はガメロットの前に立って口上を述べながら宇宙拳法の構えと取った。

 

 

~~徹~

 

「宇宙拳法!ビッグバン!!」

 

 格闘形態・・・というよりも拳法家のようになったとオーブは拳法の構えを取った。するとガメロットはオーブに反応して胸にある7つのランプから光線を放ってきた。

「デュァ!!」

 

 それに対してオーブは踏み込みと同時に右拳を前へと突き出す。

「正拳突き・・?光線にか?」

 

 光線に対して正拳突きを行ったことに驚いていると、オーブの拳はその光線を撃ち消した。

「光線を・・すげぇな!でもどうやって・・」

 

「気合い」

 

「ガーゴルゴンの時のように力技で光線を撃ち消しました」

 

 何か凄いことをやったのかと思えば、単なるゴリ押しだった。いや確かに力技で光線を撃ち消してるから充分凄いことなんだがよぉ・・。

「ナックルクロスビーム!!」

 

 オーブは反撃と言わんばかりに額のクリスタルから赤く輝く光線を放った。その光線はガメロットのランプ部分を破壊すると、オーブは追い討ちをかけようとその懐に飛び込んだ。

「オォォセィ!!」

 

 ガメロットのパンチを左腕で弾きつつ、右拳を叩き込むと、殴られた場所が大きく凹んだガメロットは地面を転がった。

「よっしゃぁ!そのまま一気に決めちまえオーブ!!」

 

 俺の言葉に頷いたオーブは起き上がったガメロットへと視線を向けると、右拳に真っ赤に燃える炎を纏った。

「レオゼロビッグバン!!」

 

 真っ赤に燃える右から拳を模った炎の塊をぶつけると、怯んでいるガメロットに炎を纏った跳び蹴りで叩き込んだ。

「シュァ!」

 

 跳び蹴りにより貫かれたガメロットが爆発すると、オーブは空へと飛び去って行った。

 

 

 

~~ガイ~

 

「ふぅ、こんなもんだろ」

 

 ガメロットとの戦闘を終わらせた俺は戦闘に巻き込まれたであろう場所へと歩いて向かってみると、既にそこには『BRG』とかいう組織が後始末ともいえる事後処理を行っていた。

「今回も死者・行方不明者は無し。逃げる際に転んだりして軽傷を負ったのが数名か。相変わらず即急な対応をするのだな。オーブは」

 

 ガタイの良いBRGの隊員は部下から受けとった報告を確認していた。

「良かった。誰も死んでないんだな」

 

 俺は戦いに巻き込まれて死者が出ていないことに安心していると、俺に気づいた隊員の1人はこちらへとやってきた。

「民間人なのだな」

 

「悪い。盗み聞きするつもりはなかったんだ。それにしても誰も死んでなくて安心したぜ」

 

「あぁ。いつも怪獣出現からオーブの対応までの時間が速いおかげで我々のすることは、このような事後処理ぐらいなものなのだがな」

 

 隊員は笑いながら事後処理しか行っていないことを話していると、ガメロットの残骸を回収している他の隊員達が通りすがった。

「おっと、あちらを手伝わなければ・・・それでは失礼する」

 

「真面目だなぁ」

 

 他の隊員を手伝うため話していた隊員も向かって行くと、見覚えのある顔が通りすがった。

「お~い!睦美!」

 

「・・・あっ、ガイ!」

 

 ホオリンガの村で出会った怪獣の声が聞こえる少女、睦美だ。

「さっきはお疲れ様」

 

「あぁ。睦美はどうしてここにいるんだ?」

 

「前に言ってた叔母さんはBRGの怪獣保護チームの人なの。今日は私もその保護区に行ってて、その帰りにあのロボットが現れたの」

 

 へぇ、怪獣保護チームなんてのもいるのか。確かウルトラマンコスモスさんと共に戦うムサシさんも怪獣保護の活動をしていたって聞いたな。

「そこの保護区にはどんな奴らがいるんだ?」

 

「・・・大きいのが4匹に小さいのが2体。これ、写真」

 

 俺は睦美の持っていた写真を見せてもらうと・・・そこには青い鳥の友好巨鳥リドリアスと赤い鳥の火山怪鳥バードン・・・。

「え?バードン?」

 

 この頬袋のある鳥・・どっからどう見てもバードンだよな。あれ、猛毒持ってて超危険な奴じゃないのか?

