ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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自作全てに言えることですが、スタンド使いは引き合うように、自作ではキチガイは引き合うようになっています。


58話 愛人との顔合わせ

三月。

 

そろそろ寒さも落ち着いてきただろうか?

 

今年は暖かいのかもしれない。

 

二百階層まで行きたいとは言ったが、百六十階層までしか行けなかった。

 

理由は、研究所の方から任される仕事が多いから。

 

自衛隊様は未だに五十階層付近でウロウロ、トップ層も八十階層までいかないくらい。

 

そんな訳で、深層の素材を持ってこれるのは俺だけだから、引っ張りだこにされていて、深い階層に潜る暇がないのだ。

 

どうしたものか……。

 

さて、そんな俺の膝の上には杜和が。

 

両隣には日和と桐枝がいた。

 

杜和は元気一杯のアルビノ後輩。

 

日和は不思議ちゃん。

 

桐枝は正統派清楚美人。

 

それぞれ異なるタイプが揃っており、大変に満足している。

 

そして、そんな女を三人も侍らせている俺は、女好きということにされているらしい。

 

ムカつく話だが、女を差し出せば籠絡できるとも思われているように感じる。

 

なので、舐められないようにしっかりと教えてやらねばなるまい。

 

 

 

見合い。

 

そう、お見合いとやらだ。

 

政界の大物やら、大企業の会長やらの孫娘が、「是非愛人にしてやってくれ」と送り付けられる。

 

だが、生っちょろい女を連れてこられても、面倒は見れない。

 

ちょっとしたことでピーピー喚く女はお断りだ。

 

さあ、最終面談と行こうか。

 

 

 

まず最初に、杜和が書類を見て選ぶ。

 

書類の段階で、「お家の為」という嫌々さがありありと出ているような釣書は弾くそうだ。

 

あからさまに嫌そうな奴は来ない方がお互い幸せだろう。

 

そしてその次は、杜和が面談する。

 

杜和が嫌だと思った女は、俺も恐らくは気に入らないだろうからな。

 

ここでも弾く。

 

そして最後に、俺がこうして会う訳だ。

 

今日来たのは三人。

 

それぞれに自己紹介してもらう。

 

一人目。

 

振袖……、着物の礼装を着込んだ、京美人。

 

もちろん、白粉とまでは言わないが、薄いメイクの割に真っ白な肌と、所謂姫カットのロングヘアが特徴的な和風美人。

 

年齢は十七歳と、俺と同い年。

 

「時城紗夜(ときしろ さや)どす、よろしゅうお願いいたします」

 

時城、時城……。

 

旧華族だな。

 

平安時代にまで遡れるほどの歴史がある公爵家の家系だったか。皇室の血も流れているはずだ。

 

戦前日本にて与党をしていた『憲友会』の総裁だった『時城政玄』は、あの頃の日本で十年もの間、総理大臣を務めた伝説的な政治家の一人だ。

 

政玄がいなければ世界恐慌を乗り越えられなかった、とまで言われた辣腕だったらしい。

 

かなりの資産家で、親も政治家。

 

つまり、『政界のドンの孫娘』と言ったところか。

 

二人目。

 

紫味がかかった艶のある黒髪をバッサリとショートカットにした、巨乳のがっしりとした女。

 

女性用のフォーマルなスーツを着ているが、溢れ出るスポーツマン感が隠しきれていない。

 

年齢は十九歳と歳上で、体育系の大学に通っているとか。

 

「戦場茉莉(せんば まつり)だ。よろしく頼む」

 

戦場?

 

知らない名だが……。

 

どうやら、官界……、官僚の家系らしい。

 

戦時中は、戦場家は陸軍の大臣を輩出したこともある軍人一家で、今では官界で活躍しているようだ。

 

事実、親も三人の兄も全員がエリート官僚で、祖父に至っては警察庁長官だ。

 

つまり、『官界の大物の孫娘』だろう。

 

三人目。

 

いや……、これは……、良いのか?

