ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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書けと言われたので。ゆゆゆ全部見た。シーズン2はまだ。

度が過ぎた主人公最強ものなんで、主人公の原作への介入具合に迷っています。神視点で傍観するのか、いっそ助けまくるのか……。


大魔導師、招待する

昨日、私達勇者部の前に突如現れた、大魔導師を名乗るクラスメイトの真凛君。

 

彼の真意を確かめるべく、私、結城友奈は真凛君に接触することにした。

 

いつも通り、東郷さんの車椅子を押しながら、教室に入る私。

 

真凛君は……、いた!

 

机に突っ伏して、んあーとか、あうーとか、呻いている……。

 

「真凛君、おはよう!」

 

「おはようございます、真凛君」

 

「おはよう友奈。美森も」

 

「あの、ね?放課後、空いてるかな?」

 

「何?突然の愛の告白?」

 

真凛君の冗談めかした一言にクラスが騒めく。

 

「ちちち、違うよぉ!昨日のことで聞きたいことがあってぇ!」

 

「あー?話すことねぇぞ?そんなことより俺、ユートピア作るのに忙しいからなぁ」

 

「ユートピア?」

 

「友奈ちゃん、理想郷のことよ」

 

あ、ああー、たしか、理想郷を作ってるとか言ってたよね。

 

「それって、真凛君が言ってた、別の世界のこと?」

 

「そうだ。妖精達が舞う妖精郷、エルフの暮らす魔法の森、ラミアやハルピュイアが住む大渓谷、悪魔が犇めくパンデモニウム、人魚やサハギンの住処アトランティス、ケンタウロスにミノタウルスが走る無限の荒野に、機械人類達が独特の歴史を刻む空中都市……。ああ、そういや最近はモンハンに影響されて、凶悪なモンスターが犇めく新大陸も作ったんだよ!」

 

「そ、そうなんだ」

 

わあ、ファンタジー……。

 

「おっと、自分の好きなこととなると早口で口数が増えるのはオタクの悪いところだな、すまない」

 

「う、ううん、大丈夫だよ!真凛君が頑張ってるのは伝わったから!」

 

「……お前はいい奴だな、友奈。お前は、この世界が完全に終わった後、回収して俺のユートピアに住ませてやるぞ」

 

「その、世界が終わってるって……」

 

「はーい、朝礼だぞー、今日の日直誰だー?」

 

「あっ……」

 

先生が来ちゃった……。

 

 

 

放課後。

 

「きりーつ、さようならー」

 

「「「「さようならー」」」」

 

終礼が終わると、真凛君は、普段のダラっとした動きとは打って変わって、機敏に動き、鞄を引っ掴んで足早に去ろうとしていた。

 

「真凛君っ!!」

 

私は、咄嗟に真凛君の腕を掴んだ。

 

「何?突然の愛の告白?」

 

「違くてぇ!」

 

「俺、忙しいんだよね、愛の告白以外はちょっと」

 

えー……。

 

そんな時、東郷さんが言葉を発する。

 

「それでは、真凛君?これから私とデートしてくれませんか?」

 

「ん、もちろんOK」

 

「(ちょ、ちょっと東郷さん?!)」

 

「(こうすればついて来てくれると思いまして)」

 

な、成る程、策士だね!

 

そんなこんなで、上手い具合に真凛君を捕まえた私と東郷さんは、勇者部部室へと誘い込んだのであった。

 

「まあまあ、座って座って」

 

「いや、自前の椅子を使うよ」

 

そう言って、黒い玉座を出した真凛君は、腰掛けて足を組んだ。

 

そして、眼前のテーブルにブランデーを出すと、グラスを軽く回してから、口をつけた。

 

「あの、お酒は……」

 

「うん?美味いぞ?飲むか?」

 

「駄目だよぉ、未成年だもん!」

 

「黙ってりゃバレないさ」

 

「ゆ、友奈ちゃんを悪の道に引き込むのはやめて下さい!」

 

「酒飲んだくらいで悪の道って……」

 

項垂れる真凛君。

 

「あー、それで、デートの話だが」

 

「はーい、来たよー、ってあああああ!!!真凛とかって奴!!!何でここにいるのよ?!!」

 

「友奈さん、東郷先輩、おはようございます、って、あら?えーと、確か、真凛さん、でしたっけ?」

 

「ん、風と樹か」

 

「だから、呼び捨てにするなっての!」

 

「ほらよ」

 

真凛君がパチンと指を鳴らすと、大学生くらいの姿に変わった!

