ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ハエトリグモ君かわええなあ。


65話 赤い竜

『こうしましょう。わたくし、エリザベート二世からの正式な依頼です。それは……』

 

ふむ……。

 

バッキンガム宮殿にて。

 

俺は、尊い血の御方より、依頼を受けた。

 

 

 

その日、クリスマスを除き毎日開いている大英博物館は、関係者以外立ち入り禁止とされた。

 

女王陛下からの依頼とは、大英博物館にある魔導具の精査であった。

 

女王陛下を始め、王室の方々が数人、考古学者と護衛が数十人、それに大英博物館の職員が数人。

 

全員が俺についてきて、説明を求めてきた。

 

『まずは、このロゼッタストーン。これは、単なるUSBだ。データを漁ったが、中にあるのは簡単な気象操作の魔法式だった。何でここに持ってきたんだ?神殿にちゃんと置いておけば、術式は今も継続して発動していたかもしれないのに』

 

『ポートランドの壺。これはつまらない。単に、魔力を注ぐと水に変換するだけのコンバータだな。習作なんだろう』

 

『アッシリア王のライオン狩りのレリーフ。だからこれも単なるUSBだって。本当に、何でここに持ってきたんだ?神殿に置いておけば、身体強化の術式をかけるようになっていたはずなんだがな』

 

ひょっとしてイギリス人はアホなのだろうか?

 

本体である神殿を放置して、情報記録媒体である彫刻やらレリーフやらを持ってくるとは。

 

『この彫刻はゴーレムだな。単なる労働用の下級ゴーレムだ。どうせならもっと良いのを持ってこれば良いものを』

 

『この仮面はパワードスーツだ。ほら、魔力を流すと石の鎧が形成されただろ?』

 

『この剣はレーザーブレードなんだが……、何で鞘を持ってこなかったんだ?鞘が充電器になってると思うんだが』

 

色々と見て回ったが、やはりイギリス人はアホだ。

 

魔導具の価値が分かっていない。

 

 

 

精査は六時間、休憩を挟みつつも行われた。

 

終わったので、女王陛下のお誘いにより、ディナーを共にして、王室の方々に魔法を教え、帰る。

 

おっと、その前に、女王陛下に謁見したのであれば、ギフトを贈ることが基本だな。

 

何を渡そうか。

 

ふむ、イギリスか。

 

『さて、名残惜しいのですが、お別れの時間です、ユアマジェスティ。最後に、私から贈り物があります』

 

『まあ、嬉しいわ』

 

『仄聞するところによりますと、動物がお好きだとか』

 

『ええ、わたくしは動物が好きで、動物園に新しい動物が来たら、必ず見に行くのです』

 

となると、こんなものはどうだ?

 

『成る程、では、窓の外をご覧下さい』

 

『はい、ええ?』

 

デモンズネストでほんの二十メートル程の体躯のレッドドラゴンを生命創造装置で作って調整して、持ってくる。

 

『まあ!』

 

宮殿の外周の石畳の上に、赤い龍が降り立った。

 

『レッドドラゴンでございます、ユアマジェスティ。貴国の王室の方々の言うことを聞くように躾けてあります』

 

女王陛下はとても驚いていらっしゃる。

 

『こんなに大きいと、お世話が大変そうだわ』

 

『恐れながら、ユアマジェスティ。ドラゴンであります。百獣の王がライオンならば、万魔の王はドラゴンであります。モンスターの王たるドラゴンでありますれば、飢えず、老いず、衰えないものです』

 

『まあ!凄いわ!』

 

『詳しいお話は本人にお尋ね下さい』

 

『ええ?ドラゴンは喋れるのかしら?』

 

『ドラゴンでありますれば、人よりも賢く、どんな乗り物より速く、どんな要塞よりも堅牢で、どんな火器よりも強い……。ドラゴンとは、モンスターの王なのですから』

 

だがまあ、魔法は教えられないだろうが。

 

モンスターの使う原始魔法と人間が使う魔法は別物だからな。

 

 

 

さて、そろそろ帰るか。

 

