ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ラーメン、よく考えたら替え玉とか要らんな。

もうそんな食えない。


28話 素晴らしき、この世界

パカパカ。

 

二頭の馬が幌馬車を牽く。

 

幌馬車の外見は、ファンタジーゲームでよく見るような、白い幌と木材でできたものだ。

 

見てくれは平々凡々としているが、中身は最新式のサスペンションが付いており、非常に揺れにくくなっている。

 

「そう言えば、次どこに行くんですか?」

 

そんな馬車の御者席に座る俺、景虎に、仲間の四人娘の一人、陽が声をかけた。

 

陽は、最新式の携帯ゲーム機でモンスターをハントするゲームをやりつつ、俺に話しかけてきている。

 

俺はそれに簡潔に返した。

 

「とりあえず、東の『バラオン教国』を目指している」

 

すると、四人娘は口々にこう言った。

 

「宗教が絡むとろくなことにならなそうですよ?」

 

「神の為に!ってテロしてきそうですね」

 

それは、日本人らしい宗教への拒否反応だ。

 

「例えばさ、日本じゃ道徳について学ばされるだろ?それ、海外だと宗教について学ばされるんだよ」

 

「えっと……?」

 

「多分この世界でも、宗教は道徳と密接に結びついてると思うぜ。『人としてやっちゃダメ』ではなく、『神が許さないからやっちゃダメ』って習うはずだ」

 

「ってことは、他の国より信心深い分、道徳心もあるかもしれない……、ってことですか?」

 

「そーゆーこと」

 

実際の話、俺達は、この世界の人間の道徳観のなさに呆れていた。

 

俺達を召喚した王国とやらの、貴族の酷い横暴さ。

 

それだけじゃなく、四人娘は、男尊女卑の風潮も相当に感じていたらしい。

 

俺は俺で、店の店員が足元を見てぼったくろうとしてくるところや、老人が落とした小銭を拾うフリしてネコババする奴などを見てきた。

 

そう言った、小さな非道徳の積み重ねに、俺達は辟易とされられていた。

 

この世界では盗まれる方がマヌケなんだという価値観なのだ。

 

そもそも盗んではならないという価値観を持つ俺達日本人こそが、この世界では異端。

 

価値観の全く違う世界で生きていくってのは辛い。

 

世界を旅しよう!とはならないもんだ。

 

海外はスゴイ!系の意識高い系がよくいるのを目にするが、実際、日本人は海外とは相容れないぞ。

 

衛生観念とかな。

 

それを言えば、この世界では水が貴重なのかなんなのか知らないが、人々は風呂に入らないから臭えのなんのって。

 

動物も臭えし、肉や魚の市場なんていくと、半分腐ってる有様。

 

自分の体臭が臭いから、肉や魚の腐った匂いも感じ取れないんだろうな。

 

スラムの奴らや底辺冒険者なんて、数ヶ月単位で水浴びしてないから、やべーよ。

 

とは言え、まともな奴でも週に一回くらいしか水浴びしてねーもん、やべべべーよ。

 

まあなんにせよ、習慣も考え方も全く違うこの世界で生きるのは難しい。

 

だから、どこか安住の地に引き篭もりたいって話。

 

ネットスーパーさえあれば、生活していくことはできるだろうしな。

 

「バラオン教国は、俺達を召喚したクララ王国の讃える女神であるマーシュリーを信仰している訳ではないそうだ」

 

「では、何を?」

 

「多神教なんだとさ。ギリシャみたいな感じなんじゃないかね?」

 

「ギリシャ……?さ、さ、サトルヌス?」

 

全く分かっていないという顔をしている陽。

 

「……まあ、サトゥルヌスはクロノスに相当するから、合ってると言えば合ってる」

 

「あれなんで子供を食べてるんですか?」

 

「サトゥルヌスは、将来に自分の子供に殺されるって予言を受けたから、ビビって子供を飲み込んだんだよ」

 

「へー、怖いですね」

 

「まあ、神話は少年漫画より設定が雑だからなあ」

 

 

 

そうやって、無駄話をしながらバラオン教国への道を行く。

 

まだこの時の俺達は、多少の旅気分であったのは否定できない。

 

しかし、今日でそんな気分はなくなった。

 

 

 

今日、夕方ごろに小さな村にたどり着いた。

 

なんの変哲もない、粗末な木の柵と、ちょっとした畑、いくつかの木造住宅がある村だ。

 

俺は、空き家があればそこを借りて、休もうと思っていた……。

 

「お?行商人か何かか?」

 

村の中年の男に気付かれたので、軽く挨拶してから、空き家を貸して欲しいと頼んだ。

 

すると男は、村長の家とやらに案内してきた。

 

「こっちだ」

 

