ウルトラマンオーブ 天かける星の祈り歌   作:彩花乃茶

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ゼロクロニカルで新撮カットでレイが登場したことに衝撃を受けました。


盗まれたスパークドールズ

~~久遠~

 

 お母様が日本に戻って来た翌週、お母様は妹とホオリンガの山へと向かった。先週は妹が叔母さんとの用事でお母様と会えなかったので、今日は妹にお母様を1人締めさせてあげようと考え、私はいつも通りトリコリに足を運んでいた。

「へぇ。そんなことがあったんだ」

 

 私はルルから先週営業終了後の時間帯にジャグラーというあの謎の男がやってきて、ガイの命を奪うと宣言していたらしい。その後ガイは指定の場所から無事に戻ってきたのだけれど・・・あれからガイは元気がないらしい。

「それでガイは・・?」

 

「今日のぶんのプリンとシュークリームを作ってからどこかに出かけてしまったのです」

 

 既にガイの日課となっているその作業を終わらせた後となると・・・7時頃かな。

「まぁ、ここ数日は3~4時間したら帰ってくるので今日もそろそろ帰ってくると思うのですよ」

 

 今は11時過ぎぐらいだし・・7時に出たのなら確かにそうかな。

「失礼するでおじゃる」

 

「いらっしゃいま・・・せ」

 

 来店したお客さんの方を振り向いたルルは何故か固まった。

「どうしたのルル?・・・えっ・・」

 

 私も気になってドアの方へと視線を向けてみると・・・そこには赤く細い上半身に青い下半身で長く赤い顔をした『変なの』がいた。

「なんだぁ?どうしたんだ?・・うおっ!?」

 

 店の奥からやってきた徹さんはその『変なの』を見るなり驚いた反応をする。

「人の顔を見て『うおっ!?』とは酷いでおじゃる」

 

いや、そんな見た目だもん。普通リアクションするよ。ほら・・。周りのお客さんがお金を払って次々と店を出ていくし。

「マロはメトロン星人の・・・」

 

「待ってくださいなのです!」

 

 変なのが名乗ろうとすると音々はストップをかける。

「む?なんでおじゃるか?」

 

「今、メトロン星人って・・・。ということは宇宙人なのですよね?」

 

「地球人から見ればそうでおじゃるな」

 

 あぁ、やっぱりこの変なのは宇宙人だったかな。

「ならこの星の人間の姿にはなれるのです?」

 

「なる事は可能でおじゃるが・・」

 

「今すぐ人間に変わってほしいのです」

 

 音々は宇宙人に人間の姿になってほしいとお願いする。口にしてなくても理由は分かるかな。その姿で店にいられるとお客さんが入って来にくくなる。営業妨害になってしまうからかな。

「何故その必要が?」

 

「いいからなるのです」

 

「わ、分かったでおじゃる・・」

 

 お願いから強要になり、音々の気迫にビビった宇宙人はまるで忍者のようにドロンと白い煙に包まれた

「これで良いでおじゃるか?」

 

 白い煙から出てきた宇宙人は地球人へと姿を変化していた。だけどその見た目がなんというか・・麻呂って感じの平安チックな見た目かな。

「そんな服装じゃ地球人の姿に化けてても目立つよ」

 

「なんと!以前見た資料では日本という国ではこの服装だと・・」

 

 それっていつの時代の資料かな?

