ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

530 / 1724
コロナはよ滅べ。


113話 探索者のお仕事

九月六日。

 

迷宮探索者資格試験の合格者に、正式に資格が交付された。

 

運転免許証と似たような材質のICカードだ。

 

それとドッグタグが配布される。

 

目黒ダンジョンを例として紹介しようか。

 

目黒ダンジョンは、とある市民公園のど真ん中に現れた。

 

政府はこれを受けて、市民公園を取り壊して、市民公園の跡地の上に建物を建てた。

 

そこを、ダンジョン保全地として、検問やロッカールームなどを作った訳だな。

 

工事費用も、今の魔法バブルの日本なら屁でもない。

 

そうしてできたのが、検問付き入場門と、ロッカールームだ。

 

この検問で探索者免許証を見せて本人確認をしなければ入れないことになっている。

 

そして、検問を通った後は、ロッカールームで着替えたり武器を開封したりして、ダンジョンに行くのだ。

 

そうそう、武器類全般は、布で包んでケースに入れれば携行してOKってことになった。

 

特記魔法道具類は、専用の魔封布に包んで、専用の鍵付きの魔法ケースに入れなきゃ違法だ。

 

そして、ダンジョン内では、ドッグタグをつける。

 

仮に、探索者の死体を見つけたら、ドッグタグだけでも回収すること。これが探索者のマナーだ。

 

因みに、このドッグタグは特殊素材でできていて、ダンジョンに吸収されない。死体がダンジョンに吸収されても、ドッグタグは残る訳だな。

 

そして、ダンジョンから帰ってきたら、受付へ行く。

 

受付のシステムは、市役所やら郵便局やらと一緒で、受付の人の目の前にある機械からべろっと出ている受付番号を持って行って、番号が来たら受付に呼ばれるから、それまで受付前の椅子に座ってお待ちくださいってやつだ。

 

受付の人から呼ばれたら、手に入れたアイテムを登録する。

 

探索者免許証を使って、その免許証の持ち主のアカウントに、『どんなアイテムをどれくらい拾ったのか』と、『アイテムをどうしたのか』を記録される。

 

アイテムの量はもちろんだが、用途も記録されるのだ。

 

例えば、『ダンジョン管理委員会に売却』とか、『ダンジョン管理委員会を通して企業に直接売却』とか。食肉アイテムなら『自分で食べる』とかもあり得るかもな。毒物系アイテムなんかは流石に『ダンジョン管理委員会に売る』以外の選択肢はないだろうが。

 

そして、もしも、宣言した通り以外の使い方をした場合は密売などの罪に問われる、と。

 

そうして、手に入れたアイテムを登録したら、大抵はまあ、ダンジョン管理委員会に売ることになるだろう。

 

金額の査定をして、その場でお金をもらって、帰る……、と。

 

もちろん、帰る時にも探索者免許証が必要だ。

 

退出記録を残して、退出。

 

ここまでが、日本での探索者の仕事だ。

 

なお、その後、海外もこのスタイルを真似することになる。

 

 

 

では、我々、『phantasia』の仕事は?

 

まず、俺は、ダンジョンが現れたことにより、ダンジョン周辺の人々がモンスター被害を恐れて引っ越して、土地が空いたのを見るや否や、即座に買い占めた。

 

そして、買い占めた土地に、『飲食店』、『道具屋』、『ホテル』の三つを建てた。

 

ママゾンより稼いでいる上に、経費も人件費以外かかっていないんだ。

 

土地やホテルをブッ建てても、余裕はいくらでもある。

 

今年の四月にダンジョンが現れて、今現在の九月までに、実に百を超えるほどのホテルや飲食店を作っている。

 

五ヶ月もあれば、ビルはそれくらい作れるからな。

 

ビルの施工については、友人(?)の武見沢に依頼した。

 

仕事をめちゃくちゃもらえたおかげで業界が潤ったと死ぬほど感謝された。

 

それはさておき……、そんな感じで、各国のダンジョン周辺の土地は『phantasia』がおさえた。

 

もちろん、その地域が好きでどうしても離れたくない!という人から地上げのように土地を取り上げたりはしていないので、百パーセントおさえた訳ではないのだが。

 

だが、ダンジョン近くの土地の多くをおさえさせてもらった。

 

まず飲食店。

 

飲食店は、この前決まった輸入法案で輸入が許可された亜人国家食品を使ったものをオープンする。

 

物珍しさで集客、と思っているのだが、それ以外にも、営業時間を二十四時間にして、遅い時間までダンジョンに篭る探索者に嬉しい飲食店を提供。

 

もちろん、亜人国家食品を安く提供すると、これからダンジョンで魔法的な食品を手に入れる探索者や、それを使って料理をする企業に対して、ダンピングになってしまうので、値段はかなり高めに設定。

 

だが、ちゃんと人間国家の食品を使った料理も提供して、二十四時間営業、量多めの探索者向けの飲食店というスタンスは崩さない。

 

そしてホテル。

 

ダンジョンは、場所によって手に入るものが違う。なので、他の地方から遠征してくる探索者もいるだろう。

 

そんな、遠方から来る探索者に向けて、二十四時間営業のビジネスホテルを作る。

 

最後に、目玉たる道具屋だ。

 

道具屋は、『武器屋』、『防具屋』、『万屋』とする。

 

それぞれ、武器、防具、道具を売る。

 

武器は、廉価な鉄製から、自衛隊の迷宮探索部隊に提供したヴェスタ鋼製第一号中型刀などまで、更には、魔装である特記魔法道具まで幅広く販売中。

 

因みに、ヴェスタ鋼製第一号中型刀で二千ドルくらいだ。米軍のアサルトライフルと同じくらいの値段だな。

 

一方で、特記魔法道具類は、最低価格が一万ドルを超える。

 

防具は盾やボディーアーマーの類。

 

無論、魔装もある。

 

道具類は、自衛隊にも提供したエネルギーバー、『ウェハー』や、水の湧き出る水筒、回復ポーションなど。

 

そして、値段だが……、高い。

 

流石に、水をかけても電池を入れなくても動く電灯や、どんなに汚れても綺麗になる服など、そう言った道具は、他の企業の製品が売れなくなるし、成長の邪魔にもなる。

 

ダンピングと言われないためにも、かなり高めの値段設定にしておく。

 

まあ、ダンジョンで同じような魔導具が手に入るだろうし、あんまり意味はなさそうだが。

 

ああ……、それと、言い忘れていたが、古今東西、様々なダンジョンのレギュレーションがあるだろうが、この世界では、倒したモンスターは1分くらいかけて光の粒子になって消えて、そこに様々なドロップアイテムが落ちている形式だ。

 

だがまあ、ダンジョンの外で生まれたモンスターや、ダンジョンから出てダンジョン外でしばらく生きたモンスターなんかは、消えない。解体の必要があるし、ドロップアイテムもない。

 

魔石は確定でドロップして、ある程度の確率でレアドロップ。

 

圧倒的火力で蒸発させてもアイテムは落ちるから安心しよう。

 




新作書いてます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。