1話 強制送還
「はい前回までのあらすじィ〜。俺氏、異世界召喚からの十年間バトルアンド研究〜っと」
そんで今はー。
「「「「勇者様!鋼の勇者様!鋼鉄候レイジ・ヨロイ様!万歳!万歳!!万歳!!!」」」」
「へーい!平民共ー!魔帝王ハドロンの首、獲ったどー!!!!」
「「「「うおおおおおおおお!!!!!」」」」
何だかんだで、魔王とその上の魔帝王、倒してきました。
RPGで言えば裏ボスまでキッチリ倒してきましたってやつだ。
まあ、倒したからと言って何か貰える訳でもねーけどなー!
これが神龍様?みたいなのだったら、「倒したご褒美に何でも願いを叶えてやるよー」みたいなこと言われっかもしんねえけどよ、まあ、魔帝王倒して得られたのは禁術の記された魔導書のみ!
ケチか。
ドケチか。
まあ、そんなもんよ。
おっ、この魔導書、異世界召喚の反対の異世界帰還の術式もあるじゃん。
帰りてえけど……、今更帰ってもなあ。
欲しいものは大体何でも手に入るし、大抵のことは魔法でどうにかなるし……。
嫁も沢山いるし。
あとは隠居かな……。
いや、正直言ってやることないんだよねー。
趣味の魔法の研究くらいかな?
この世界の人間の国は、特に面白いもんないしな……。
競馬とかは何が楽しいのかイマイチわからんし、スポーツだと勇者として圧倒的な身体能力を持つ俺の方がスポーツ選手より凄いので楽しめない。
趣味って言ったら読書くらいか。それとゲームとか?
ま、この本はいらねーや。内容も暗記したし。大半は知ってる魔法だったし。
王家にくれてやろう。
はぁー、後は帰って嫁とセックスして寝ますわぁ……。
「起きて下さい、マスター」
朝、メイドホムンクルスに起こされる。
「んぁ……?まだ七時じゃん、寝せてくんね?」
「緊急事態です」
「あー……?」
緊急事態?
この機空城『デモンズネスト』にダメージを与えられる奴なんて、魔帝王も死んだ今、誰もいないと思うんだが……?
「王国の王侯貴族が、生贄を使い、勝手に異世界帰還術式を使いました。そして、このデモンズネストごと、転移させられました」
「はーん?」
すうっと息を吸い込んで。
「やりやがったなあのクソ共が!!!」
叫ぶ。
あのクソ共、いずれなんかやらかすとは思ってたが……、このタイミングでやるか。
「嫁は?」
「全員いらっしゃいます、し」
「デモンズネストは?」
「システムオールグリーン、魔導炉心稼働率正常。あの」
「ここはどこだ?」
「ホルスの目によると、小さな島国の上空です。その」
「映像出せ」
「はい、あの」
「んー、日本だなこりゃ。じゃあ、マジで帰って来たのか……。あ、ステルスは張ってるか?」
「はい、しかし」
「じゃあ早速調査に……」
「あの、待って下さいますか」
「ん?何?」
「奥様方は全員、地上へ遊びに行きました」
んー。
すうっと息を吸い込んで。
「何やってんだあのバカ共!!!!」
叫んだ。
即座に魔法で仮面を作り顔を隠す。
そして地上にダイブ!
魔力反応は……、はち、きゅー、じゅー、じゅーいち、じゅーに、全員分ある!
不味い、早く全員捕まえないと!
俺の嫁は……!
「あー、レイジ君!この国、人しかいないんだねー!」
「なんか注目されてるー?」
「ん……」
「そこら辺の人間、食って良いか?」
「ねえ、何で僕まで連れてこられたの?止めたよね?」
「うーん、この地上は空気が汚いね」
「レイジ様すみません!私は止めたのですが、みんながどうしても地上に降りたいと……!」
「私も止めようとはしたのですが……」
「私も止めようって言ったんだけどねー」
「妾はこの国の酒が飲んでみたい!レイジ、買ってくるのじゃ!」
「まあ、良いじゃない。レイジ、何とかしておいて。私は旅行に……」
「アタシはどうでも良いわ。ただ、ムカつく目をしてる人間ばっかり。殺しちゃおうかしら?」
全員人外なんだ!!!
「バーカ!お前らは……、バーカ!本当にバーカ!帰るぞ!ほら!」
「やー!レイジ君遊びに行こ!色々あるよ!面白そうな匂いする!」
「ケチー!」
「研究、したい」
「駄目だっての!この世界には人間以外いないんだよ!後で遊びに連れて行ってやるから、今のところはデモンズネストに戻れ!」
「「「「はーい」」」」
魔法で転移してパッと消える十二人の嫁。
はー、写真とか撮られたよなこれ……。
どうしよ。
取り敢えず、公衆トイレに入って着替える。
服は魔法で作った。
単なるジーパンやらシャツやら、その程度のものなら大して魔力は使わない。
複雑なもの程消費が激しい。
しかし、俺の魔力量は魔帝王並だ。
そうそうなくなることはない。
自然に使ったけど、日本でも魔法は使えるっぽいし、困ることはないだろう。
はー……。
にしても本当にどうしよ。
絶対ツブヤイターとかに上げられたよ。
困るぅー。
城に帰る。
そして、馬鹿な嫁に説教だ。
「外に出ようと提案した馬鹿は、誰かな?」
「はーい!私だよ!」
そーかそーか!
「ルシアかー!」
銀狼族のルシアかー!
ハリセン生成。
殴る。
「痛ーい!何でぇ?!」
「安全かどうかもわからないところに行くなよ」
「だって……」
「お前今晩覚えとけよ、お仕置きだからな」
「お仕置きされちゃう……?」
「ああ、酷いからな」
「くぅーん……」
ルシアは全く……。
銀狼族の長の娘なのに何でこんなやんちゃなの?
「他は誰だ!!!」
「私かしら」
魔人族の第一皇女、テレジア……。
お前もやんちゃだな。
はいハリセン。
「痛っ」
「他は!」
「……私」
「お前か……」
蛸人族の大魔導師、オリヴィエ。
はいハリセン。
「……ん」
「他ー!」
「俺だ!」
龍人族の戦士長、グロリア。
「ていっ!」
はいハリセン。
「む」
「他!」
「妾じゃ!」
九尾族の巫女、カエデ。
「はいお前もパーン」
ハリセン。
「痛いのじゃ」
「他!」
「私達は中立かなー?」
鳥人族の姫、レイラ。
そして蜘人族の女帝、イルル。
「ほう、他は?」
「私達は止めようとしました!」
ふむ……。
粘水族の姫ベータ、角馬族の騎士女王エリーゼ、花人族の賢者アウレーリア、森人族の族長の娘アニエス、鉱人族の職人エスメラルダ。
「とても偉い!良い子!」
「「「「わーい」」」」
「兎に角、外に出ないこと!俺は下に降りるけど、通話魔法でやり取りすること!良いな!」
「「「「はーい」」」」
「俺は今から金を作ってくるから、それまで勝手なことはするなよ」
そう言って、もう一度日本へ。
取り敢えず、実家に帰ろう。
高一の頃に異世界に誘拐された訳だし、十年も過ぎてる。
顔すら忘れられてる可能性大。
どうなるかな……?
嫁がたくさんいるのでキャラの掘り下げせな。