「むぅ。ならばこれでどうでおじゃるか?」

 

 宇宙人は平安チックな衣装からサラリーマンスーツの現代的なものへと変わった。

「まぁ、それならいいかな」

 

「では改めて。マロはメトロン星人のマロロでおじゃる」

 

 思った以上にそのまんまな名前だったかな。というかサラリーマンの姿でもおじゃるはつけるんだね。

「それで、そのメトロン星人がなんの用でここに来たのです?」

 

 音々は警戒しながらもそう尋ねると・・・マロロはちゃぶ台を前に座り込んでいた。

「席があるのに・・・」

 

「というかあのちゃぶ台は何処から取り出したのです?」

 

「マロがここに来たのは・・・今はここに住んでおられるというガイ殿に用があったからでおじゃる」

 

 こちらがちゃぶ台のことを気にしているのをまるで気にしてないマロロは自分の話を進める。というかガイへの用事だったんだ。

「えと・・・ガイの知り合い?」

 

「いいや、直接はあったことはないでおじゃるが・・・あの方はマロのような地球に対して敵対意識のない異星人に好意的に接してくれると風の噂で耳にしたのでおじゃる」

 

 へぇ、旅をしていた間のガイはそんなこともしていたんだ。

「それで・・ガイ殿はどちらでおじゃる?」

 

「何だ?俺に何か用か?」

 

 マロロが店内を見渡すと・・・ちょうどそのタイミングでガイが帰って来た。

「お前は?」

 

「メトロン星人のマロロでおじゃる」

 

 ガイはちゃぶ台の前ではなく普通に席に座った。まぁ・・うん。当然かな。

「マロは以前、メフィラス星人リダルホ率いる惑星侵略連合という組織に、采配師という立場で所属していたでおじゃる」

 

「惑星侵略連合。・・あいつ等のことかな」

 

 シノを人質に取ってヤクトワルトを無理やり用心棒にしたり、乃理が関わったっていう偽者だけどヒーローになろうとしてた飛影って宇宙人を抹殺しにきてた奴らなんだよね。

「その過程でマロはアイドルという人間達を魅了する者たちに目を付けて、それを利用した侵略をしようとしていた時期もあったでおじゃる」

 

 なんか聞いてもないのに身の上話が始まってるかな。

「データ収集のために様々なアイドルを見てきたでおじゃるよ。TVによく出る今話題のアイドルに農業系アイドル。地下ドルやネットアイドルにボーカロイドまでデータを集めたでおじゃる」

 

「・・音々、地下ドルってなんだ?」

 

 あちこちを旅して世間のことには疎かったガイは地下ドルのことが分からないようで、音々に尋ねた。

「地下ドルは地下アイドルと呼ばれるアイドルの人達のことで、メディアにはほとんど出ずにライブやイベントを中心に活動するアイドルなのですよ」

 

「なるほどな。だいたい分かった」

 

 あの顔・・。実は分かってない顔かな。

「そして集めているうちに様々な人間を見てきたでおじゃる。毎回特定のアイドルのライブに必ず参加しようとする熱狂的なファンや愛が深くてストーカーまがいの行動をするもの。偶然チケットをゲットできたからと特に興味がないにも関わらず足を運ぶもの。興味がないからとチケットを転売するもの。他にも様々な人間がいたでおじゃる」

 

 確かに色々いるよね。そういうのはさ。

「多くの人間を見て、思ったのでおじゃるよ。どこの星にも善意あるものと悪意あるものがいて、それは地球も同じだと。善と悪。どちらともあってこその人間でおじゃる。そんな人間がいるからこそこの星の夕陽はいつでも美しいのでおじゃるよ」

 

 つまりはあれかな。『この星の人間と夕陽を気に入ったから侵略はしない』ってことなのかな。

「まぁ、お前さんが惑星侵略連合を辞めた理由はだいたい分かった。それで・・・どうしてわざわざ俺のところに来たんだ?地球が気に入って侵略するのを辞めたんなら、わざわざ自分は宇宙人ですって言いふらさずにひっそりと暮らしてても良かったんじゃないか?」

 

「マロもそうしたいと思っていたのに・・・そうも言ってられない事件が起きてしまったのでおじゃるよ」

 

「事件?いったい何があったのかな?」

 

 私がどんな事件があったのかを尋ねると・・・マロロは口重そうに語る。

「以前侵略作戦用に資料として所持していたスパークドールズ3体が何者かに盗まれてしまったのでおじゃるよ」

 

