ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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やべー。


20話 会談

関西でヤミヤミさんと突発的な特別会談。

 

「「「「かんぱーい!!!」」」」

 

兼打ち上げ。

 

カメラは回ってます。

 

「はい、と言う訳でね!テキ屋の件はヤバかったですね!でもレイレイさん達がテキ屋の闇を払ってしまいましたからね、僕は正直何もやってないです」

 

ピンクの髪をかき上げながら笑うヤミヤミさん。

 

「なんかすいませんね、企画乗っ取りしたみたいで」

 

「あ、いえいえ、大丈夫です!だって後半のあれガチヤクザでしたからね?あれ、仕込みとかじゃないです、マジで。ガチヤクザに啖呵切るレイレイさんマジやべーっすわ」

 

「まあ……、異世界ではもっと怖い奴らを相手にしてましたからね」

 

「おっ、早速出ました、異世界トーク!レイレイさん、僕はショージキね、こうして実際に会うまで、CGかなんかやと思うとりました。でも実際、マジで魔法やないですか。もうホンマにビビりました!」

 

そりゃまあ、ビビるだろうな。

 

俺も魔法を初めて見た時は驚いた。

 

「じゃあやっぱ、マジで勇者やってたんすか?」

 

「ええ、十六の頃から十年間、勇者やってました」

 

「あ、いっこ上ですか、僕は二十五です。じゃあ、何で日本に帰ってきたんですか?」

 

「あまりにも強過ぎて、現地の王侯貴族の邪魔になったので、日本に送り返されました」

 

「あー、あるあるですね!そう言う展開の漫画とかよくありますわ!」

 

「そうなんですよねえ、マジであるあるだから、みんな信じてくれないんですよ」

 

悲しいなあ。

 

「じゃあ、アレですか?魔王とか倒したんすか?」

 

「倒しました」

 

「魔王、強かったですか?」

 

「いえ?城ごと消し炭にしたのでよく分かりません」

 

「どうやって?」

 

「俺は魔王と戦う前に六年かけて魔法と古代兵器の勉強をして、二年かけて古代兵器を発掘したり開発したりしたんです」

 

「はあ」

 

「古代兵器はめちゃくちゃ強力で、それで魔王の城をビームで消し飛ばしました。だから、戦ってはいないんですよね。でも、魔王の生命反応が消えるのは確認したんで、死んだと思います」

 

「古代兵器ですか。どんなのですか?」

 

「ロボットです」

 

「ロボット?」

 

「ええ、古代兵器は巨大ロボットなんです」

 

「……はあ」

 

「まあ、信じられないとは思いますが本当ですよ。他にも空飛ぶ戦艦とか色々持ってます」

 

「なんか、アレですね、どちらかと言うとファイナルファンタズマ系の異世界なんですね」

 

そう言われてもね。

 

「でも、よく戦いましたね?普通、魔王倒せって言われて倒します?」

 

「いや、最初はもちろん断ったんですよ。でも、断るなら無一文のまま街の外に放り出すって言われたんで」

 

「は?それ、酷くないすか?!!」

 

「そうですね。勇者は別に、人類の最後の希望とかじゃないですよ。政治の道具で、政治的なポーズとして使われました」

 

「つまり?」

 

「つまりですね、勇者なんて死のうが何しようがどうでもよかったんですよ、王侯貴族達は。取り敢えず、勇者として適性があった俺を適当に誘拐して、兵隊にする。死ねば次の勇者を召喚すれば良いし、使えれば軍事的な政治のカードとして使う……。そんな感じですかね」

 

「いや……、それ、最悪ですやん!よくそんな奴らに従ってましたね?!」

 

「従ってないですよ?最初の一年で訓練するって言われたんで、王都の図書館の魔導書を全部読んで、それと並行して騎士団と訓練して、それから出奔しました」

 

「えぇ……」

 

「王都の図書館の魔導書は大体無駄だらけだったんですが、歴史だけは古いんで、封印されていた禁術の記された魔導書とかが役に立ちましたね。騎士団との訓練は、囲まれて木刀でボコボコにされるだけだったので、独力で我流の剣術を編み出して全員叩き潰しました」

 

「怖……。どうやったんですか?召喚当時は高校一年生でしたよね?」

 