 

「これで良いだろ、風」

 

「あれ……?結構タイプ……?!ね、ねえ、ちょっとその姿のままでいてくれない?」

 

頬を赤らめる風先輩。ああ、風先輩、年上好きだから……。

 

「良いけど……。それで美森、デートなんだが」

 

「え?あ、あー、そうですね、では、勇者部一同を、実際にユートピアとやらに連れて行って下さい」

 

「何だ、移住希望か?」

 

「いえ、そう言う訳ではありませんが……、本当に理想郷が存在するなら、見ておきたいと思いまして」

 

「まあ、良いぞ。だが、あらかじめ言っておくが、ユートピアは俺の理想郷だ。戦いも死も嘘も絶望もある。優しい世界ではないよ」

 

「あくまで、名前がユートピアってだけ、と言う訳ですね」

 

東郷さんが言う。

 

「はあ?馬鹿らしい、何で理想郷なのに死んだり争ったりするの?」

 

風先輩が言う。

 

「破壊なくして創造は生まれない、混沌なくして秩序は存在しない。死があるからこそ生があるのさ、どちらか片方だけでは駄目だ」

 

「何よそれ……。争いがない世界じゃ駄目なの?」

 

「争いがあるからこそ生き物は、醜く、美しい」

 

「神様気取り?意味分かんないわよ……」

 

「趣味の世界だ、分かってもらおうとは思わんよ。それじゃあ、異世界移動のゲートを作るぞ」

 

そう言って真凛君が指パッチンすると……。

 

「……ってこれ、どこでもドアじゃないの?!!」

 

ピンク色の、どこかで見たことがあるドアが現れた。

 

「ん?分かりやすくしてやったんだが、不満か?」

 

「パクリよパクリ!」

 

「じゃあお前だけシャッターにしてやるよ」

 

「あっ、シャッターになった……」

 

「よし、じゃあ、入れ」

 

ドアを、開けると……。

 

 

 

そこは、歓楽街だった。

 

耳の長い美男子、下半身が蛇の女の人、両腕が羽の女の子、妖精さん、小人の男の子、ヒゲもじゃの男の人、狼男……。

 

「ここは、ユートピア屈指の商業都市、ソドムだ」

 

私達は、呆気にとられた。

 

「ここまで形を整えるのは本当に難しかった。自然や野生のモンスターを創造してから、知性ある人工生命達を創造し、街を運営させる……。言葉にすると簡単だが、実際にやると加減が難しいんだ」

 

……「創造主様!!」

 

……「おお、創造主様よ!」

 

……「こんにちは、創造主様!」

 

「ああ、名前はソドムで、ゴモラという都市もあるが、別にいかがわしい都市ではないよ。まあ、娼館はあるが」

 

「う、嘘よ、こんなの……。こんなもの、あり得ない……」

 

風先輩は現実を受け入れられていない。

 

「………………」

 

樹ちゃんは言葉が出ない。

 

「まさか、こんな……」

 

あの東郷さんも、狼狽えている。

 

そして、私も。

 

「は、ははははは……」

 

乾いた笑いが、止まらない。

 

「娼館にはサキュバスがいるな。最高に気持ちいいが最後の一滴まで搾られる。女でも相手してくれると思うぞ、後で寄るか?……おい、聞いてんのか?」

 

「ま、真凛君……。どこ、ここ?」

 

「だから言ったろう、ユートピアの商業都市、ソドムだ」

 

「だって……、私ね、だって、ピンク色のドアをくぐって……、それで……」

 

「転移したんだよ、ユートピアに」

 

「ほへぇ〜」

 

思わず変な声が出る。

 

「他の代表的な都市は、アルカディア、シャングリラ、アガルタ、エデン、アトランティス、ムー、崑崙、キャメロット、イス、高天原……、思いつくのはこれくらいか」

 

「こんな規模の街が、そんなに沢山……?」

 

「全部、伝説や神話で語られる都市や地名ですね……」

 

と、東郷さん。

 

「嘘……、嘘よ!催眠術かなにかでしょ!」

 

頑なに認めない風先輩。

 

「で、でもお姉ちゃん、催眠術にしてはリアル過ぎる気が……」

 

と、樹ちゃん。

 

「うん?それじゃあ、適当に生きているやつを解体して見せるか?生きていることが信じられないなら殺して見せれば良いだろう?」

 

「なっ……?!」

 

騒つく周囲。

 

「聖書の神は二百万の人の子の命を奪ったそうだ。ならば、この世界の創造主である俺は何人殺して良いんだろうな?」

 

真凛君が指を鳴らすと、鋼鉄の断頭台がいくつか地面から生えた。

 

……「いやだ、いやだ!」

 

……「創造主様!何故!どうして!」

 

……「離せ、嫌だ、死にたくない!!」

 

そして、また、地面から生えた影のようなものが、街の人達を捕らえて、無理矢理断頭台に押さえつけた!

 

「真凛君っ!やめてっ!」

 

「いやあ、俺も心が痛むんだけどな?風が信じられないって言うからさ」

 

「わわわ、分かったわよ!信じる!信じるってば!だからやめなさい!!!」

 

風先輩の言葉を聞いて、捕まえた街の人達を解放する真凛君。

 

「そうか?ならやめるが……。しかし、自分の創造物をプチっと殺すのも創造主っぽいムーブメントじゃないかな」

 

「変なこと考えなくて良いからね?!」

 

 

 

その後も、私達は、真凛君に連れられて、ユートピアの各地を巡った。

 

「ここは海底都市アトランティス……、水棲種族の土地だ」

 

「桃源郷……、崑崙と同じく、主に仙人という種族が住む。仙人は大分人に似せて作ったがその実……」

 

