ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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バーバパパになりたい。


6話 インスで学ぶ注意事項

その後も、ちょくちょく顔を見せるテンプスに魔法を習い、転移魔法を覚えた。

 

とても便利。

 

ってか、魔法、割と簡単だな?

 

そりゃ極めれば難しいんだろうが、今のところ困るところはない。

 

問題と言えば、禁術を学ぶ時に体調が悪くなるくらいのものだ。

 

まあ、基本的に、ほぼネグレクトされてた俺からすりゃ、若干体調崩したり幻覚見えたり精神やられたりする程度、別に困らないが。

 

ガキの頃にな、母親がな、インフルエンザで倒れた俺を無理矢理連れ出して、教会で祈らせるんだよ。「祈りが届けば治ります」なーんつってな!自力で治したわ!

 

ヤクザに殺されかけた時も、借金取りに攫われた時も、全部自分でなんとかしてきた。

 

多少身体と頭がおかしくなる程度、何ともないんだよな。

 

それに、本当にヤバけりゃ師匠がどうにかするしな。

 

まあ、今まで師匠が本当にヤバイと言ったケースはないし、これからも大丈夫だろ。

 

 

 

「そういや、師匠の固有魔法って何なんだ?」

 

「生命魔法だけど」

 

ん?

 

「だって、僕達が魔法を開発したんだよ?僕の固有魔法が生命魔法で、それを誰にでも扱えるようにコンバートしたのが一般的な生命魔法だよ」

 

「そうなのか?なら、魔法使いはみんな固有魔法を使えるのか?」

 

「そんな訳ないじゃん」

 

んー?

 

「固有魔法が使えるような魔法使いは少ないよ」

 

「少ないのか?」

 

「うん。まあ……、百人に一人くらいかな?」

 

「ほー、なら俺は優秀か」

 

「その台詞は、僕に傷をつけることができてから言うべきじゃないかな」

 

まあ、それもそうか。

 

「ん?なら、固有魔法を持っている奴しか魔法は作れないのか?」

 

「いや?別に?確かに、今ある魔法の大元は僕達の固有魔法だけど、独自に研究したりして新しい魔法を作る人もいるんじゃない?」

 

んー。

 

「君が前に作った、チーズバーガーを作る魔法だって、独自のものだろう?」

 

んー……。

 

「例えるなら、僕達が文字を作った。魔法使い達は、文字で文章を書いた。そんな感じかな」

 

ふむ……。

 

「また、こうも例えられる。僕達は筆と絵の具、キャンパスを作った。魔法使い達はそれで絵を描いた、みたいな」

 

成る程な。

 

となると……。

 

「師匠が予想できないような絵を描いた魔法使いもいる、ってことか?」

 

「たまに、ね。でも、それでも、五十万年間絵を描き続けた僕達に敵うものはそうそういない、ってことも分かるかな?」

 

それはどうかな?

 

「ベテランでも新人に負けることはあるだろ?」

 

「まあ、その可能性はない訳じゃない。事実、僕達にとって代わろうとした魔法使いもいる」

 

「そいつらはどうなった?」

 

「殺した」

 

ふむ……。

 

「別に、今の地位や名声が惜しい……、とかそんなのはないよ。本当に僕達より実力があるなら、好きなようにすれば良い。事実、本当に才能がある君は、弟子にして、いずれ僕達を超えて欲しいと言う思いもある」

 

「じゃあ、なんで殺した?」

 

「だって、僕達を殺そうとしたから」

 

「正当防衛ってか」

 

「そうさ。僕はもう五十万年以上生きているけれど、死ぬつもりはさらさらない。殺そうとしてくるなら殺し返すだろう?」

 

ふーむ?

