ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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アジフライの季節が終わり、シャケフライの季節に。


32話 WEN 後編

英国最高のタブロイド紙、WENの記者であるミッチェルさんのインタビューを受ける。

 

ミッチェルさんは、日本人のクソマスゴミと違い、俺をトップユウチューバーという職業の人だと尊重した上で、公平な報道の為に取材したいと伝わってきたので、取材を受け入れた。

 

「では……、この世界の人間に、魔力操作を教えることが可能だと聞きましたが、それについての考えをお聞かせください」

 

「特に何も考えてないです」

 

「えっ」

 

いや、マジで何にも考えてない。

 

「この村の子供達が、自分も魔法を使ってみたいとねだってきたので、簡単かつ攻撃力のない魔法を教えました」

 

「えっ」

 

「それと、村のご老人達にも、健康維持の為に、魔力操作を教えましたね」

 

「そ、それは少々……、その、浅薄だと思うのですが」

 

「そうでしょうか?」

 

「魔法とは大きな力です。簡単に漏らして良いものなのでしょうか?」

 

「俺は別に、魔法で金を稼ごう、などとは思っていません。気に入った人に健康法を教えただけ、くらいのものだと認識しています」

 

「では、魔法的な技術の拡散には好意的だと?」

 

「どうでしょうね。まあ、仮に魔法が広まっても、あまり問題はないと思っています」

 

「と、仰いますと?」

 

「確かに、魔力は訓練すれば伸びます。しかし、一般人の魔力の量では、数年間訓練してやっと、現代兵器を凌駕できるくらいでしょう。しかし、現代兵器を凌駕する程度の戦力では、俺に傷一つつけられませんから」

 

「つまり、レイレイ氏の感覚では、一般人が魔法を使えても全く脅威はないと言うことですか……」

 

「それに、攻撃力のある魔法の術式は、控え目に教えるようにしてありますから」

 

「ふむ……。魔力操作の習熟による、身体能力と知力の上昇は、平均して三割程と聞きました。これはあまりにも大きいものです。世界中に広めれば大きな利益になります。無論、貴方はそのマージン料などの利益を得られるでしょう」

 

「いえ、俺は別に利益とかいらないんで。金は十分にありますし、ユウチューバーとしても稼いでいます。そもそも、デモンズネストは独立した要塞で、内部の生産プラントで、食料、衣服、水、エネルギーを生産でき、補給も不要で、防衛設備も整っています。娯楽品以外に金銭の使い道はないんですよ」

 

「ふ、む……。では、今後、積極的に魔力操作を教えることはない、と?」

 

「ええ。だって、メリットがないですからね」

 

「国益になるのでは?」

 

「国益って、個人が考えることでしょうかね?国益の為に個人に命令すると言うのは極めて全体主義的で、あの悪名高いヒトラー、ムッソリーニ、スターリンと変わりません。近代的な国家であると言うのであれば、個人の自由と権利を保障するべきでしょう」

 

「確かに……。いかにレイレイ氏が大きな利益に繋がる力を持っていたとしても、それを国益の為に使えと命令することは、近代国家ではあり得ないことです」

 

「その通りです。いわば、俺は、魔法という資産を、この世界の誰よりも持っている金持ちです。その資産を自発的に募金することはあっても、他者から強制的に取り上げられることは、あってはならないでしょう。日本は資本主義社会ですからね」

 

「成る程、資本主義的な観点から、魔法技術の強制徴収には断固として反対する、と」

 

「ええ、そうですね」

 

ここで一息つく。

 

「ですが、正直な話、魔力操作はあまりにも魅力的な話です。今はまだ、半信半疑の者が多いのですが、レイレイ氏が魔力操作を教えた土井中村の住民達の姿が知られれば、どこの国も挙って貴方を手に入れようと考えるでしょう。その点についてはどう思われますか?」

 

「別にどうも?」

 

「え?」

 

「逆に聞きますが、この世界の国家がどうやって俺を動かすのですか?」

 

「それは……、金銭などの利益をちらつかせて」

 

「金は十分にあります」

 

「では、暴力で」

 

「パンチ一発でビルを解体できる俺をどうやって害するのですか?」

 

「では……、貴方の家族を人質にして」

 

「家族には、悪意あるものが近付くと複数体のゴーレムが召喚され、敵対者を蹴散らすように、体内に魔法陣を刻みました」

 

