ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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エジプト人に土下座する準備はバッチリですわよ。

すんませんでしたー!!!


67話 エジプト旅行

さて、諸君は、徐々に奇妙な冒険という、少年ジュンプの漫画をご存知だろうか?

 

あれの第3部では、悪の吸血鬼DUOを追って、主人公達がエジプトに行くんだよ。

 

だが、エジプトでは、薄汚れた乞食のガキが「バクシーシ」……恵んでくれ、と大量に群がってきて、主人公達が辟易とするシーンがある。

 

俺は確かに、漫画を読んで、エジプトの情勢や歴史について軽く調べたりした上で、「コミック特有の誇張表現じゃあないのォ〜?」と思っていた。

 

だが、実際に、こうしてエジプトに行ってみると。

 

『恵んで!』『日本人、恵んでくれ!』『ペン買わないか?75ギニーだ!』『写真撮ってやる!50ギニーだ!』『恵んで!』『子供がいるんだ、恵んでくれ!』『誰だ?!足を踏んだやつは!』『恵んでくれ!』

 

「あー……」

 

コミックもあながち間違っていないことが分かる。

 

俺は、魔法で斥力を発生させて、群がる物乞いを押し出して、街の中に入る。

 

ここはカイロ、エジプトの街だ。

 

 

 

さて、まずは芸術品だ、芸術品を見せろ。

 

俺はカイロの博物館に行く。

 

もちろん、怪しげな私服警官もバリバリついてきているがスルー。

 

「うーん?まあ、五割か」

 

魔道具の割合が。

 

片っ端から起動させて、データを掻っ攫う。

 

ほうほう、この形式は古代人の遺跡でよく見るタイプだな。

 

慌てふためく私服警官を横目に、ラムセス二世のミイラを見に行く。

 

「ん?」

 

ミイラを包んでいる布に何か書いてあるな。

 

ええと……?

 

『我と妻のネフェルタリを蘇らせよ。さすれば、100デベンのオリハルコンを授けよう』

 

「……え?マジで?!」

 

えーと、1デベンは約90グラムだから、9kgくらいのオリハルコンは……、大体、亜人国家での値段は九百億ドグラマ……、九百億ドグラマ?!!!

 

たかが蘇生で九百億ドグラマ?!!!!

 

ほぼ欠けてない死体の寿命による死亡の蘇生と若返りなんて、一億ドグラマで十分だ。

 

ネフェルタリは死体のミイラが二割くらいしかないが、それでも五億ドグラマもあればいける。

 

死体なしでと言うなら百億ドグラマは覚悟しなきゃならないが、死体ありなら、蘇生に必要なコストはガクンと減る。

 

流石はファラオだ、気前の良さが違うな……。

 

じゃあ、折角だし、蘇生するか。

 

オリハルコンはいくらあっても困らないからな。

 

「『リザレクション』」

 

『ん……』

 

ラムセス二世。身長は俺と同じくらい、年齢は18歳程に調整、赤い髪、赤い瞳、赤銅色の肌。鋭利な見た目の色男だ。

 

『あ……』

 

ネフェルタリ王妃。身長は150cm以下、年齢は18歳程に調整、黒の長髪、金色の瞳、赤銅色の肌、優しげな美女だ。

 

ファラオは、自分を覆う強化ガラスを魔法でぶち破り、出てきた。

 

そして、すぐ隣のネフェルタリ王妃のいる強化ガラスを吹っ飛ばし、ネフェルタリ王妃と抱き合ってキスをした。

 

『我が愛しのネフェルタリよ、再び会えるとは、なんと嬉しいことだろうか!』

 

『ああ、あなた……!』

 

ふーむ、裸の美男美女が抱き合うシーンとか、売れそうだな。もちろん、モザイク処理してあるが。

 

ああ、撮影してるぞ。

 

二、三分抱き合っていた二人をなるべく見ないようにして、跪いて待つ。

 

そして、偉大なるファラオからのお言葉を賜る。

 

『面を上げよ』

 

俺は、古代エジプト語は流石に分からんから、失礼して翻訳魔法を使って話しかける。

 

「はっ」

 

『我は、ウセルマアトラー・セテプエンラー……、ラムセス二世である。貴様が我をドゥアトより呼び戻した魔導師か』

 

ドゥアト、冥界のことだな。

 

「はい」

 

