ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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黒髪自称フツメン(笑)の真っ黒コートなろう系主人公(元ニート無職童貞)が吐き気がするほど嫌いなので、自作の主人公は全員ハイスペック人格破綻イケメンです。


43話 かわいそうな駐在さん

春。

 

まあ、北海道の春なんで、まだ溶けていない雪が残り、その下から青々とした草花が顔を覗かせる……、そんな感じだ。

 

そんな中、魔法を使って撮影した映画、アドベンチャーズの公開に合わせて、世界が動き出す……。

 

国内外から多数のマスコミや野次馬が土井中村に押しかけてくる。

 

土井中村へ行くための電車は、無人駅、電車は三両、一日六本、現金決済のみという田舎の極みだ。

 

その三両しかない電車に、満員電車のように詰め込まれた人々が土井中村に現れる。

 

人が増えれば諍いも増える。

 

土井中村では、外から来た人々が横柄な態度をとったり、住人に絡んだりと、小さな諍いが見られるようになった……。

 

 

 

そんなある日、俺は散歩しつつ、動画のネタを考えていた。

 

「ん?」

 

おや、あそこのベンチにいるのは、土井中村の駐在さんだな。

 

明らかに元気がなさそうだ。

 

一体どうしたんだろうか。

 

「あの」

 

「………………鎧さん」

 

「はい?」

 

「鎧さんのバカーーー!!!!」

 

なんなんだ一体。

 

「おかしい、おかしい、手取り19万で休みなし、24時間勤務……!時給換算で最低賃金を割る……!」

 

あー?

 

「助けて……、助けてください神様……、もう三日も寝てないんです……」

 

成る程?

 

駐在さんは、嫁さんと子供の三人で駐在所に住んでいる。

 

土井中村は馬鹿みたいに平和、警察官なんていらないレベルだ。

 

だから、駐在さんが一人だけで勤務している。

 

それなのに、最近は、外からやってくる連中のせいで、駐在さんは休む間もなく働いている。

 

普段はのんびりとパトロールをするくらいのものだったし、駐在さんが警察として土井中村で働いていた期間の間、事件らしい事件は起きたことがない。

 

しかし、今は、村の住人と同じくらいの数の人間が、村の外からやって来るのだ。

 

駐在さんの仕事は倍なんてものではなく、毎日休む暇もなく走り回っているそうだ。

 

マナーの悪い観光客のせいで、夜中だろうと昼間だろうと、村中を駆け回る羽目になっているらしい。

 

かわいそうに。

 

「ぼ、僕は、頑張っているのに、観光客が、観光客が」

 

泣きながら神に祈る駐在さん。

 

「あいつら、駄目だと言ったのに、公園にキャンプを張って無理矢理滞在して、その上、夜中に獣に襲われたと通報してくるんだ。だから駄目だって言ったのに。この辺は田舎だから、そこら辺に野生の獣がたくさんいるんだ。注意したのに、山に行って動物に襲われたとか通報してきたり。山に入れば、そりゃあ、素人なら酷い目に遭うに決まってるじゃないか。ああ、嫌だ、もう嫌だ」

 

うーむ。

 

流石にこれは憐れだ。

 

原因は俺だしな。

 

よし。

 

『セロメイド長、戦闘メイドの内、手すきのものを三十人くらい断続的に寄越してくれ。そいつらに、土井中村の治安維持を任せたい』

 

『了解致しました』

 

増援を呼んであげた。

 

「駐在さん、うちのメイド、三十人くらいに警邏させるんで、使ってやってください。あと、この電話機に話しかけると、うちのメイドが出るんで、指示して大丈夫です」

 

「で、でも、僕は給料とか出せないし」

 

「ロハで良いですよ。原因は俺なんだし」

 

「あ、ありがとうございます、ありがとうございます……!!」

 

「取り敢えず、今日のところは帰って寝てください」

 

 

 

かわいそうな駐在さんを駐在所まで送って、俺も見回りをする。

 