「・・・こいつ、毒あるけど大丈夫なのか?」

 

「もう10年ぐらい保護区で暮らせてるぐらいには大丈夫」

 

 マジかよ。猛毒あるのに10年も他の怪獣と一緒の場所に住めてるなんて凄く気になるんだけど。

「もう2枚ある」

 

 渡された2枚目を見てみると、カナダで伝説の魔獣と呼ばれているハリネズミのような怪獣のシャザック・・その親子が写っていた。

「おぉ~。シャザックじゃんか。こいつ等もバードン達と同じ場所なのか?」

 

「この2匹はなるべく生態系壊したくないから、元々の生息地を閉鎖ぎみにして人がなるべく入れないようにしてるの」

 

 なるほど。そういう手段もあるのか。

「それでこれが小さいの」

 

 3枚目を見てみると、30センチぐらいの小さいエレキングと同じく30センチぐらいの黄色くて羽根の生えてる何かがいた。

「白い方はエレキングってのは分かるが・・・こっちのは何だ?」

 

 何かそれっぽいのがウルトラマンダイナさんことアスカさんの見せてくれた写真で見た事があるような気がするけど詳しいことは聞いてないもんなぁ。

「私達はハネジローって呼んでる。ピーナッツが好物」

 

 絶対羽根が生えてるからっていう理由で名付けたな。こいつの名付け親。

「このエレキング、私達はガチャタラって呼んでて、電池の電気を食べたりしてる」

 

 まぁエレキング自体電気を食べる怪獣だもんな。

「機会があれば会ってみたいな。その怪獣たち」

 

「今度会いに行ってみる?叔母さんに相談してみるから」

 

「この怪獣動物園に行っていいのか?」

 

「きっと怪獣たちも歓迎する」

 

 正直怯えられないか心配だが、そういう奴らに会える機会はあまりないからぜひとも会ってみたいな。

「さてと・・・呼び止めて悪かったな」

 

「別に構わない。ここからそう遠くないところに住んでるお姉ちゃんのところに寄るつもりだったから」

 

 あぁ、そういや姉さんがいるって言ってたな。

「お姉ちゃんと待ち合わせをしているんだけど・・・トリコリって喫茶店を知らない?」

 

 待ち合わせ場所がトリコリなのか。もしかしてその姉さんは常連の誰かか?

「あぁ、良く知ってる。今、俺はそこに厄介になってるからな。良かったら案内するぜ」

 

「それじゃ、お願い・・」

 

 こうして俺は睦美を連れてトリコリに戻ることとなった。

 

 

 

~~徹~

「・・・・」

 

 あんちゃんが戻ってきたら何て言葉をかけるべきか。数分前まで俺はそのことを考えていた。しかし俺は先ほどとは違う意味であんちゃんに声をかけ辛くなっていた。

「あんちゃんが・・・また女を連れてきてる」

 

 瑠々、愛はあんちゃんに出会った後にここに来ていた。姫山のお嬢様もあんちゃんが助けたことでここによく来るようになった。ウールとサァラは気を失って運び込まれる形でここに来た。そして今回もまた別のを連れてきてる。これがモテる男って奴か。

「「・・・・」」

 

 何かウールとサァラも敵を視るような目であんちゃんと一緒に座ってるやつに視線を向けている。こいつ等こんな人を敵視するようなキャラだったか?

