ウルトラマンオーブ 天かける星の祈り歌   作:彩花乃茶

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 没になりましたが当初はスラン星人回あたりでウルトラマンゼノンを登場させようかなとも考えたことはありました。


ジャグラー死す

~~瑠々~

 

 11月も既に後半を差し掛かり先日実家の秋田では初雪が降ったと兄から連絡が来ました。まだこちらは雪が降っていないのですが、それなりに冷え込んできました。

「寒い」

 

「瑠々さんは平気そうですね。寒くはないのですか?」

 

 地球に来て2か月ほどのウールさんとサァラさんは初めて会った頃の民族衣装的な薄着ではなく、トリコリの制服にオレンジのポンチョを羽織った格好で仕事をしています。そんな2人は制服の上に何も羽織っていない私が寒くないのかと尋ねて来ました。

「寒くないわけではありませんけど、私はここより少し寒い地方に住んでて慣れているので・・」

 

「なるほど。慣れ・・」

 

「なら私達もこの寒さに慣れるように精進します」

 

「お二人は温かい場所の出身でしたよね。でしたら無理をせずゆっくり慣れていけばいいと思いますよ」

 

 それにほとんど室内で育てられたと聞いてますし・・・寒さに慣れるのはもう少し時間がかかると思います。

「ただいま~」

 

「乙」

 

「お疲れ様ですガイ様」

 

 そんな話をしていると、音々さんと共に買い出しに出かけていたガイさんが帰ってきました。

「音々さんは一緒じゃないんですか?」

 

「徹のやつに調査だって捕まって、俺に物預けてどっか行ったぞ」

 

 今日は幸い私も含めてウールさんとサァラさんの3人で働けていて、お客さんも多い時間帯ではないので大丈夫ですけど・・・。

「いつも思うんですけど・・・個人経営の喫茶店なのに、その経営者や関係者がいない事が多いのはどうかと思うんですけど・・」

 

 全国チェーンとなってるお店は店長が他の店舗と掛け持ちでいないことがあるというのはそれなりにある話ですけど、個人経営のお店で基本バイトしかいない店というのはあまり良いとは思えないんですよね。

「大丈夫」

 

「それに関しては問題ありません」

 

「えっ?どういうことですか?」

 

 バイトしかいない事を気にしているとウールさんとサァラさんが自慢げな表情でこちらに振り向いてきました。

「正社員」

 

「私とサァラは正規雇用で雇われた形となっているので、ちゃんとした関係者です」

 

 お二人が正規雇用だったなんて初めて知りました。でもよく考えてみれば住み込みで働いていたのでその可能性もないわけじゃなかったんですよね。

「ガイさんは知ってたんですか?」

 

「そう言えばそんなことも言ってたような気もするな」

 

 どうやらガイさんも聞かされた覚えはあったようです。

「さぁ!今日も来たよ!!」

 

 勢いよく開かれたドアから店内へと入ってきたのは、もう店の常連というよりSSPメンバーと化している杏さんとその監督役をしている千佳さんでした。

「むっ、今日は久遠はいないのか?」

 

「あれ?そう言えば今日は来ていませんね」

 

 いつも久遠さんは週末はこの時間帯には既に来ているはずなのに・・・今日はまだ来店していません。

「そういえば先週久遠が『来週はお母様が日本に久しぶりに帰ってくる』って言ってたな。その時初めて聞いたんだが久遠のお袋さんは医者なんだとよ」

 

 久遠さんはあまり家族のことを話さないので今まで知らなかったのですが、久遠さんのお母さんは医者なのですね。外国に行ってるとなると国境なき医師団のような活動をしている人なのでしょうか。

「そんでキャップ達は・・・今日もいないのね」

 

「えぇ。木村さんも今日は休みですね」

 

「なるほど。今日は暇な・・・」

 

「暇ではありませんよ。SSPの活動に同行しない限りはしっかり勉強をしてもらうと約束したはずです」

 

 SSPの活動がなくて暇な日だと杏さんが椅子に座ると、千佳さんはその肩をしっかりと押さえ込みながら約束事を囁きました。

「千佳。あのなぁ・・・い、いや。何でもない」

 

 それを拒もうとした杏さんでしたが、こちらからは見えない千佳さんの顔を見て冷や汗をかきながら大人しくなりました。

「奥の席をお借りします」

 

「は、はい。どうぞ」

 

 杏さんと千佳さんは奥の席へと移動するとここで勉強を始めました。このような光景もここ3カ月ほどで何度も拝見し・・・今では見慣れた光景です。

「そう言えばここで働き始めてもう4か月も経つのですね」

 

 土の魔王獣マガグランドキングが以前働いていたバイト先を破壊したので、ここでバイトをするようになったんでしたね。

「そういえばあの時の黒いスーツの男性はいったい何をしているのでしょうか?」

 

 

 

 

 

~~ジャグラー~

 

 今日もまた陽が沈む頃、俺はナックル星人に頼まれて怪獣カードによるタロット占いをしていた。

「閻魔怪獣エンマーゴ。突然の死を意味する不吉なカードです」

 

「お、俺は別に占いなんてもの信じないし」

 

 自分で聞いておいて何を言ってるんだこいつは?

