まずは、あからさまに一番やばいカッパーから施術していこうか。
この調子じゃ本人の希望とかは聞けないな。
じゃあまあ適当に、バイオ人工臓器をぶち込んでやるか。
全身麻酔、呼吸器をつけて、衛生的な天幕を張る。
「どうするつもりだ、これはどうやっても無理だろう」
シルヴィアがそう言った。
「まあ、死んでなけりゃどうとでもなるさ」
俺がそう言った。
カッパー、鳥人。
コンセプトは……、軽量化だな。
鳥人らしく空を飛べる方が良いはずだ。
金属パーツで重くなりすぎると良くないだろう。
人工臓器は有機パーツのものを適当にぶち込んで繋げて、と。
両手両足はどうしようか?
実弾系は重くなるから……、うーん?
そうだな、飛びながら射撃できたら強いだろうな。
一番軽いイオンビーム照射装置を両腕につけて、脚には折りたたみ式のクローで良いだろう。
合成強化樹脂パーツをメインに、イオンビームやクローはメタルパーツ。
色は羽の色と同じブルーを基調に、フレームの色はホワイト。装甲パーツは薄めだが、それでも、生半可な金属よりも丈夫だ。
平面が多めで、鋭角なデザインにした。
臓器の中にこっそりエネルギージェネレーターを紛れ込ませて、チューブで両手足と脳幹にラインを繋げるのも忘れない。
あとは輸血しときゃそのうち目を覚ますはずだ。
ロードランナーに放り込む。
次だ。
虎獣人のパラス。
「パラス、君はどうなりたい?」
「ど、どうって、元に戻りたいよ!」
「元には戻れない、鋼の手足だ」
「それでもいい、また歩けるなら、良いよ!」
「でも、ただ戻すだけじゃつまらないだろう?何か特別な機能をつけたい」
「特別な機能……?」
「そう、例えば、両手両足に全てを切り裂く爪をつけるとか」
「よ、よくわかんないよ、あたしをどうするつもりなのさ……?」
「強くするつもりだ」
「強くして……、あたしは戦うの?」
「そうだ」
「じゃあ、目一杯強くしておくれよ!今度は、もう二度と、こんな目に遭わなくて済むように……」
「了解だ」
はい全身麻酔。
となると、両手両足に陽電子の刃である『ポジトロンブレード』を取り付けるしかないな。
爪と拳、そしてかかとにポジトロンブレードを取り付ける。
両手両足の爪から十センチくらいの爪が出て、拳とかかとには六十センチほどの刃渡りのブレードが出る。
曲線と平面を組み合わせたメカニカルなデザインで、フレームは灰色で、装甲パーツはブラウンを下地にしたレインドロップ迷彩にしておく。
それと、暗視、熱感知の切り替えができる半有機パーツの眼球を入れる。
アリスに神経を接続させて、と。
完成だ。
ロードランナーに放り込む。
次、蜥蜴人のガリア。
「ガリア、希望は?」
「へへへ……、いやァ、あっしの身体はもう旦那のもんすよ。どうぞ、ご随意に」
おまかせか……。
今俺は、晩ご飯は何が良いかと尋ねたときに、何でも良いと言い返されたお母さんの気持ちになった。
「お前は傭兵だったらしいな。武器は何を使っていた?」
「ショートソードとボウガンっすね」
「魔法は?」
「クリエイトウォーターとティンダーだけなら……」
なるほど……。
「使いたい魔法とかはあるか?」
「そりゃあ……、あっしは蜥蜴人でございやすから、龍人のような炎の魔法が使ってみたいと思いやすね」
炎、炎か。
部分麻酔。
尻尾は骨のような白い無機パーツを付ける。
魚の骨のような様相で、ブレードとしても使えるし、尻尾の先端のブレードは取り外し可能。
腕は、火炎放射器とヒートパンチャーを内蔵したバイオニックアームを接続。
デザインは邪魔にならない程度に程よく角張っている、曲線が多めのアームパーツ。灰色のフレームにダークレッドの装甲を少なめに。
手のひらに火炎放射器の噴出口、マニピュレーターに安定型超熱伝導金属を使い、ヒートハンドを形成。触れたものは焼ける。
耐火用血液と皮膚にするための肉体改変ナノマシンも注入。
「いだだだだぁ?!!!痛いっすよ旦那ぁ!!!」
「我慢しろ、神経接続は痛いんだよ」
次、ネオン。
「どんな脚がいい?」
「ふ、普通ので……」
「普通のでは戦闘に役に立たないだろう?」
「ひ、ひぃ……!わ、私、何されちゃうんですか……?」
「ナニカサレルだけだから安心してくれ」
「何されちゃうんですか?!!」
「まあでも、体術はあまり使えないんだよな?」
「は、はい」
「じゃあ、空飛ばすか」
「え?!」
はい、部分麻酔。
シャープなブースター付きのメタルレッグを装着、神経接続。
女性らしいシルエットを崩さない、細身のレッグパーツ。灰色のフレームに白い装甲。足の裏やふくらはぎにジェットブースターを取り付け。人工筋肉ではなく、油圧ポンプ式。
姿勢制御用プログラムも脳内に転送する。
「痛いっ!いやあああっ!!!痛いよおっ!!!」
「よし、これで終わりだ」
牛獣人のリード。
右腕がないようだな。
「どんな腕がいい?」
「そりゃあ、丈夫で力強い腕だ!」
「それだけじゃアレだし、なんか機能を付けるか」
「アレとは何だ……?」
「じゃあ、テスラエレキアームで」
「お、おう」
部分麻酔。
電気と磁力を操るメカニカルアームだ。
灰色のフレームに黒の装甲をガチ盛り。曲面を多く使い、金色の装飾も入れる。割とファンタジーな装甲になったな。これもまた、しなやかさよりもパワーを優先して油圧ポンプ式。
耐電皮膚、血液のナノマシンも注入。
「ぐああああっ!い、いでええええ!!!」
「男だろ、我慢しろ」
狼獣人のアルゴン。
「……痛いのか?」
「めっちゃ痛いぞ」
「そうか、痛いのか……」
「痛くてもやるぞ」
「分かっているさ」
「安心しろよ、こう見えて、俺も全身作り替えているからな」
「そうは見えないが」
「皮膚の下は鋼鉄だ」
「なるほど……、どうやら、凄い人に拾われちまったらしい」
「で、どうする?」
「左腕は利き腕じゃないからな、好きにいじってくれて構わない」
「ふむ……、軟体巨大腕かな?おっと、その前に、武器は何を使っていた?」
「槍だ。両手で扱う槍。だから、あまりバランスが崩れるような大きさは困る、な」
「なるほど、巨大腕はボツ……、じゃあ、マイクロウェーブ発生装置を付ける」
「よく分からんが好きにしてくれ」
それと、左目には、照準システムと熱感知システムを付ける。
腕は、武器を使うとのことなので、人工筋肉式のバイオニックアームにする。
平面で鋭角な灰色の装甲板を貼り付け、重厚な印象に。しかし、軽量合金を使用しているので、重さは普通の腕と変わらない。
手のひらにマイクロウェーブ照射装置を仕込んで完成。
接続。
「ぐ、ぎ、あああああっ!!!」
「はい、おしまい」
こんなもんか。
家に帰ろう。
あー、最近は書けねーや。