女王陛下に礼をして、夕暮れ空のロンドンの街に溶けるように消えた俺……、などと詩的に表現をすれば聞こえは良いが、実際には私服警官がぞろぞろと付いてきている。

 

街は、警戒態勢が解除されてすぐだと言うのに、商魂たくましい中小の飲食店などは営業を再開していた。

 

折角なので、そこで、不味いと噂のイギリス料理を楽しむ。

 

「うわー!マジで不味い!調理しない方がまだマシってレベルだ!」

 

まあ、不味くても食えない訳じゃない。

 

サバイバル逃亡生活をしていた頃と比べればマシだな。

 

政府の発表では、明日に、今日の警戒態勢の解除の理由を報道するらしい。

 

その為、政府の広報担当は徹夜で仕事だそうだ。

 

まあ、頑張れ。

 

俺には関係ない。

 

俺は晩酌を楽しんだ後に、適当なB&Bを探す。

 

しかし、私服警官により案内され、高級ホテルの一室に泊まることに。

 

まあ、構わない。

 

高級ホテルのスイートルーム、キングサイズのベッドに、ズボンだけで寝る。

 

俺は、寝るときにはズボンだけで寝ているな。

 

アメリカンなスタイルだ。

 

そして、次の日の朝、シャワーを浴びてから、ホテルのバイキングで適当なハムとチーズ、エッグマフィン、そしてフルーツを食べて、そこそこ満腹になると、チェックアウトして、街の観光に出かける……。

 

しかし、ロンドンの住民達は、今日の午前十時の、政府の発表を見るために、午前は休みにしており、店はどこも開いていない。

 

まあ、そりゃそうか。

 

ロンドンをほぼ丸ごと封鎖して、対テロ用の特殊部隊が街中に展開していたのだから、ロンドンの住民はそれについての話を聞く権利がある。

 

と言うよりも、割と平和なロンドンの街で、警察隊がライフルを発砲して、東のタワーブリッジから女王陛下のバッキンガム宮殿まで大混乱をまき散らしたからな。

 

どうなったか知りたいと思うのが、普通の人間の反応だろう。

 

まあ、俺は一ミリも悪いことをしたとは思っていないのだが。

 

ロンドンは割と平和……、まあ、異世界の人間の国の治安は、表向きにはギリ南米、路地裏はホンジュラスって感じか?そんな異世界と比べればロンドンは平和だよ。

 

普通に盗賊とか出るからな、異世界は。

 

亜人国家?日本より治安良いよ。でも、喧嘩が法律上許されてるから、酒場で唐突にフリーファイトが始まったり、街の広い大通りでストリートファイトが始まったりもする。でも、痴漢や盗難とかは普通に捕まる。基準が謎。

 

 

 

さて……。

 

そろそろ十時だな。

 

ロンドンのデジタルサイネージ、家電量販店のテレビ、うらぶれたパブのオンボロテレビ……、果ては海外のメディアまで、ありとあらゆる人々が、ロンドンの公式発表を見守っている。

 

『英国市民の皆様、御機嫌よう。先日の、ロンドンでの騒ぎについて、政府からの公式発表です』

 

イギリスで人気のニュースキャスターの美女が、やたらと白い歯を見せ、笑顔で台本を読む。

 

『先日の警戒態勢については、スコットランドヤードの誤解によるもので、今はもう全く危険はありません』

 

騒つくロンドンの市民。

 

ニュースキャスターは言葉を続ける。

 

『二日前、このロンドンに、今世界を賑わせる魔法使い、レイジ・ヨロイ氏が来訪し、大英博物館の展示物を魔法的に解析しました』

 

うん、そうだね。

 

『その結果、大英博物館の展示物の中に、魔法的に価値のあるものがいくつか発見され、それらの展示品が魔法的な反応を示しました。魔法的な反応により、展示物は形を変え、あるいは動きだし……、それを器物破損だと誤解したスコットランドヤードが、Mr.ヨロイを逮捕しようとしたことが、今回の混乱の原因です』

 

ふむ。

 

『Mr.ヨロイは、魔法によってスコットランドヤードの追跡を逃れたので、政府は警戒態勢を敷きました。しかし、最終的には、Mr.ヨロイと交渉をして、誤解を解きました』