俺は、村長を名乗る老人に挨拶し、岩塩が1kg入った壺を渡して、一晩空き家に泊めてほしいと頼んだ。

 

「おお、助かるのう。あの家が空いておるから、そこに泊まりなさい」

 

「ありがとうございます」

 

村長に礼を言って、空き家に泊まる。

 

そして、一時間ほどゲームしたりアニメを見たりして時間を潰すと……。

 

「おい、果物をやるよ!これは村の名産品で、甘くてうまいんだ!」

 

と、さっきの中年が空き家に現れて、果物をもらった。

 

見た目はリンゴだな。

 

「さあ、食ってみろ!」

 

とのことなので、一口齧る。

 

すると、脳内に、『状態異常耐性』が発動したと響く。

 

即座に、かつ、こっそりと、俺はもらった果物に『鑑定』をした。

 

結果はクロ。

 

果物は、『麻痺林檎』という、食べると段々と身体が麻痺するものだった。

 

「ありがとうございます、彼女達にも後で食べさせてやりますよ」

 

俺は、俳優としての演技力で表情を取り繕い、空き家の扉を閉めた。

 

そして、即座に荷物を仕舞い始めた。

 

「ど、どうしたの、景虎さん?」

 

「毒を盛られた。今夜、襲撃される」

 

俺は、毒の木の実を食わされたと告げる。

 

「なっ……?!」

 

陽が声を上げそうになったので、口を手で塞ぐ。

 

「大声を出すな。逃げるぞ」

 

「な、だ、だって、村の人達は良さそうな人で」

 

「ひ、陽さん、逃げましょう。村人が武装してます」

 

風香が、『地図作成』のスキルを使って、村人の行動を把握したらしい。

 

村人は、武器を持って集まっているようだ。

 

「どうして……?!」

 

「お金を持ってそうだから、身ぐるみを剥いで殺すそうです……。そ、そして、女は……」

 

『地図作成』のスキルは、音声まで聞けるらしい。

 

まあやっぱり、犯して殺すとか言ってるようだ。

 

「お、おかしいじゃん。普通の村なんだよね?!」

 

「は、はい……。ですが、ここは田舎だから、よそ者が来たら殺して、いる、らしいです……」

 

顔を真っ青にしながらそう言った風香。

 

「に、逃げよう!早く!」

 

明良は、目に見えて怯え始めた。

 

「早く鎧を着て!行きマスよ!」

 

アンは、急いで手甲を装着して、腰に刀を佩く。

 

そして俺は、外に出て馬を馬車に繋ぎ、いつでも出れるように……。

 

「奴ら、逃げる気だぞ!」「追え!」「殺せ!」

 

気付かれた!

 

「全員、馬車に乗り込め!」

 

 

 

なんとか逃げ切れた……。

 

だがこれ以降、俺達は、この世界の人間を信用できなくなった。

 

ふらりと立ち寄った村が、追い剥ぎ殺人の常習犯だったなんて、ゾッとする話だ。

 




ラダーン祭り、これは始まってんのかなこれ?

何にもわからん……。

俺達は雰囲気でエルデンリングをやっている……。



あー、今は武装JKとイチャイチャする話を書いてるけど、これは完全に滅びたてホヤホヤの世界の話なんだよね。

前に言った元ヤンおじさんダンジョンみたいな、滅びつつある世界の話はまだ書いてないし書きたい。

なんていうかこう……、まだちゃんと法律も行政も生きてるんだけど、確実に「決定的破綻」の足音が聞こえてきている……、みたいな?

法律も行政も生きてて、警察も自衛隊も頑張ってるんだけど……、日本から米軍は撤退し、アフリカなどの後進国は滅び、人口は減り、隣人が死に、福祉は機能せず……、ゆっくりと死に向かう世界の話。

ダンジョンがね、こうね、できるのよ。

ダンジョンからは資材が取れるのよ。もちろんピンキリだけど、上のランクのアイテムは不老不死すら夢じゃない!……けど、殆どのアイテムは、ちょっと生活が楽になる程度のもの。不老不死薬ほどのアイテムを手に入れるとなると、国家事業レベルとなる。

そして、ダンジョンは放置していると「海嘯」と呼ばれる現象が起きる。それ即ち、モンスターの大氾濫。それにより、いくつかの国家が滅びた。

アメリカは広い国土を守る為に兵をかき集め、在日米軍などの海外兵団を全て自国内に呼び戻す。

中国やロシアでは徴兵制度が激烈なものとなり、中学生くらいの子供すら兵士にされる。

アフリカや南米は、ダンジョンの海嘯に耐えきれずに国家崩壊。以降、原始的な部族国家に後戻り……。

そうやって、少しずつ終わりに向かっていく世界で、元ヤンおじさんが探索者として成り上がっていく話を書きたい。



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