村には、そこら中に見ない顔の人間がいた。

 

そいつらは、ゴミをポイ捨てしたり、危険な山に入ろうとしたり、許可なく写真を撮ったり、列に割り込んだり、値切りを要求してきたり……。

 

歩きタバコ、トイレの使い方、道端で酒を飲むなど。

 

特に、アジア系の観光客のマナーは極めて悪い。

 

文化の違いもあるのだろうが、あまりにも酷い。

 

土井中村に来たら魔法の力が得られると思い込んだ成金が、偉そうに振舞って、住民に迷惑をかけている。

 

そう言う奴らはブラックリストにぶち込み強制退去させている。

 

そんなことをしていると、こんなことも起きる。

 

スマホが鳴って、出ると。

 

『……我々ハ、お前の家族を預かっている。家族を守りたケれば、魔法の力を全て寄越セ』

 

「ふーんあっそ好きにすりゃ良いんじゃね」

 

電話を切る。

 

こんな電話がかかってくるようになった。

 

再度着信。

 

『き、貴様、家族がどうなってもイいのか?!!』

 

「やってみろやカス。俺が余裕こいてる時点で気づけよ、対策済みなんだわ」

 

『……まずは妹を殺ス!!!』

 

切られた。

 

ん、妹に刻んでおいた防護術式が発動したな。

 

ミサイルの直撃でもビクともしない防護魔法と、大抵の毒物を無効化する魔法、害意に反応して戦うミスリルゴーレムを複数召喚する魔法を、家族全員にかけてある。

 

五分後、また着信。

 

『キ、貴様!!一体何をシタ?!!!』

 

「おっ、やっぱりしくじったか。はい雑魚ー。雑魚助ー。どうしましたかー?殺すんじゃないんですかー?」

 

『舐めてイルのか?!我々の総力を挙げれば、貴様程度簡単ニ!』

 

「んじゃさっさと総力でかかって来いよ。早く、早く、早く、早く!!!」

 

楽しみだなー、何やるんだろう。

 

『良いだろう!今、貴様の右足を狙撃スる!!!手足がなくなっても、魔法ハ使えるだろうカラな!!!後悔するなよ!!!』

 

おっ、良いねえ。

 

まずは弾丸をキャッチします。

 

そして弾丸を投げ返します。

 

狙撃手の右腕が吹っ飛びます。

 

やったね!

 

『な、何をシタ?!!!』

 

「何だと思う?俺と一緒に考えてみようか」

 

『何をしたのかと聞いテいる!!!』

 

「おいおい、俺はお前の親でも先生でもねえよ。聞けば何でも答えて貰えると思うな」

 

『チィッ!!お、覚えていろよ!!!』

 

「無理無理、これで四回目くらいだし」

 

一回目と二回目は中国共産党、三回目は中華系マフィア、今回は……。

 

「えーと、韓国の国家情報院の、キム・ヒョンス君?お前もう、殺人教唆とかで逮捕だから」

 

『な、何を……?!』

 

「まあまあ。今は渡海町の麻倉ホテル4階の408号室にいるんだろ?外見てみ?」

 

『……あ、ああ!!!』

 

あらかじめ、渡海町の警察署に通報しておいた。

 

「チェックメイト、ってね!」

 

 

 

渡海町の警察官は喜んでスパイ達を捕まえる。

 

渡海町は割と都会で、たまに窃盗なんかも起きるが、スパイを何人も捕まえたと言うのは初の成果だった。

 

警察も、言ってしまえば仕事だからな。

 

大きな功績を挙げれば、評価が上がる。

 

つまり、連続してスパイを複数人逮捕した渡海町の警察官達は、本庁からの覚えもめでたく、査定にプラスされたそうだ。

 

よかったな、ポリ公。

 




今作の帰還勇者君は黒い鎧と赤いマント。

黒髪ロング、日本人離れした顔。

肌は暗めで鋭い相貌。

見た目のモデル?ジョニーデップです。

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