「・・・マジかよ。お前、そういう理由で来たのかよ」

 

 ガイは凄く面倒くさそうな表情になる。スパークドールズ。それは何らかのかたちで力を奪われたり封じられたりして人形になってしまった怪獣たちそのものかな。

「犯人は誰だ!心当たりはあるのか?」

 

「ないでおじゃる」

 

「この星の人間が盗んだならまだしも・・・他の宇宙人が盗んでたら悪用待ったなしだぞ」

 

 私たち地球人にはスパークドールズを本来の姿に戻す術はないけど、ウールやサァラのように何らかの手段を用いて本来の姿に戻すことのできる宇宙人はきっといるはずかな。

「地球人が盗んだ線は考えにくいのです。・・私たち地球人にはスパークドールズはただの人形でしかないのです」

 

 音々の言う通り何も知らない地球人が盗みに入ったとしたらスパークドールズは怪獣の人形にしか思わないだろうから盗む可能性は低いかな。

「セキュリティはどうなっていたのかな?」

 

 少なくとも地球のセキュリティを遥かに上回る技術なはず・・・。

「マロが現在滞在しているのはアパートなので・・・部屋はこれといって改造はしていないためセキュリティは特に強化してないでおじゃるよ」

 

「「「真面目か」」」

 

 ガイと私、そして徹さんが同時にツッコミを入れてしまう。予想を遥かに下回って防犯対策ガバガバじゃん。せめて防犯カメラぐらいつけてなよ。

「大家殿は怒らせると怖いので、勝手に改造するのはいかがなものかと思い・・・。それに長期間の潜伏とデータ収集のため支給金もギリギリだったので、防犯に予算が回せなかったのでおじゃるよ」

 

「・・・はぁ、もう防犯対策が足りてなかったのはいい。どんなスパークドールズが盗まれたんだ?」

 

 もう過ぎた事なのでセキュリティの事を問い詰めるのを止めたガイは盗まれたものが何なのかを尋ねた。

「メルバとレイキュバス、それとガンQの3体でおじゃる」

 

「メルバとガンQはガイさんから教わったのです!ガイさん、レイキュバスとは・・・」

 

 音々はまだ教えてもらってないレイキュバスという怪獣のことを教えてもらおうとすると・・・既にいつも通りガイの姿がここから消えていた。

「相変わらず・・・すぐいなくなっちゃうんだから」

 

「あんちゃんに遅れるわけにはいかないな!SSP!出動!」

 

「「おぉ~~!」」

 

 こうしてSSP本日の依頼『スパークドールズ捜索』が始まった。

 

 

 

~~音々~

 

 お店をウールさんとサァラさん。そして瑠々さんの3人に任せて私達はまずマロロさんの住んでいるアパートへと向かいました。

「そう言えばマロロさんはお店に来るまで人間の姿になったことがないような反応でしたが・・・今までどうやって地球で過ごしていたのです?」

 

 アパートで住むにしても、ライブに参加するにしても・・・人間の姿になってないと騒ぎになるはずですが・・。

「大家さんも宇宙人なのでアパートにいるぶんには問題ないのでおじゃるよ。ライブに行く際は毎回違う人間の姿を真似ていたので、自身で考えてなってみたのはこれが初めてだったのでおじゃる」

 

 自身で姿を考えたというのは正直どうでもいいですが、大家さんも宇宙人というところは気になりますね。

「ついたでおじゃるよ。ここがマロの住んでいるアパートでおじゃる」

 

「うわぁぉ・・。これはなんというか・・・」

 

「想像以上なのですよ・・」

 

 マロロさんが住んでいるというアパートは家賃1万円台と格安だったので察しはついていたのですが・・・思った以上のオンボロさだったのですよ。

「マロの部屋はここでおじゃる」

 

 1階の左から2番目の部屋がマロロさんの部屋ということで、中へと入ってみると・・・そこには資料として集めたと思われるアイドルググッズと写真、それとちゃぶ台しかなかったのです。

