ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ギルド物語2やってます。


75話 殿様商売

「……客、多っ」

 

謎の魔導具店『phantasia』は、24時間営業だと言うのに、あまりにも多くの客が来る。

 

世界中から、大量のおセレブ様や成金野郎、冷やかしその他が来るもんだから、いつも満員で行列だらけ。

 

行政関係からは、「おたくの店の前にいつも行列いて邪魔なんだが?」と苦情を言われる始末。

 

しゃあねえや、支店を作っていこう。

 

資金なんて腐るほどあるからな。

 

電気も水道もガスも通さないで、家具も商品もこっち持ち、土地と簡単な工事だけで永遠にやっていける。

 

東京23区内に、適当に10軒くらい店舗を展開。

 

従業員はもちろんメイド。

 

総勢六百万人のメイドがいるんだ、数十人こっちに引っ張ってきても良いだろう。

 

そういや、メイドの給料について突っ込まれたが、メイドは人間じゃないから、バイト代は払っても正規雇用じゃないし、人間じゃないものを雇うことに関する法律はないので突っぱねている。

 

ほら、例えばさ、田舎の駅で野良猫を駅長にしました!とかやってるケースあるじゃん?あれ、猫に給料出してないし、出さなくても良いよな?

 

ホムンクルスも人間じゃない何か……、言ってしまえば動物、いや、生体部品でできたロボットのようなものだ。

 

それを働かせるとして、給料を払う義務とかあるのか?

 

そう言うと、大抵の税務署の職員やら労基の人やら何やらは帰る。

 

ホムンクルスは病的なまでに白い肌と白い血液、そして黒い髪はともかく、金色の瞳で、人外のものであることは明白だ。

 

そりゃそうだよな。

 

映画に出てくる犬猫に、俳優と同じ給料を払うか?電子音声に演技代払うか?工場のロボットに賃金を払うか?払わねえだろ?

 

俺は俺の作ったロボットを働かせてるようなもんだ。

 

何も違法じゃない。

 

……ホムンクルスメイドは、基本的に俺が色々な意味で可愛がっているので、別に道具だと思っているとか、嫌っているとかはないぞ?

 

 

 

さて、支店を増やしたは良いが、それでも行列はなくなりません。ええ、なくなりませんとも。

 

最近は商談もめんどくさいので、メイド長のセロにやらせてある。

 

適当な外国の政府筋の人間や、国内の研究者が、千億円百億円単位でうちの魔法的資源を買っていくので、座っているだけでゴリゴリ金が貯まるわ貯まるわ。

 

まあ、魔法金属は物にもよるが、高ランクのものになるとキロ単価数億円という、ゴールドよりも高い金額で売り捌いている。

 

ボッタクリだと批判してきても、一円もまけてやらねえ。

 

むしろ、この世界にないものがたったの数億円で手に入るんだから感謝しろよ、くらいの気持ちでいる。

 

いわゆる殿様商売ってやつだな。

 

だが、事実、魔法的素材の圧倒的な需要を満たせるのはこの俺と、エジプトのラムセス二世しかいない。

 

そういや、エジプトは今凄いことになっているらしいな。

 

ラムセス二世が即位してからもう半年くらいか?

 

イスラム教の過激派は国外追放され、国民の殆どがエジプト多神教に改宗。

 

人口は大きく減少したが、元から出生率の大きいアフリカの国であるから、人が流出したところでそうそう困らないらしい。

 

そんなエジプト難民が今は欧州に押しかけているそうだ。

 

人の激減により、労働者が減少……、したかと思われたが、ゴーレムの動員で減った労働者を補填。

 

そして、王命による孤児院や学校の建設。

 

まあ、魔法が使えるなら、魔法物質でもない普通の建物くらい一分で建てられる。

 

そうしてできた教育施設で、古代エジプト語とヒエログリフ、そして魔法を子供達にラムセス二世自ら叩き込んだ。

 

ラムセス二世は、知識人や優れた兵士を特権階級と定め、優先的に魔法のブートキャンプを行い、使える人材にすると、エジプト各地で貴族として役人の仕事をさせるようになった。

 

ブートキャンプを受けた役人達は、魔力の覚醒により、あらゆるスペックが高くなり、この役人が自分の受け持った土地で魔法教育を始め、鼠算的に魔法使いが増加している。

 

国旗は金色の太陽とハヤブサの横顔に変更され、国号も「エジプト王国」と改められた。

 

ラムセス二世の所有する要塞の生産プラントで、魔法物質や魔導具の生産も盛んに行われるようになり、そう言ったものの輸出で膨大な資金を得て、GDPは南アフリカを超えてアフリカ大陸のトップに。

 

ナイル川は飲めるくらいの清流になり、水を生む魔導具の配布で居住地の増加、浄化の魔法などの普及により、衛生面も整備されて、公共事業で経済も活性化。

 

イスラム教の軛がなくなり、大規模な畜産や酒造がスタート、街も拡張され、出生率も更に増加。

 

魔法目当ての観光客が溢れて外貨もゲット。

 

ソマリアの海賊や、国境を越えようとするテロ組織は、常にエジプト領空を飛行するピラミッドの魔法ビームで蒸発させられるので、治安も安心安全。

 

今後の予定は魔法大学の設立だそうだ。

 

その為に、子供達には英才教育が施されている。

 

恐らくは、あと十年もすれば、エジプトは完全に魔法使いの国になるだろうと俺は思った。

 

 

 

まあ、何だ。

 

つまりは、競合する組織がエジプトしかいないんで、魔法物質と魔導具の販売はブルーオーシャンな訳だ。

 

だからどんなに強気な値段設定でもいい訳だな。

 

いやこれ売れないでしょ(笑)みたいな値段でも売れるんだよなあ。

 

つまり、俺が何を言いたいかと言うと。

 

「客多っ!!!」

 

支店を出したはずなのに、客足が遠のかない……、ってことかな。

 




あー、筆が乗らない。

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