ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ピザうめー。


94話 日本にズームアップ 後編

「日本にズームアップ!はい、と言う訳でね、次の議題に移ります!」

 

《亜人魔法技術》

 

「亜人の魔法技術についてです!こちらにも、専門家の先生をお呼びしています。日本AI総研の室伏慶太さん」

 

「はい」

 

《日本AI総研 室伏慶太》

 

「室伏さん、亜人のAI技術はどうですか?」

 

「松山さん、2045年問題という言葉はご存知ですか?」

 

「いやー、知らないですね?その頃には僕、生きてるか分からないんで」

 

笑い声が上がる。

 

「2045年問題とは、簡単に言えば、2045年までに人間を超えるAIができるかもしれないという説です」

 

「えっ、てことは……」

 

「はい、つまり、少なくとも、亜人国家の技術は20年以上先を行ってる訳ですね。ここで恐ろしいのは、その完成度です。このVTRをご覧ください」

 

VTRが流れる。

 

内容は、アメリカ、ボストンにある、世界最高峰のロボット研究所のロボットの様子だ。

 

「凄いですね!」

 

松山は嘆息する。

 

「一方で、こちらが、亜人国家が作ってきたリビングドールのプロモーションムービーです」

 

VTRが流れる。

 

VTRの内容は、人間サイズの球体関節人形であるリビングドールが、フリフリのドレスを着て、人狼族の男性と優雅にダンスを踊るものだった。

 

「これは……」

 

松山は声が出なかった。

 

アメリカの最新ロボットよりも滑らかに、繊細に動き、表情すら変える。

 

年頃の少女となんら変わりのない美しい人形に、松山は目を奪われた。

 

「……とまあ、技術力が段違いなんですよね。アメリカの最新ロボットよりもスムーズに動く人形ですよ?動力といい、アクチュエータといい、もう訳が分かりません」

 

VTRを見て度肝を抜かれた一同。

 

と、そこに。

 

「えー……、今回は特別に、番組の撮影のために、リビングドールを借りてきたそうです!」

 

と梅田。

 

「「「「ええー!」」」」

 

驚くゲスト達。

 

「実際に見せてもらいましょう!どうぞ!」

 

「こんにちはー!」

 

「「「「おおー!!!」」」」

 

会場の一同は、美しい球体人形少女に驚きの声を上げる。

 

日本の48人くらいいる量産型アイドルとは比べ物にならない、西洋系の、「人形のように美しい」少女。

 

「クロイツ型リビングドール女性タイプの78号でーす!」

 

「す、凄え……」

 

ゲスト達が、リビングドールのあまりの完成度に若干引いていた。

 

「実は人間の特殊メイクなんじゃないですか?」

 

と松山は言った。

 

「松山さん、握手しましょう?」

 

「え?ああ、はい……、うわ、あったかいし柔らかい!やっぱり人間?」

 

「えい」

 

カショッ。

 

という軽い音と共に、リビングドールの肘から先が取れた。

 

「うわあああああああ?!!!!」

 

松山は悲鳴を上げて、リビングドールの腕を落とした。

 

「ああっ、酷いです!私の腕、落とさないでください!」

 

リビングドールは、腕の断面をカメラに見せ、接着した。

 

「頭も取れますよ、ほら!」

 

カポッ。

 

頭を取ったリビングドール。

 

「おおぉ……、本当だ……」

 

ゲスト達はドン引きだ。

 

「えー、それだけでなく、リビングドールはチューリングテストをするまでもなく、知的な存在だと分かります」

 

と室伏。

 

チューリングテストとは、AIが知的かどうかを判断するテストである。

 

「じゃあ折角ですから、みなさん、78号さんに質問とかしてみてください」

 

梅田が言った。

 

それにより、ゲストが次々に質問する。

 

「お名前は?」

 

「まだありません。購入された方につけてもらう予定です」

 

「特技は?」

 

「紅茶を淹れるのが得意ですよ!」

 

「趣味は?」

 

