ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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うーむ、キャラを掘り下げようとすると中だるみするな。

でも、キャラを掘り下げないと、キャラに愛着を持ってもらえないんだよな。

主人公は謎の人で、独白の中で色々な設定を小出しにしていけば良いけど、脇役キャラにもスポットライトを当ててやりたい。


14話 介護

次の日の朝は、ニコレット、メナス、グウェネス、三人とも起きていた。

 

「起きたか」

 

俺が声をかけると、メナスが口を開く。

 

まだ、喉の調子が万全ではないらしく、少し声が枯れている。

 

「賢者様……」

 

「……はあ?」

 

「最果ての荒野に住む賢者、レオ様でございますね?ニコレット様の命だけでなく、私や、グウェネスの命まで救っていただいた仁徳のあるお方……」

 

「いやー、美人だったから拾ってみただけで、別に仁徳とかはないです」

 

「ふふふ……、それでも、ありがとうございます……。助かりました」

 

そう言って微笑むメナス。

 

「私からも礼を言いたい、賢者殿」

 

グウェネスが言った。ハスキーな声だ。

 

「そうかい。じゃ、包帯とおしめを替えるぞ」

 

「「おしめ?!!!」」

 

メナスとグウェネスが驚きの声を上げた。

 

「当たり前だろ、立てもしないのにどうやってトイレに行くんだ?」

 

「お、おお、おしめ、でございますか?!と、となると私は……」

 

「お前ら全員、服を着替えさせたよ」

 

「な、ななな……?!貴方がか?!女性はここにいないのか?!」

 

「残念ながら、女である俺のしもべは、汚いから触りたくないと」

 

「な、なんと……?!」

 

「ええい、うるせーぞ、大人しくしろ!まずはおしめからだ!」

 

 

 

顔を真っ赤にした三人。

 

もうお嫁にいけない的なことをぶつぶつ呟いている。

 

そんな反応をされると、俺も何かに目覚めそうだ。

 

そして、包帯交換で悲鳴をあげる三人。

 

特にグウェネスは両手両足と全身の包帯を替えているので一苦労だ。

 

「こ、こんな屈辱……!」

 

「死ぬよりゃマシだと思え」

 

グウェネスの頭を撫でてやる。

 

「賢者殿……」

 

「なんで賢者だ?」

 

「む……?最果ての荒野のような、大凡人が住めぬ地に、この様な大きな家を建てて隠れ住む隠者、それは最早、理外の賢者であるだろう?」

 

「そうなのかね……?」

 

「しかも、その紋章……」

 

ん、右手の龍印か?

 

「それは、ドラゴンの契約者である証に他ならない。ドラゴンに認められし大賢者……、我々は敬意を表する」

 

ふーん?

 

ドラゴンの契約者は尊敬されるくらい凄いのか。

 

「それに、現人神である転移者でもあるとなれば、その格の高さは王家にも匹敵するであろうな」

 

へー。

 

「なるほどな……。よし、とりあえず、水を飲め」

 

三人に水を飲ませる。

 

「まずは、少しずつ胃を慣らしていって、ゆっくりと固形物に戻していくぞ」

 

「胃を慣らすとは……?」

 

グウェネスが言った。

 

「お前らの胃は、ろくに食事をしてこなかったせいで、うまく働いていない。まずは水から、そしておかゆのようなもの、柔らかいもの……、と段階的に慣らして、機能を戻していくんだ。いきなり固形物を食べると、胃が受け入れられなくて吐き出す羽目になるぞ」

 

「なるほど……、賢者殿は医学的な知識も豊富なのか。分かった、それに従おう」

 

 

 

水で慣らして二日。

 

そろそろ良いかな?

 

試してみよう。

 

ゆるめのお粥にしてみた。

 

これを飲ませる。

 

「……美味しい!」

 

ニコレットは喜んでいた。

 

「……まあ!これは、穀物がゆでございますか?」

 

「……うむ!美味いな!」

 

メナスとグウェネスも喜んでいた。

 

三人とも、こんなに美味しいものは久しぶりだと喜んでいた。

 

しかし、半固形物を食べると……。

 

大きい方が出る。

 

顔を真っ赤にしながら、汚物処理をされる三人。

 

そんな生活が一週間続く。

 

 

 

点滴は卒業。

 

立ち上がることはできないが、手足はそこそこ動かせる様になってきたみたいだ。

 

グウェネスは手の怪我があるから無理なんだが、メナスとニコレットは腕が動かせる。

 

寝たきり生活のリハビリに、軽い体操をさせる。

 

そろそろ粥以外も食わせるか。

 

じっくり煮て柔らかくしたカボチャの煮物を添えてやる。

 

「これは……?」

 

「カボチャという野菜を煮込んだものだ。柔らかいから、胃に優しいはずだ。自分で食べられそうか?」

 

「うん、大丈夫だと思う」

 

「メナスは?」

 

「可能でございます」

 

二人にフォークを握らせ、食べさせる。

 

粥にも梅を混ぜてやった。

 

「すまない……」

 

「気にするな」

 

グウェネスは、両手に怪我があるので、俺が食わせる。

 

「どうだ?」

 

「う、美味い……!なんともまあ、奥深い味なのだ?!」

 

「まあまあ……!これは本当に美味にございますね!」

 

満足してるようだ。

 

「こんなの、宮廷でも食べたこと……」

 

ニコレットが何か言おうとした時、メナスが言った。

 

「ニコレット様!」

 

「はっ?!え、あ、えと、なんでもないわ!」

 

ふーん?

 

宮廷、ねえ……。

 

 

 

更に一週間。

 

もうそろそろ大丈夫かな?

 

三人とも、怪我はほぼ治っている。

 

身体も結構動くようになり、寝返りができるようになってきた。

 

「今日はたまご粥と、大根の鶏あんかけだ。それと、ヨーグルトと蜂蜜」

 

三人ともスプーンもフォークも持てるので、食事を配膳してやる。

 

「久しぶりにお肉だー!ちょっとだけだけど」

 

「少しずつ肉も食わせてやるから、はよ治せ」

 

「うんっ!」

 

ニコレットは……、どこか気品があるな。

 

俺の読みだと貴族か何か……、のように思える。

 

メナスはそれに仕える侍女か何かだろう。物腰の柔らかさと、ニコレットを気遣うところから推測した感じでは。

 

グウェネスは……、護衛かな?剣を持っていたしな。

 

「まあまあまあ!これは本当に美味にございます!賢者様、よろしければ作りかたを教えていただいても?」

 

「ああ、治ったら教えてやるよ」

 

「この粥も美味いな!卵など高価なものを……!かたじけないな……」

 

「気にするな」

 

介護生活もそろそろ終わりかねえ?

 

あ、因みに、ギラのやつは様子を伺いにたまに現れるが、おしめを替えているところを見てドン引きして以来、近づかなくなった。

 

ああいうのが好きなのか?と聞かれた時は思わずキレそうになった。

 




ダンまちっぽいssが書きたい。

やる夫スレのマジチン転生というのを見て、なんかああいう世界観の話を書いてみたいなー、と思うようになった。

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