「スパークドールズは普段何処に置いてたんだ?」

 

「ちゃぶ台の上でおじゃる」

 

 兄さんの質問にマロロさんはちゃぶ台を指さしながら答えたのです。部屋の鍵はワンロックで大事なものであるはずのスパークドールズは目立ちやすいちゃぶ台の上。

「これはもう・・盗んでくれと言ってるようなものかな」

 

「地球人でも余裕で盗めるほどのザル警備だよな」

 

 久遠さんと兄さんの言う通り、盗まれても仕方ないほどの防犯意識のなさなのです。

「はぁ・・。ここじゃあ犯人の手がかりはなさそうかな」

 

 私達はこの部屋に犯人に繋がるものはないと確信して、部屋を後にしたのです。

「だけどどうする?手がかりになりそうなものは何もないぞ」

 

「マロロの持ってるスパークドールズは盗まれた3体だけなの?」

 

「そうでおじゃる」

 

「なら、もう一度犯人が現場に戻ってくる可能性は低いのです」

 

 犯人は再度現場にやってくるという話もありますが、目的のものを全て盗んでいるのにわざわざ戻ってきてバレるリスクを犯すとは思えないのです。

「だけどまぁ・・俺達がこうやって調べてるのに気づいて、犯人が何か仕掛けてくるってことがあるかもな」

 

「兄さん。それフラグなのです」

 

「ん?何だか向こうの雲行きが怪しいでおじゃるな」

 

 兄さんに続けてマロロさんまでフラグっぽいことを口走ってしまいました。

「マロロさんもそんなフラグっぽいことを言わないでくだ・・・さい・・」

 

 黒い雲から雷が落ちたかと思えば・・・雷が落ちたと思われる場所からは1つ目の怪獣が現れてしまいました。

 

 

 

~~???~

「はぁ・・。ここじゃ犯人の手がかりはなさそうかな」

 

 3体のスパークドールズを所持していたメトロン星人をモニターで監視していると、あのメトロン星人は3人の地球人にスパークドールズの捜索を依頼し、あのアパートへとやってきていた。

「ふむ。あのメトロン星人が変な奴らを引き連れてきたな」

 

 たしかあの地球人どもはウルトラマンオーブ・・白金ガイとよく行動を共にしていると報告があった奴らだな。

「だとすれば近くに白金ガイがいる可能性もあるな」

 

 今、白金ガイに俺の居場所を気づかれるのは厄介だな。

「せっかく溜めていたエネルギーを消耗するが・・・ここはこれを使うのが妥当だな」

『モンスライド・ガンQ』

 

 別の宇宙でチブル星人が一波乱を起こしたとマーキンド星人から聞かされたチブルスパーク。それの改良版を使ってガンQをスパークドールズから本来の姿へと解放した。

 

 

 

~~久遠~

 

「あぁ、フラグが回収されてしまったのですよ・・」

 

 目玉のおばけのような怪獣を見上げた音々はため息交じりにそう呟いた。

「え、えと・・。あの怪獣が何なのか分かる?」

 

「あの大きな目玉はガンQですね」

 

 ガンQって・・・。確か盗まれたスパークドールズのうちの1体だったはず。

「おそらく盗んだ犯人が何らかの方法で解放されてしまったのでおじゃるよ」

 

 マロロは「自分のせいで」と気まずそうに話してくる。やっぱり犯人はスパークドールズを解放する手段を持っていたかな。

「ォォォォ!!」

 

 ガンQは特に目的意識などなく、ただ目の前の建物を壊すように暴れ出す。

「あぁ・・・街が・・」

 

 するとマロロはまた「自分のせいで」と思ったのかその場に膝をついた。

「別にお前さんは気にしなくていいって。悪いのはお前さんのスパークドールズを盗んだ犯人のほうだろ」

 

「し、しかし・・・」

 