「となると……、軍事的な攻撃を加えると脅すとか?」

 

「やれば良いじゃないですか。たかが軍隊程度に何ができるのか、見てみたいものです」

 

「では、レイレイ氏は、地球の軍事力が全く怖くないと?」

 

「ええ。核ミサイルくらいの火力なら、魔法で防げますし、地球上の毒物程度なら効きません。例え、眠っていようとも、常に魔力による防護膜と魔法抵抗があるので、そもそも、俺を傷付けるということはほぼ不可能です」

 

「成る程……」

 

マジで怖いものがない。

 

魔帝王との戦いの方がよっぽど怖かった。

 

魔帝王との戦いでは、魔帝王のいる巨大な空中要塞がひび割れ、吹っ飛びながらも、魔帝王と丸一日殺し合いをして、最終的に脳を破壊し、空中要塞を粉砕して、魔帝王を完全に消し飛ばしたけどな。

 

でも、魔帝王はマジで強かった。

 

俺と嫁のデモンズギア合計十三体で攻めて、やっと倒せたんだからな。

 

まさか、魔帝王も俺と同じく古代文明の解析をしていて、独自に開発した巨大デモンズギアである空中要塞と融合して暴れ回るとは、流石の俺も予想外だった。

 

「では、一般人は、魔力に目覚めるチャンスはないのですか?」

 

「さあ?土井中村の住民達はそれなりに魔力が使えるようになってきてますし、近いうちに他人の魔力に干渉するくらいはできるようになるでしょうね」

 

「と言うことは、土井中村の住民達に頼めば、魔力操作を教えていただける可能性があると?」

 

「可能性はあると思いますよ。まあ、俺も、頼まれたら教えても良いかなー、くらいには思ってますし」

 

「では、仮に、私に教えて下さいと言った場合はどうでしょうか?」

 

「はい」

 

ミッチェルさんの魔力をこね回す。

 

「おっ?!あっ、あっ、おっ?!!」

 

「ほら、制御しろ、手離すな!集中しろ!」

 

「はっ、はい、おっあっ」

 

「全身に回せ、魔力は血液だ、流体だ!血管やリンパ管、神経に魔力を流して順繰り巡らせろ!」

 

「はっ、いっ、あっあっ」

 

 

 

一時間後。

 

「んー、ミッチェルさんの魔力量はそこそこですかねー。初期の魔力量には個人差あるんでなんとも言えないんですけど、能力増加量は二割ほどですかね。土井中村の住民達はみんな三割から五割は増すんですけど、なんででしょうね?人種とか関係あるんでしょうか?」

 

俺は手元のノートにデータを書き入れる。

 

一応、魔力操作を教えた人のデータはとってある。

 

人体実験気分でやっているのは黙っておこう。

 

「はあっ、はあっ、はあっ……、す、凄い!これが魔力……!」

 

「異世界人も白人だったし……、あまり魔力は高くないのかもしれませんね。これにめげずに訓練を重ねれば、まあ、十年後には3〜5倍くらいまで能力を伸ばせますよ」

 

「く、訓練とは?」

 

「魔力を体内で回す、所謂瞑想ですかね?まあ、正味な話、魔法を覚えて使いまくるのが、訓練としては一番有効なんですが。でも、もうそろそろ夜だし、魔法を教える時間はありません」

 

「そうですか……」

 

「まあ、取材はこんなもので十分でしょう。東京駅まで送りますよ。ああ、翻訳のイアリングは差し上げます」

 

 

 

ミッチェルさん達を東京駅に送り、帰らせる。

 

ミッチェルさんは、俺に本気で感謝し、何度も頭を下げて帰って行った。

 

 

 

その10日後、WENの一面に俺の写真がデカデカと載った。




今ちょっと、主人公が起業するシーン書いたんだけど、起業関係の話全くわからん……。

主人公は、「株主にごちゃごちゃ言われたくないし魔法で商品を生み出すから出資いらねー」と合同会社を建てる感じの内容。

え?合ってますよね?合同会社なら株主に邪魔されませんよね?

そして海外での法人の設立。この辺り全然分からんので、手続きのシーン飛ばして「はい!できました!」と書いた。しゃーない、俺の頭じゃ理解できぬのだ。

あれだよね、中国で法人作ると、必ず現地人雇用しなきゃならないんだよね?

分からん、何も分からん。

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