ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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土井中村の人々の方言がおかしい!なるほど、よく分かります!だって俺、北海道の田舎町なんて行ったことねーもん!

とにかく、ジジババは訛ってるとだけ認識しておいてください!




56話 国連と勇者 後編

国連の総会にて。

 

俺は、事務総長の許可を得ずに、発言した。

 

『俺には、しっかりと領地があるぞ』

 

と。

 

念話の魔法で指示を出し、デモンズネストのステルスを解かせる。

 

すると、三分もしないうちに、ペンタゴン……、アメリカ国防総省が、監視衛星に、太平洋上空の空飛ぶ島を捉えたと通告があった。

 

議事堂のプロジェクターに、俺のデモンズネストの衛星写真が映される。

 

『……成る程、国土がある、と』

 

アメリカ代表の国連議員は、少し考えてから、言った。

 

『事情が変わりました。これは最早、外交の話です。国土もある、主権も国民もある。となれば、独立国と言っていいでしょう』

 

アメリカ代表は、そう言いつつ、新たな独立国の誕生ですねと言い放った。

 

『異議あり!例え、領土、主権、国民があろうとも、我が国はここを国として承認しない!従って、ここは国ではない!』

 

中国代表が怒鳴った。

 

『我々も反対だ。この国を承認できない。空を飛ぶ島を領土とは言えない』

 

ロシア代表も反対する。

 

『しかし、無主地先占というものがありますから、島の所有を主張するMr.ヨロイのものであることは確かで、そうでなくても、日本の土地と言えるかもしれません』

 

アメリカ代表がしれっと言った。

 

無主地先占とは、新たに切り開いたり見つけたりした土地は、最初に占有した国のものだということだな。

 

まあ、明文化された法律じゃないんだが。

 

『ふざけるな!無主地先占など国際的に認められていない!』

 

『それならば、我々ロシアがあの島を占有すれば、ロシアの領土になるという認識になるが?そんなことはおかしいだろう』

 

中国とロシアが言った。

 

『ウイグルとチベットは?北方領土は?』

 

俺が聞いてみた。

 

『……ウイグルもチベットも、最初から中国の領土だ』

 

『………………』

 

うーん。

 

そこで黙るのかよ。

 

『魔法の次は領地が欲しいのか。欲張ると碌なことにならないと思うぞ?欲壑难填……、翻訳すれば、欲の谷は埋まらないってところか?』

 

『貴様……!!』

 

『構わねえよ。あの島を占有できるもんならやってみろ!できるもんならな!』

 

そして、デモンズネストはステルスを再起動。

 

再び姿を消す。

 

『さて、ありとあらゆる観測手段に捉われず、航空機が侵入できないバリアを張ってある空飛ぶ島に、誰が上陸できるのか?是非試して欲しいところだな』

 

 

 

国連の総会は続く。

 

あくまでも魔法の国際管理を狙う中国とロシア、どちらかと言えば国際管理に賛成のフランスとイギリス。自由意志の尊重などの観点から反対するアメリカ。

 

一見、アメリカが味方のように見えるが、アメリカはあくまでも、「俺を擁護した」という点数稼ぎがしたいだけで、国際管理になったとしても、利益は得られるから構わないと思っているようだな。

 

まあ、国連なんて、アメリカと日本の金で動いているが、実態は二次大戦の戦勝国がつるんでいるだけの悪の組織みたいなもんだからな。

 

いや、勝てば官軍だし、案外正義の味方か?

 

何にせよ、日本人である俺を尊重しようなどという考えはないだろう。

 

ジャップ野郎から魔法を取り上げろが今後の標語になるかもな。

 

敗戦国の日本は悪者、悪者だから何をやってもいい。

 

国家ぐるみのいじめをしようってことだな。

 

どの道、日本は苦境だ。

 

俺を渡しても渡さなくても、国際的な非難は避けられない。

 

渡せば、「邦人守ってねーじゃん」と後ろ指を指され、渡さなければ、「テロ擁護だ」と面と向かって言われる。

 

日本の代表は今にもぶっ倒れそうなくらいに顔を青くしていて笑えるな。

 

にしても……、一つ聞いておきたいんだが。

 

『国連軍を派遣すると脅したいようだが、そもそも、国連軍なんてねえだろ?』

 

国連憲章第7章はどうした?

 

まさか、中卒だから、国連軍は厳密に言うと存在せず、有志による多国籍軍との違いが分からないだろうとか思われてんのかな?

 

『ぐ、そ、それは……』

 

中国代表がたじろく。

 

『大義名分をまだちゃんと作ってないもんな。流石に自国の軍隊は動かしにくいから、ありもしない国連軍を動かすとボカして、取り敢えず圧力だけかけとこう、ってところか?どう?当たってる?』

 

『き、き、貴様!何様のつもりだ?!その上からの目線はなんだ?!』

 

いや、俺の方が上だからな?

