ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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さんぽ。
ちんぽ。


3話 初めてのネットスーパー

「お、落ち着いて!おじさん!大丈夫だよ!」

 

「……ああ、分かった。でも、私はすぐに帰らせてもらうよ」

 

さて。

 

先程名前を聞かれたからつい、花形敬なんていうあからさまな偽名を名乗ってしまった俺。鬼山景虎、三十歳。

 

職業は俳優。

 

俺が立てた計画はこうだ。

 

一、俳優としての演技力をフル活用して、異世界転移に巻き込まれたスキルなしの無能おじさんとして振る舞う。

 

二、無能おじさんなので、ククラ王国に見捨てられ、城を追い出される。

 

三、城から離れてparty time!!!楽隠居する。

 

くっくっくっ、完璧な計画だぜぇ……。

 

えっ?!楽隠居?!金もないのにどうやって?!と、お思いかもしれない……。

 

だが俺は、『ネットスーパー』スキルがある!

 

えっ?!ネットスーパー?!でも、元手となる金はないでしょ?!と、お思いかもしれない……。

 

無貌の神が気を利かせて、地球で得た金銭を全てネットスーパースキルで使用可能な『ショップポイント』に変換してくれましたーーーっ!!!

 

そして!

 

俺が何故、昼間っからベロンベロンに酔っ払って母校に不法侵入していたのか?

 

大の大人が、三十歳のおじさんがそんなに浮かれていた理由は何か?

 

ちょうど収録中のドラマやらCMやらが終わって、かなりの額のまとまった金が手に入ったからだよ!!!

 

俺は、高校卒業後すぐにデビューしたが、デビュー当時はあまり売れず、死体処理のバイトで食いつないでいたんだ。

 

けど、二十代の頃に、ヒーロー部隊もののスーツアクターに抜擢されたのを皮切りに、その後は各方面に引っ張りだこ!

 

一時期は年収一億円近くを叩き出していたんだな、これが!

 

それで、二十五歳の頃に、覆面ライダーのラスボス兼悪のライダー役でかなり稼いで、その後は。

 

・顔がシブい

・体格と筋肉がセクシー

・ハスキーボイス

・スキャンダル一切なし

 

ってなもんで、奥様方から子供達に幅広く、大変人気が出てね?

 

特にスキャンダルとかもなく、順調に稼いで、仕事もちょくちょくあったんだよね。声優もやった。

 

最近は人気も落ち着いてきたけれど、それでも、既に普通のサラリーマン一生分以上の金は稼いだんだよね。

 

でさ、やっぱり、俳優って安定しない仕事じゃん?自営業みたいなもんだからね。

 

そんな訳で、もしもの時のためにと貯めておいた貯金がめちゃくちゃあったんだよね。

 

その貯金を全て、ネットスーパースキルで使えるポイントに変換してもらえたんだよ!

 

最高にラッキーハッピー!

 

しかも、日本円は、こっちの世界のレートに換算すると十倍の価値があるってことで、今俺の手元には五十億ポイントある!!!

 

その癖、現代日本の一円と、1ショップポイントは等価として扱われるから、実質的に資産は十倍!

 

本当にもう、サイコー!

 

ってな訳で、俺は早速、ネットスーパースキルで使えるものを買うことにした。世界の狭間で。

 

ネットスーパースキルはまだLv1だが……、使える店ばかりだ!

 

ネットスーパースキルは使うとこうなる。

 

世界の狭間で実際にどんな感じだったのか?見てみよう。

 

 

 

世界の狭間にて、俺は、ネットスーパー!と唱えた。

 

すると、世界全ての時間が止まり、俺の身体が、世界の狭間でも異世界でもない、また別の次元に飛ばされた。

 

「こ、ここは……?」

 

そして、目を開くと、ショッピングモールの入り口に立っていた。

 

案内板の地図を見ると、ほぼ全てのテナントが閉まっているのだが、それでも、『スーパー』部門と、三つのテナントは開いていた。

 

スーパー部門は特に説明する必要なし。

 

だが、スーパー部門だけでも、コストト並みの巨大さだ。

 

業務用家電やらキャンプセットやら、その手のものから、青果、肉、魚まで、幅広く手に入る!

 

テナントは三つ。

 

一つ、『ポールドン異世界雑貨屋』

 

二つ、『ペンウッドスクロール店』

 

三つ、『ビリー美容院』

 

一つ目では、何に使うのかよくわからん魔石やらポーションやらが売っていた。

 

二つ目では、開くと魔法が発動する『マジックスクロール』や、開いて読むとノーマルスキルが得られる『スキルスクロール』やらが売っていた。

 

三つ目は……、髭剃りから髪のカット、パーマに色染め、エステサロンまで幅広くやってくれる美容院だ。

 

俺は、一億ポイント使って、スキルスクロール店から『隠蔽 Lv10』のスキルを購入した。

 

更に、四億ポイントで『収納 Lv10』『鑑定 Lv10』『銃術 Lv10』『察知 Lv10』を購入。

 

そして、三億ポイントで『状態異常無効 Lv10』を購入。

 