「パンデモニウム、悪魔達の住処だ。悪魔と言う種族の必要性?もちろんある。一種の破滅因子として……」

 

そして。

 

「と、まあ、今日のところはこんなもんかね」

 

「あの、パンフレットと本、ありがとうございます」

 

樹ちゃんがお礼を言う。

 

人数分もらったパンフレットには、謎のゆるキャラ、ユートピアのユーちゃんがちょこちょこと現れる怪しさ満点の、ユートピアの全体地図と観光名所が。

 

同じく人数分もらった本、日本語訳された「魔術入門」には、でかでかと、「猿でも分かるゴエーティア!」「カバラ数秘術の神秘!」「やさしいルーンのおまじない!」と書かれている。怪しいなあ……。

 

他にも雑誌を何冊か。雑誌のタイトルは、「週刊ソドム」「冒険家ルーファスの旅日記」「ユートピア食べ歩き日和」「魔界読本」「月刊魔術」と数冊。中身をめくると、「魔王ルシファー様に聞いた!十のこと!」とか、「できる冒険者のプレイスポット全集!」「シャングリラ裏通りの美味しいお店!」とか……。

 

「冷静に考えて、このレベルの雑誌が気軽に販売されていると言うのは、西暦の17、18世紀並の文化レベルがあると言うことですよね……。凄過ぎません?」

 

東郷さんが的確に突っ込む。

 

「いや、そうでもねーぞ。ユートピアでは魔法が盛んでな、大抵の技術は魔法に取って代わられてしまうんだ。目下の目標は人類の技術レベルを超えることだな」

 

聞くところによると、インフラや娯楽などはそこそこだけど、細々とした技術が未発達なんだとか。東郷さんはしきりに頷いているけど、私はさっぱり、かな。

 

「成る程……、普遍的に魔法が存在するが故に、部分的に発達しないんですね」

 

「そうなんだよ。テラフォーミングとかしてみて欲しいんだけど」

 

やっぱり東郷さんは違うなぁ、凄いや。文化レベルとか文明の興亡とか、難しい話も通じるから……。

 

「さて、と。以上の点を鑑みて……、移住、するか?」

 

「えっと、ごめんね。私、日本が好きだから」

 

確かに、ファンタジー溢れる真凛君のユートピアも素敵だけど……、それでも、私は、私の世界を守るって決めたから。

 

「……勇者よ。何ゆえもがき、生きるのか?死にゆくものこそ美しい」

 

「えっ……?」

 

「お前達は苦しむ。とても、とても、苦しむ。……他人の為?その他人はお前に何をしてくれるんだ?滅私奉公?慈善?利他主義?崇高な精神?殉教?分からないな、俺には分からない。俺は常に自分のために生きている」

 

「何の、こと……?」

 

「何故、滅びゆく世界で戦う?何故、他人の為に戦う?何故、我が身を削って戦う?何故だ?」

 

真凛君は心底分からない、と言った目をしている。

 

「世界が滅ぶ、って……、どう言うことなの?」

 

「質問に質問で返すなよ」

 

「ご、ごめん……。でもね、私、世界が滅ぶなんて聞いてないよ?本当に滅ぶの?」

 

「ああ、滅ぶ。今はかなりギリギリの状態で延命しているだけだ。いいか、お前達の世界は滅ぶ」

 

「……私達、勇者部が防ぐことはできる?」

 

「延命に過ぎない。根本的な問題は変わらない」

 

「そう、なんだ」

 

一つ、分かったことがある。真凛君は超越者だ。私達には見えないものが、未来が見えているんだろう。

 

本当に善意で、自分の元に逃げ込まないか、と提案してくれているのだ。

 

「でも、やれるところまで、やってみるよ」

 

なせば大抵何とかなる、から。

 

「そう、か。他者への奉仕が喜びなのか。まあそんな奴もいるだろう。だが友奈、お前は美しく、心優しい。ユートピアに移住する権利はいつでもあるぞ。お前らもだ。そちらの世界が嫌になれば、いつでもこちら側に来ると良い。俺は歓迎しよう。さらばだ」

 

「あっ、待っ」

 

真凛君が指を鳴らすと、私達は部室に戻っていた。

 

真凛君の姿は、ない。

 

「っはあ、いなくなったわよアイツ!」

 

「結局、世界が滅びている理由、聞けずじまいでしたね……」

 

「この雑誌面白いなあ、所々にウェットに富んだジョークが挟まれてる……。著者は……、あっ、真凛さんだ」

 

ええと……。

 

「でも、最終的には、私達に出来ることをやるしかない、よね」

 

「そう、ですね。確かに、世界が終わっているって言葉は気掛かりだけど……、私達は私達に出来ることをやらなくちゃ」

 

「あいつ、話す気は無いってことね……」

 

「あっ、占いについての魔法もあるんだ」

 

真凛君は、詳しくは教えてくれなかった。

 

何でかは分からない。

 

でも、結局のところは、結論は変わらないんだ。

 

私達は、私達にできることをやる。

 

それだけ、だよね。

 




友奈ちゃん頼めばなんでもやってくれそうな雰囲気あるので土下座しておっぱい揉ませてもらいたい。

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