「ちっ、俺はそう簡単に死なねぇよ!!」

 

 ナックル星人が部屋を去っていくと、入れ違いでリダルホが入って来た。

「ここにやってくるとは珍しい。何か用事でも?」

 

「あぁ、君に話があってね」

 

 俺に話か。ナックル星人がいなくなったのを見計らって話しかけてきたところから察するに、それなりに重要な話だろうな。

「君が求めているものは・・・これだろう?」

 

 そう言ったリダルホは黒き王のカード・・・ウルトラマンべリアルのカードを俺に見せてきた。

「・・・お気づきとは。流石は惑星侵略連合のリーダーですね」

 

「私が持っていても宝の持ち腐れなので、お前に譲ってやらんこともないが・・・条件がある」

 

「その条件とは?」

 

 条件を尋ねようとすると、リダルホはテーブルに1枚のカードを置いた。用心棒怪獣ブラックキングの怪獣カードだ。

「ウルトラマンオーブを抹殺しろ」

 

「待っていましたよ。そのお言葉」

 

 ようやくこの命令を言ってきたか。待ちくたびれたぞ。

「そのカードは餞別としてくれてやろう。ウルトラマンオーブを倒して、奴が持つウルトラマンのカードを全て奪い取るのだ」

 

「では遠慮なく・・・」

 

 ブラックキングの怪獣カードを懐にしまった俺はさっそくオーブ・・ガイを倒そうと円盤を後にした。

 

 

~~リダルホ~

 

「どういうことなんだよボス!」

 

 ジャグラーがウルトラマンオーブを倒すため円盤を後にしてすぐ、ナックル星人オリガガが何かを問い詰めにやってきた。

「何のことだ?」

 

「ブラックキングの怪獣カードのことだぜ!あのカードは俺が手に入れたカードの中で一番強力なレアものなんだぜ!手に入れるのにどんだけ苦労したか・・・」

 

 どうやらオリガガは自分が苦労して手に入れたカードがジャグラーに渡されたのが気に入らないようだ。

「何を聞きにきたのかと思えば・・・そんなことか」

 

「そんな事とはなんだよ!」

 

「オリガガ。1つ頼まれてくれないか?」

 

 オリガガは怒りを鎮めて冷静になりその『頼み事』を聞き入れた。

 

 

 

~~瑠々~

「それじゃ、お疲れ様でした」

 

 午後19時、営業終了時間が終了して帰り支度をすませて帰ろうとすると・・・

「やぁお嬢さん。お久しぶりですねぇ」

 

 以前あったことのある黒いスーツの男性・・・ジャグラーさんがいきなり背後から話しかけてきました。

「あ、あなたがどうしてここに・・・?」

 

「以前話していたじゃないですか。一緒に夜明けのコーヒーでもと・・」

 

「営業時間は終了してるぜ。お客様」

 

 ジャグラーさんが私の右肩に手を乗せようとした瞬間、ガイさんがその手を掴んでやめさせてくれました。

 

 

「明日の朝6時、第三倉庫前の空き地に来い。今度こそお前を殺してやる」

 

 そう言い残したジャグラーさんは闇に消えるかのように姿を消してしまいました。

「ガイさん・・」

 

 私はジャグラーさんがガイさんに

「お前はもう家に帰れ。明日もバイトだろ?」

 

「は、はい・・」

 

「気をつけて帰れよ。それじゃまた明日」

 

 私はガイさんの『また明日』という言葉を信じて帰路を辿りました。

 

 

~~ガイ~

 

 早朝、俺はジャグラーが指定してきた場所へと到着すると既にそこにはジャグラーが立っていた。

「待ちくたびれたぞ。コーヒー2杯ぶんの遅刻だ」

 

「どんだけ時間に細かいんだよ」

 

 確かにジャグラーの足元には飲み終わったコンビニのコーヒーが置かれてる。だけど俺は別に遅刻なんかしてないぞ。こいつが早く来ているだけだ。

「さてと、そんじゃそろそろ始めるか」

 

