ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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おちんちんランド。


13話 飲み会

大手町……、日本でもトップクラスのオフィス街。

 

その外れの方に、小さな商社ビルが一つ。

 

そこの一階のテナントにある、『ミルクホール新世界』と呼ばれるバーにて。

 

「DDSnetの本格始動を祝って!」

 

「「「「かんぱーい!」」」」

 

ネオニート、ナイスミドル、ヤンキーアメリカ人、未成年女子、バックパッカー、未亡人とその娘。

 

謎の面子の、謎の企業の結成を祝う、謎の宴会が始まっていた……。

 

現在は午後六時。

 

真夏なので、ちょうど日が沈んだかどうかという頃である。

 

俺達はこの、金王屋一階テナントのミルクホール新世界を貸し切りにして、七人で酒を飲むことに。

 

「いやー、助かるよ。下町ロケット的なもんだったからね、うちは」

 

俺こと、真上天津は、甘いウイスキーを舐めるように飲んだ。

 

「下町ロケット……、ああ、優れた技術を持つがマンパワーに乏しい町工場と言ったところか」

 

北欧から来たデイブは、強いアクアビットをぐい、と飲み込んで熱い吐息を漏らす。

 

「にしても驚いたぜ。まさか、DDSnetがこんなちっぽけな組織だとはな」

 

アメリカ人のルーファスは、一杯目はバドワイザーと決めているそうで、ジョッキ一杯のビールを喉を鳴らして飲む。

 

「よくわからないですけど、会社って小さいところは人数が少なくてもおかしくないんじゃないですか?あ、お酒初めてだけど美味しい」

 

カシスオレンジをちびっと飲む美咲。未成年?知らんなぁ……?デビルサマナーに法律などない!

 

「あのだね、美咲?ここは町工場じゃなくって、裏組織だよ?いわばヤクザとかマフィアみたいなものなんだよ。それがたったの七人と言うのは、人が足りないってレベルじゃないんだよ……」

 

赤ワインのそこそこ高いやつを味わって飲む透。

 

「えっ……?ここ、ヤクザさんなんでしょうか……?」

 

日本酒のお猪口を傾ける真由子。

 

「比喩ひょーげんってやつだと思うよ……?」

 

流石に小学生だから、オレンジジュースを飲むありす。

 

飲み物一つで人格が分かるもんだな。

 

俺はカッコつけたがりで黒幕気取り、しかし底知れぬ力と知恵を感じさせる。

 

デイブは気難しいが、紳士的である。

 

ルーファスは不良っぽくガラが悪いが、社交的で力強い。

 

美咲は馬鹿っぽいが、これまた社交的で元気がいい。

 

透は偏屈で気取り屋だが、賢い。

 

真由子は臆病で控えめだが、芯がある。

 

ありすはわがままで奔放だが、本当に大切なことを理解している。

 

さて、我々DDSnetは、こうして、最低限の人員を確保して、企業としてスタートした訳なのだが……、その前に、全員の顔合わせなんかをしておきたかった。

 

過剰な馴れ合いは駄目なんだが、下手すれば命を預け合うことになるかもしれないチームだからな、俺達は。

 

……まあ、俺が個人的に飲み会とか嫌いなんで、あんまりやりたくはなかったんだが、全員やりたいとのことなので多数決により飲み会が敢行された。fuck民主主義。

 

ぶっちゃけ、俺がボスなので、やめさせることはできたが、まあ、一回くらいはやっても良いかな?と思ったのでやることに。

 

まあ、最低限の交流はしておかないと、命を預け合う相手同士でそれはどうなの?って感じよな。

 

それにまあ……、前の会社の、金で買った学歴を自慢してくるクソバカ共よりは、ここにいる人間達は好感が持てるからな。たまに飲み会に付き合うくらいなら構わないわな。

 

あー、うめー。

 

ジャックダニエルうめーわ。

 

オンザロックのジャックダニエルより美味い酒はねーな!

