ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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最悪の気分だ。


88話 とある亜人バックパッカーの話 後編

俺、バックパッカーのガンドルは、勇者様の生まれた浅草の地で観光をしている。

 

「仲見世通りの甘いもんは美味いんだが、獣人種にはどうにも少ない!」

 

がっつり食えるもんを探そう!

 

うん?

 

「おお……!美味そうな肉の匂いだ!」

 

見たところ、パン粉で肉を揚げたカツレイトのような料理みたいだな!

 

「五個、いや六個くれ!」

 

「はいよ、亜人さんにメンチカツ六個!」

 

うおーっ!

 

目の前で揚げるのか!

 

美味そうだ!

 

「はい、揚がったよ!」

 

「おう!」

 

さて、味は……?

 

「ざくっ」

 

んおおおおっ?!!!

 

「ウンメェーーー!!!ベスティエのカツレイトよりずっとうめえ!カツレイトとは違って挽肉を揚げてるんだな、これは!柔らかくってホロリと崩れて、肉汁が溢れ出す!とにかくメチャクチャうめえ!このメンチカツっての、お前らもここにきたら絶対に食っとけ!」

 

《おー!》

 

《美味そうだ……》

 

《そんなにか!》

 

次は……、おおっ、ンディスパの匂いだ!

 

「カレーパン……、つまりンディスパのブレットだな!六個くれ!」

 

「おおっ、亜人さんかい!亜人さんにカレーパン六個!」

 

ちょうどタイミングがよく、揚げたてを食えることに!

 

「ん?これ、ブレットか?さっきのメンチカツみたいだ。とにかく食ってみるか!さくっ!」

 

ん、おお、おおおおお!

 

「アチィ!けどウメェ!中にどろどろのンディスパが入ってるんだ!サクフワ食感のブレットにマジでシャレにならんほど美味いンディスパがたっぷり入ったカレーパン!こりゃ美味いな!」

 

《どろどろのンディスパなら、漏れたりしないってことか》

 

《へえー、美味そう》

 

《食ってみたいな》

 

「じゃあ日本に来いよー!」

 

次は……、肉まん!

 

「小麦のふんわりした生地に、挽肉とオラニエが入っているらしい。もぐっ……、あー、ウメェーーー!!!」

 

 

 

ふう、大分食ったから、今度は観光するか。

 

ってうおっ!なんだありゃ?!

 

「おい!お前、そりゃなんだ!」

 

「は、はいっ?!な、何って、人力車ですけど?!」

 

「お前は奴隷なのか?!日本は奴隷制度があるのか?!!」

 

「い、いえいえ!違いますよ!歴とした仕事ですよ!力自慢の男性がやる肉体労働で、給料もそれなりに良いんですよ?」

 

「……そうなのか?」

 

驚いたぜ、人間が人間を台車で運んでるんだもんよ。

 

まさか、奴隷労働なのかと思っちまった。

 

「すまねえ、勘違いしてた」

 

「いえいえ!そうだ、せっかくですし、乗ってみますか?三十分で六千円です」

 

「おお、安いな、乗るぞ」

 

そして、人力車で名所を巡って写真を撮った。

 

次は……、博物館にでも行くか。

 

「ここは江戸博物館だ!江戸って言うのは、昔の東京の呼び名だそうだ。ここでは、東京がまだ江戸だった頃の姿を展示しているらしいぜ!」

 

おおー、凄えな。

 

亜人の国とは全然違うぜ。

 

ああ、でも、リサイクルって思想はティルナノグに近いのかもな?

 

江戸は、自然と融和している文化的な世界だったんだろう。

 

尤も、今は大量生産、大量消費の世界みたいだが。

 

その次は川で船に乗って、船の上でもんじゃ?とかいうもんを食った!うめえ!

 

このもんじゃがよぉ、これまた香ばしくって酒に合うんだよなあ!

 

もんじゃをつまみつつ、ビールや日本酒!

 

最高だよなあ!

 

よっしゃ!

 

次は深川飯っつう貝のピューリアみたいなもんを食うぞ!

 

んおー、うんめえ!!!

 

味の染みた飯にコリッとした貝!脂っ気がなくていくらでも食えそうだ!

 

うんうん、うめえぞー!

 

《勇者様の実家は尋ねないのか?》

 

「馬鹿言うなよ、迷惑になるだろ!」

 

 

 

そして……。

 

「今日は、桜祭りって言う祭りの日らしい!日本固有の花が咲く木である『サクラ』を見て春の訪れを祝う祭りだそうだ!見ていこうぜ!」

 

俺は今まで買い集めたお土産を背負う。

 

改めて、メンチカツやカレーパンを買い集めた。

 

他にも、コンビニでうまそうなものを買い集め、これを持って自然公園へ。

 

「よう、ガンドル!」

 

「待ってたわ!」

 

「遅いわよ!」

 

三人の旅友達が既に場所取りをしてくれていた。

 

「へへっ、すまねえな!ジョルド、べガン、リューネ」

 

虎人のジョルド、鳥人のべガン、蜥人のリューネ。

 

三人に土産を渡す。

 

「おほーっ!酒だ酒だぁ!」

 

ジョルドは無類の酒好きだからな。

 

「んんー!甘いものー!」

 

べガンは甘党だ。

 

「肉!」

 

リューネは肉好き。

 

さあ、早速食うか!

 

「『アイテムボックス』」

 

皿を出して、と。

 

「『ヒート』」

 

温めて食うぜ!

 

「えーと、里芋の煮っころがし?煮っころがしって何だ?」

 

煮物っぽいけどな。

 

「んお、とろみがある芋なのか!こりゃうめえ!ねっとしりていて腹にたまるぜ!」

 

「おー、うめーな!」

 

ジョルドは既にビールを2本目を開けている。

 

俺はこのハイボールってやつ飲むか!

 

おお、ウメェ!

 

次はー、この豚角煮だ!

 

「おおっ、こいつもいけるぜ!甘しょっぱいタレがたまらねえな!」

 

「本当ね!」

 

リューネも満足そうだ。

 

「はふー、幸せ〜!」

 

べガンはブランデーと共にチョコレートを食べている。

 

おっと、ゴミは分別して、と。

 

 

 

「これはダメだな、酸っぱい!」

 

「何言ってんだ、その酸っぱいのがいいんだろ!」

 

「これ甘過ぎない?」

 

「ちょうどいいわよ!」

 

などと騒いで飲んでいるうちに……。

 

疲れて眠ってしまっていて……。

 

 

 

「もしもし、もしもーし!」

 

「んあ?あー?」

 

「亜人さん、もう夜中ですよ」

 

警察って言う警邏に叩き起こされた。

 

「うお、やっべ!お前ら、旅館に戻るぞ!」

 

「「「ふぁあ……、あいよー」」」

 

 

 

そして旅館では、内風呂に入って寛いだ。

 

大風呂は、俺たちは毛が生えてるから排水溝が詰まるとかで駄目だった。

 

まあしゃあねえな。

 

変幻とかマニアックな魔法は流石に覚えてねえしな……。

 

あ、でもリューネは鱗だからセーフってことで大風呂に入ったらしいぞ!良いなー……。

 

次来るときは変幻覚えてこよう。

 

「あったまったし、あとは寝る……、前にルームサービスで酒だーーー!!!」

 

「「「わーい!!!」」」

 

 

 

次の日。

 

「「「「頭痛え……」」」」

 

うう、もう二度と酒なんて飲まねえぞ俺は……。

 




疲れた、もうやだ。

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