 

「師匠達の実力なら、殺さずに無力化もできたんじゃないのか?」

 

「うーん……、できたよ?でも、大陸一つ更地にする魔法使いにずっと狙われると面倒なんだよね……。中途半端に実力があるとね、危ないから殺した方が良いかなって」

 

そんなもんなのか。

 

「封印とかは?」

 

「永遠に封印するのって、殺すのと何が違うんだい?」

 

まあ、師匠は人の命とか別になんとも思ってないからな。

 

「じゃあ……」

 

そうだな。

 

「俺があんたを殺すと言ったら?」

 

俺は、割と本気で聞いてみる。

 

師匠は……。

 

「ははははは!まだ無理だよ!でも……」

 

いつも通りの胡散臭い笑顔で。

 

「その時は、殺すよ」

 

さも当然のごとく、答えた。

 

ふむ。

 

久し振りに恐怖を感じた。

 

これはマジでやる奴だな。

 

「まあ、僕を殺すんだったら、数万年は修行しなきゃね!逆に、殺せたら褒めてあげるよ!僕を超える魔法使いになった君になら、殺されてあげるよ!あ、もちろん本気で抵抗するけど!」

 

あー、やっぱり、こいつ。

 

人の心がねえわ。

 

「失礼な。多少はあるよ」

 

 

 

まあ、師匠に人の心がなくても、小遣いくれるし、魔法も教えてくれるし、戦闘相手にもなってくれるし。

 

少なくとも、うちの親よりはマシだな。

 

いや、別に恨んでたりとかはしないけど。

 

どうでもいい感じ。

 

むしろ、そんなことより、将来を見据えて、いかに魔法業界で食っていくかを考えなきゃならない。

 

だから、なんか稼げる手段教えてくれ。

 

と、師匠に頭を下げたところ。

 

「こんにちは、叢雨志導君。私は始まりの五人の一人、『器物魔法』の、インストゥルーメントゥム。インスと呼んで下さい」

 

考え得る最高の講師が来ちゃった。

 

インス……、キリッとしたイケメン、軟派な感じ。銀髪で黒いスーツ。

 

「いや……、その……」

 

「ああ、遠慮はいりませんよ。気安く話しかけてください」

 

「まあ、分かった」

 

何で名前がラテン語なんだ?

 

「ああ、それは、ラテン語は我々が作った言葉だからですよ」

 

んー?

 

「古代ローマくらいの頃でしょうか、古い文字や口伝ではまとまりが悪いので、一斉にアップデートをしましょう、と言う話になりまして。その時に、魔法的にも学術的にも使いやすい言語を新たに作りましょう、と……」

 

「はあ……」

 

「そして、ラテン語を作って、戯れに一般人に教えたら、思いの外流行ってしまいまして」

 

そんな理由で?

 

「いえ、割とそう言うケースは多いですよ。モーセとか言う人に魔法を教えたら、神の奇跡と勘違いして、舞い上がってデタラメな予言書やら聖書やらを書いたりしてましたね」

 

んんんんんー?

 

ひょっとして俺、やばいこと聞いちゃったかなー?

 

「ふふふ、安心してください。君の立場は既にヤバいですから」

 

「何だと?」

 

「五十万年振りの、アニマの弟子ですからね。生命魔法の使い手の嫉妬とか……」

 

あー……。

 

「因みに、五十万年前の弟子はどうしたんだ、師匠?」

 

「え?みんな死んだよ?」

 

え?まさか、殺した……?

 

「いやいや、殺してないよ。寿命!寿命で死んだの!」

 

「生命魔法の使い手が寿命で死ぬ訳ねーだろ。俺だって今、更に勉強して、合計で三万年は生きれるようになってんだぞ?普通に勉強してれば五十万年くらい余裕だろ」

 

「普通ではありませんからね?」

 

え?

 

「言っておきますが、五十万年も寿命を伸ばせた魔法使いは、歴史上、千人もいません」

 

んー。

 

「じゃあ、俺も死ぬのかな……」

 

まあ、三万年も生きれば別に良いかな……?

 

「いえ、志導君程の才能があれば、五十万年くらいは余裕ですね」

 

そうなのか。

 

……そうなのか?

 

「あの……、そもそも、一般の魔法使いの感覚からすれば、寿命を万単位で伸ばす魔法はまず無理ですからね?」

 

「簡単だったけど」

 

「君の感覚で言ってはいけません。君は魔法使いとして格段に優れているのです」

 

そうなのか、じゃあ偉そうにしよう。

 

「しかし、現在の腕前で慢心せずに、研鑽を積んで下さい。上には上がいますよ」

 

ええー?ほんとぉ?俺、最強と言わずともトップクラスじゃないのぉ?