「購入してくれたマスターのお役に立つことですが……、今はまだマスターがいないので、この世界について勉強することが趣味ですね」

 

聞かれた質問に対してスラスラと答えていく78号。

 

78号はそのまま、簡単な機能の説明や、買取に必要な金額やホームページアドレスを紹介した。

 

「……と言う訳で、妊娠機能もあります!」

 

「それは最早、人身売買では?」

 

 

 

「次の議題はこちら!」

 

《ファーストエイジ》

 

「ファーストエイジの子供達についてです!」

 

梅田が言った。

 

「ファーストエイジって何ですか?」

 

松山が尋ねる。

 

「ファーストエイジとは、日本の魔法使いの最初の世代のことですね」

 

梅田が答える。

 

「勇者である鎧氏が、『何となく暇つぶしで』近所の子供達に魔法を教えて回りました。その子供達が数年間修行して、今や、鎧氏が言うには、一端の魔法使いになっているそうです!」

 

と、梅田が続けて答えた。

 

「「「「おー!!」」」」

 

ゲストから驚きの声が上がる。

 

「ってことは、若手のホープですね!」

 

「今日は、そんな土井中村改めあかつき街にレポーターが行っていますから、VTRを見ていきましょう!」

 

 

 

×××××××××××××××

 

「どうも!レポーターの大河原です!現在はあかつき大学附属高校に来ていまーす!」

 

「「「「イェーイ!!!」」」」

 

「生徒さん達は元気いっぱいですね!君、名前は?」

 

「市川春人です」

 

「市川くん、少しインタビューしても良いかな?」

 

「構いませんよ」

 

「では……、ファーストエイジのみんなは、いつ頃から魔法の勉強を?」

 

「五年前からですね」

 

「一日どれくらい魔法の勉強をするのかな?」

 

「学校での魔法の勉強と、部活での魔法の練習、自習とあって、合計して六時間程ですかね」

 

「六時間!長いですね!」

 

「プロのスポーツ選手だって、一日の、起きている時間の少なくとも半分はスポーツの練習に費やすはずでしょう。生半可な覚悟ではプロになれませんから」

 

「プロも何も、ファーストエイジのみんなは既にプロなんじゃないかな?既に、鎧氏からお墨付きをもらっているらしいけど……?」

 

「はぁ……、お墨付きと言うのは、『最低限、魔導師と名乗れるレベル』でしかありません。嶺二師匠や、その奥さん達と比べたら、俺達なんて足元にも及んでませんよ」

 

「またまた、謙遜が過ぎますね!」

 

「……『魔導師は、物理法則を超えられて始めてスタートラインだ』。師匠の言葉です」

 

「はあ……?」

 

「ちょっと火を出したとか、ちょっと水を出したとか……、そんなのでは、魔導師として認められません。物理法則と言う枷を破ってこそ、始めて魔導師の入り口に入れるんですよ」

 

「はあ……」

 

「……まあ、とにかく、俺と師匠とでは、蟻と巨人程に格が違う、とだけ」

 

「な、なるほどー!謙虚な姿勢ですね!こちらからは以上です!」

 

×××××××××××××××

 

 

 

その後も、VTRは、あかつき大学附属高校の授業や部活の様子を放送した。

 

「いやー!凄いですね!」

 

松山が言った。

 

「こんな教育がされてるんだな!」

 

「魔法使いが日本に現れてどうなるのか、楽しみですね!」

 

ゲスト達が言った。

 

 

 

魔法バブル。

 

魔法使いの存在。

 

今はまだ、一部の知的階級の高等技術である。

 

しかし、いずれ、あらゆる人々に魔法の力かもたらされたら?

 

必ずいるはずだ。

 

魔法を悪用するクズが。

 

 

 

そんな『魔法犯罪』に対して、世界はどのようにして対抗していくのか。

 

……「見ものだな」

 

鋼の勇者が呟いた。

 




なろうのランキング入り作品巡回してるんだけど、あまりにもつまらなくて吐血したわ。

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