「成り行きを見届けるか」

 

 気づけば罪悪感よりも成り行きが気になる好奇心が勝ってしまい・・・ぶっちゃけ面白そうなので不純な気持ちで真面目に喫茶店の仕事をすることにした。

「あっ、注文いいか?」

 

「・・・注文取ってくる」

 

「おっと待て。俺が行く」

 

 殺気立ってるサァラを行かせるわけにはいかん。そう考えた俺はあくまで一店員として2人へと注文を確認しにいく。

「とりあえずエスプレッソを2つ頼む」

 

「あぁ、分かった」

 

 注文を受けた俺は豆を挽きながらも聞き耳を立てる。いったいあの2人はどんな会話をしているんだ?

「それで?・・・これから会おうとしてるっていうお前の姉さんはどんな奴なんだ?」

 

「考えるよりも行動してみるタイプ」

 

 どうやら連れてる女の姉にこれから会うって話らしい。

「大学で友達はいない」

 

 あれか。猪突猛進なせいで周りが付いてこないタイプか。

「なるほどな。姉さんの特技ってなんなんだ?」

 

「特技はCQC」

 

「ん?」

 

 そんなのが特技な女子大生はいない。と言いたいが知り合いに1人いるんだよなぁ。でもいやまさか・・・。

「最近流行ってるのか?CQC」

 

 流行ってるはずねぇだろ、あんちゃん。

「お姉ちゃん、ガイのことも話してた。6カ月ぐらい前にあったんだって」

 

「6カ月・・。そういやここに初めて来たのはその頃か」

 

 その頃か。じゃねぇだろ!該当する人間は1人しかいねぇじゃんか!!

「平日に来るのは久々かな」

 

 店内へと入って来たのは2人が話題としている人物・・・久遠だ。

「よぉ、今日は平日だってのに来たんだな」

 

「うん。待ち合わせをしててね。・・・あっ」

 

 席へと進んできた久遠はあんちゃんの向かい側にいる人物と目が合うと動きが止まる。

「ん?どうしたんだ久遠?何、知り合いだったのか?」

 

「お姉ちゃん」

 

「え?」

 

「お姉ちゃん」

 

 どうやら今更話題にしていた人物が久遠だったことを理解したあんちゃんは目を見開く。

「え・・?マジ?」

 

「そう・・・かな」

 

 あんちゃんは向かい側の少女を指さしながら久遠に問いかけると、久遠は肯定した。

「私、白神睦美(しらかみむつみ)」

 

「マジか・・・」

 

 というか今まで苗字を聞いていなかったのかよ。・・・と俺は心の中でツッコミを入れつつもエスプレッソを運んだ。

「というかこっちも聞きたいかな。2人はどこで知り合ったの?」

 

「あぁ。ホオリンガの村の時にな」

 

「ホオリンガ・・・なるほどね。そういうことかな」

 

 ホオリンガの話題が出されただけで納得したような反応をした。あんちゃんに比べて察しがいいな。

「ということはガイも睦美の力のことを知ってるんだね」

 

「まぁ・・な」

 

 あの少女・・・睦美の力?

「珍しい。外ではその能力を言いふらそうとしないのに」

 

「ホオリンガがこの人は信頼できるって言ってたから」

 

 ホオリンガが言ってた?どういうことだ?もしかしてその『力』ってのと関係あるのか?・・・見届けるつもりだったが、流石に気になるな。よし、声をかけよう。

「なぁ、さっきから気になってたんだけどその娘は・・・」

 

「そういえばまだちゃんと紹介してなかったかな。私の妹の・・」

 

「白神睦美。一応大学生」

 

 ん?大学生?つまり姫山のところのお嬢様と同じぐらいの身長なのに久遠と双子なのか?

