ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ニコニコのゲームあつまーる?とかって奴でRPGをやって暇を潰していた。

それと並行してフォールアウトNVと、バイオre2もやってる。

フォールアウトもバイオも、内容全然覚えてなくて草。


64話 説教と会談

さて、早速だが、冒険者学校は休校になっていた。

 

何故なら、俺が、全ての冒険者の卵達を半殺しにしてしまったからだ。

 

嘘が誠か、治療費だけで学校の予算三年分が吹き飛んだとか何だとか。

 

もちろん、学校に呼び出されて、官僚上がりの校長……、稲畑泰造(いなばたたいぞう)とか言う男にお叱りの言葉を浴びせられた。

 

無論、今や世界一の金持ちにして、日本の生命線でもある俺に対して、無駄にデカい顔をするほどの無能ではなかったが……。

 

「……という訳でね、赤堀さん?国家の威信どころか命運がかかったプロジェクトでね?こう言うことをされると困るんですよ。もう少しやり方を考えて貰えたら助かりますねえ」

 

隣には、総理大臣の岸原文喜やら、自由憲友党副総裁の麻布次郎やらが集まっている。

 

ついでに、愛人である時城紗夜の血族らしい、時城政史郎とかいう男もだ。

 

ダンジョン省の大臣、石垣繁和もまたいる。

 

全員が難しい顔をしているようだが……、難しいことなど一つもないだろうに。

 

「国家の威信だの命運だの、俺は気にしちゃいない。だが、生徒を鍛える立場にあり、鍛えろと指示されたのだから、そうしただけだ。別に嫌がらせでやった訳ではない」

 

「では何故あんなことを……」

 

「普通に訓練をしただけなんだが」

 

「怪我人が出るようなことを訓練と言えるのですか?」

 

は?

 

「言葉を返すようで悪いが、怪我人が出ないような温い訓練を訓練と言って良いのか?」

 

スポーツ選手ならオーバーワークがどうこうと言う話になるだろうが、俺が育成するのは殺し合いをする為の戦士だぞ?

 

何度も死線を潜らせて、心身を鍛え上げるのは当然だろうに。

 

「戦場で死ねた方が訓練より幸せと思えるくらいに追い詰めなくては、まともな戦士など育たんよ」

 

「し、しかし、今日日自衛隊でもそんな訓練は……」

 

んー……。

 

ズレてるな、こりゃあ。

 

「自衛隊を作る訓練なんてしてないんだよこっちは。自衛隊と戦士は違うぞ」

 

「は、はあ、そうなのですか?」

 

はあ……?

 

そこからか?

 

そのレベルから話をしなきゃならないのか?

 

この国は武力を軽視していると言う話は聞いていたが、まさかここまでとはな……。

 

「自衛隊ってのは簡単に言えば、銃器を使って周りの兵士と協力して、防衛するのが仕事だろ?戦士は……、冒険者はまた別だ。少数でダンジョンに攻め入り、積極的に人外と戦い、剥ぎ取り、脱出するのが仕事だ」

 

「は、はあ」

 

「あー……、つまり、野球とサッカーも両方とも球技でスポーツだよな?だけど、ルールも人数も条件も訓練内容も、何もかもが違うだろ?」

 

「な、なるほど、理解できました」

 

ですが、と一拍置いて、校長は更に続けた。

 

「それでも、訓練中の大怪我は困りますね。マスコミ界は親外国派の勢力が半減したお陰で、余計な口出しはしてきませんが……、それでも流石に今回の件は隠蔽不可能ですから」

 

「訓練で死にかけるのと、本番であるダンジョンで死ぬの、どちらが良い?」

 

「それは……」

 

何だ、まだ文句でもあるのか?

 

と、俺が口にしようとしたその時。

 

「まあまあ、もうお説教はやめにしましょうや」

 

横から、麻布次郎が口を出してきた。

 

ヤクザのような態度と見た目で、日本がこうなる前はマスコミに叩かれまくる政治家の代表的人物だったな。

 

手腕はまあ、良いとは聞くが。

 

「俺達はよ、専門家じゃねえから詳しいことは分からん。けど、必要なことなんだろ?」

 

そう言ってこちらを真っ直ぐ見つめてくる麻布。

 

その点において俺は恥じることも隠すことも何もないので、真っ直ぐに見つめ返し、言った。

 

「ああ、その通りだ」

 

と。

 

「麻布さん……!」

 

「まあまあ、校長さんよ、ここは堪えてくれや。マスコミの方はこっちでどうにか抑えるからよ」

 