もう一つ、三億ポイントで『転移 Lv10』を購入。

 

十億ポイント使った辺りで、ネットスーパースキルがLv3になり、新たなテナントが解放された。

 

『テレサ病院』『ガリウス武具店』『アンソニー訓練所』『エイデン魔法薬店』『トマス書店』『レストランモチヅキ』の六つだ。

 

レストランはファミレスのような、定食屋のような、はたまた居酒屋のようなよく分からんところ。メニューは数万種類あるし、お持ち帰り可能だった。

 

書店は漫画から魔導書まで幅広く置いてある。

 

魔法薬店は高級なポーションとか色々売ってるみたいだ。

 

訓練所は、モンスターと戦ってレベル上げができるようだ。なお、命の危険はない。

 

武具店は、武具が売っている。剣や防具、魔法の武具も。銃器も、重機関銃から迫撃砲くらいまでなら置いてあった。流石に戦車やらはなかったが。武器は大抵置いてあった。

 

病院には、精神安定剤から医療用のモルヒネまで幅広い薬品があり、輸血パックやそれを引っ掛けるキャスター、よく切れそうなメスに麻酔薬なんかがある。

 

それだけじゃなく、スタッフのような何かも数人いて、奥の部屋は手術室だ。

 

スタッフは、絵を描くときにそばに置くようなマネキンみたいなのだ。ラバーのようなもので覆われている。

 

話しかけると、ロボットのような態度で、俺の健康状況について話した。

 

「タバコ、控えめ。お酒、そこそこ。休肝日を作るのは良いことですね。できれば、タバコはすっぱりやめて、お酒の量も減らしましょう。また、運動は頻繁になさっているようですが、骨盤に歪みがあります」

 

「治せるか?」

 

「三千ポイントで骨盤矯正マッサージを行います」

 

こうして、マッサージを受けて、武具を買い、なんだかんだで、3897757000ポイント余った。

 

それと、ネットスーパースキルが進化して、許可した人間をネットスーパー空間に入場させられるようになった。

 

 

 

さて、こうして、隠蔽と耐性などのスキルを得た俺は、早速ステータスを隠し、銃器やら食品やらを収納スキルで仕舞い込み、魔法薬店の毛生え薬で髪や髭を伸ばして変装した。

 

今年のドラマでは、金髪で短めの髪をしたサーファーの役だったからな。

 

陰気そうな雰囲気をした、黒髪の長髪に髭の男になれば、真逆の印象だ。

 

変装して、学校にたまたま来ていた作業員のおじさんを装うのだ!

 

という訳で、用意ができたことを無貌の神に伝え、異世界転移!

 

そうやって、異世界で無能おじさん演技をするぜ!!!

 

 

 

そうして、異世界転移して早速、四人組の美少女に話しかけられたので、『妻子を残し異世界に来てしまったかわいそうな作業員のおじさん』を演じるッ!!!

 

いやー、にしても、最近の女子高生ってレベル高いなー。

 

名乗ってもらったが、貧乳小柄ながらもセクシーな陽ちゃん。サラサラストレートの長髪が可愛いね。後多分、演劇部か何かかな?自分の魅せ方を分かっている動きだ。

 

それと、面倒見が良さそうな姉御肌ボーイッシュの明良ちゃん。赤毛の短髪に日に焼けた肌が眩しいねえ。こういうタイプの女がふとした瞬間に女っぽいところを見せてくると、男はイチコロだぜ。

 

巨乳知的美女の風香ちゃん。ボインボインだ。髪型は今の俺と同じくらいのセミロングで、茶髪のおっとりとした美女。大人っぽい。良い嫁さんになりそうだ。

 

金髪アメリカ美女のアンジェラちゃん。スポーティなスタイルと金髪の地毛。癖のあるブロンドのロングヘアはカッコいいな。顔の作りも大人っぽくて、銀幕女優にもなれるだろう。

 

日本では女子高生に声かけたらスキャンダルだが、こっちの世界ではセーフだろ。

 

やっちまうか?

 

いや……、変な欲は出さずに隠居だな!

 




今作はそこそこにめちゃくちゃやる予定。

なんつーかさー、この手の復讐!ざまあ!とか、追放!実はチート!とかって、山場が話の頭んところにあるじゃん。だから、掴みはバッチリなんだろうけど、それからどう続けていいのかが分からんのよな。

これも、主人公が演技力全開で追放されるまでが楽しくて、後全部蛇足ー、みたいになったら嫌だなあ。

僕はとてもかしこいので、ストーリーを「◯◯編」みたいに区切ってそれぞれに山場を作る形式を取っているんですが、今作では、始点と終点は別として、「どの編から見ても大丈夫」という、アメコミ形式ってか、ニンジャスレイヤー形式で行きたいと思っています。

とは言え、サクセスストーリー感も出したいんだよなあ……。大きく、「第一章のどこから見てもいい小噺集」と「第二章のどこから見てもいい小噺集」みたいな感じにざっくり分けるのもありかな。

まあ、なんか面白そうな提案とかあったら、活動報告でもツイにでも投げてくださって構いません。とは言え、意見を100%聞き入れるとは限りませんが……。


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