 ジャグラーがいきなり飛ばしてきたエネルギー弾を左手で弾く。するとジャグラーはお得意の高速移動で俺との距離を詰めて殴り掛かって来た。

「っ!」

 

 俺はその拳を右腕でガードしつつ左で殴ろうとすると、ジャグラーもそれを防いだ。

「いいねぇその顔。あの日のことを思い出す・・」

 

 ジャグラーは俺の顔を見て昔のことを思い出したようだ。

「俺はとうの昔に忘れちまったよ・・」

 

 本当は覚えている。いや、忘れもしない。忘れる事ができないんだ。ジャグラーと俺が決別することになったあの日のことをな。

「連れないなぁ」

 

「ダァッ!!」

 

 互いに距離を取った瞬間、今度は逆に俺から攻撃を仕掛けようと拳を振るう。するとジャグラーは高く跳び上がって拳を回避すると空中からキックをしてきた。

「デュラァっ!」

 

「むっ・・・」

 

 俺はそれに対して回し蹴りをすると、ジャグラーは空中で後ろに1回転して着地をする。俺はその着地を狙って跳び膝蹴りをするも、右ひじで弾かれつつ逆に右ひざによる1撃を受けてしまう。

「ぐっ!?まだだ!!」

 

「ぐおっ・・」

 

 その右ひざをがっちりと押さえつつ頭を大きく振って頭突きをぶつけると流石のジャグラーも足元をふらつかせる。

「さぁ、お前との腐れ縁もここまでだ。ケリをつけようぜ」

 

「あぁ。お前の敗北でな・・」

 

 

 

~~リダルホ~

 

 円盤の中、私は1人白金ガイとジャグラーの戦いをモニターから眺めていた。

「ダァァっ!!」

 

「ぬんッ!」

 

 どちらも通常の人間では目で追うこともできない速さで移動して殴り合う。互角・・いや、格闘においてはジャグラーの方が若干優勢か。

「ジャグラー。君達の因縁は耳にしている」

 

 遥か昔、君達2人は銀河の果てで雌雄を決した事を。

「白金ガイは光に選ばれ、君は闇に委ねた。今こそ教えてやるのだ。君の選んだ闇の力こそが光よりも偉大なものであることを」

 

 

 

~~ガイ~

「おいおい、それでも本気か?戦いに集中しろ。お前は恐れているのだろう。人間を傷つけてしまうことを・・。何をそんなに恐れる必要がある。小娘1人守れなかっただけだろ。以前俺は言ったことがあるはずだ。どんな力を持ったとしても全てを救う力にはなりえないと。たかが1人の命に惑わされるから本当の力も失っちまったんだ」

 

 確かに昔そんなことを言われたことがあったな。まだお前と共にあちこちの星を巡っていた・・・随分昔のことだけどな。

「ありがたいウルトラマンさんの力を借りなきゃ戦うことも出来ない。所詮その程度のお前が闇の力に刃向かうなんて愚かしいんだよ」

 

「言いたいことはそれだけか?」

 

 俺はジャグラーの拳を右手で受け止めた。

「お前が何を企もうと俺は人間を守り抜く」

 

「おぉ、怖い怖い」

 

 拳を引いてあざ笑うように両手を挙げたジャグラーは少し後ろへと下がる。

「どんなに魔王獣を復活させようと無意味だ。6体すべてを倒した今、お前の野望も潰えたからな」

 

 こいつの目的は分かっている。6属性全ての魔王獣、その頂点に君臨する大魔王獣の復活だ。その封印を破る力を持つ魔王獣達は全て倒した。大魔王獣の封印を破ることはもう不可能だ。

「お前は・・・俺が倒す!」

 

「ならもっと本気でかかってこい。ウルトラマンオーブ」

『ブラックキング!』

 

 ジャグラーはダークリングに怪獣カードをリードして用心棒怪獣のブラックキングを召喚した。

「さぁ、第2ラウンドの始まりだぞ」

 

「くっ、ジャックさん!」

『ウルトラマンジャック!』

 

「ゼロさん!」

『ウルトラマンゼロ!』

 

「キレのいいやつお願いします!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!ハリケーンスラッシュ!』

 

 オーブ・ハリケーンスラッシュに変身した俺はブラックキングと向かい合う。

「光を超えて、闇を斬る!」

 

 

 

~~ジャグラー~

「光を超えて、闇を斬る!」

 

 青い姿のオーブとなったガイは光の刃を2つ飛ばしてブラックキングを斬りつける。しかし用心棒怪獣という2つ名は伊達ではなく、ブラックキングはその攻撃に怯まずにオーブへと迫っていく。