「ですがねえ……」

 

「それに、大人の端くれとして悪いとは思ってるがね、子供達に死ぬほどの訓練を課して、戦ってもらわにゃ、もう国が保たんからな……」

 

ふむ……。

 

財務方だった麻布には、数値でしっかりとこの日本という国の終わりが見えていたんだろう。

 

態度は確かに悪いが、人格的にはまともな政治家だったはず……。

 

それが、「子供を戦わせなきゃ国体を維持できない」とまで言うなんて、俺が思っている以上にこの国はヤバいらしいな。

 

一方で、総理大臣の方は黙り込んでいる。

 

無理もない、こんなご時世に総理大臣など、貧乏籤そのものだ。

 

この岸原文喜という総理大臣は、特に無能でも有能でもない凡夫。

 

日本最大の国難の際に総理大臣に「させられた」スケープゴートに過ぎない……。

 

……などと思われているが、それでもこのご時世に総理大臣をやれているだけで勲章ものだ。悪くはない奴なのだろう。

 

それに、日本の優秀なところは、総理大臣のリーダーシップではなく、官僚のシステム体系なのだから。

 

むしろ、カリスマ溢れる総理大臣一人の力で国が保っている方がよほど怖い。そんなものは独裁国家のようなものだ。

 

「だが……、ちょっと悪いがな、俺らにも予算配分ってのがあるんだ」

 

おっと、麻布がこちらを咎めてきたぞ。

 

「もちろん、きつい訓練をしなきゃ、ダンジョンでは戦えないんだろうよ。けどな、その訓練で予算を使い過ぎて国体が傾いちまったら、元も子もないんだよ。分かってくれるか?」

 

ふむ……。

 

「もちろんだ、それは理解している。今回はあくまでも、全体の能力水準を把握する為の行動だったからな。今後はここまで大規模なことはやらない。回数も年一程度に抑えよう」

 

「年一かぁ……、年一なら、まあ……」

 

今回は加減なしの大規模訓練で、校舎全壊の上、巻き込まれた人々の治療費で予算三年分を吹き飛ばしたが、年一回に大規模で厳しい訓練を、ある程度加減してやるならまあセーフという話だそうだ。

 

「俺は特に、何年も教官のようなことをやるつもりはないからな。今後はこれを伝統にしていけば良いんじゃないか?」

 

「随分と血生臭い伝統だな……。が、良いなそりゃ。『伝統』か……、伝統ができるくらいに国が続けば最高だ」

 

そう言って笑う麻布。

 

まあ、それは良いんだが……。

 

「だけどな、予算の方は本当に気をつけてくれよ?これ以上、福祉予算は下げられないからな」

 

と、再度釘を刺してきた。

 

ふむ……、これが気になっていた。

 

「福祉予算を削ったのに、どうして与党でいられるんだ、お前らは?」

 

「ハ、そりゃ、野党があんな無様を晒せばそうなるだろ?」

 

「無様……?」

 

「んん?知らんのか?野党の民主大権党のマニフェストを」

 

知らんな……、興味ないから。

 

「かーっ!これが若者の政治離れってか?まあ良い、要するに、民権党はだな……」

 

何でも、この党は、「国難に立ち向かう為」と言う名目で、ありとあらゆるリソースを国有化して平等に再分配するとか抜かしたらしい。

 

うん……、まあ、碌なことにならないであろう匂いがぷんぷんするな。

 

一方で、与党の自由憲友党は、ダンジョンを利用した資源採掘をマニフェストにして戦ったらしい。

 

だが……。

 

「ま、それでも、票は半々ってとこだったがな。日本最大の国難ってえのに内ゲバしてんだぜ?笑えるよなあ?」

 

「ああ、お笑いだな」

 

半々、か。

 

つまり、ざっくり言えば、日本人の半分は共産国家のようになるのが正解だと思っていることになる。

 

もちろん、まともな人や若者達は、ダンジョンで稼げるから自由党を支持しているそうだが……。

 

逆に、もう働くつもりのない年金生活の老人共は、年金の額が減ってお怒りなんだとか。

 

そして、日本は老人の方がはるかに多い、と……。

 

「まあ、ヤバそうなら適当にアホな政治家を暗殺すりゃ良いからな。上手い具合にやってくれ」

 

「ハハ!そりゃ拙いな!そうならないように努力するさ」

 




久々に友人と会ったが、全員カスのまんまで安心したわ。

まあ俺が一番トップクラスのカスになってたんだが、それはスルーしよう。


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