「ってことは久遠の双子ってことか」

 

 ガイは2人へと尋ねてみる。久遠は現在19歳で大学1年。大学に通ってるなら双子だと俺も考えていると睦美は首を横に振った。

「私、14歳」

 

「睦美、私よりも頭が良くて・・・海外の大学で生物学を選考してるの」

 

 久遠は敵わないものを前に現実逃避するような目で睦美の事を語り出す。

「怪獣の生態系とか感情を研究してて・・・それでもう博士号も持ってて、来年大学卒業なの」

 

 それは・・うん。完璧にレベルが違うな。

「一応、BRGの研究員に就職も決まってる」

 

 14歳で研究員として就職決まってるとか・・・久遠どころか並大抵なレベルじゃねぇよ。学者になるんだって勉強してるうちの妹が可哀想に見えるレベルだよ。

「・・・ちなみに久遠の成績は?」

 

「滑り込みで受かって・・今もギリギリなレベルかな・・」

 

「Oh・・・」

 

 これ以上は久遠の地雷ワードだな。ここは話題を替えていこう。

「それで、今日は久遠のところに行くためここを待ち合わせ場所にしたのか?」

 

「うん。それにお姉ちゃんはここによく来るって聞いててたから、私も気になっていた」

 

 音々的には口コミで知名度が上がったってことで喜ぶところなんだろうな。いやまぁ、ここは喫茶店の店長の俺が喜ばないといけないとこだけどさ。

「あっ、ごめん。電話・・・お母さんから」

 

 どうやら医師をしてるっていう母親から電話がかかってきたようだ。俺は「どうぞ」と出ていい合図をすると睦美は電話に出た。

「もしもしお母さん。どうしたの?・・・うん。大丈夫、お姉ちゃんと会えたよ」

 

 どうやら久遠と合流できるか心配で電話をしてきたようだな。

「ガイがその場所まで案内してくれた。・・・うん、そう。前に言ってた人。あ、お姉ちゃんからも聞いてたの?」

 

 この姉妹、揃ってあんちゃんの話題を母親に話しているのか。

「え?・・うん。伝えとく。それじゃ・・」

 

「お母様は何て言ってたの?」

 

「ガイに会ってみたいって」

 

 まさかの親に紹介と来たか。・・・この事を姫山のお嬢様に教えるのはやめといた方がいいかもな。

 

 

 

~~ジャグラー~

 

「灯台下暗し・・・というのはまさにこのことだな」

 

 黒き王の力・・・ウルトラマンべリアルのカードを手に入れてから俺はずっと探していた。魔王獣の頂点に立つ超魔王獣、マガオロチの封印の在り処を・・。

「この地の何処かに封印されていると気配は感じていたが・・・まさか惑星侵略連合が潜伏していた森にあったとはな」

 

 惑星侵略連合が潜伏していた森。人間どもには一度入ったら出てこられない迷いの森として恐れられていたが、その実態は方向感覚を惑わせる結界に入った人間どもをナックル星人たちが始末していたのだ。ところがその結界は素人がより強力なものを作るため無駄に複雑化されていて、あろうことかマガオロチを封印していた土地の気配をも拡散していた。おかげで封印されていると踏んでいた場所が外れ続きで苦労させられたな。

「さてと・・・さっそく・・」

 

 俺はさっそく魔王獣のカードとべリアルのカードで封印を解こうとしたが、ふとある事を思いついたのでその手が止まった。

「そうだなぁ。あいつの目の前で面白い反応をしてくれるんじゃないか?」

 

 奴の目の前でマガオロチの封印を解いて、大切なもの・・守るべきものが壊れていく光景を見せつける方がこのまま解放するよりも面白そうだ。

「魔獣の復活。ワクワクものだなぁ・・ガイ」

 




ウルトラヒーロー大研究

ウルトラマンレオ
属性・拳(コブシ)属性

 獅子座L77星の戦士、ウルトラマンレオさん。宇宙拳法の達人で数いるウルトラ戦士の中でも特に格闘技に優れているウルトラマンなんだ。弟のアストラさんとの連携はかなりのもので「ウルトラダブルフラッシャ―」という合体光線で多くの敵を撃破したんだ。あのゼロさんに宇宙拳法を教えた格闘技の師匠でもあるぞ。

ガメロット
属性・光属性

 ロボット怪獣ガメロット。サーリン星人の作った警備ロボットだったんだが自我に目覚めたために反乱を起こして星を荒らしまくったんだ。7つのランプから光線を収束させて放つ「メタルレーザー」と硬くパワフルなパンチを武器としているぞ。

次回「ママが来た」

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