ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ケツに火がついた。


59話 支援開始

静岡で大地震。

 

まず、ネットに繋がったハンディカメラを用意。

 

どうやってネットに繋げているかというと、空間魔法で常にうちの有線LANに繋がるゲートを側に出すという力技で解決している。

 

そして、撮影メイドを呼び出して、緊急生放送開始。

 

「はーい、レイレイでーす」

 

手を振る。

 

『無事かレイレイ』

 

『生きてた!』

 

『大丈夫ですか?』

 

コメントをスルーして言う。

 

「今、俺は静岡に来ています。津波は邪魔だったんで吹っ飛ばしましたが、建物は倒壊し、インフラやライフラインは完全に停止してます」

 

街を撮る。

 

『酷え』

 

『最悪だ』

 

『撮ってる場合かよ』

 

「今回は、ユウチューバーとして、色々とやらせてもらいます。他のユウチューバーも、不謹慎な奴ならここに来て取材をするでしょうし、それなりにまともな奴なら募金したりするんでしょう」

 

最近は、新しい魔法の開発で、ある程度編集できるようになった。

 

人や声にモザイク処理をかけるくらいなら簡単だ。

 

生放送であってもだ。

 

要は、カメラに向かってくる光と音を歪ませるだけのことだから、容易い。

 

『レイレイはどうするんだ』

 

「俺は、被災地の人を撮影するつもりはないです。被災者の声も姿もモザイクをかけます。ですが、募金もしません。クズ共に中抜きされるのがオチだから。では何をやるのか?」

 

俺は手を叩いて言う。

 

「まあ、見てて下さいよ。ユウチューバーとして活動しますから」

 

自衛隊は……、道路が塞がっているから、来るのにはまだ時間がかかりそうだ。

 

割と優秀だし、数日後には来るだろうな。

 

それまでに、俺がちょっと動いてみるか。

 

「えー、まず、災害救助ですが……、やりません。できますけど。でも、それは自衛隊の仕事だし、俺が手を出して、どうして助けられなかったのかとか文句を言われたらやる気ゲージがマイナスになるので」

 

『そりゃそうだ』

 

『まあ、一応民間人だしなあ。民間人が災害救助に手出ししたりしちゃいかんわな』

 

『じゃあ何やんの?』

 

「取り敢えず、避難所にメイド部隊を派遣しました。メイド部隊が何をやるのかと言うと、こうです」

 

俺は、避難所の下田市民体育館に入る。

 

中は、地獄のような熱気が篭るサウナ状態だった。

 

しかし、体育館の外は直射日光で死ねる。

 

「『アイスジェネレータ』」

 

体育館の中空に、氷の太陽を生み出す。

 

氷の太陽は、注ぎ込んだ魔力の分だけ、冷気を振りまくという魔法だ。

 

本来はトラップなんかに使う術式だが、こんな風な使い方もある。

 

「あ……、すげー、涼しい!」

 

「本当だ!ひんやりする!」

 

「あー」

 

避難所の人々が驚いている。

 

『魔法の有効活用だ』

 

『凄え』

 

『気温くらいなら支配できるのか』

 

「……と、まあ、このように、冷気を振りまく魔法の氷を体育館に設置します。次、メイド部隊、行動開始」

 

「「「「了解致しました」」」」

 

メイド部隊が、タオルとミネラルウォーター、そして塩タブレットを配り歩く。

 

「因みにこのタオルと水とタブレット、魔法で増やしたものなんですけど、食品衛生法的にどうなのかはグレーだと思います。文句言われたら俺は逃げます」

 

『いや、やっちゃっていいと思う』

 

『非常事態だしなあ』

 

『食品衛生法的にOKなものをコピーしたならOKなのでは?』

 

「あ、それと、外に仮設トイレとシャワールーム、洗面台を用意します」

 

俺は指パッチンで建物を生やす。

 

うーん、やっぱり物質創造と無限水源、物質消滅の術式の並列ともなると割と高度で、俺も制御に指を弾くアクションが欲しくなってくるな。

 

『は?』

 

『なんやそれ』

 

『はぁ?』

 

「えー、これは俺が旅の最中に作った、仮設水場創造魔法、『クリエイト・バスルーム:ヒューマンエディション』です。中を紹介しましょう」

 

