その後、部屋に篭って確認したところ、地球でもスキルは使えるらしいと言うことに気づいた。
な、の、で。
《リク・ヤゲン
十六歳 男性
Lv10
HP500
MP100000
筋力:55
魔力:50
耐久:55
敏捷:30
器用:26
知能:24
運勢:100000
スキル
《鑑定》《異世界言語》《アイテムボックス》《世界線移動》《料理》《格闘》
ユニークスキル
《ポーション生成》》
運勢アップポーションを飲んでから、宝くじを買いに行った!
すると……。
「おっほ!」
十億円当たっちゃった。
「母上、ちょっといい?」
「何かしら?」
おお、母上。
バリキャリの母上。
うちの親父は野人そのものだが、母上はコンクリートジャングルで生きる獣なのだ。
ぶっちゃけ、マフィアの女ボスみたいな見た目してる。
旅行会社の中でも、中東やアジアの危険地域や、治安が悪い地区で護衛してくれるガイドと渡り合う必要があるそうなので、そんな見た目じゃないと舐められるそうだ。
とは言え、見た目ほど怖い人じゃない。
「宝くじ当たったから、受け取りに行きたいのですが」
「宝くじ?珍しいわね。貴方、ギャンブルなんてする人だったかしら?」
「まあまあ。印鑑と身分証用意して!」
「まあ、分かったわ」
「これは……、貴方、何をやったの?」
おお、珍しいな。
鉄面皮の母上が、珍しく顔を歪めて驚いてる。
「スパゲッティモンスター教に入信したら幸せになりました!どうだ、君もスパモン教に入信しないか?!」
俺がいつも通り、適当なことをほざく。
「……はぁ、遠慮しておくわ。どうでもいいけれど、手元に十億円あったとしても、ちゃんと大学までは出なさいよ?成績を下げるのも許さないわ」
ため息と共に忠告をしてくる母上。
「おっすおっす」
「はい、貴方の通帳よ。十億円をそのまま入れておいたわ。分かっていると思うけれど、変な使い方はしないのよ」
「ウィーッス」
とは言え、うちはその辺ダルダルだから、色々と大丈夫。
金の使い方も自己責任。
因みに、夜遊び外泊オールオッケー。
しかし、責任は自分で取ることを命じられている。
家を出て旅行をするのは勝手だが、旅行先でトラブルがあっても、自己責任。
部屋の掃除も食事の用意もなんでも、自分でやることとされている。
お小遣いは毎月十万円くらい支給されるんだが、その中から食費、服代、携帯使用料などを払う。俺は自炊して食費を切り詰めてるから、月に三、四万は貯金できて、その金で国内旅行に行きまくっているぞ。
そして、夏休みと冬休みは、親持ちで家族旅行で海外に行く感じ。
さてまあ、そんな感じなので、金をマイナスにでもしない限り、アホくさい使い方をしても怒られないことは想像に難くない。
「じゅ、じゅーおくえん?!!!」
「おう、十億円」
折角なので、妹に自慢しておいた。
因みに、俺は薬研理玖。
妹の名前は仁美。
母上は七海。
親父は一弥。
妹の仁美は、旅行よりオタク趣味の方が好きなインドア派だ。
何故、冒険旅行キャンプが大好きな我が一族で、こんなインドア派なのか?
それはこいつがもらわれっ子だからだ。
我が父、冒険家の薬研一弥の大親友の冒険家がいたのだが、その人が、海外での冒険活動の途中で死亡して、他に身寄りがなくて宙ぶらりんになっていたその娘を我が家が引き取った。
それが、我が妹の仁美である。
見た目はサラサラな金髪の美少女で、学校では深窓の令嬢で通っているが、その本性はしょーもないオタクである。
まあでも、文学への造詣が深く、この薬研家もかなり裕福な家庭であることから、令嬢ってのもあながち間違ってはいないのだが。
「……おにーたま!わたちぃ、欲しい本があるんでちゅー!」
おおっとー?
露骨に媚びてきたな。
人の醜さを見てしまった……ッ!!!
「こやつめ、ワハハ」
「なんか買ってよー!ご祝儀ー!」
「そうくると思って、さっきコンビニで十万円分のプリペイドカードを買ってきてやったわ。ほらよ」
「わーい!おにーたまだいちゅきー!」
「代わりに乳を揉ませろぉい!!!」
「あちょっ、だ、駄目だってば!こら!やめて!この、バカっ!」
「とても痛い!」
殴られた。
で。
金が稼げたから、この金で色々と旅用品を買い込んで、と。
「旅行行ってきます!」
と、ラインに言い残して異世界へGO!
春休みで、学校が始まるまであと二週間くらい猶予がある。
なお、何度か異世界と行き来した結果、異世界と地球の時間は同期していると分かった。
つまり、異世界を観光できるのは二週間!
この二週間で遊び尽くすぞー!
幸楽苑のチャーハン、美味い。
麺はクソまずいんだけど、サイドメニューが美味い。