『ふむ……?そなたは、我が国の者ではないな?ヒッタイトか?』

 

「いえ、ここよりもずっと東にある、日本から来ました」

 

『ニホン……、知らぬ国だ。まあ良い、大義であった。早速、褒美を与える』

 

おお、空間魔法を使えるのか。

 

オリハルコン9kg、確かにもらったぞ。

 

契約完了だ。

 

『それで……、今は我が死してから、何十年経った?』

 

ふむ……、契約は終わったが、まあ、めちゃくちゃ余分に対価をもらってるしな。

 

暫くは付き合ってみるか。

 

一週間くらい。

 

「ファラオよ、言い難いのですが、今は御身が身罷った時から三千二百年の時が過ぎております」

 

『何と……』

 

ラムセス二世は驚いている。

 

まあ、普通の反応だな。

 

『では、もう一つ教えてくれぬか。……エジプトは、いつまで残っていた?』

 

ほう。

 

凄えな、この人は。

 

永遠に続く国などないと理解した上で、いつまでエジプトが続いていたのか聞いてるのか。

 

「御身が身罷られてから、およそ九百年ほどは。それから、二千三百年程他国に支配され、七十年ほど前に主権を取り戻しました」

 

『ふむ……、成る程。では、今のファラオに会いたいのだが』

 

「今はファラオという文化が残っておりません。元首は大統領と呼ばれる政治家で、今のエジプトにおきましては、軍事政権の独裁でございますな」

 

ラムセス二世は、顎に手をやり考え込む。

 

『三千二百年も過ぎると、世界はまるきり変わるものだな。魔導師よ、対価は支払う。だから、我らに、今の世の中というものを教えてはくれぬか?』

 

ふむ。

 

「ええ、構いませんよ。少なくとも十日程はこのエジプトに滞在する予定でしたから、教えられることは全てお教え致します。それと、対価については、既に大量のオリハルコンをいただきましたので、暫くは御身に尽くさせていただきたいと思います」

 

『ふはは、無欲な奴だな!では、早速街に出るぞ、案内せよ』

 

「はっ」

 

まあ、わりかし良さそうな人だし、ちょっとくらい仕えても良いかなー。

 

「その前に、お召し物をご用意致します」

 

『む、そうだな』

 

ヒエログリフは読み書きできるので、ヒエログリフで服の着方を紙に書いて、服と共に渡す。

 

ファラオには黒のジャケットを、王妃には黒のワンピースを。

 

『ふむ、今の服装とは洗礼されているのだな。恐らくは、他の国の文化の影響だろうな』

 

流石はファラオ、聡明だ。

 

そして、ファラオと王妃が着替え終わり、博物館の外に出ると。

 

『『『『止まれ!!!!』』』』

 

軍隊の到着だ。

 

『む……、どう言うことだ、魔導師よ』

 

「恐れながら、ファラオにご説明しますと、今のエジプトには魔法が失伝しているのでございます。偉大なるファラオの復活を理解し得ない兵士達が、武器をこちらに向けているのです」

 

『何とも無知蒙昧なことか!』

 

ファラオは、怒りを露わにした。

 

そして、魔法を唱える。

 

『「我が言葉を翻訳せよ!」』

 

うっわ!金言魔法だ!凄えな、めちゃくちゃ使いづらいのに!

 

金言魔法ってのは、呪文や魔法陣を使わずに、思考と言葉で魔法を制御する、最も原始魔法に近い魔法だ。

 

極めて高い集中力がなければ扱えない。

 

めちゃくちゃ難しい魔法だ。まあ、俺も使えるけど、制御が難しいから使おうとは思わない。

 

そして、翻訳魔法を使ったファラオは、軍隊に呼びかける。

 

『我は、ウセルマアトラー・セテプエンラー……、ラムセス二世である!!!この魔導師により、妻と共にドゥアトより呼び戻されしファラオである!』

 

ぽかんとする軍隊。

 

『「控えよ!」』

 

全員が、金言魔法により、跪かせられた。

 

『行くぞ、今のエジプトを見て回る』

 

「はっ、仰せのままに」

 




ストック

メガテン:10

人外転生:4

核崩壊世界超能力もの:8

スペースオペラ:5

ダンジョンポストアポカリプス:5

帰還勇者:15くらい

クラフターファンタジー転生:4

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