そんな訳で、俺達はダンジョンにやって来たんだが……。
「……いや、広くねぇか?」
ダンジョンがかなり広くなってる。
俺は、端末のお知らせ欄を読む。
《お知らせ》
ダンジョンにアップデートが入りました
・冒険者の人数に合わせて、ダンジョンを広くしました。広さは従来のダンジョンの5倍となっております。しかし、構造は変化していません
・冒険者の人数に合わせて、モンスターの総量と生まれる頻度を増やしました
・早く魔法を使いたいとの声にお応えして、一階層のスライムに『無魔法』のスキルスクロールがレアドロップするようにしました。
・一階層に『ファイアスライム』『ウォータースライム』『アーススライム』『ウィンドスライム』等が出現するようになりました。属性スライムの出現は、ダンジョンの種類によって異なります。属性スライムのレアドロップは火、水、土、風の基本四属性魔法のスキルスクロールです。
ははあ、なるほど。
ソラがアプデを入れたのか。
良調整だ、偉いぞ。
では、ダンジョン拡張の理由も分かったところで、早速、ダンジョンに突撃して行こうか。
と、そんなところで、ついでに端末を確認すると、端末に機能が増えていた。
『パーティ管理アプリ』だそうだ。
これは、SNSアプリのように、画面に魔法陣を浮かび上がらせて、それを端末の写真機能で撮影するとパーティ登録ができる!みたいな機能だ。
このアプリでパーティを結成できる。
パーティを組んだ冒険者のグループは、ポイントや経験値が平等に分配されるのだ。
その他にも『フレンド管理』とかいうアプリがあって、これは、パーティ結成と同じ感覚でフレンド登録ができるってアプリだ。
このアプリでは、フレンド間でのポイントやアイテムの取引が可能だそうだ。
また、ダンジョン内電話にも使える。
この辺り、ソラが言うには、MMORPGを参考にしているらしい。
そうそう、ソラだが、俺は最近儲かっているので、いくらか金を渡してやった。
するとその金でMMORPGを始めたらしい。
タイトルはファイナルファンタジスタ14だそうだ。
それを参考にして、ソラは、ダンジョンのシステム面を整備したようで……。
だがまあ、MMOにありがちな、同じダンジョンが何個もあって、たとえ同じ入り口から入っても、パーティごとに違うダンジョンを攻略する……、とかはない。
全部、一律同じ。
同じ入り口から入れば、同じところに出る。
別々のパーティ同士がダンジョンで出会う。
ソラが言うには、ダンジョンで出会いを求めるのは間違いではないらしいそうだ。
……なんだかアイツ、段々とオタク趣味っぽくなってきてるような?
最近は俺が渡した金で、TRPGとか言うのの本を買い集めたり、よく分からんラノベを集めたりしている。
また、今後の冒険者の具合によっては、『クランシステム』や『ダンジョンシティ』なんかも実装するかもしれないとか言っていたが、具体的にそれがなんなのかは不明だ。
まあ恐らくは、冒険者が集まって冒険者の会社というかチームというかを作れるシステムだろう。それと、ダンジョン内に街か……。
中々に壮大な計画だが、今の日本にそんな余力はないと思うぞ。
まあ、そんな感じ。
とりあえず、六人でダンジョンを軽く流す程度に攻略しよう。
まずは、チュートリアルの五階層までをクリアせねば。
ここ、栃木日光の、俺の家の蔵にあるダンジョンは、この半年で大きく変わっていた。
蔵は取り壊され、別の土地に移転させられ、ダンジョンを覆うようにコンクリの事務所ができていた。
また、家の隣の土地は国に買い取られて、シャワールームや貸金庫、倉庫なんかが建ち並ぶ。
その他にも、自衛隊員用の宿舎もできており、常に自衛隊員が管理人としてダンジョン周辺を警備している。
本来なら、俺の家そのものも地上げされてもおかしくないのだが、そこは、俺が嫌だなーと言ったら、それがソラ経由で政府に伝わったらしく、「あ、あんたほどの実力者がそういうなら……」と、家は残された。
しかし……、周りが全部ダンジョン関連施設になるのに、ポツンと我が家だけ残すのは色々とアレなので、ダンジョンで稼いだ金が貯まったら、どどーんとデカい屋敷でも建ててやろうと思う。
さあさあ、その為にもダンジョンだ。とっととダンジョンに入ろう。
まず、ダンジョンに入るには、このダンジョン最寄りの事務所に行き、そこの受付に冒険者免許を提出する必要がある。
この際に、他にも何人も冒険者がいて、しばらく待たされた。
二、三十分後くらいに、受付に呼ばれる。
そして、冒険者免許を見せてくださいとのことなので提出。
「はい、冒険者免許を確認しました。ダンジョンアタックは何時間ほどを予定していますか?」
そう、そして、ここでこう聞かれる。
ここで、どれほどの時間潜るか答えて、指定の時間まで戻らなければ捜索隊が出るそうだ。
「今日の午後六時までだな」
「何階層まで攻略なさいますか?」
階層も聞かれる。
「とりあえず、五階層までは今日中に到達したい」
それを聞いた受付は、パソコンにその情報を入力して……。
「はい、では、こちらに免許をスキャンしてください」
専用のスキャナーを渡してきた。
冒険者免許には、ICチップが埋め込まれており、それでダンジョンの出入りの記録を取るそうだ。
因みに、この冒険者免許は、迷宮端末のカバーに収納できるので、そこに入れておけば破損を防げる。
「では、どうぞ」
入場を許可されたので、ダンジョンに入る……。
生存報告はTwitter見てね。