ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ハンバーグうめえなあ。


27話 記者会見

『えー、では、質疑応答の方に、移らせていただきます』

 

菅原総理がそう言うや否や、マスコミ共が一斉に手を上げた。

 

それはもう、ピラニアのいる川に血に塗れた死体を投げ込んだかのような騒ぎだ。

 

全員が手を挙げる。

 

『では、そちらの方……』

 

『東経新聞の道田です。まず最初に、インターネットなどで噂になっている、ダンジョンの秘薬の存在についてお尋ねしたいのですが』

 

総理が答える。

 

『えー、秘薬、ですが、存在はしています』

 

その瞬間、会場は騒ついた。

 

だが、少し大きめの声で『しかし』と前置きし、騒ぎを制止し、続きを話す総理の声によって、記者達は平静を取り戻した。

 

『しかし、秘薬ですが、インターネット等で噂になっているような、どんな病気も治る程の秘薬は、より深く、より危険な階層でのみ、得られます。なので、安定した供給は、ほぼ不可能で、あります』

 

『自衛隊は何をやっているのですか?!』

 

『えー、自衛隊に、おきましては、元来、国防のための、正に自衛のための組織でありまして、ダンジョンに潜るための、組織ではないと、あらかじめ、ご承知いただきたく、存じます』

 

そして、次の記者が指名される。

 

『ニヤニヤ動画の杉浦です。先程、深い階層ほど危険である、かのようなことを仰られたと思うのですが、その辺りを詳しくお聞かせ願えますか?』

 

総理が答える。

 

『えー、ダンジョン、と言うものは、一階層から五階層までが、チュートリアルダンジョンとして存在して、おります。この、チュートリアルにおきましては、しっかりと装備を整えさえすれば、なんとか、一般の成人がクリアできる程度の難易度と、なっている、そうです』

 

『では、六階層からは難易度が高いと?』

 

『六階層からは、ダンジョンに何度か挑み、モンスターを倒しまして、レベル、と言う数値を上げなくては、突破は困難と、なります』

 

『レベルと言うと……、ダンジョンでモンスターを倒し続けると、テレビゲームのキャラクターのように強くなれる、と?』

 

『正に、その通りでございます。また、モンスターを倒した際に得られます、《スキルスクロール》によって、自身を強化して、身に付ける武具の《武具レベル》も向上させねば、突破は困難と、なります』

 

『スキルスクロールとは、読むと……、例えば、魔法が使えるようになったりする文書ですか?』

 

『はい、その通りで、あります。そうして、自身を強化し、深い階層まで潜らない限り、高い効能を持つ秘薬などは、手に入りにくいのです』

 

『は、はあ……、ありがとうございました』

 

次の記者が指名される。

 

『昼日新聞の狭川です。日本には、銃器や爆発物などの強力な武器があると思うのですが、それでもダンジョンは突破できないのですか?』

 

総理が答える。

 

『えー、ダンジョン、におきましては、銃器や爆発物などは、《武具レベル》が向上しにくく、モンスターに対する、有効打たり得ないのです』

 

『察するところ、武具にもレベル?なる尺度があり、それが上がりにくいとのことですが、それは何故ですか?』

 

『武具レベルは、単純に言えば、武具を使えば使うほど強化される、と言うシステムで、あります。問題は、同じものを繰り返し使わなければ、強くならない、点にあります』

 

『は、はあ……?』

 

『銃器とは、一度発射してしまうと、炸薬、薬莢、弾頭など……、つまり、弾丸を使い捨ててしまうのです。なので、武具レベルが、向上しないのです』

 

『……なるほど。火薬を使う武器は使い捨てなので、強くなれないと。では、自衛隊はどうやって戦っているのですか?』

 

『ボディーアーマーを着込み、刀剣や弓などで戦っております』

 

『なっ……?!ダ、ダンジョンの攻略とは、近代兵器を一切使わずにやっているのですか?!』

 

『はい。ですので、ダンジョンの攻略の進捗は、捗らないと言うのが本音で、あります』

 

『なるほど……、ありがとうございました』

 

次の記者が指名される。

 

『読買新聞の曽山です。現状の、ダンジョンの状況……、例えば自衛隊がどれほど進めたのかなどをお聞かせください』

 

『現状の、自衛隊の攻略深度となりますと、十階層で、あります』

 

『それはどれくらいの深度なのですか?ダンジョンは、最高で何階層まであるのですか?』

 

『それについては、一切、不明であります』

 

『そちらの、ダンジョンの創造主に聞けないのですか?』

 

『明空命様は、自ら、根本的な疑問については答えられないと仰られて、おります。未知な事柄が多い状態での、人間の探究心に、期待したいとの、ことです』

 

次の記者が指名される。

 

『宇治テレビの久保田です。ダンジョンの探索者、《冒険者》と仰いましたが、それになる為の試験とはどのようなものですか?具体的にお願いします』

 

総理が答える。

 

『知力、知識、体力、武力、その他特技のテストを行い、平均五十点以上、もしくは、一科目九十点以上で、試験合格と、させていただきます』

 

総理は言葉を続ける。

 

『知力テストにおきましては、国際IQ試験の結果を参考に、致します。IQ100で五十点として、IQ140を百点満点とさせて、いただきます』

 

『知識はどうですか?』

 

『知識テストにおきましては、大学入試センター試験を利用させていただきます。センター試験五教科の平均点を五十点とし、五教科を満点で、知識テストの方も満点とさせていただきます』

 

『体力は?』

 

『体力テストは、スポーツテストの方で測定します。スポーツテストの平均点が五十点とし、満点ならば体力テストも百点満点とさせていただきます』

 

『では、武力は?』

 

『武力テストにおきましては、自衛隊の協力の元、各地の駐屯地で自衛隊と組み手をしていただき、その結果により判定します』

 

『最後に、その他特技とは?』

 

『特技テストにおきましては、各地の自衛隊駐屯地で行います。テストの内容は、皆さん、個人個人の特技をテストします』

 

『特技テストとは、どんな特技でもよろしいのですか?』

 

『はい。例えば、トランプタワーを組むのが得意だ、と言う方がいれば、それは、精密な武技に繋がると、判断させていただきますし、例えば、瞬時記憶能力を持っていると言えば、ダンジョンのマッピングができることや魔法がうまく使えることなどが分かります』

 

『では、役に立たない特技であれば減点でしょうか?』

 

『例え、ダンジョン攻略に一切無意味な特技であったとしても、それに修練の跡が見られたとすれば、最低でも平均点は付与します』

 

『最後に、年齢制限は?』

 

『十六歳以上の方とさせていただきます』

 

こんな調子で、答えられる限りの質問に答えて、一時間ほどで会見は終わった……。

 




なお、今作では、アメリカの大統領はいつものハロルド・チェスではなく、ジョン・ハイデンなので、多分無能です。


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