ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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胃もたれ。


34話 走り出した冒険者

キチレンジャーと身内とフレンド登録して、あとは各自修行に励め!ってことで解散。

 

え?レベル上げの手伝い?やだよ、めんどくせー。そこまでしてやる義理はない。

 

あ、因みに、今日の稼ぎだが……。

 

特に協力して倒す強敵がいた訳でもないので、個人個人ごとに得たアイテムを売ることになった。

 

とりあえず、今回手に入れたポイントは貯金するとして、手に入れた素材は、ダンジョンショップではなく地上で全売りとする。

 

成果は、一人につきスライムコア二十個レベルの素材、それと一階域ポーションが十本くらいだが……?

 

「はい、こちら、鑑定窓口となります」

 

ダンジョンの事務所では、こんな窓口がある。

 

ここで、ダンジョンから得たものを売るのだ。

 

「スライムコアですね。スライムコアは現在、一つ三千円で買い取らせていただいております。一階域ポーションは、一本一万円で買取ります。そしてこちらは……」

 

となると、一人につき十六万円くらいの成果になる、のか。

 

十六万と言えば、新卒の手取り並みじゃねえか。

 

すげえな、ダンジョン。

 

とは言え、この値段は、まだダンジョンの攻略が進んでいないからだろうな。

 

一時的なバブルってことだ。

 

まともに冒険者で稼いでくなら、バブルが弾ける前により先の階層に進んで、より高価な素材を集めなきゃなんねえだろうな。

 

 

 

さて、現在は五月中旬。

 

冒険者達はガンガン稼いでいる。

 

滑り出しは好調ってことかね。冒険者が大活躍してて、ソラも喜んでいるだろうな。

 

そんな冒険者界隈では現在、スライムコアが品薄状態らしく、スライム狩りが流行っている。

 

スライムコアは、食用としても使えるが、その他にも水の汚れを吸収するという性質がある。

 

スライムコアは、「汚れを吸収すると消滅する」という不思議物質で、それはつまり、汚い川やら何やらにスライムコアを投げ込むだけで綺麗にしてくれるという優れものであった。

 

それだけじゃなく、放射線に汚染された水の放射能をも『きれいにする』機能があると、赤堀ダンジョン研究所が発見しているのだ。

 

東日本大震災のせいで、口を開けば放射能ガー、被曝ガー、ベクれてるー、などと小うるさいアホが未だにいる今、放射線を除去できるスライムコアは、過剰な程に求められていた。

 

因みに、食用としては、味とか食感はナタデココとかタピオカとか、なんかそういうのみたいな感じだそうだ。俺も食ったが、デンプンの塊っぽい感じだった。赤堀ダンジョン研究所の成分検査では、菌類のような性質を持つデンプン的なものだったらしい。つまりは謎。

 

スライムコアは、そのままの球状の状態では、触れた水から不純物を吸収する効果があるのだが、細かく切ってしまうとその特性を失い、料理に使えるようになるんだと。

 

因みに、何故、切ると不純物吸収効果を失うのか?と言うのは全く分からないそうだ。

 

そんな感じで、放射線除去用のスライムコアが集まるまではそっちが優先だろうが、目敏い人間はスライムコアを集めて、「最新デザート!スライムコア入りヨーグルト!」的なのを作り始めているらしい。

 

だが、キチレンジャーはスライム狩りを……、やらなかった!

 

何故か?

 

キチレンジャーは、今はスライムコアで稼げるが、いずれ使わなくなるかもしれないってことと、より深い階層の方が、より貴重な素材が手に入ると考えているからだ。

 

よって、キチレンジャーは、周りの人間より先んじて、より深い階層に潜り、より貴重な素材を得ようとしていた。

 

また、うちの道場の門下生らも、ホブゴブリン程度の雑魚では剣術の修行にならないと言って、より深い階層を目指して行った。

 

今は十二階層のファンゴとガチバトルしているらしい。

 

まあ、俺も、中学生の頃に、冬の北海道でヒグマと戦った経験があるし、野生動物相手の命がけの稽古は良い経験になるぞと言っておく。

 