 

年齢は十三歳。

 

中学生。

 

それも、国内最高レベルの一貫校の『私立陵桜女学園中等部』のお嬢様。

 

ハーフらしく金髪碧眼の、目鼻立ちがくっきりとしつつも柔らかで可愛らしい少女。

 

着ているワンピースドレスは、稀少なダンジョン産素材でできた超高級品。

 

「香月朔乃(こうつき さくの)ですわ!よろしくお願いします!」

 

香月……、俺は知らんが、財界では知らぬものがいないほどに有名らしい。

 

祖を江戸後期の舟問屋として、日本の物流界を長らく支配していた香月家は、明治時代の戦争特需にて造船などで大儲けし、その後も鉄道や海外貿易、近年ではIT分野に事業を展開している財閥なんだそうだ。

 

造船、海運、鉄道、IT以外にも、アミューズメント、製造、食品加工、銀行業と幅広く展開。

 

財閥のモットーは「爪楊枝から輸送船まで」……。

 

日本四大財閥の一つと海外でも名高い。

 

更に言えば、この子の祖父は、財閥グループの会長であり、更には経団連の会長でもある。

 

つまり、『財閥の大御所の孫娘』ってことだ。

 

俺みたいな戦狂いに、こんな上等なお嬢様を、愛人として押し込める?

 

「エライヒト」の考えることは分からんな。

 

とりあえず、名乗り返そうか。

 

「赤堀藤吾だ」

 

さて、では早速、試験をしようか。

 

はい、まず、別室で用意していた鶏を持ってきます。

 

「えっえっえっ、どう言うことですの?」

 

「撫でろ」

 

「え?あ、はい」

 

「お前も撫でろ」

 

「わ、分かった。おお、もふもふ……」

 

「お前も撫でろ」

 

「え、ええ、これでええどすか?」

 

「撫でたか?」

 

「「「は、はい」」」

 

ふむ。

 

「どう思った?」

 

「鶏に触るんは初めてどすなあ、と」

 

「もふもふだった」

 

「かわいいですわね!」

 

そうかそうか。

 

俺は、三人の女の目の前で、鶏の首を引きちぎった。

 

血液が、上等な畳張りの一室を汚す。

 

それどころか、俺にも、三人娘達にも血液が飛び散った。

 

三人娘は……。

 

フリーズしている。

 

だが、すぐに再起動した。

 

悲鳴は上げない。

 

「どう思った?」

 

順番に訊ねる。

 

最初は京女。

 

「試験、どすか?」

 

「何故そう思う?」

 

「血に塗れて帰ってきた旦那はんを見て、一々悲鳴を上げる女は要らへんゆうこっちゃあらへんどすか?」

 

おお、凄いな。

 

頭の回転が速い。

 

「まさにその通りだ。次、お前。どう思った?」

 

次はスポーツマン女。

 

「私は……、まあ、驚いたが」

 

「それで?」

 

「君の膂力が素晴らしいな、と。生き物を千切るとほどの力は頼もしい」

 

ふむふむ、この女もズレてんなあ。

 

「面白い。次、お前。どう思った?」

 

最後、お嬢様。

 

「え、えっと、びっくりしましたわ」

 

「それで?」

 

「そう、ですわね。食べもしないのに鶏を殺してしまうのは、勿体ないかと思いましたわ」

 

ふむ、こいつもおかしいな。

 

「良いな。よく分かった」

 

俺は、鶏の死体を捨てる。

 

そして、懐から鍵を取り出した。

 

うちの屋敷の鍵だ。

 

三本ある。

 

「気に入った、何時でもうちに来い」

 

「「「あ、ありがとうございます!」」」

 




スプリガン買っちゃっ……たあ!

銃夢とマスターキートンとスプリガン積んでます。

早う読まねば……。

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