さて、お待ちかね。
女子の自己紹介だ。
「『安室未來(あむろみく)』でーす!カラオケが好きでー、チックタックやってまーす!」
頭軽そうな女。
金髪に染めてんのかありゃ。
顔が日本人だから、無理矢理金色に染めても似合わねえんだがなあ。
まあ、ブスって程じゃないけどさ。もうちょい大人しめな色にした方が可愛いと思うんだがなあ。
「『板倉すみれ(いたくらすみれ)』です!大神勇君の幼馴染みで、サッカー部のマネージャーやってました!」
ほーん?
まあ普通に可愛い感じ?
黒髪をサイドテールにした普通の女。
「『山形紬(やまがたつむぎ)』でーす!猫が好きで、うちでは猫を三匹飼ってまーす!みんなよろしくー!」
ベージュの髪をボブカットにした緩そうな雰囲気の女。
胸が割とある。
「『佐竹亜弥(さたけあや)』です。数学が得意で、数学科の大学に進学したいと思います」
眼鏡に黒髪セミロングの真面目そうな女。
まあそこそこ可愛いね。
「あ、私は、ひ、『雛井智加(ひないともか)』です……」
陰キャ。
ブッサイク。
「『目白若菜(めじろわかな)』です!陸上やってます!よろしく!」
まあ普通?
可愛い!ってほどでもないが、ブッサ!ってほどでもない。
赤毛をベリショにした女。
元気だね。
「『黒崎香苗(くろさきかなえ)』。瑠衣の彼女」
ごっついピアスにビジュアル系の化粧、茶髪に赤のエクステを着けて、シルバーアクセジャラジャラのロックな女。
素材は良いぞ、かなりの美人だ。
にしても、女装男の瑠衣の彼女とはな。
どう言う出会いをしたのか聞いてみたくはあるな。
「私は、『福見栞(ふくみしおり)』です……。昔から身体が良くなくて……、学校にはあまり来れないかもしれませんが、仲良くしてくださいね。ゴホッ、ゴホッ……」
顔色が悪い女。
だがまあ、かなりレベルの高い美人だ。
桜の花のように儚げな雰囲気、陶磁器のように白い肌、濡れた烏羽のように黒い長髪。
スタイルは細身だが胸はそこそこにあり、吸い込まれるような大きい瞳を持つ。
惜しむらくは、気の毒なくらいに不健康そうなところかな。
これがもう少し健康的なら、男なんてガンガン寄ってくるだろうに。
病人のような雰囲気では、誰も寄ってこないだろう。
「僕は『光坂千佳(こうさかちか)』だ。あらかじめ言っておくが、僕の学力でこんな程度の高校に行く必要はない。親の命令で不本意ながら登校しているんだ。私には構わないでくれ」
さっきの、チビで細っこい栗毛のお嬢ちゃんはそう名乗った。
なるほど、親に言われて来てるのか。
ふーん?
事情は知らんが、かなりの美人だな。
美人って言うより可愛いって感じか?
ふんわりとした栗毛のショートカット。榛色の瞳には知性の色が灯る。
インドア系らしい白い肌は、シミひとつ、できものひとつない。
ロリっぽい見た目だけど、泣き黒子があって、それがロリな見た目に反してセクシーさを醸し出している。背徳的な美しさがあるね。
つんけんした感じがまた可愛いんだこれが。
「『剣崎亜里沙(けんざきありさ)』です。家庭の事情で学校を休むこともあると思いますが、よろしくお願いします」
おー。
スッゲェ美人。
周りの男子共も騒めいている。
抜群のスタイル、ハーフらしいくっきりとした目鼻立ち、不自然さのない自然なブロンドの髪。
例えるならエマ・ストーンみたいな、銀幕で映える美女だな。
さて、女子の自己紹介はこんなものかな。
女教師である美幸からの連絡事項の通達と、プリント類の配布が終わると、解散となった。
「理玖、と言ったか?君との議論は、実に充実した時間だった。……これは僕の連絡先だ。そちらの連絡先も貰いたいのだが」
「ん?ああ、ほら」
博士少女の千佳と連絡先を交換して、と。
千佳は、速攻で帰って行った。
スッゲェ美人である亜里沙は、馬鹿な男共に囲まれて辟易としているようだな。
やがて、話を強引に切り上げて、亜里沙も帰宅、と。
因みに、他の殆どの女共は、それに嫉妬丸出しの視線を向けていたな。
いやぁ、顔の善し悪し以前に、性根が卑しい女は嫌だねぇ……。
一方で、病人女の栞は、近くに座っていた女共に話しかけていたようだが、体力が尽きたようでぐったりしている。
そして、俺が帰宅しようとすると。
「よう、理玖!」
んお?
「勘次か」
勘次……、友人キャラだな。勘次が話しかけて来た。
「お前、相変わらずスゲーよな!何で、あの『第四中の天才少女』と議論できたんだよ?!」
んー?
ああ、千佳のことかな?
「俺実は天才なんだよね」
と、適当なことを吐かす俺。男との会話に誠実さとかいらんいらん。
テキトーで良いんだよテキトーで。
「いや、それは知ってるけどよ」
「ん?そうか?」
「そりゃお前……、外国語ペラペラで、文学にも詳しいだろ?普通はいねーって、そんな高校生」
そうかね?
俺は旅行の移動中に本を読んでいたから、文学に詳しくなっただけ。で、旅行先で人と話したいから外国語を覚えただけなんだよな。
みんな、普通の人はやろうとしないだけだ。
けど、普通の人でもやろうとすればできることしかやってないぞ俺は。
今回、千景とあそこまで議論できたのは、先日の異世界転移の件でポーションによるステータスアップをしたお陰だ。
普段の俺なら、話を聞くことしかできなかっただろうな。
そりゃあ、俺も一応、ネイチャー辺りの科学雑誌は購読しているがね。
雑誌の内容を知っている程度で他人と議論まではできないだろ?
今回、ここまで議論できたのは、ステータスアップのおかげだ。
ついでに言えば、この休日の間に、三千冊を超える学術書を分野問わず読んでおいた。
え?スキルポーションで『速読』スキルを身につけて、帝都大学に夜な夜なお邪魔して本を読み漁ったんだよ。
いやー、ステータスのHP値、つまり体力をがっつり増やしたら、まるで眠くならねーでやんの。
普段の俺なら、二徹三徹くらいはできる体力があるんだが、HPのステータス値を千倍にしたから、千倍の体力を持つようになった訳だな。
なんで、この二週間、殆ど寝てないんだわ。
昼は異世界で観光して、夜は日本に戻って来て、帝都大学に忍び込み、本を読み漁っていたってこと。
忍び込む方法?転移スキルだが?
とまあ、そんな訳で。
現在の俺の圧倒的な知能と知識量をもってすれば、帝都大学入試も余裕ってレベルだ。
うーん、暇な時、知能テストでも受けてみようかね?
「……って訳!分かったか?」
あ、こいつなんか喋ってたのか。
男の話はあんまり興味ないからスルーしてたわ。
「おう!よく分かったぜ!」
と適当に答えておく。
「おっし!じゃあ、飯食いに行こうぜ!」
飯か。
そうだな、行こうか。
たまには綿密なプロットを立ててから執筆をしたいと思い、新作の設定を考えていたら一日が終わっていた!
前回話した、学校丸ごとローグライクゲームに転生!みたいな話、めっちゃ書きたい!