なんか、こう、愛弟子のジータと、ユディスティラ島……、あー、アウギュステ列島の一つで海が綺麗なリゾート地なんだけど、そこで息抜きしてこうぜって話になった。
「ふっふっふ……、フォレストレンジャー改めオーシャンレンジャー!ウェルダーだあああ!!!」
最近ジータの仲間になった騒がしい男も海ではしゃいでる。
「いやー、若いって良いねえ」
「そうですねー」
「って、シェロもまだまだイケるよ」
「そ、そうですか〜?」
と、シェロと浜辺でゆっくりしていたら。
「逃がさないよアルバコアぁ!!!」
と大声で叫んでいる女性が。
うーん?
「80点」
「何がです〜?」
「ほら、あそこの女の人」
「ああ〜、シグさんですね〜」
「へえ、シグさん」
「ええ〜、この辺りに出る、アルバコアという魚の星晶獣を追う漁師さんなんですよ〜」
「ほー」
成る程ねえ。
「海の女か。ガサツそうだがそこもまた可愛らしいな。声も思いのほかいいね」
「……マリンさんって相当な守備範囲の広さですよねえ」
「見た目が良ければ種族年齢問わず好きだよ、女の子はね」
「見た目、ですか?」
「女の子は見た目が大事だからなあ。人格がある程度駄目でも可愛いとちやほやされるもんでしょ?」
「うーん、そうですけど〜……」
シェロが難しい顔をしている中、ジータが、シグの戦いを見て、襲われていると思い、介入していった。
「良いかい?このユディスティラ島の魔物も、アルバコアも、全部あたしらドゥルガ漁団の獲物だ!」
ふむ。
ドゥルガ漁団とは、この辺りにある七代続く漁団兼自警団で、目の前のシグが現在の頭領。
そして、この辺りは自分達の縄張りだから手出しするなと主張してきた。
ふむ……。
「どうしよう、師匠?」
「ジータのやりたいようにすると良い」
「そう、かな?」
「ああ。正直言ってあの程度の魚なら、一秒以下で影も残さず消滅させられるが、それは君も、シグも望まないだろう?」
「うん……」
「だから、君の思うようにやってごらん。さすれば道は拓かれる、さ」
ジータの人徳により、アルバコアの討伐を手伝うことになったグランサイファー団。
俺?
俺は手伝わないよ。
だって、アルバコアとか一撃で殺せるし。
「サラ、海はどうだい?」
「楽しいです!」
「そうか、それは良かった」
あ、そうそう。
つい先日、ボレミアの目を盗んで、サラと事に及んだ。
いやー、良かった。
こんなこともあろうかと開発しておいた、膜を破った時の痛みを軽減する魔法とかをフル活用して致した。
サラは賢い子だから、ボレミアには秘密にしてくれるってよ!
ボレミアはあくまで護衛というスタンスを崩さないから、サラも甘えづらいらしい。
しかし俺は、自分の砂神グラフォスより強大な力を持つ大人で憧れの人らしい。
俺には遠慮なく甘えて良いと言ってあるので、子供らしく甘えてくる、が。
時折、女の顔で見てくるのでドキッとする。
サラは小さくても女なんだよなぁ。
いやー、お空の世界最高だわー。
この世界には児ポとかないんでー。
まあ、聞いた話によると、ロリコンやショタ コンの権力者も割と多いらしく、小さな子に手を出すのもあり得ない話ではない感じ。
少なくとも法で禁じられてる訳じゃないからヘーキよヘーキ。
うーん、個人的に、次はドラフを抱きたいなあ。
「マリンさん?」
「ん、ああ、いや、少し考え事をね……。さあ、遊ぼうか。そうだ、サラは泳げないんだよね?泳ぎを教えてあげるよ」
「え?マリンさん、泳げるんですか?」
「ああ、泳げるよ。と、言っても、大抵のことは魔法でどうにかなるからね、泳げても意味はないんだけれども」
サラといちゃつきながら遊んで回る。
そして、夕食に特産の魚介類をふんだんに使った料理を楽しもうと注文をしようとしたところ……。
「た、大変だ!アルバコアが……、アルバコアが沢山現れた!!」
と、一般通過ヒューマンの叫びが、今晩泊まっている宿に響く。
あー?