 

そうか、そう言う風に話をぼかすか。

 

『また、その交渉の場には、女王陛下も立会い、Mr.ヨロイと友好的に問題を解決できました。そして、Mr.ヨロイは、女王陛下に贈り物として……、え?ちょっと、これ……?!』

 

『そのまま読んで!』

 

『え、ええ、はい、ええと、贈り物として、二十メートルほどの赤いドラゴンを譲渡したそう、です。ええと……、ドラゴンは、現在、ベン・ネビス山の頂上にいて……、ロンドン動物園に、来月移されるそう、です……』

 

騒つくロンドン市民。

 

中には叫んだり、山に行こうとしたりする人が。

 

テレビには、ヘリコプターから中継されるドラゴンの様子が見られる。

 

『こ、こ、こちら、レ、レポーターになりましゅ!こ、今回は、そ、その、ド、ドラゴンに、インタビューを、しろと、言われまして』

 

所変わって、ベン・ネビス山。

 

震えるカメラマンとレポーターが、大きな集音マイクを持って、ドラゴンに近寄る。

 

『Mr.ド、ドラゴン?な、名前は?』

 

ドラゴンは、地の果てから響くような低い声で答える。

 

『……我ハ、ドレイグ・ゴッホ、ト名ヲツケラレタ……』

 

『ウェールズの、赤い、龍……!で、では、一日の食事量は?』

 

『……ドラゴンハ、飢エヌ……』

 

『何も食べずとも生きていられる?!では、性別は?』

 

『……雄デアル……』

 

レポートが震えながらインタビューをした。

 

そして、五分ほどのインタビューが終わると。

 

『『『『おおおおおお!!!!』』』』

 

歓声が上がった。

 

『ベン・ネビス山だな?!すぐ行こう!もしもし部長?!俺、仕事休みます!登山に行くんで!!』

 

『店を閉めろ!仕事はやめだ!ベン・ネビス山に行くぞ!』

 

『よし!一週間休み!ベン・ネビス山に急げ!』

 

ロンドン市民は、仕事を放り出して、山へ。

 

まあ、とりあえず……。

 

「どうでも良いけど、フォートナム&メイソンと大英図書館は開いてるんだよな?」

 

俺は、誰に対してかは分からないが、呟いた。

 




ちょっっっと聞いてくださいよぉ〜、今メガテンものss書いてるんですけど、これやったらおもろいなー、みたいなネタありませんか?

基準世界はデビルサマナー的な世界線で、超高額な異界のアイテムの売買で大金が動くデビルサマナー界隈で、異界のアイテムを作れる方法を確立した主人公が「マーケットをぶっ壊す!」する話なんですけど。

そのついでに、日に日に高まるゲートパワーと、定期的に起きる世界終了未遂事件を知った主人公が、プレッパーズになって、終末への備えを始める感じのお話。

単純な戦闘役には、普通にシヴァとかモトとかサマエルとかやべーやつの分霊を使う主人公君ですが、卑劣な小技を使う方が得意で、都市伝説系、妖怪系の、一芸特化型の悪魔を上手く使って殺しにかかる、とか。

例えば、ひだる神って妖怪がいるんですけど、このひだる神に触れられると、飢餓状態になって倒れます。件は不幸な未来を言い当てます。都市伝説の怪人アンサーは、9個の質問になんでも答えてくれます。カシマレイコや口裂け女は特定の呪文を唱えないとほぼ確実に殺されますし、猿夢やきさらぎ駅は対処法なしで無防備な夢の中や出られない異世界に閉じ込めるなどができますよね。

……強くね?

そして、みんな大嫌いな邪教、メシア教が暴れまくって、偽四文字や、シャダイ、ツェバト、エロヒムなどを呼び出し、ルシファーも独自に動き、天使はクソ。そんな愉快な世界で「そうだ、いっそのこと全人類をデビルサマナーにして自衛させよう!(提案)」とか言い始める主人公。

部下を魔人に改造したりして、レベルガン上げした主人公が死ぬ程嫌そうな顔しながら世界を救う物語になると思います。

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