杜和も、御影流門下生に混ざって刀を振り回しているようだ。

 

あの女は本当に良い女だなあ。

 

武門の家に相応しい、物怖じしない肝っ玉を持っている。

 

両親はコンビで攻略中。

 

両親も十階層周辺で素材採取に励んでいるようだ。

 

特に、十一階層からは草原で、そこの調査や実験で忙しそうにしているな。詳しくは知らんけど。

 

では、俺は?と言うと……。

 

「おらっ!」

 

『ギィッ!』

 

二十三階層にいた。

 

 

 

何故、今更、二十三階層にいるのか?

 

その理由はこれだ。

 

「よし、『火炎石』ゲット!」

 

そう、この階層にいる『サラマンダー』と言う火を吹く蜥蜴型のモンスターから、『火炎石』と言うものを剥ぎ取るためだ。

 

この火炎石、非常に凄い。

 

どんなものか?

 

見た目は、拳大の赤い石で、ほんのり温かく、冷え固まったマグマの塊のようだ。

 

これの何が凄いのか?

 

何故、必要とされているのか?

 

簡単に言おう。

 

これ、火に焚べると、一つにつき石炭一トン分の熱量を数ヶ月間放出できるんだ。

 

うん、そうね。

 

革命だね。

 

研究所で聞いた話だが、石炭での火力発電所を動かすには、年間二百万トン以上の石炭が欲しいらしい。

 

つまり、火力発電所は、二百万トン割る三百六十五日で、一日につき五千五百トンの石炭を使う。

 

こうやって書くと、石炭一トン分なんて1%にも満たないじゃないか!と思われるかもしれないが、この火炎石は数ヶ月使い回せるのだ。

 

そして何がヤバいかって言うと、この火炎石は、熱量は石炭一トン分だが、『CO2排出量は同じ重さの石炭と同じくらい』だってことだ。

 

つまり、この火炎石を使った火力発電所は、CO2排出量が一万分の一くらいになる。

 

うん、夢の新エネルギーかな?

 

 

 

ああ、それと、今までの階層も広がったり、モンスターの種類が増えたりしてるな。

 

サラマンダー狩りがひと段落ついたら、今度は杜和と潜るか。

 

実力確認も兼ねて。

 

 




ソシャゲ転移、書くっかー。

書かないにしてもプロットと設定資料だけ作っておこう。

あらすじはこう。

主人公、五代迫亜(ごだいはくあ)は、考古学者を目指して研究に励んでいた院生だった。しかし、迫亜の所属しているゼミの教授に、嫉妬した他の教授が妨害工作をして、迫亜は教授諸共学会を追放されてしまう!
もちろん、後に証拠を集めて冤罪であることは証明できたのだが、その頃にはもう、迫亜に博士を目指す熱いハートはなくなってしまっていた。
無駄に高い学力で、本の翻訳などのバイトをしながらほぼ世捨て人のように暮らしていた迫亜。暇潰しに、今大人気のソーシャルゲームである『ジュラ娘!ダイナミックダイナソー!』というソシャゲをやり込んでいた、その時!
どこかで見たことがある死ななそうなクソ鳥が迫亜の前に降り立ち、言った!「オホホホホ!憐れな世捨て人よ、生きる為に努力をできる世界へ送って差し上げましょう!即ち、砂漠系ポストアポカリプス世界へ!オホホホホ!」
目を覚ますと、広い砂漠の廃墟にいた迫亜。近くに水と食糧もなく、灼熱の太陽にジリジリと焼かれる。おまけに、醜悪なクリーチャーに襲われる始末。そんな迫亜を助けたのが、『ジュラ娘!』の主人公キャラである、スミロドンのスミちゃんだった!
スミちゃんに連れて行かれた先には、ジュラ娘の移動基地と、今まで迫亜が集めてきたジュラ娘達が勢揃いしていた……。

因みに、ジュラ娘!はタワーディフェンスゲームです。

基本的に、強いし超能力も持っているジュラ娘が、底抜けの善性で厄介ごとを引っ掛けてくる話になるかなあ。

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