 

「ふふふ、そう思っていると速攻で死にますよ」

 

ふーん。

 

まあ、調子乗った奴から死ぬのはどこでも一緒か。

 

「物理的な戦闘能力であれば、君よりも優れている魔法使いは……、大体数万人。技術的に優れている魔法使いならもっといます。確かに、志導君は、一年目にしては相当ですが……、少し頭をひねればいくらでも殺せます」

 

まあ、そうだろうな。

 

確かに、上には上がいるだろうな。

 

魔法使い全体の数が……、確認できるだけでも十万人以上。確認できないフリーの魔法使いやら何やらを含めると三十万は超える、とのことらしいし。

 

それでも、上が数万人いるのか。俺は上の下ってところか?

 

「そんなところですね。確かに、君は、数十万年に一人の逸材です。しかし、才能だけで一流になれるほど、この業界は甘くはありません」

 

世知辛え。

 

どこでも努力や勉強はしなきゃ駄目だってことか。

 

「はい、その通りです。兎に角、君は、危険な生命魔法の使い手に狙われていて、かつ、超貴重な概念編纂の固有魔法持ち……。捕まれば……、良くて実験動物ですね」

 

おー怖。

 

「あまり深刻ではない様子ですね」

 

「死にそうになるのは慣れてるからな」

 

「死ぬより辛いと思いますよ?」

 

「なら、精々捕まらないように努力するさ。あんたもその為に俺を鍛えてくれるんだろ?」

 

「ええ、その通りです。向上心がある生徒は好きですよ」

 

 

 

器物魔法、正直言って舐めてた。

 

生命魔法や時空魔法は使いづらいんだけど、器物魔法はマジで何でもできる。多彩。

 

取り敢えず、禁術から習おうとしたら説教された。

 

……けど、後でこっそり、師匠の地下図書館の、器物魔法の禁術の棚を二百冊くらい読んだ。

 

 

 

後でインスにバレて、腰が抜けるほど怒られた。




今書いてる勇者帰還もの、展開がこんな感じ。

一章:隠居編
概要:北海道の南の方の山と海と商店街がある村に嫁と隠居。嫁達は自重しないので、異形の姿なのに勝手にバイトを始め、肉屋のおじさんにコロッケパンをもらい、猟師と山狩りをする。なお、村の爺婆は良い人ばかりなので、力仕事の手伝いや子供と遊んでくれる人外嫁達を気にいる。

二章:ユウチューバー編
概要:嫁と一緒にユウチューバーをやることにした主人公が、最初は疑われつつも、有名なユウチューバーとのコラボや動画の面白さで評価され、ユウチューバーのスターダムを駆け上がる。

三章:マスコミ対応編
概要:マスコミはクソなので、主人公が隠居している田舎の村に押しかけてはごちゃごちゃ言ってくる。偏向放送に対して、ユウチューブという土台で勝負する主人公。マスコミのクソ対応が全世界にオンエアされる。

までは展開が決まっているのですが、その後、「起業編」と「異世界大陸が転移してきた編」と「日本人に魔法を教えて回る編」の三つをどの順番で差し込むのか検討中です。

起業編では、主人公が有り余る金で起業して、魔導具を売ります。

異世界大陸が転移してきた編では、そのまんま、異世界の大陸の中でも、「強くて政治的に邪魔な英雄である主人公を排除しようとした人間の王侯貴族」とは違い、「本当に勇者である主人公を英雄として讃えていた人外種族」の国が太平洋辺りに転移してきます。

日本人に魔法を教えて回る編では、そのまんまです。魔力が使えるものは心身や知能が強化されるので、希望者に魔法を教えます(有料)。これは起業編と合わせても良いかも?

その後は、各国の政府の動きとかも書きます。

ここで多分、ちょっと政治的な話もすることになるので、その辺もどう思うか聞きたいです。例えば、中国やロシアなら、異世界大陸が現れたらほぼほぼ確実にスパイを送ったり、侵略の計画を立てると思いますし、アメリカも世界の警察として動くと思います。その辺、あんまり国際情勢に詳しい訳じゃないので、大幅に作者の印象と想像でやると思います。苦情怖い。

特に、異世界大陸が転移してきた編では話が大きく動くので、慎重に丁寧にやりたいです。

それとやっぱり、メインテーマは隠居生活なので、全体的に緩く行きます。

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