「魔力量ですかね。魔力を使える人は身体能力が上がるんですよ。そして魔力の量が多いと、身体能力の伸び率も高いです」

 

「それは、強化魔法的な?」

 

「いえ?魔力に目覚めた副作用のようなものです。軽く説明すると、魔力とは、現代の科学技術では測定できないエネルギーのことで、万物に宿っています。ただ、この世界の人間の魔力は眠っているんです」

 

「眠ってると言うと?」

 

「魔力を普段から使わないから、魔力が退化したんでしょうね。異世界ではみんな大体、生まれた頃から魔力が使えます」

 

「俺、中卒なんで難しい話は分からんのですが、魔力を使わない一族は、魔力が退化するってデータ?みたいなのはあるんですか?」

 

「データではないんですが、魔力が多い人間同士の子供は更に魔力が多くなる、みたいな通説があり、実際、王侯貴族は魔力が多い者同士で婚姻するので、王侯貴族と言う血族は、平民より魔力が多いケースが多いですね」

 

「成る程……。じゃあ、魔力が使えると強くなれるんですね?」

 

「魔力の使い方を覚えれば、身体能力も知能も上がりますよ」

 

「えっ、賢くなるんですか?」

 

「なりますよ」

 

「賢くなるんだったら、異世界はみんな天才なんですか?」

 

「いえ、魔力は鍛えられるとは言え、個人差がありますし……。桶いっぱいの水を出すだけで精一杯、みたいな魔力しか持ってない人が殆どで、その程度の魔力量だと、身体能力や知力の上昇も誤差くらいです」

 

「あー、じゃあ、レイレイさんは魔力が多いんで、強化される身体能力や知力も大きいってことですね?」

 

「はい。大体、身体能力は一万倍くらい上げられますよ」

 

「覆面ライダーかな?」

 

「IQは……、子供の頃は200位でしたけど、今はウルドラマンくらいあるんじゃないですか?」

 

「いやいや、そんな馬鹿な……。ウルドラマンはIQ一万ですよ?」

 

そうだな……。

 

「なんか本持ってないですか?」

 

「本?えーと、誰か持ってる?」

 

すると、ヤミヤミさんの友達が法学部らしく、ポケット六法を持っていた。

 

俺はそれを一ページ目からパラパラと五秒でめくり、ヤミヤミさんに渡した。

 

「ヤミヤミさん、好きな数字言って下さい」

 

「え?ああ、そう言う事ですか!えーと、154ページ!」

 

「民法第百七十五条、◯◯………………」

 

ポケット六法の154ページを開くヤミヤミさん。

 

「うわ!合ってる!じゃあ312ページは?」

 

「刑法第八十四条、◯◯………………」

 

「合ってる!じゃあ、187ページの十一行目は?」

 

「よって、民法第三十三条に則り………………」

 

「合ってる!天才やないですか!」

 

「ええ、そうですよ。うちの嫁も賢いですよ、三ヶ月で日本語と文化マナー常識を覚えて文字も覚えましたし」

 

「ヤバイっすね……」

 

 

 

会談終了。

 

「じゃあ、本日はこれで。ありがとうございました!」

 

「ありがとうございました」

 

夜十時くらいに会談を終わらせ、帰宅。

 

嫁は夏祭りを満喫したと喜んでいたので良かったと思う。

 

会談も普通に終わった。

 

さて、三日後。

 

アップした動画は。

 

再生数:480769

 

おお!

 

伸びたな!

 

コメント欄。

 

『なにこれは』

 

『ヤミヤミと遭遇は草』

 

『ヤミヤミじゃん』

 

『ヤミヤミも動画上げてるぞ』

 

『今回も凄く良かったです!夏祭り、楽しめたようで良かったですね!』

 

『ヤミヤミの会談動画ある』

 

『ヤラセ乙。ヤミヤミに幾ら渡したんだ?』

 

『いや、ヤミヤミが言うならマジだろ。ヤミヤミはその辺キッチリしてるぞ』

 

ふむ……、上手くいってるな!

 




帰還勇者、これから、ハロルド・チェス大統領とか、プチロフ大統領とか出る予定なんですがこれ怒られたらどうしよう。

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