「大丈夫。きっともうすぐオーブが来るから」

 

 私はもうすぐオーブが来てくれると信じて、再び上を見上げると・・・紫色の光がガンQの前に現れた。

 

 

 

 

~~ガイ~

「おっと・・・これ以上は暴れさせないぜ」

 

 無差別に暴れるガンQを見上げた俺はオーブリングを取り出す。

「ウルトラマンさん!」

『ウルトラマン!』

 

「ティガさん!」

『ウルトラマンティガ!』

 

「光の力!お借りします!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!スぺシウムゼぺリオン!』

 

「俺の名はオーブ!闇を照らして悪を撃つ!」

 

 オーブ・スぺシウムゼぺリオンへと変身した俺はガンQの前で口上を述べた。

 

 

 

~~久遠~

 

「俺の名はオーブ!闇を照らして悪を撃つ!」

 

 ガンQが暴れていると紫の光とともにオーブが現れた。

「オォォォショァ!!」

 

 オーブは現れて早々にガンQの眼球目掛けてストレートを打ち込んだ。

「デュァ!!」

 

 怯んでいるガンQに飛びかかったオーブは両手で頭を押さえると地面へと叩きつける。

「っ!!」

 

 起き上がったガンQは目を赤く光らせて光線を放ってきた。

「ショァ!」

 

 オーブはバリアで光線を弾くとまた殴りにかかろうとする。

「どうしてオーブは光線とか光輪を使わないのかな?」

 

 あんな相手には近づかないで光線を撃ったほうがいいと思うのに・・・。

「ガイさんから教わったのです。ガンQには光線技は効かないと」

 

「光線技が効かない?どういうことかな?」

 

「ガンQのあの目は光線を吸収する能力があるらしいのです。オーブもそれを警戒しているのかと」

 

 ただデカい目だと思ってたけど、そんな能力があったんだ。

「ドォォシャァ!!」

 

 オーブは肩からのタックルを決めつつ、肘うちで追い討ちをかける。するとガンQは肘うちをするオーブの左肘すらも吸収しだした。

「デュォ!?」

 

「えっ、ガンQの吸収できるのは光線技だけではないのですか!?」

 

 ガイから光線技を吸収することだけしか聞いてなかった音々はオーブ本人すらも吸収しようとしている事態に驚きの声を上げた。

「個体差もあるでおじゃるがあの目はミサイルなどの物理的なものも取り込むことが可能なのでおじゃるよ。・・・おそらくガイ殿もそこまでは知らなかったは知らなかったのでおじゃるな」

 

「なんであいつが光線以外も吸収できることを言わないのかな!!」

 

 私はマロロの胸ぐらを掴んで問い詰めると、マロロは慌てだす。

「最初からスパークドールズの状態であったでおじゃるから、その個体の正確な能力までは把握できてなかったのでおじゃるよ!」

 

「自分の持ち物くらいしっかりと把握しててほしいのです」

 

「め、面目ないでおじゃる」

 

「デュァァァァぁぁ!?」

 

  自身の持っていたスパークドールズの能力まで把握しきれていなかったマロロを注意しているうちにオーブが完全にガンQに飲み込まれてしまった。

「あぁっ!?オーブが!?」

 

「オーブ!!」

 

 私達がガンに飲み込まれたオーブに向かって叫んだ瞬間・・・

「闇を斬り裂く!光と共に!」

 

 大きな刃を手にしたオーブがガンQの目から飛び出してきた。

 

~~ガイ~

 

「デュァァァァぁぁぁ!?」

 

  ガンQが吸収できるのは光線技だけだと思っていた俺はまさかべムスターのようにどんなものでも吸収可能だと知らずにその目玉に飲み込まれてしまった。

「・・・・っ」

 

 無数の目玉が俺を取り囲むように浮かんでいる異次元空間。ガンQは得体のしれない存在って聞いたこともあったが・・・確かにこりゃ得体が知れないな。

「スぺリオン光線!!」

 