 

ハイボール?あんなもんは邪道だよ邪道。ガキの飲むもんだ。

 

俺の手元のグラスから、カラン、と氷が溶けて音が鳴る。

 

「さて、これからの話をしよう」

 

全員が俺に注目する。

 

「これから、俺達、DDSnetは、世界中のデビルサマナーを支援する。目的は世界を守るためだ」

 

俺は一口ジャックダニエルを味わう。

 

「……その為には、お前ら幹部が強くなければ話にならねえ。多くのデビルサマナーを導く為には、一般のデビルサマナーを超えなきゃならん」

 

そう……、余裕がある奴が施すのだ。

 

うちに余裕がなきゃこんなことは考えない。

 

無限の資源があるからこそ、『全世界デビルサマナー強化計画』みたいなアホなことが言えるのだ。

 

むしろ、こんだけアホなことをやらなきゃ救われないこの世界がクソなんだよなあ……。

 

最終的には政府関係にも介入して、有能なデビルサマナーの海外派遣とかもふんわりとは考えている。

 

それくらいやらなきゃ世界こわれる。

 

まあ、世界で一番ホットな話題を提供しやがって下さる日本を最初の活動拠点にできたのは僥倖だったな。

 

日本は、土地柄的に、宗教思想がごちゃ混ぜで、多種多様な悪魔と組織が湧いて出る。

 

ヨーロッパではメシアが、アフリカ中東ではガイアが強い感じなんだが、日本とアメリカはマジで何でもいる。

 

そして、日本は特に、霊脈、人口、高いGP……、などなど、デビルサマナーの要所だ。

 

国家の歴史の長さと霊的な事物の多さは比例する。

 

人類発祥の地アフリカ、キリスト教発祥の地中東、仏教のインド、神道の日本……、この辺りは霊的な意味で危険だ。

 

「当面は、お前らは訓練を受けろ。レベルが50にもなれば良いだろう」

 

「く、ははは!レベル50だと?ちょっとした魔王並だぞそれは!」

 

デイブが言った。

 

そして、それは正しい。

 

「だが、それくらいできなきゃ、世界は守れない」

 

俺は言葉を続ける。

 

「俺は、当面の間は資金集めに奔走することになると思う。もしも世界が滅んでしまった時のために、あらかじめ土地や資材を買い貯めたいんだよ」

 

「そ、その、もしも世界が滅んだらどうしますか?」

 

真由子が聞いてきた。

 

「何で滅ぶかにもよるな。核ミサイルくらいなら、この本社ビルの結界で防げるだろう。皇居などにも同じような結界があるから、正味な話、日本に核ミサイルが直撃したくらいじゃ滅ばないさ」

 

だが……。

 

「だがな、かつての東京受胎未遂の時のような世界規模の世界の再創生などをやらかされちまうと……、ちょっと危ないかもな」

 

「は、はあ、世界の再創生……?」

 

真由子には想像もつかない、か?

 

「いいか真由子、この業界で表の世界の常識を持ち出すな。あり得るんだよ。今のこの世界を消して、新しい世界に……、ドラクエのセーブデータみたいに上書きされる、なんてこともな」

 

「そ、そんなの……、どうしようもないじゃないですか……!」

 

「そんなどうしようもないことが定期的に起こりそうになってるのがこの世界だ。だから、俺達で止めるぞ、と言っているんだよ」

 

「……やります、頑張ります!」

 

まあ、真由子も、大切な一人娘のありすが生きる世界が崩壊したら嫌か。そりゃそうだ。

 

「全員、分かってると思うが……、この世界は、歩き始めた幼児みたいに危なっかしくて目が離せない。方針は、世界を守る、無理なら人類を生かすこと。これから長い付き合いになるだろうが……、まあ、その、なんだ。よろしく頼む!」

 

「「「「はい!」」」」

 




さあ、ここまでが第1部かな?

次から、ちょっと時間が飛んで、ガイアーズ同盟会合編です。

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