中に入る。

 

「ここは洗面台ですね。水を作る魔法でいくらでも水が出せます。中に加熱する魔法もあるのでお湯も出ます。あとは普通に鏡。ここを開くと無限に歯ブラシと歯磨き粉とマグカップ、カミソリと髭剃り石鹸、化粧水が出てきます」

 

『軽々しく無限って単語が出てくるけど、無限に物が出てくるって普通にやべーんだよなあ』

 

『排水とかゴミは?』

 

「排水は、物質を消滅させる魔法がかかった下水管に送り込まれて、完全に消滅します。ここの小さいゴミ箱も、物質を完全に消滅させる術式がかかっていますね。ああ、生命体は消滅しないように調節してあるので安全です」

 

『え、あの、その、核廃棄物とかも消せますか?』

 

「余裕ですが?」

 

『やべえよ、やべえよ……』

 

「えー、こちらも同じく、水とお湯が出るシャワーのユニットバスですね。シャンプーとリンス、ボディーソープは無限に出ます。申し訳程度の洗顔クリームもあります。あとトイレ。トイレはおむつと生理用品が無限に出ます。タンポンとナプキン。うちの嫁はみんなタンポン派です」

 

『サラッと下ネタ』

 

『急な下ネタやめろや』

 

「因みに化粧品関係はイルルが作った奴なので、俺は詳しくは知りません。でもなんか良いやつらしいですよ?ああ、それと、人が出て行けば、清掃の魔法が発動して綺麗に保たれます。こんなもんですかね」

 

と、軽く紹介を終えて。

 

次に行こうか。

 

メイド部隊はタオルと水とタブレットを配り終わったらしいので、仕事の追加。

 

避難民五百人程に対して、メイド部隊は五十人ほど呼んである。

 

「避難民の治療だ、行け」

 

「「「「了解致しました」」」」

 

このメイド部隊はメイド補給部隊から引っ張ってきた。

 

回復魔法はそれなりに使える。

 

熱中症で倒れた人や、落ちてきた家財などにぶつかって血を流している人、もうめんどくさいからなんか障害や持病がある人まで、片っ端から治していく。

 

健康なら医者が要らないと言う理論だ。

 

喜びの声を上げる避難民達をスルーして、次の作業。

 

「魔法式の電熱コンロと鍋、シンク、ウォーターサーバーを設置します。哺乳瓶と粉ミルク、洗剤とスポンジ、それにマグカップとティーパック一式を置いておきます」

 

「あ、あの、これは、使っても良いんですか?赤ちゃんがミルクを飲みたいみたいで……」

 

「ええ、どうぞ?」

 

このように、赤ん坊への対処も忘れない。

 

『魔法最高!』

 

『良いぞもっとやれ』

 

『多分本人は再生数のことしか考えてないんだろうけど、避難民からすればありがたいんだよなあ』

 

「それと魔法式バッテリーを配ります。まあ、携帯の充電でもすれば良いんじゃないですか?充電器も一通り持ってきました」

 

魔法式バッテリーの配布。

 

「最後に炊き出しをします」

 

メイド補給部隊は炊き出しもできる。

 

魔法で増やした日本の食材を、縮尺がバグってる巨大な調理器具で一斉に調理して、おにぎりと、だし巻き卵、鳥の唐揚げ、温野菜の簡単な弁当を配布。

 

無限にハウゲンダッツのバニラ、チョコ、ストロベリー、抹茶、クッキーアンドクリームが生成される冷凍庫も設置。

 

「美味しい!」

 

「ありがとうございます!」

 

「凄い……」

 

人々の感謝の声をスルーして、最後に。

 

「布団とタオルケットも配ります」

 

色々と必要そうなものを配る。

 

「因みにこれ、静岡の全域で、嫁とメイドと協力してやってます」

 

全ての避難所で同じことをやってます。

 

「さて、どうでしたか?これが俺の再生数稼ぎです」

 

『素晴らしい!』

 

『魔法使いにしかできない支援……、イエスだね!』

 

『こーれは勲章の一つでももらわんといけませんねえ』

 

さて、こんな感じで、自衛隊が到着するまで、子供に魔法を教えたりして暇を潰した。

 




もう十月なのに暑いなー。

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