ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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冒険者ギルド物語2プレイ中。


42話 ヴォルフガング・ラインハルトの場合 その6

「へ、ヘリだ!」

 

「軍が来てくれた!」

 

「無事だったのか!」

 

人々に歓迎される中、ヘリコプターが、街の近くに降り立つ。

 

五台のヘリからは、アサルトライフルを構えた兵士が三十人降りてきた。

 

「モンスターから離れなさい!!!」

 

兵士達は、ペットモンスターに警戒している。

 

モンスターから離れるように警告をしながら、隊列を組んだ。

 

「ガウガウ!!!」

 

「ガオオ!!!」

 

「グオオオオ!!!」

 

ペットモンスター達は、敵意を向けられたことにより威嚇をしている。

 

そうか、ヴァイスベルグでは、ペットモンスターは既に当たり前のことになっているが、ドイツの軍部からすればモンスターは忌むべき敵対者……。

 

止めなければ!

 

「待ってくれ!」

 

俺はペットモンスターの前に出た。

 

「なっ?!ど、退きなさい!退け!」

 

「銃を下ろせ!このモンスターは敵じゃない!」

 

「な、何を言ってるんだ?!良いから退け!」

 

「やめてくれ、このモンスターは友好的な存在だ!」

 

しばらく、ペットモンスターを擁護していると、指揮官と思われる黒髪の男が前に出てきた。

 

「モンスターが敵ではない、とは?何故そこのモンスターは人間を襲わないのですか?」

 

どうやら、話のわかる人のようだな。

 

「ここにいるモンスターは、元は普通の動物だった。それをモンスターにして、従えているんだ」

 

「ッ?!モンスターを、従える?!」

 

「そうだ、モンスターを従える方法を詳しく教える。だから、武器を下ろしてくれ。対話がしたい」

 

「……分かりました。全員、銃を下ろせ!」

 

戸惑う兵士に指示をして、俺に歩み寄る指揮官。

 

「カール・ヴェルナー少尉です」

 

「ヴォルフガング・ラインハルトだ」

 

 

 

兵士達を、役所に案内する。

 

ヴァイスベルグの役所は、街の運営をする人々の働く場所だ。役所が役所として機能している。まあ、ほぼ何でも屋のような扱いだが。

 

役所は広いので、三十人の兵士も全員入れる。

 

代表として、フェイに話してもらうことにした。

 

俺は、話すことが得意じゃない。

 

フェイは、俺こそがこの街の本当の代表者であると宣言した上で、これまでのことをヴェルナー少尉に話した。

 

「……なるほど。それが本当の話ならば、本部に伝えなければなりませんね。では、現在のドイツの状況についてお話しします」

 

そして、ヴェルナー少尉の話を聞く。

 

要約すると、軍の本部はベルリンからフランクフルトまで後退し、人口密集地である西側も放棄。

 

中央のフランクフルトを中心に活動しているらしい。

 

既にスキルの習得については知っているらしく、軍主導のダンジョン攻略により、スキルを保有する軍人がいるらしい。

 

それらを中心に、戦線を維持して、どうにかやっているそうだ。

 

ふむ……。

 

「……と、このような状態です。EU圏はどこも同じような感じだと、上は言っていますね。他国の支援は望めないようです。それで、その……」

 

話の内容は、ヴァイスベルグとフランクフルトの交易の話になった。

 

ヴァイスベルグでは主に、豚肉、塩、ビールがとれる。芋、野菜、魚は渡せるほどはない。

 

それを伝えたところ、塩と引き換えに化石燃料を引き渡すとのこと。

 

レートを調整して、お互いが納得する程度のレートに。

 

早速、500kg程の塩を引き渡す。

 

塩は、近くの山や、ゴブリンのダンジョンでたくさん採れるので、多めに渡しても問題ない。

 

化石燃料は、どうにか他国から手に入れているらしい。

 

手に入る量は百分の一に満たないが、人口も百分の一程に減少しているから、割と資源の問題についてはひっ迫していないそうだ。

 

今度来るときには燃料を持ってくると約束をして、軍隊は去っていった。

 

 

 

ヴァイスベルグの住民は、軍隊が去るのを見て、残念そうな顔をしていた。

 

特に、ヴァイスベルグの外から来た人々は、軍隊に助けてもらえなかったことに対して憤りを見せている。

 

不味いな。

 

この期に及んでそのような物の見方をする人間は、間違いなく他人の足を引っ張る。

 

助けてもらおう、ではなく、助かるために努力しようと考えられる人間でなければ、この世界で生きることは難しいだろう。

 

「天は自ら助くる者を助く」だ。

 

 

 

まあ……、結局、問題は起きたのだが。

 

トルコ人の移民のグループが、ドイツ人の女性をレイプし殺害、その上で持ち物を盗み……、それを目撃した治安維持のための警備員とペットモンスターが男達を叩きのめしたそうだ。

 

男達はペットモンスターに襲われてかなりの大怪我で、手足を失ったりしたそうだ。

 

俺としては、既に報いは受けたことから、許しても良いと思ったのだが、住民達が強く反対。

 

治療もせずに、トルコ人の移民グループを追い出せという話になった。

 

いかんな……。

 

トルコ人の移民グループは、「追い出されたら行き場所がない」「反省している」「魔がさした」と主張しているのだが……。

 

「追放にしましょう」

 

フェイが、役場の会議場で、人を集めて言った。

 

「しかし……」

 

「先輩は優しい人だから、そういう決断を下せないと思います……。けど、もう、この世界じゃ刑務所とか言ってられる場合じゃありませんよ」

 

それは、もっともな話だ。

 

「私達が処刑をするのは駄目です。だから、追放にしましょう」

 

「この世界で街から追放されたら……」

 

「ええ、事実上の死刑です。けど、彼らは許されないことをしました」

 

む……。

 

「ここで甘い顔をすれば、また同じようなことが起きるかもしれません……。やるしか、ないんですよ」

 

フェイ……。

 

「……分かった」

 

 

 

そうして、重い罪に対しては追放というやり方で、街の治安を守ることにしたヴァイスベルグは、安定した運営が行われ……。

 

 

 

 

 

「今に至る」

 

「ほーん」

 

「普通」

 

「つまらん」

 

こいつら……。

 

「俺、スナック菓子はガルビーのコンソメパンチが世界で一番美味いと思う」

 

「おっ、味覚障害か?最強はドリタスだよ」

 

「いや、プルングルスのサワークリームオニオンね」

 

俺の話を聞いておいて、つまらない、とはな。

 

全く……。

 

「……俺は日本のカアルが好きだ」

 

「「「はい、味覚障害ー!」」」

 

何だと?

 

「カアル大して美味くねーから!駄菓子屋のコーンポタージュスナックの方がマシ!」

 

「日本の駄菓子ならビックカツだろ?!!」

 

「だったらキャベツ次郎の方が美味しいわよ!!」

 

はあ……。

 

まあ、俺が潰れないでやっていけているのは、お前らのおかげだよ。




どうしよう……、やる気が出ない、書き溜めが溜まらない。

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