あー、そんなイベントだったな、これ。
そうそう、アルバコアが沢山出るんだよな、うん。
「マリン!」
俺の隣でエールを呷っていたネツァワルピリがハッとした顔で俺に声をかける。
他の団員達も、騒ぎを聞きつけて参戦してきた。
「え?戦うの?報酬とか出ないやつだぞこれ」
「そんなことを言っている場合か!この島の人が困っているんだ、手を貸さないと!」
と、アルル。
そう言っているうちにも、アルバコアと、それに釣られて現れた魔物は暴れ回っている。
「俺もロハで動いてやる必要はねえと思うんだがな」
と、アギエルバ。
「俺達は騎空士だ。秩序のなんたらみてえに慈善事業じゃねえんだぞ」
「それはっ……、そう、だが!」
「そうなんだよね。この島にはこの島の事情がある訳だから。余計なことをするなって怒られるかもしれない」
俺が言う。
「それでも……、目の前で困っている人を見捨てることはできない!」
アルルが叫ぶ。
ふむ……。
テレパス。
『ジータ、隣にシグさんいる?』
『えっ?あっ、師匠?いる、けど?』
『街に出たアルバコアを倒していいか聞いてくれないかな?』
『うん。………………報酬は出すから倒してほしい、だって』
『ありがとう』
さて。
「みんな聞いてくれ。今、この街の自警団の代表であるシグさんに、ジータを介して尋ねたところ、街に出ている魔物やアルバコアを倒してほしいそうだ。報酬も出す、とのこと。行くぞ」
「「「「おう!!」」」」
よし、と。
「マリン!」
「どうしたんだい、アルル?」
「……ありがとう」
そうかい。
よっしゃ、じゃあ仕事だ。
と言っても、手は抜くが。
いやほら、よく考えてほしい。
俺の魔法は万能で、被害を物理的にゼロにすることも可能だが、そんなことしちゃ駄目なんだよね。
この世界の人がやらにゃならんでしょ。
そう、世界の危機とかになって、俺以外誰も立ち上がらなかった、とかなら解決するけどさ、基本的にはこの世界の人が頑張って、色々な出来事を解決して、世界を回さなきゃならないんじゃないかな。
だから、俺も基本的に、対価を貰わない限り動かないようにしてるんだよね。
たまに善意とか気分とかで色々やることはあるっちゃあるけど。
例えば、もしも知らない人に、失った家族を蘇らせてほしいと依頼されたら、その失われた命と同じ分の価値があるものをもらうよ。
そうじゃなきゃ駄目でしょ。
今回も、ユディスティラ島が滅びるなら、特に助けたいと思う理由もないし放っておくつもりだった。
けど、アルルが頼んできたし、最低限の報酬と引き換えにちょっと働こうかな、と思った訳だ。
だからまあ、最低限の働きしかするつもりはない。
それは、うちの騎空団の全員に話してあることだ。
つまり、俺は全知全能だが、神じゃないってこと。
それに、この世界が原作と全く同じとは限らないからね。
原作では、現れたアルバコアの量は明記されていなかった。即ち、今ここに出現しているアルバコアは原作より多いかもしれない。つまり、ジータ達の手に余るかもしれない。
まあ、なんだ。
露払いくらいならしても良いよね。
懐からマジスティックとウィザーソードガンを取り出し、二刀流で駆け抜ける。
「しゃおらーーー!!!」
『ーーーーーッ!!!』
魔法剣士モードの舐めプ。
まあ、それでも、アルバコアくらいなら一撃で三枚におろせる。……三枚におろすなら一撃じゃねえな。二撃だ。
うちの団員にはマルチタスクで思考を分割して、テレパスの魔法で脳内に指示を出す。
『ネツァワルピリ、アギエルバ、右の角を曲がってすぐにアルバコアがいる、対処しろ。ジジイ二人はそこから真っ直ぐ行って本屋を右手に角を曲がれ、そこに襲われている人がいる。メルゥとネモネはその場で戦って安全を確保してね。アルルとマギサはサラとボレミアと協力してその場のアルバコアを倒してね。ビリビリおじさんは俺の討ち漏らしを頼んだ』
「ビリビリおじさんではない!!!」
さて、俺は遊撃。
二刀流で暴れながら適当に軽い魔法をぶっ放す。
そして……。
「魔物が退いていく……」
「終わった、のか……?」
「ああ、終わったみたいだな」
「良し、終わりじゃな!」
ジータがボスのアルバコアを倒したらしく、魔物が退いていく。
ジータに会いに行く。
「アンタが、街を守ってくれたんだろ?ありがとう、礼を言うよ。金は明日の昼までに用意しとく。それと、今晩は奢るよ」
「それは嬉しいな、シグ。ありがたくいただくよ」
と、軽く宴会。
男衆が飲み直して、シェロと俺は一緒に飲んで。
楽しんだよ、うん。
うん……。
そうだな。
今回の件で基本スタンスは決まった。
ジータに協力するときは裏側で支援、舐めプの魔法剣士モードで。
それ以外は好きにやる感じでゴー。
良し。
いや、だから、絶望世界に超圧倒的戦力保有オリ主突っ込む話書きたいんすよ。