 

『俺は腹芸はできるがやるつもりはないぞ?まあ、俺はいつ、魔法は中国のものだったとか、日本は中国の領土だった、みたいな歴史文献がでっち上げられるのだろうかとワクワクしてるんだがな』

 

『ぶ、侮辱だ!ふざけるな!』

 

怒鳴り散らす中国代表。

 

『レイジ・ヨロイ氏は挑発行為を直ちにやめて下さい!』

 

事務総長がまたもやなんか言ってる。

 

『挑発?俺は思ったことをそのまま言うだけだ。挑発されたと思うなら、最初からそちら側に何か問題があるんじゃないのか?例えば、図星を突かれてイライラした、とかな』

 

『貴様ぁ!!!』

 

まあ、国際社会やら、政治の世界ではあり得ないことだよな。

 

政治ってのは片手に握ったナイフを背中に隠しながら、もう片方の手で笑顔で握手をするような世界だ。

 

俺のように、出会い頭にマシンガンを放ってくるやつはまずいない。

 

本音の方が大事だよ!なんて綺麗事を言うつもりはないが、他人に愛想を振りまくのも、駆け引きも、俺はやりたくない。

 

そう言うのはいい、疲れてるんだ。

 

だから、俺は要求をストレートに伝えて、やりたくないことは拒否する。

 

『まあ、確かに少々喧嘩腰なのは認めるがね、俺は当然のことを言っているだけじゃねえか』

 

俺は言葉を続ける。

 

『アメリカは世界平和やら人権やらを謳う癖に、石油欲しさに中東に介入している』

 

アメリカ代表が苦い顔をする。

 

『中国は度重なる他民族の弾圧、そして虐殺。日本との領土問題や、行き過ぎた反日活動が目に余る』

 

中国代表が反論してくるが無視して、俺は言葉を続ける。

 

『ロシアはどうだ?北方領土は不当な占拠じゃないか?クリミア併合は?ソ連だった頃の大暴れっぷりはちゃんと歴史に残っているぞ。ソ連の負債を受け継がないくせに、実態は共産国とは何の冗談だ?』

 

ロシア代表は無表情だ。

 

『フランスは?何だあのアホみたいなデモは?暴徒じゃねえか。イギリスもそうだが、移民を受け入れてテロやられたり治安悪くなったりしてるよな?それと、カトリックとプロテスタントは喧嘩してばかりだ』

 

フランス代表とイギリス代表は、何か言いたそうな顔をした。

 

『日本もだ。何だこのブラック企業共と自殺率は。野党やら大学生崩れの活動家、暇な年寄り共は俺の民宿の前で毎日馬鹿みたいにデモをしやがる』

 

日本代表はちょっと泣いている。

 

『他の国もだ。中東は何十年も前から、宗教とか言うクソみたいな理由でドンパチしてやがる。アフリカの貧困やら教育レベルの低さは何だ?アジア諸国の人身売買やら強制結婚、臓器密売は何だ?』

 

色々な国の代表が、苦い顔をした。

 

『新人類の文明の始まりから二十万年だ。二十万年だぞ?そんな時間が過ぎたのに、お前達人間は争ってばかりだ!』

 

俺は机を叩いた。

 

『なあ、教えてくれよ。何でこの俺が、そんなクソみたいな人類に力を貸さなきゃならないんだ?何でだ?』

 

静まり返る議事堂。

 

『手に取るように分かる。お前達が魔法を手にしてどうするか。結局は、自分の国で世界の覇権を握ろうと暴れ回るだろうな。俺を国際管理してどうするんだ?魔法の秘密を探るために解剖か?人体実験か?』

 

どこからか反論の声が上がる。

 

『そ、そんな非人道的なことはしない。わ、我々はあくまで、世界平和の為に』

 

『本気でそう思っている奴はここにはいねえよ。あらかじめ言っておくが、魔法で心が読めるからな、俺は。だから言うが、ここにいる奴らは全員、どうすれば自分の国の利益に繋がるか、それしか考えてねえよ』

 

驚いている各国の代表を無視して話を続ける。

 

『なあ、マジでさ、あんまり俺を舐めないでくれねえかな?今この瞬間にも見えてるんだよ。中国の殺戮も、ロシアの諜報も、アメリカのファンタズムマテリアルの研究の様子も、日本の天下りも全部、見えてるんだよ。お前らが知られたくないことなんて、全部知ってるんだ』

 

全員が息を飲む。

 

『そ、れは、魔法とは、世界中で、今この瞬間に何が起きているのか、知覚できると……?』

 

誰かが尋ねた。

 

『ああ、その通りだ。お前らが隠したい機密なんて全部お見通しだ。全てを見た上で、お前らのような、薄汚い人間共に力を貸したくないと言っているんだよ』

 

『ば、馬鹿な!そんなことはあり得ない!我々を脅している!』

 

中国代表が吠えた。

 

ふむ。

 

「『サイコメトリー』」

 

ああ、こんな感じか。

 

『中国共産党の中部戦区は、北部戦区の北朝鮮との協調路線に危機感を抱き、北部の軍閥の幹部、梅中庭を私兵の暗殺部隊に命じて暗殺した。しかし、梅中庭の親戚の黄和が跡を継ぎ、北朝鮮の核兵器の開発に支援を続けている。中部はそれが恐ろしくてなんとかして黄和を消したいが、梅中庭を消したせいで警備が厳重。だから、今回はこの魔法使いとやらに黄和の暗殺をやらせるように脅そう。そうじゃなくても、混乱を起こせりゃ上々。いざとなれば日本鬼子のせいにして、ついでに魚釣島を奪おう。前回は中部の工作員を送って失敗したが、今回は国連軍を動かすぞと脅して……』

 

『や、や、やめろーーー!!!だ、黙れ、黙れ黙れ黙れえええ!!!デタラメだ!全部デタラメだあああ!!!』

 

ははは、面白えな。

 

 

 

『良い機会だから言っておくぞ。俺は隠居しているだけだ。邪魔をするのであれば、国がひっくり返るような機密がネット上にばら撒かれるかもな!ははははは!!!』

 




因みに、肉食系の獣人は敬語という文化がなかったり、龍人は尊大で偉そう、屍人は無口で、魔人は貴族然としているなどの特徴が。


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