「オーブスラッガーランス!」

 

 距離を詰めてくるブラックキングに対してオーブは光の刃を1つにした槍を構えた。

「オーブランサーシュート!!」

 

 槍の先から放たれた光線をものともせずにブラックキングは更にオーブへと迫ると、その爪でオーブを引っ掻いた。

「デュォ!?」

 

 オーブはその攻撃に怯み、後ずさろうとすると・・・それを良しとしないブラックキングは口からマグマ光線を放ち更に追い討ちをかける。

「っ!」

 

 そのマグマ光線を槍を光の刃に戻し、自身の前で回転させることで防いだオーブは跳び上がり流星のようなキレのあるキックをブラックキングへと叩き込んできた。流石のブラックキングもその1撃には怯んでしまう。

「トライデントスラッシュ!!」

 

 怯んだ隙を逃すまいとオーブは連続斬りでトドメを決めにかかろうとした瞬間・・・

「ぐぁっ!?」

 

 何者かの光線により、俺の左肩が撃たれた。このような手段を取るのは・・・大方あいつだろうな。

「ジャグラー!」

 

 オーブは仮にも敵であるはずの俺が撃たれたことに驚いているとブラックキングは再びマグマ光線を放った。

「デュァァァァっ!?」

 

 2発目のマグマ光線が直撃したオーブはその場に膝をつくとカラータイマーが赤く点滅して、2人のウルトラマンの力が抜けだしそうになる。

「ハッハっ!流石ブラックキングだ!良い調子じゃないか!」

 

 光線が飛んできた場所に視線を向けてみると・・・予想通りナックル星人が光線銃をこちらへと向けていた。

「貴様、何のつもりだ?」

 

「おいおい知らねぇのか?ナックル星人のもう1つの呼び名は暗殺宇宙人だぞ。ま、そんなのは知らなくていいのか。今からお前は死ぬんだからな」

 

 そう言ったナックル星人は2発目の光線を心臓目掛けて放ってきた。

「・・・っ!」

 

 光線が胸部に直撃した俺はオーブを指さしながら・・・その場で背中から倒れた。

 

 

 

~~ガイ~

「・・・っ!」

 

 ナックル星人による2発目の銃撃を受けたジャグラーは俺のことを指さしながら背中から倒れると背中から倒れ・・・爆発した。

「ジャグラー・・」

 

「さぁブラックキング!!ウルトラマンオーブをそのままぶっ倒してしまえ!!」

 

 干渉に浸る暇なくブラックキングはジャグラーからナックル星人に主を変えたかのようにその指示に従って、再び俺に襲い掛かって来た。

「その強靭な牙でオーブを噛み砕け!」

 

「ガイアさん!」

『ウルトラマンガイアV2!』

 

「ビクトリーさん!」

『ウルトラマンビクトリー!』

 

「地球の大地の力!お借りします!」

『フュージョンアップ!』

『ウルトラマンオーブ!フォトンビクトリウム!』

 

「闇を砕いて光を照らせ!」

 

 フォトンビクトリウムへと姿を変えた俺は右肩をブラックキングに噛みつかれるも・・・大地の力を宿す2人のウルトラマンのお力をお借りしているフォトンビクトリウムの頑丈さには敵わないようで、逆にブラックキングの牙が砕けていた。

「デュァ!!」

 

 左拳でブラックキングを殴りつけて距離を離した俺は頭部のクリスタルにエネルギーを溜めながら屈みこむ。

「フォトリウムエッジ!」

 

 勢いよく立ち上がりつつクリスタルから鞭のようにしならせながら金色に輝く光の刃を振るうと、その刃はブラックキングの角を粉砕した。

「これで決める!」

 

 両腕に大地のエネルギーを溜め、地面を叩くことで衝撃波を起こす。

「フォトリウムナックル!!」

 

 その衝撃波に怯むブラックキングに対して両腕で同時に殴りつけると・・・その一撃に耐えきれなかったブラックキングは爆発した。

「ブラックキング!?・・・チッ、覚えてやがれ!」

 

 ブラックキングはジャグラーが召喚してたにも関わらずナックル星人は自慢の怪獣が敗れたかのように怒り、テレポートでこの場から去ってしまった。

「・・・・・」

 

 ナックル星人が去ってもなお、俺はジャグラーが爆発した炎をしばらくの間見つめていた。

 

 

 

 

~~瑠々~

 

「おはようございます!」

 

 日曜日の8時過ぎ、私はガイさんの事が心配でいつもより少し早めにトリコリへとやってきました。

「・・・・・」

 

