今日も車で移動している。
一週間くらい過ぎただろうか?
周囲はすっかり砂漠模様だ。
フレズベルグのアッシュによる千里眼と、レクノアの魔眼、そして方位磁石で道を調べて、砂漠の国へと真っ直ぐ直進する。
アッシュとレクノアが言うには(アッシュは喋れないが、質問に対して頷くことくらいはできる)このまま進んでも特に山や谷はなく直進できるそうなので、時速30kmくらいのロースピードでゆっくりと移動する。
それでも、馬車なんかよりはずっと速いし、自動車は馬と違って休ませる必要がないので、効率も段違いだ。
普通、国を跨いでの移動というのは、何ヶ月もかけて、色々な街や宿場を経由して行うものだそうで、帝国から直線的に砂漠の国へと向かったアホはいないそうだ。
うちの、跳ねる雷隊の蜥蜴人達は、砂漠の国出身らしいが、そいつらも、砂漠の国から移動する時は、砂漠の国の北東にある商業の国を経由して移動したらしい。
何もない砂漠のど真ん中を突っ切るのは完全に暴挙だが……、俺にとっては不可能じゃない。
俺達は、そうやって順調に進んでいたのだが……。
「お兄さん、前方に遭難者がいる」
レクノアが何かを見つけた。
「どんな奴だ?」
「砂漠の国の貴族だね。若い女の人。えーと、過去視した限りだと、護衛の傭兵に裏切られて、物資を盗られて逃げられたみたい。干からびかけてるよ」
ふむふむ……。
ただの旅人や木っ端商人なんかならこのまま轢き殺して移動するが、貴族か……。
「どれくらい偉い貴族だ?」
「えーと、よく分かんないけど、侯爵の一人娘だって」
「なるほどな、そりゃ偉いぞ」
となると、轢き逃げアタックするよりかは、助けてやって恩でも売っておこうか。
「どれくらい先だ?」
「後五分くらいで肉眼でも見えるよ」
「それじゃあ、四分後に全隊停止だ」
そして、四分後。
四分経つ前に、その辺に真新しい馬車が横転しているのを見つけた。
恐らくは、これにその貴族とやらが乗っていたんだろうな。
「よーし、全隊停止!」
『『『『『了解!』』』』』
「野営の準備をしておけ!今日は早いがここで一日休むぞ!」
「「「「はいっ!」」」」
そして、俺はしばらく歩って、貴族の女とやらを見に行く。
「いたな、あれだ」
女は、年齢は十七か十八か、それくらいの若い女で、褐色の肌に黒い髪をしている。
歳の若さに反して、泣き黒子に切れ目な相貌、大きな胸と尻は、所謂セクシーってやつだ。
だが、俺からすると、ガキが調子に乗ってセクシーを気取っているように見える。たかだか十七くらいのガキがセクシーを極められるほどセクシー道は甘くない。
まあでも、抱けるかどうかなら普通に抱ける見た目だ。性格がクソじゃなけりゃ、の話だが。
服装は、某世紀末暗殺拳法漫画の最初の方みたいに、大きな外套を被っている。
服はドレスっぽいのだな。そのドレスも、涼しげなデザインのものだが、金糸の刺繍などが所々にあり、高価なものであることが窺える。
さて、見たところ、軽めの脱水症状ってところか?
今すぐに水を飲ませて身体を少し冷やせば充分に助かるラインだ。
意識はあまりはっきりしないようだが、こちらを見つめているし、何事かを言っているので、危篤状態ってほどじゃない。
喋れない、意識がないのは結構やばいのだが、話せるだけマシだ。
「た、たす、たすけて」
俺は、か細い声で助けを求める女に語りかける。
「タダじゃあ無理だな。何か見返りは?」
「あ……、なんでも、するから……」
おっ、言質ゲットでーす。
「なら助けてやる」
俺は、『収納』から経口補水液を出して、女に飲ませた。
「はっ、み、みず……!」
「待て待て、ゆっくり飲め」
抱き上げて、ペットボトルを軽く傾ける。
被災地で死にかけの市民にこうしてやった経験もそれなりにあるからな。慣れたもんよ。
「ごくっ、ごくっ……」
そして、一本飲ませ終わったら。
「どうだ?立てそうか?」
「むり……」
そうか。
「じゃあ、運ぶぞ」
お姫様抱っこ?いやいや、アレって腕が疲れるし。まあ、筋力Aだから疲れないけど、人を運ぶ時は担ぐのが普通だ。
重心を意識して担ぐと疲れにくいぞ。
「お、拠点を展開したな」
傭兵共も学はないが馬鹿ではない。
特に指示はしていないが、天幕を多めに張り始めている。
ラリーも、天幕を一つ張っておいてくれたみたいなので、そこに女を連れて行く。
そして、女に冷えピタ貼って、保冷剤を腋の下に挟ませて、足を氷水に入れて座らせる。
女は、安心して寝てしまったようなので、プリムに面倒を見させる。
そして俺は、傭兵共を労うために、ビールサーバーとバーベキューセットを出して、肉を焼き始めた……。
あーーー。
次回更新どうする?これ(ガチャ)の続き行く?新作(ポストアポカリプス賢者)行く?
あーもうだめ、自信ないよぅ。