 俺は目玉に向けてスぺリオン光線を放ってみるも・・・どうやら目玉は幻覚だったようであっさりとすり抜けてしまった。

「っ・・・!」

 

 今ので何となく分かったぞ。この異次元空間はガンQの中なんだな。だとすると闇を斬り払って外に出ないといけないな。

「セブンさん!」

『ウルトラセブン』

 

「エースさん!」

『ウルトラマンエース!』

 

「切り裂く刃!お借りします!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!スラッガーエース!』

 

「闇を斬り裂く!光と共に!」

 

 オーブ・スラッガーエースへと姿を変えた俺は攻防一体の刃バーチカルスラッガーを右手に握り、目の前の『闇』を斬り裂いてガンQの目から抜け出した。

 

 

 

~~久遠~

「ディァ!」

 

 ガンQの眼球から飛び出てきたオーブは着地と同時にその刃をガンQへと向ける。一方ガンQはオーブが切り開いた目を痛がるかのようにジタバタとしていた。

「今だよオーブ!」

 

「デュァ!」

 

 私の声に頷いたオーブは刃を構えながら高速回転し始める。

「スラッガーエース・・・スライサァァァァァ!!」

 

 オーブの回転斬りがガンQに炸裂する。その攻撃を受けたガンQは爆発すると、その破片が集まって黒い塊になって何処かへと飛んでいってしまった。

「倒し・・・たの?」

 

「倒したは倒したでおじゃるが・・・あのガンQはスパークドールズへと戻り、そのスパークドールズは何者か・・・おそらくはガンQを盗み解放した者が回収したと思われるでおじゃるよ」

 

 つまり犯人はガンQを再利用しようとしてるってことかな。

「ガンQのスパークドールズを追える?」

 

「マロでは無理でおじゃる」

 

 うん。なんかそんな気はしてた。

「おそらくウールさんとサァラさんなら気配を追う事ができるかもしれないのです」

 

「そうだね。一旦トリコリに戻ろう」

 

 私達は気配を追うことが出来そうなウールとサァラと合流するためにトリコリへと戻る事にした。

 

 

 

~~???~

 

「お帰りガンQ」

 

 我が手元に戻って来たガンQを他のスパークドールズとともに並べる。

「変な奴らが俺を探していたようだったので、ガンQで対処しようとしたが・・・よもやウルトラマンオーブが現れるとは・・」

 

 この地域に頻繁に出現すると耳にして、ガンQが敗れた際にはそのスパークドールズが私の手元に戻ってくるように細工をしていて正解だったな。

「なにはともあれファイヤーゴルザにメルバ。レイキュバスに超コッヴ。そしてガンQ。必要なスパークドールズは全て集まったな」

 

 しかしながら身の保身のためとはいえ、ガンQを解放するので充電していた最中のエネルギーを少し消耗してしまったのは事実。エネルギーが溜まりきるまで数時間ほど身を隠すとしよう。

「今は亡きメフィラス星人リダルホよ。あの世で見ているがいい。この俺、マグマ星人ライドウがウルトラマンオーブを撃破して地球を支配する姿をな」

 




ウルトラヒーロー大研究

ウルトラマンオーブ・フォトンビクトリウム
属性・地属性

 地球の大地が生んだガイアさんと地底世界の勇者ビクトリーさんの地球の大地を守護する力をお借りしたのがフォトンビクトリウムだ。頑丈なボディの持つ高い防御力と剛腕から繰り出す攻撃技も頼もしいパワーファイターだ。必殺技は大地を揺らすほどの剛腕で殴りつける「フォトリウムナックル」だ。


ガンQ
属性・闇属性

 寄獣ガンQ。その外見は巨大な目玉に目玉だらけの胴体手足が生えているという妖怪のような姿をしている。地球の科学が追いつかない存在で「不条理の塊」という言葉がふさわしい存在だ。

次回「合体怪獣侵略作戦」

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