 店の中を見渡してみるとガイさんの姿はありません。

「厨房には・・」

 

 もしかしたら厨房でプリンやシュークリームを作っているかもしれないと思い、確認してみましたがやはりいませんでした。

「ガイ様をお探しですか?」

 

「えぇ、まぁ・・」

 

 私がガイさんを探していた事に気がついたウールさんが話しかけてきました。

「決着をつけにいった」

 

「ガイ様は早朝から因縁の相手との戦いへと向かいました」

 

 どうやらお2人もガイさんがジャグラーさんと決着をつけに行ったことを知っているようです。

「ジャグラーさん。人間ではないようでしたけど、ガイさんは何故そのような相手と因縁があるのですか?」

 

「・・・ガイ様は・・」

 

 少し迷った様子のウールさんは理由を話そうとしてくれると・・・

「ただいま~」

 

「ガイさん!無事だったんですね!」

 

 ちょうどガイさんが帰ってきました。

「心配かけたな。でも大丈夫だ。一応決着はつけてきた」

 

 ガイさんは大丈夫だと言っていますが・・・その表情は長年の友人を失ったかのように、どこか寂しそうでした。

 

~~リダルホ~

 

「ボス!ミッション完了だぜ」

 

作戦通りジャグラーを撃破して魔王獣のカード6枚を回収したオリガガが戻って来た。

「でもウルトラマンオーブを倒しきれなかったのはやっぱり悔しいぜ。あと少しってとこまで追い詰めれてたのによぉ」

 

 どうやらオリガガはブラックキングがオーブを仕留めきれなかったことが悔しかったようだ。

「6体の魔王獣の力が手に入った今、オーブを倒すチャンスなど幾らでもある」

 

「へっ!そうだな!そんじゃあ前から言ってた四国空母化計画でも進め・・・」

 

 四国空母化計画を進めようと提案しようとしていたオリガガはいきなりバタリと倒れた。

「だから占ってあげたじゃないですか。エンマーゴ。突然の死が訪れるって・・・」

 

 倒れたオリガガの後ろに立っていたのは・・・彼が撃ち殺したはずのジャグラーだった。

「貴様、何故生きている?確かに心臓を撃たれて・・・」

 

「目に見えたものだけが真実とは限りませんよ。リーダー」

 

 右手に刀を握っているジャグラーは右手で懐から1枚のカードを取り出してくる。あのカードはべムスターのカード。そうか、べムスターの吸収能力で銃撃を吸収させ、難を逃れていたのか。

「くっ!」

 

 私は裏切り者のジャグラーを倒そうとエネルギー弾を放つと、ジャグラーはそれを刀でガードする。

「むっ・・!?」

 

 爆煙から出てきたジャグラーの姿は胸に三日月状の傷がある鎧を着こんでいるかのような姿へと変わっていた。

 

 

~~ジャグラー~

「ゼアぁっ!」

 

 もう1つの姿、魔人態となった俺に驚いたかのような反応をしたリダルホに対して刀を振るった。

「ぐぁっ!?」

 

「策士、策に溺れるとはこのことだ。リダルホ、お前の時代は終わりだ」

 

 背を向けながらトドメの一突きを決める。

「おのれ、おのれ。おのれぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

 最後の断末魔とともにリダルホが爆発すると、6枚の怪獣カードとともに黒き王の力・・・ウルトラマンべリアルのカードが宙を舞った。

「ふんっ・・」

 

 俺はその7枚のカードを掴み取る。

「ようやく手に入れたぞ。黒き王の力・・!」

 

 これで必要なカードが全て揃った。あとは魔王獣を統べる大魔王獣マガオロチの封印を解除するだけだ。

 




ウルトラヒーロー大研究

ウルトラマンオーブ・スカイダッシュマックス
属性・迅属性

 高速移動と飛行能力に優れたスカイタイプのティガさんと最強最速と名高いマックスさんの力をお借りした姿。それがスカイダッシュマックスだ。2人のスピード戦士の力で水色のマフラー「マックストール」が地に着かない高速戦闘をするぞ。必殺技は高速移動でかく乱してから放つ光弾「マクバルトアタック」だ。

ブラックキング
属性・火属性

 用心棒怪獣ブラックキング。口から放つマグマ光線や怪力を武器とする強力な怪獣だが、その本当の強さはナックル星人と連携攻撃ができたりするほどの頭脳だ。単なるパワー系じゃなく、機転を利かせられるってのが「用心棒」って二つ名に繋がってるのかもな。


次回「盗まれたスパークドールズ」

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